<都内某所・廃倉庫? 17:19PM>
吹っ飛ばされるブートライズカノン。
地面に叩きつけられ、その姿が相沢祐一のものへと戻っていく。
「くうっ・・・」
手をつき、何とか起きあがろうとする祐一だが、その身体は既に傷だらけでボロボロである。額から流れ落ちる血、口の端からも血が一筋流れている。満身創痍、と言う言葉が今の祐一には当てはまっていた。それでも彼は何とか立ち上がろうとする。
その様子を見ていた水瀬名雪の様子に変化が起こった。
「祐・・一・・・?」
衝撃波を放とうとしていた手を止め、口元を押さえる。
「何で・・・祐一が・・・?」
そう呟いた名雪の身体ががたがたと震えだす。
名雪の側にいた老婆は急に様子の変わった名雪を見て舌打ちをした。
「ちいっ、こんな時にっ!!」
老婆は手に持っていた杖で名雪の胸元を思い切り突き、彼女を昏倒させてしまう。いきなりの事に名雪は何も出来ず、うっと一言呻いてその場に崩れ落ちた。
「こ、このクソババァッ!!」
名雪がその場に倒れるのを見た祐一が吼える。拳を握りしめ、老婆に向かって駆け出す。
「貴様がいては邪魔になるだけ!!ここで死ぬがいいっ!!」
老婆は自分の方に向かってくる祐一を見、杖を彼の方へと突き出した。その杖の先に生み出される衝撃波。いや、それは既に衝撃波というものではない。高密度に凝縮された力の固まり。そこだけ空間が歪んで見えるほどの物凄い力の球体。
「肉塊と化し、朽ち果てるがいいわっ!!」
老婆がそう言って杖をつきだした。力の球体が祐一に向かって飛ぶ。
「ウオオオオオオオォォォォォォォッ!!」
祐一が雄叫びをあげて右手を突き出した。同時に彼の姿がブートライズカノンへと変わる。
力の球体とブートライズカノンの右手が接触、その次の瞬間、物凄い衝撃波が周囲に飛び散った。それは今までのどの衝撃波よりも強力なもの。老婆の周囲にいた皆瀬葵、皆瀬真奈美、山田正輝の3人は為す術もなく吹っ飛ばされ、老婆は何とか自分と倒れている名雪を守る為の衝撃波の壁を生みだし、自らの身と名雪を守る。
「な、何っ!?」
周囲に飛び散った衝撃波はこの廃倉庫内のあちこちにぶつかり、置いてあったものを薙ぎ倒し、破壊していく。床につもっていた埃も舞い上がり、視界はほぼ完全に失われてしまう。その中、老婆は何かを警戒するかのように先程ブートライズカノンがいた辺りを睨み付けていた。
徐々に巻き上げられていた埃が地面に落ちていき、視界が晴れていく。
「なっ・・・!?」
老婆の顔が驚愕に歪む。
空気が歪んでいる。いや、より正確に言うならば空間が歪んで見える。
その向こう側にカノンが立っていた。ブートライズではない、白いカノン。その全身のあちこちに黒いラインが入っている。
歪む空間の向こう側、まるで陽炎のようにそのカノンがゆらめきながら立っていた。
カノンの足下は周囲3メートルほどの空間がまるでクレーターのように陥没している。不思議な事にその陥没部分は何か鋭利な刃物で切断されたかの様に綺麗になっていた。
「・・・引くぞ!」
老婆が慌てたようにそう言うと、吹っ飛ばされていた葵たちが起きあがり、老婆の周囲に集合していった。気を失って倒れている名雪は正輝が抱え上げ、彼は油断ならない視線でカノンを見ている。
「この程度で終わったと思うな、相沢祐一!貴様は必ず殺してやる!一族の総力を挙げてな!!」
老婆がそう言い捨て、すぐに消えていく。
瞬間移動。
静まりかえった廃倉庫の中に残されたのはカノン、いや、変身の解けた祐一のみ。
満身創痍の彼は立ったまま気を失っていた。そのままばたりとその場に倒れてしまう。
「・・・名雪・・・」
小さい呟きを残して。
 
仮面ライダーカノン
Episode.36「暗躍」
 
<関東医大病院 19:36PM>
ストレッチャーに乗せられた祐一が廊下を運ばれていく。
その先にあるのは緊急処置室。
数名の看護婦の手によって緊急処置室に運び込まれた祐一を、警視庁未確認生命体対策本部の刑事、国崎往人は不安げな面もちで見ていることしかできなかった。
「大丈夫だ、国崎君。私を信じろ」
そう言って国崎の肩を叩き、緊急処置室に入っていこうとしているのはこの関東医大病院の女医で、カノンに変身する祐一の唯一のかかりつけの医師、霧島聖。
「任せたぞ、聖」
「・・・聖さん、だ」
聖の背に国崎が呼びかけると、聖は不機嫌そうにそう言い返してきた。そのまま振り返りもせずに緊急処置室に入っていく。
緊急処置室のドアの上、「手術中」のランプがつく。
国崎が廃倉庫に戻ってきて倒れている祐一を発見したのは1時間ちょっと前の事である。一緒に乗っていた天沢郁未の手を借り、祐一を覆面車の中に運び込んだ彼は大慌てでこの関東医大病院にやって来たのだ。ここならば安心して祐一を任せる事の出来る医師、霧島聖がいる。
「祐さんはどう?」
後ろから声がかけられた。
振り返るとそこに天沢郁未がいた。
今ひとつ正体不明だが、敵というわけではないらしい。それはここ数時間の付き合いで何となく感じられた。
「まだ始まったばかりだよ。・・・しかし・・・きっと大丈夫だ」
国崎はそう言って郁未に向かって笑みを見せた。
「・・・信じましょう」
郁未はそう言って肩をすくめた。
「それにしても色々とありすぎな一日だったわね、全く・・・」
「・・・時間も出来た事だし、そろそろあんたの事を聞かせていただきたいんだがな?」
手帳を取り出しながら国崎がそう言う。
「一体何処の何者かってことをな。祐の字はあんたを信頼しているようだが俺はそうもいかない」
取り出した手帳をめくりながらそう言い、国崎が郁未の方を見ると、もうその場に彼女の姿はなかった。どうやら彼が手帳を取り出している間にいなくなってしまったらしい。
「くそっ、あの野郎・・・」
慌てて彼女の姿を探すがもう何処にも彼女はいなかった。
「何処行きやがった、あの女っ!!」
国崎が病院中を探し回っている頃、探されている当人である郁未は病院の外にいた。
「まぁ、あの刑事さんには悪いけど私が教団の関係者だって知られるわけには行かないものね」
そう呟くと郁未は目を閉じた。
「祐さん、私も信じているよ。きっと大丈夫だってね」
郁未はそのまま歩き出した。もう立ち止まりもしなければ振り返りもしない。そのまま彼女は夜の街中へと消えていった。
 
<N県内教団研究施設 20:13PM>
「そうか、やっぱり失敗に終わったか」
受話器の向こう側から聞こえる声を聞いてその男はにやりと口元を歪ませた。
白衣を着たその男がちらりと後ろを振り返ると壁に黒い服を着た男がもたれかかっている。
「これで奴の立場が少しは揺らぐ・・・この私が台頭するチャンスも出来てくると言うものだな」
そう言って低い声で笑う。
「で、あの小娘達は動いたのか?・・・なるほど、こっちの思った通りだな。よし、このまま監視を続けろ。ああ、そうだ、いざという時はあの娘・・・晴香とか言ったな。コードナンバーはC−801だったと思うが、そいつを拘束しろ。そうすれば奴は何も出来なくなるはずだ」
白衣を着たその男はその後、二言三言受話器の向こう側にいる相手と話した後、受話器を置いた。
「さて、そろそろ君の出番だが・・・体の調子はどうかね?」
そう言って壁のもたれている黒い服の男を見る。
黒い服の男は顔を上げ、にやりと笑った。
「ワ・・・ワルクハ・・・ナイ」
低い、そしてやや機械がかった声でその男が言う。
その男の顔の半分は不気味な機械に覆われていた。両目の部分はスコープ状になっており、時折、モーター音と共にピントを合わせるかのように前後に動いている。
「コレナラ・・・ダレニモマケナイ・・・」
黒い服の男がそう言って上着のポケットに突っ込んでいた手を出した。右手は黒い手袋に包まれ、左手は銀色の硬質な輝きを放っている。しかもそれは手と言うよりも鉤爪というような形状をしていた。
「そう、この私の技術力と君の屈強な身体があれば誰にも負ける事など無い」
白衣を着た男がそう言ってにたりと笑みを浮かべた。
「そう、カノンにすら君は負ける事などあり得ないのだよ。何しろ・・・地球最高の頭脳が君に更なる力を与えたのだからね」
自信たっぷりに白衣の男は言う。
余程の自信家のようだ。
「君がここをでた後何をしようと一切構わない。ただ一つ、こいつを始末さえしてくれればな」
白衣の男がそう言って一枚の写真を差し出した。
黒い服の男は壁から離れると白衣の男の手からその写真を取った。そして、その写真をしげしげと見つめてから自分の上着のポケットに入れる。
「ワカッタ・・・コイツノシマツハマカセロ」
黒い服の男はそう言うとさっと両腕を左右に広げた。その姿が一瞬にして黒い翼を持つ怪人のものへと変わる。
未確認生命体第2号、ガダヌ・シィカパである。だがその姿は以前とは違っていた。
頭部は機械に覆われ、目もスコープ状になっている。それだけではない。身体のあちこちにも機械に覆われた部分があり、左手も金属の鉤爪となっていた。左右の足も機械によるものとなっており、爪先も不気味に光っている。
「フフフ、よろしく頼むよ、ガダヌ君」
白衣の男がそう言うのに頷きながらガダヌ・シィカパは翼を羽ばたかせて舞い上がった。
そのまま天井に光取りの窓を突き破ってもうすっかり暗くなっている外へと飛び出していく。
砕け落ちてくるガラス片を見ながら白衣の男はふっと口元を歪ませた。
「せいぜい頑張ってくれよ、ガダヌ君。君のおかげで私の研究は大いにはかどったのだからな。君のDNA、しっかり利用させて貰うよ」
不気味な笑みを浮かべ、白衣の男、高槻は歩きだした。
その部屋と続きになっている隣の部屋のドアを開ける。
「さぁ、始めようか、我々の聖戦を」
高槻がそう言ってその部屋の電気をつける。
そこには、先程のガダヌ・シィカパと同じように機械の部分を埋め込まれた改造変異体がじっと高槻の命令を待っていた。
 
<関東医大病院 20:31PM>
緊急処置室のドアが開き、中から聖が疲れたような表情を浮かべて出てきた。
彼女を見つけてすぐに国崎が駆け寄ってくる。
「どうだ、祐の字の容態は?」
「かなりのダメージを受けたようだな。内臓などに物凄い衝撃を受けているし、背骨もがたがただ。全身の骨格がよく保っていたと言うべきかもしれん」
聖の表情は晴れない。
国崎も彼女の言葉を聞いて表情を硬くする。
「一体何と戦った?」
「は・・・?」
「彼は一体何と戦ったんだと聞いているんだ。今までの未確認との戦いであそこまでダメージを受けた事はない。それに背中のアザも気になる。君は知らないのか?」
「・・・何て言うんだろうなぁ・・・カノンそっくりの奴と戦ったと聞いているんだが。俺もよく知らないんだが、一緒にいた奴に聞いた話、まずそのカノンそっくりの奴と戦ってやられて、その後に第25号、それを倒した後カノンそっくりの奴とまた戦って、相打ち、その後は例の秋子さんとやらを助けに行った。以上だ」
国崎は聞いた話を思い出すようにそう言って聖を見た。
「カノンそっくりの奴?」
聖が驚いたように国崎を見返した。
「ああ、確かにあれはカノン・・・どっちかというと例のまやかしの力のカノンに似ていたな」
「ふむ・・・ではカノンはやはり一人ではないと言う事か」
そう呟き、聖は腕を組んだ。
「どういう事だ?」
今度は国崎が問うた。
「君と彼、相沢君がN県に行っている間の事を覚えているか?」
「ああ、向こうで未確認を2体ほど相手にしたからな」
「その頃、ここ東京にも未確認は出現した事は聞いているだろう?」
「確か19号だったか?」
「ああ。それを倒したのがどうもカノンに似た奴らしい」
聖の発言を聞いた国崎の顔色が変わる。
「何っ!?そんな話、俺は知らないぞ!」
「本当かどうかはわからない、あくまで噂に過ぎないからな。それで一度美坂君に話を聞いてみたところ、彼女はこう言っていたよ。カノンは一人じゃないって」
「カノンは一人じゃない・・・」
「相沢君にしてもそうだ。彼は過去にもカノンとして戦った事がある。その時と今のカノンは違う。そうとも美坂君は言っていた」
「・・何か、ややこしい話だな。で、祐の字の容態は結局の所どうなんだ? それを聞きに来たんだが」
国崎がそう言うと聖は不敵な笑みを浮かべて見せた。
「君は誰にものを言っているんだ?」
「霧島聖という関東医大病院に所属する警察の属託医で凶暴な女医だ」
そう言った国崎を聖は黙って睨み付ける。
「・・・俺の知る限りもっとも優秀な女医さんだな。警察の監察医も兼ねているが」
とりあえず自分を睨み付ける聖が怖くなったのかそう言い直す国崎。
「・・・私の腕が信用出来ないのなら今度から本当に君に彼の治療費を請求する事にしよう」
しれっとそう言う聖に慌てた様子で国崎が、
「俺が聖の事を一度でも疑った事があったか。君こそ世界でもっとも腕のいい医者だと俺は信じているぞ!!」
「・・・・・・まぁ、良い。とりあえず出来る限りの事はやった。後は例によって彼の体内の異物が物凄い回復力を発揮するだろうからそれ待ちだ」
少し疑いの眼差しを国崎に向けた後、聖はそう言い、歩き出した。
「容態は安定している。君も一度戻った方がいいんじゃないか、国崎君」
歩きながら振り返りもせずに聖が言ったので国崎は小さく頷いた。
彼女と話している間に祐一は病室に運ばれたらしく、緊急処置室にはもう明かりはついていない。
国崎はそれを見てから肩をすくめて玄関へと歩き出した。
 
<とあるマンション 21:54PM>
その部屋のベッドには水瀬名雪が寝かしつけられていた。
隣の部屋では傷付いた山田正輝の腕に甲斐甲斐しく包帯を巻いている皆瀬真奈美の姿がある。
「ねぇ、正輝、これでいい?」
包帯を巻き終わった真奈美がそう言って正輝を見上げた。
正輝は包帯の巻かれた腕を二、三度軽く動かし、真奈美に向かって頷いて見せる。
「さんきゅ、真奈美」
真奈美を抱き寄せ、その額に軽くキスをする正輝。
そんな二人から少し離れたところでは皆瀬葵が憮然とした表情で座っていた。
「あんた達ねぇ、ちょっとはこっちの身にもなってみろって言うの!」
不機嫌そうにそう言うと、きょとんとした顔で真奈美が彼女の方を振り返った。
「葵ちゃん、それってどういう事?」
「いちゃいちゃすんなって事!」
やや怒ったように言い返す葵。
それを見た真奈美がにやっと笑う。
「葵ちゃん、もしかして仲のいい私達にヤキモチ?」
「真奈美、あんたねぇっ!!」
思わず腰を浮かせてしまう葵。
しかし、それがないとは言い切れないのもまた事実であった。だが、それ以上に彼女は別の事に気を揉んでいたのである。
彼女が気にかけている事、それは。
「それにしても大婆様は何処に行ったのよ。お姫様は眠りっぱなしだし、例の相沢祐一に対してどういう風に扱うかまだ何も決まってないのに」
「あ、そうか・・・」
葵の発言に真奈美も浮かべていた笑みを引っ込めた。
女系である水瀬一族に産まれるはずのない男子である祐一。それは彼がどれほどの異端児であるかを物語っている。おまけに彼は自分達に敵対する存在である戦士・カノンでもある。おそらくはこの上なく厄介な存在。
「でも、あの子に私達と同じ力があるかどうかわからないじゃない」
「だが奴は変身出来る。それだけで充分脅威にはなりうる」
真剣な顔をして正輝が言う。
「その為に君がいるんじゃないの、正輝君?」
挑発的に葵が言うと正輝は彼女を睨み付けた。だが、その視線をものともせずに葵は続ける。
「まぁ、君じゃ無理みたいね。何せ相手はヌヴァラグを何体も倒してきた強者、それに対してこっちは経験が浅いわ、詰めは甘いわ・・・」
「葵ちゃんっ!!」
正輝が何か言う前に真奈美が声を荒げて葵を睨む。
葵は彼女を見ると肩をすくめた。
「言い過ぎたかしら?」
「イヤ、あんたの言う通りだよ」
正輝はそう言って真奈美の肩の手を置いた。
真奈美が心配そうに正輝を振り返る。
「だが俺は負けない。真奈美を守るのが俺の役目だからな」
「はいはい、相変わらずラブラブな事で」
呆れたように天井を見上げる葵。
少しの間、沈黙がその部屋を包み込んだ。何となく気まずい雰囲気が漂い始める。居心地が悪くなったのか、葵が立ち上がった。
「お茶でも入れてくるわ。あんた達もいる?」
「私も手伝うよ」
そう言って真奈美も立ち上がった。
正輝はそれを特に止めようとはせず、無言で台所に消えていく二人の背を見送った。
やかんをコンロにかけ、火をつけ湯が沸くのを待つ。
「ねぇ、葵ちゃん・・・」
「何?」
真奈美が話しかけてきたのだが、葵は気乗りし無さそうに返事を返した。
「秋子ねーさん、大丈夫かなぁ?」
その一言を聞き、葵は驚いたように真奈美の顔を見た。
「あんな事しちゃったからもう絶対に許してくれないだろうし、それにもう二度と前に出る事も出来ないだろうけど・・・でも、秋子ねーさんのこと、結構好きだったし・・・」
そう言って真奈美が少し悲しげな笑みを浮かべる。
葵はそんな真奈美から顔を背けると、やかんをじっと見つけた。他に視線を置く場所が見つからなかったのだ。
「・・・あんたが心配する事無いわよ。何せ冬美ねーさんが来たんだからね。冬美ねーさんはあんたよりももっと強い力を持っているし、きっと秋子ねーさんを直しちゃっているよ」
無愛想に聞こえるように、ぶっきらぼうに葵はそう言った。
だが、それでも真奈美はその一言で安心したかのように頷いている。
「そうだね。うん、きっと冬美ねーさんなら大丈夫だよね」
それはまるで自分に言い聞かせるかのような呟き。
葵は何も言わず、ただじっとやかんを見つめていた。
その頃。
同じマンションの屋上。
そこに一人の老婆の姿があった。
「・・・やはりあやつらではダメじゃな。もう少し役に立つかと思うたが・・・」
そう呟くと、老婆は懐から怪しく光る小さな石を取り出した。野球のボールとほぼ同じくらいの大きさの石。
「正輝もあてには出来ん。これを使うしかないようじゃの」
石を見つめながら老婆はそう言い、不気味に笑う。
「さて、その前に・・・あの小僧をどうやって始末するかのう・・・」
聞きようによっては楽しげにすら聞こえる呟き。その内容は不穏極まりないが。
 
<新宿区内の某繁華街 23:13PM>
後1時間もしないうちに日付けが変わろうというのにそこは未だ人の途絶える気配はなかった。もっともそれでも数時間前までと比べてかなり人の姿は減っているのだが。
ふらふらと歩いている酔っぱらい、少々疲れの見え始めている呼び込み、様々な人が未だ動いている。
それをビルの上から見下ろしている一つの影。数時間前にN県を飛び立ったはずのガダヌ・シィカパであった。スコープ状になった目で地上を見下ろしている。
「フフフ・・・ヨリドリミドリ・・」
不気味な声でそう呟くとバッと翼を広げ、宙に舞い上がった。
夜の空、深い闇に包まれた都会の空にガダヌ・シィカパの姿は紛れ、地上からはわからなくなってしまう。
その地上、一人の酔っぱらいの男性がふらふらと千鳥足で歩いていた。と、いきなりその男性の姿が消えた。近くで呼び込みをやっていた青年がそれを見て、ぎょっと目を丸くする。少しの間をおいて、何かが呼び込みの青年の前に落ちてきた。
それは変わり果てた先程の酔っぱらいの男性。無惨にも胸元を大きく切り裂かれ、血まみれになって地上に叩きつけられ、ぴくぴくと痙攣している。
「ひ、ひぃぃっ!!」
青ざめ、悲鳴を上げて呼び込みの青年がその場から逃げ出した。
突如、空から落ちてきた男に周囲が騒然となる。
その様子を、またビルの屋上に舞い降りたガダヌ・シィカパが楽しげに見下ろしていた。
 
<警視庁未確認生命体対策本部 23:43PM>
会議用の長机の上に設置された電話が呼び出し音を響かせる。
「はいはい・・・」
面倒くさそうに受話器を取ったのは対策本部の刑事・住井護。昼夜を問わず出現しては殺戮を繰り返す未確認生命体に対応するべく、この対策本部には常に数人が残っている。住井はその内の一人だった。
「はい、警視庁未確認生命体対策本部・・・はい・・・わかりました!すぐにそちらに向かいます!」
電話の内容を聞いた住井の表情が面倒くさそうなものから一気に引き締まる。
受話器を置くと、彼はすぐに仮眠室に向かった。そこで仮眠をとっている同じ対策本部の仲間を起こし電話で報告された場所へと急行する。
「今夜は徹夜になりそうだな・・・」
ハンドルを握ったまま、彼はそう呟いていた。
 
<新宿区内の某繁華街 00:19AM>
ガダヌ・シィカパは下を見下ろしながら新たな獲物を物色していた。
どれを殺そうと違いはない。だが同じ殺すのならばもっと反応のいい奴を殺した方がより楽しめる。
ちろりと舌を出し、嘴を舐める。と、その時、不意に背後に気配を感じ、ガダヌ・シィカパは振り返った。そこに伸びてくる太い腕。がしっとガダヌ・シィカパの首を掴むと、難なく持ち上げてしまう、物凄い力。
「ギナサバ・マミンニ・シェリヅ?」
ガダヌ・シィカパにとって聞き慣れた言葉。だが、それは今の彼にとっては決して聞きたいとは思わない言葉でもある。
「もうお前達カパの出番はないと言う事がまだわからないのかな?」
別の声が聞こえてくる。
この声の主にガダヌ・シィカパは聞き覚えがあった。過去、しばらくは行動を共にいた男の声。だが、そいつは・・・。
「それに何だい、その醜い姿は。君には誇りあるヌヴァラグの一員であるという自覚すらないのか?」
嫌みったらしく続ける声。
その間にもガダヌ・シィカパの首を掴んでいる手に力が込められていく。
「ガ・・ガハァ・・・」
苦しそうに口をぱくぱくさせるガダヌ・シィカパ。
ガダヌ・シィカパの首を掴んでいる太い腕の持ち主は側に立っている爪を噛んでいる男を振り返った。
「ノドノド・ニサシュ・ニシェリリガ?」
「ああ、さっさと始末してしまおう」
爪を噛んでいる男がそう言うと、太い腕の持ち主がその真の姿を現す。
全身毛むくじゃらで、筋肉質な大きなボディ。まるでゴリラのような怪人。ゾヂダ・ボバルである。
隣にいた爪を噛んでいる男も真の姿を現した。
目のぎょろっとした蜥蜴に似たような顔。全身不気味な緑色の肌。それがまるで周囲の闇に合わせるかのように黒く変色していく。カメレオンのような怪人。ガセデ・ババル。
「グ・・・コ、ココデ・・・コンナトコロデ・・・コロサレテタマルカ!」
呻くようにガダヌ・シィカパはそう言うと両足の踵をうち鳴らした。
機械化された足の裏にある小型ブースターが点火し、物凄い推進力を生み出す。それはガダヌ・シィカパの首を掴んでいるゾヂダ・ボバルごと宙に浮かび上がらせようとしていた。
「マ、マリ!?」
自分の身体が浮こうとしているのに驚いたゾヂダ・ボバルが慌ててガダヌ・シィカパの首を掴んでいた腕を放す。
「ミザヌガッ!!」
ガセデ・ババルがそう言って口を開き、舌を伸ばした。その舌はガセデ・ババルの身長よりも長く伸び、空に舞い上がったガダヌ・シィカパを追いかける。だが、後少しのところで届かず、ガダヌ・シィカパは夜の空へと消えていった。
「・・・ミザニシャガ・・・」
ゾヂダ・ボバルがそう言ってガセデ・ババルを見る。
肩をすくめてみせるガセデ・ババル。
「まぁ、奴はいつでも始末しようと思えば出来る。所詮はカパだ、恐れるに足らない」
「その油断が今、奴を逃がしたのではないか?」
新たな声が聞こえてきた。
ガセデ・ババルとゾヂダ・ボバルが振り返るとそこには美しいドレス姿の女性が立っていた。その後ろには切れ長の瞳の女性、青白い顔をした細身の男などが立っている。
むっとしたような顔を見せるガセデ・ババル。
「まぁいいだろう。ロゲダがゼースに失敗した。次はお前の番だ」
美しいドレス姿の女性はそう言うとリング状の装飾品をゾヂダ・ボバルに向かって投げて渡した。
リング状の装飾品を受け取り、にやりと笑うゾヂダ・ボバル。
「マリヲガマリヲ・シャマリヲシャニグヌ・イガヲジェ・マリヲガマリヲ・シャマリヲガネツヲ・シャニグヌミヲ」
「ほう、流石はヌヴァラグ一の豪腕を誇るゾヂダ・ボバル、94時間で150人とは」
何処かバカにしたように言ったのは青白い顔の男。
青白い顔の男を睨み付け、黙らせるゾヂダ・ボバル。
リング状の装飾品を自分の左手首にはめるとその場にいる者達に背を向けて歩き出す。
「ガダヌは放っておいて良いのか?」
ガセデ・ババルがそう言うが美しいドレス姿の女性は見向きもしなかった。
ちっと舌打ちしてガセデ・ババルは人間の姿に戻る。
それを見た美しいドレス姿の女性はくるりと彼に背を向けて歩き出した。そしてそのまま闇の中へと消えていく。
 
<関東医大病院 10:04AM>
祐一の病室の前を不安そうに行ったり来たりしている人影があった。
美坂栞である。
結局昨日帰ってこなかった彼を心配した彼女が姉に連絡を取り、その姉である香里が国崎に連絡を取り、祐一が関東医大病院に運び込まれた事を聞き出し、再び妹に折り返したのだ。
祐一が関東医大病院にいる事を聞いた栞はいても立ってもいられず、こうして駆けつけてきたのだが、彼の病室は面会謝絶の札がかかっており、中に入る事すら出来なかった。その為、病室の前でうろちょろしているのである。
「おや、美坂君じゃないか」
不意にそんな声がかけられたので栞が顔を上げると、そこには聖が立っていた。
「あ、お早うございます、霧島先生」
頭を下げ、朝の挨拶をする栞。
「ああ、お早う。ところで、君がここにいると言う事は彼の事を聞いてきたのだろうが、まだ彼は眠っているようなんでな。会わせてやるわけにはいかない」
静かな笑みをたたえながら聖がそう言ったので栞は頷くしかなかった。主治医である聖がそう言う以上、祐一に会う事は本当に出来ないのだろう。逆を言えばそれほど祐一はダメージを受けていると言う事になる。心配ではあるが、今は彼の回復の為、そっとしておく方がいい。そう思って栞は頷いたのだった。
「その代わりと言ってはなんだが、少し付き合ってくれないか。今からある患者を引き取りにいかなければならないんだが、人手が足りなくてな」
今度は苦笑を浮かべる聖。
「私で良いんですか? 看護婦さんとかは?」
「個人的な患者でな。それに君も来てくれた方がいい」
そう言うと聖は栞の返答を待たずに歩き出した。
慌てて聖を追いかける栞。
聖はそのまま関東医大病院の裏口から駐車場に出ると大型のランドクルーザーに歩み寄った。
聖が歩み寄った車を見て、思わず怯んでしまう栞。
「せ、先生、これ、先生の車ですか?」
「ああ、まだローンが残っているがれっきとした私の車だ。・・・どうした、乗らないのか?」
聖は少し離れたところでこちらを呆然と見つめている栞を見て、首を傾げた。
「あ、は、はい・・・」
栞が恐る恐ると言った感じでランドクルーザーに乗り込む。
未だ首を傾げながら聖が運転席に乗り込み、鍵を差し込みエンジンをかけた。エンジンはすんなりとかかり、ランドクルーザーがゆっくりと動き出す。
「先生・・・」
ランドクルーザーが動き出してしばらくした後、栞が口を開いた。
「なんだ?」
ハンドルを握ったまま聖が聞き返す。
「この車、先生のイメージに合わなくて驚きました」
「・・・よく言われる。しかしまぁ、あまり気にしてはいないが」
「あの・・・祐一さんなんですけど」
栞はちょっと迷ったように少し言葉を切る。
「大丈夫なんでしょうか?」
「今回は結構ダメージが大きかったが大丈夫だ。身体の中にある異物、あれが多分彼を変身させているものだと思うんだが、あれは同時に彼を守ってもいる。今頃物凄い回復力を発揮しているはずだ」
「・・・このまま・・目覚めなければ・・・」
「ん?」
小さい声で栞が呟いた言葉、それは聖の耳にしっかりと聞こえていた。だが、あえて彼女は聞こえなかったふりをする。
「祐一さんがこのまま目覚めなかったら、戦わなくて済むのに」
栞のその呟きはおそらく彼女の本音であろう。
彼女も知っているのだ。過去、祐一が受けた酷い仕打ちの事を。それでも、一人、傷付きながら戦った彼の事を。そして、そのあげく、炎の中に消えていった事も。
聖は何も言わず、ただ黙ってハンドルを握り、前だけを見つめていた。
 
<都内某所 10:32AM>
冷蔵庫を開けて見、中に何も入ってない事を確かめると、折原浩平はがっくりと項垂れた。
N県で見つけた赤と青の宝玉、それが体内に入ってから変身後に苦しむ事はなくなった。
昨日、倉田重工第7研究所でハードな戦いを演じた後でも身体には何の変化もない。
「・・・とりあえず、何か買いにいくか」
そう呟くと冷蔵庫のドアを閉め、立ち上がる。
変身能力を有し、身体は通常の人の数倍の力を持つようになったと言っても腹は普通に減る。腹が減っては戦は出来ない。
アパートを出ると近くのコンビニまで歩いていく。
コンビニまでは少し距離があるがわざわざバイクで行くほどの距離でもない。たまには散歩がてら歩くのも悪くはないだろう。そう思って歩いていると、一人の老婆が路上で何やらやっているのに気がついた。
「婆さん、何やってんだい?」
何となく興味を惹かれた浩平が声をかける。
「おお、悪いがちょっと手伝って貰えるか?」
老婆はそう言うと、浩平を振り返った。同時に老婆の目が金色の光を放つ。
老婆の金色の光る目を見た浩平の意識がふっと遠くなる。
(な、何だ・・・?)
遠のく意識の中、浩平は老婆の正体に思い当たっていた。
何時かN県で自分を襲った謎の二人組、それと同じ系統、イヤ、それよりも強い力をこの老婆は持っている!
そう思い至った時には既に浩平の意識はほぼ完全に失われていた。
「フフフ・・・お主もいずれ始末せねばならんのだがな。少し役に立って貰うぞ」
浩平の意識が完全に失われたのを見て、老婆がにやりと口元を歪める。
ゆらゆらと立ちつくす浩平を連れて老婆は近くの路地に入っていった。そして懐から一枚の写真を取り出す。
「お主の敵は・・・こいつじゃ」
その写真に映し出されていたのはカノンの姿。
虚ろな眼差しで写真を見つめる浩平。
「俺の・・・敵・・・」
「そう、お主の母と妹を殺したのはこいつ。お主から全てを奪ったのはこいつじゃ」
老婆の声は何処か楽しげだった。
「こいつが・・・俺から・・・」
「そうじゃ、お主はこいつを殺したいほど憎んでおるじゃろう?」
「憎い・・・こいつが・・・憎いっ!!」
浩平がそれまでの虚ろな目をカッと開いた。そこにあるのは狂気に彩られた瞳。彼は老婆によって完全に洗脳されていた。
「殺す!殺してやるっ!!」
そう言って浩平が路地から飛び出していった。
その後ろ姿を見送りながら老婆はまたにやりと笑う。
「奴が相沢祐一を殺せればそれでよし、逆に奴が殺されてもそれはそれで手間が省ける。一石二鳥とはこの事よの」
不気味な声で笑いながら老婆の姿が消えていく。
 
<警視庁未確認生命体対策本部 10:53AM>
会議室のドアが開き、中に入ってきたのは七瀬留美、斉藤、そして北川潤の3人、いわゆるPSKチームだった。
「すいません、遅くなりました」
留美がそう言って会議室内にいる人たちに頭を下げる。
「おや、前回とは人が違うようだが?」
会議室の一番奥にいる一番偉そうな人がそう声をかけてきた。警視庁未確認生命体対策本部の本部長、鍵山である。
「前回の会議に出席したのは私の代理です。私がPSKチームのリーダー、七瀬留美です。よろしくお願いします」
そう言って改めて留美が頭を下げる。
それに合わせて斉藤と潤も頭を下げた。
「こちらにいるのがPSKチームオペレーター、斉藤。そしてこちらがPSK−03の装着員、北川潤」
「始めまして。北川潤です」
潤が更にもう一度頭を下げる。これで都合3回目になる。
「もういいだろう。座ったらどうだ?」
そう言ったのは黒いスーツの上下に黒いネクタイを緩めがちに締めた男。目つきもあまり良くない。とてもじゃないが刑事には見えない。
「居候、あんたは黙っておき」
言いながらその黒尽くめの刑事を殴り飛ばしたのはそのすぐ隣に座っていた女性刑事。
その間にも留美達は空いている椅子に腰を下ろしていた。
「ではまずは昨日の事の報告を」
「はいよ」
鍵山の言葉に立ち上がったのは黒尽くめの刑事、国崎だった。
「未確認生命体第25号に関しては第3号が倒したと思われます。事実、そう言う跡があった事を俺が確認しましたし、目撃者もいるようです」
「そう言う跡とは?」
留美が口を挟んだ。
国崎は留美の方を見ると面倒くさそうに口を開く。
「第3号が他の未確認を倒すと何でかは知らないが未確認は爆発しやがるんだよ。俺が見つけたのはその爆発跡」
「と言う事は第25号が確実に殲滅されたかどうかはあなたは確認していないと言う事になりますね?」
「だから目撃者がいるって言っただろう。第3号と第25号が戦って3号が25号を倒したところを見たって言う奴が」
何言っているんだ、こいつと言わんばかりの顔で国崎が言う。
「・・わかりました。続けてください」
留美はそう言って国崎に報告の先を促した。
「複数の未確認生命体が同時に殺戮を行わないと言うのは今までの事件からわかっている事です。同じ手口を使わないと言うのもまた同様に」
「ふむ。それでは住井君。昨夜の事を」
「はい」
今度は国崎の隣、先程彼を殴りつけた女性とは反対側に座っていたまだ若い刑事が立ち上がった。
「昨夜遅くに市民からの通報がありました。現場は新宿近くの繁華街。道を歩いていた中年男性が突如姿を消し、その後、地上へと落下し、死亡」
手に持った書類を見ながら若い刑事、住井護が言う。
「目撃者の証言によるとそれまで千鳥足で歩いていた被害者が突如目の前から消え、その数秒後、突然上から落ちてきたとの事です」
「死因は墜落死、と言う事かね?」
「いえ、それなんですが・・・」
住井は鍵山の質問に少し困ったような顔をした。
「被害者の胸には大きな裂傷がありまして、どうもそこからの出血も死因の一つではないかと」
「大きな裂傷・・・ですか?」
そう言ったのは留美であった。
わざわざ彼女の方を見て頷く住井。
「では、その被害者は突如姿を消し、胸を切り裂かれた上で墜落死したと?」
「そう言う事になります」
留美は腕を組み、考え込み始めた。
「今までの未確認の殺害方法としてはこれは異例に近いと思います。今までこんな二重の手口で人を殺害した未確認はほとんどいません」
そこまで言って住井は言葉を切った。
「それと、これは未確認情報ですが、あの現場から空に飛び去る巨大な鳥のようなものを見たという話も聞いています」
「巨大な鳥?」
住井の言葉に反応したのは国崎であった。
「まさか・・・第2号か?」
「その辺は暗かった事もあり、まだ未確認で想像の域を出ません。ですが可能性はあると思われます」
周囲が住井の言葉にざわめいた。
かつてN県方面へと逃がしてしまった未確認生命体第2号。それが遂に帰って来、そして人々への殺戮を開始した。それはすなわち、逃がしてしまった警察の責任でもある。
「それに、今回の殺害方法は第2号によるものとも思えません。また別の未確認である可能性も否定出来ないと思います」
それで締めくくる住井。
「第26号か・・・最近矢継ぎ早に出てくるよな」
国崎が呟くように言うと、隣にいた女性刑事・神尾晴子が彼の方をちらりと向く。
「向こうさんにはこっちに都合なんか関係ないからな。それに前にあったN県警からの報告、あれには確か200体くらいの未確認がおるっちゅう話やろ?」
晴子にそう言われて苦笑する国崎。
「まだまだ忙しい日々は続くって事か・・・」
 
<喫茶ホワイト 11:04AM>
「ただいま〜」
その声と共にドアが開く。
店内に客の姿はなく、物凄く暇そうにウエイトレスの霧島佳乃はカウンターに陣取って雑誌を読んでいたし、マスターもカウンターの中で新聞を広げていた。その二人が同時に顔を上げると、入り口の側には大きな荷物を持った長森瑞佳の姿。
「おう、お帰り」
マスターが新聞を畳みながら言う。
佳乃も読んでいた雑誌を閉じ、瑞佳の側に行くと彼女が持っている荷物の一つを手に取ろうとした。
「あ、いいよ、佳乃ちゃん。それより、これ、おみやげ」
瑞佳は佳乃の手をやんわりと押しとどめると、鞄の中から包装された箱を取り出した。中身はよくあるクッキーのようだ。
クッキーの箱を受け取った佳乃が嬉しそうに笑みを漏らす。何故か彼女、こういったものが好きらしい。
「いいんですか、瑞佳さん?」
「いいよ。店、手伝えなかったから大変だったでしょ? その分のお詫びだよ」
瑞佳はそう言って苦笑するとマスターの方を向いた。
「こっちがマスターの分。クッキーよりこっちの方がいいでしょ?」
カウンターの上に置かれたのはウイスキーの瓶。包装も何もされていない。
「随分と差があるな、瑞佳・・・」
しげしげとウイスキーの瓶を見ながらマスターが言う。
瑞佳はそれを無視して鞄の中から更に箱を二つほど取り出していた
「こっちが香里さんで、こっちが祐さんで・・・マスター、祐さんは?」
箱を二つ並べてから瑞佳が顔を上げる。
「祐の字なら昨日から帰ってないぞ」
再び新聞を広げながらマスターが言った。
「何かここ二、三日ずっと人捜しをやっていたようだがな。あまり上手くいってなかったようだ。香里ちゃんにもせっつかれていたようだし」
「そう言えば何かとっても追いつめられたような感じだったよぉ」
マスターの後を受けて佳乃が言う。
しかし、その手はクッキーの入った箱の包装を既に解き始めていた。
「追いつめられた?」
「正確には酷く焦っていると言った感じだったがな。まぁ、この辺りは香里ちゃんが来たら聞けばいい。何かあの子も噛んでいるみたいだし」
瑞佳が首を傾げたのを見て、マスターがそう答える。
二人が何かをやっていると言う事は知っているのだが、具体的に何をしているのか、誰を捜しているのかまでは流石にマスターも聞いてはいない。それほどまでに祐一も香里も追いつめられた焦燥の表情をしていたのだ。
「・・・ああ、そう言えば何か祐の字のおばさんがどうとか言っていたっけな」
不安げな瑞佳の顔を見、マスターが呟くように言う。
「祐さんのおばさん・・・?」
瑞佳は何時か香里から話だけ聞いた事がある。
祐一の叔母、水瀬秋子の事を。そしてその娘、名雪の事を。その二人と祐一が一体どういう関係にあったかを、瑞佳は香里から聞いて知っている。
「・・・そうか、それじゃ祐さん必死なんだ・・・」
小さい声で呟く。
それから顔を上げ、マスターの方を見る。
「大丈夫だよ。祐さん、すぐに帰ってくるって」
「祐の字の事なら一つも心配してないさ」
マスターが新聞を読みながらあっさりと答えたので、瑞佳は少し拍子抜けした。
そんな瑞佳を見てマスターは
「あいつの代わりのバイトも見つかった事だしな。そろそろ真剣にあいつをクビにする事も考えないと」
「わ、また酷い事言ってる」
佳乃が箱から取り出したクッキーを頬張りながら言う。
「よく言うよ。祐さんをクビにする気なんて無いくせに」
ちょっと怒ったように瑞佳。
「・・・なんだなんだ。あいつばっかり・・・」
女性陣にフォローされる祐一にヤキモチでも焼いたのか、マスターは拗ねて見せた。だが、誰も相手にしてくれない。
「さてと、荷物置きに帰ってくるよ。あとでまた来るから」
そう言って瑞佳が大きな鞄を持ち上げる。
「ああ、どうせ暇だから別にかまわんぞ」
まだ拗ねているのか、マスターがぶっきらぼうに言う。
苦笑を浮かべ、瑞佳は佳乃に軽く手を振って店を出た。
「いってらっしゃ〜い」
相変わらずクッキーをかじりながら佳乃が瑞佳に手を振りかえす。
店内には佳乃のクッキーをかじる音とマスターがめくる新聞の音だけが響いていた。
 
<城西大学近くの住宅街 11:32AM>
バシッと壁に若い男が叩きつけられる。
その衝撃は物凄く、若い男の背中で壁にひびが入ってしまう。勿論、壁に叩きつけられた若い男も無事では済まない。
「ぐふっ!!」
口から血を吹き出し、そのままずるずると壁に沿って崩れ落ちる。
最初の一撃、それで既に絶命していたようだ。
絶命した若い男を大柄の男が見下ろしている。
「弱い・・・弱すぎる・・・」
大柄の男が呟く。
「ゴモロデン・サヲオグ・ナネヅ・ギャシュバ・リマリモガ」
少し悲しげな呟き。
だが、それは強者の傲慢なもの。圧倒的な力を持つものだけが持つ傲慢なまでの欲望。
「きゃあああっ!!」
突如聞こえてきた悲鳴に大柄な男が振り返った。
そこには通りがかりらしき主婦の姿。彼女の視線は壁際で血を吐いて倒れている若い男に釘付けであった。おそらく彼女の目から見てのその男が死んでいると言う事はわかるであろう。
「ひ、ひ、人殺し〜〜〜っ!!!」
主婦が叫び声を上げて逃げだそうとするのを見て、大柄な男はさっと走り出し、主婦の前に飛び出した。
「シュギバ・ロサレジャ」
そう言ってにやりと笑う大柄な男。その姿が怯える主婦の目の前で変わっていく。真の姿へと。ゾヂダ・ボバルへと。
「ひ、ひいいいいっ!!」
引きつった悲鳴を上げる主婦。
その主婦へとゾヂダ・ボバルの毛むくじゃらの太い腕が伸ばされる。
 
<関東医大病院 11:35AM>
祐一はベッドの上で昏睡状態に陥っていた。
麻酔が効いているというのもあったし、それ以上に今身体が休息を必要としている。彼の体内にある謎の異物、それが今彼の身体を元に戻すべくフル稼働しているのだ。
左腕には点滴の針が刺さっている。
寝間着の内側、彼の胸の辺りには包帯が巻かれており、彼の身体がどれほどのダメージを受けていたかを示していた。それにその包帯の下には彼の脈拍などをはかる為のものがいくつも取り付けられている。
その彼がカッと目を見開いた。
未確認生命体が出現した時に、彼の体に起こる反応・・・頭にまるで何かが走ったかのような感覚、それが彼を目覚めさせたのだ。
「行かないと・・・」
そう呟き、祐一は身を起こした。
胸につけられているものをコードごと取り去り、更に左腕の点滴の針も引き抜くと彼はベッドから降りた。
歩き出そうとするが、足下がふらつき、彼は膝をついてしまう。
「くっ・・・」
何とか足に力を入れ、再び祐一は立ち上がる。
「行かなきゃ・・俺が行かなきゃ・・・」
そう呟きながら祐一は一歩一歩前に進んでいく。胸に巻かれている包帯にはうっすらと血が滲み始めているが、そんな事は構っていられない。
寝間着を脱ぎ、ハンガーにかけられていた上着に袖を通すと、祐一は病室のドアを開けて表へと歩き出した。
 
<警視庁未確認生命体対策本部 同刻>
未だ会議は続いていた。
そこに制服警官が飛び込んでくる。
「た、大変です!み、未確認生命体第26号が!!」
その警官の言葉に会議室内がざわめいた。
「出やがったか!!」
そう言って立ち上がったのは国崎。
ほぼ同時に隣に座っている住井も立ち上がっている。
「場所は?」
「城西大学近辺の住宅街だそうです!既に所轄が展開し、市民の避難を開始しております!!」
「住宅街でこの時間か・・・急がなやばいんとちゃうか?」
晴子がそう言って立ち上がった。
彼女の言葉に鍵山が深く頷く。
「諸君!大至急出動だ!・・・それと七瀬君、君たちにも・・・」
鍵山の言葉が終わるよりも早く留美達は立ち上がっていた。
「PSKチーム、出動します!」
力強くそう言い、留美は鍵山に向かって敬礼する。
鍵山も立ち上がってその敬礼に対して敬礼を返す。
「行くわよ、北川君、斉藤君!!」
「はいっ!」
二人の声が綺麗にそろった。
留美はそのまま潤と斉藤を引き連れて会議室から足早に去っていく。
彼女たちに負けじと次々と未確認生命体対策本部の刑事達も出ていった。
 
<城西大学近くの住宅街 12:11PM>
ゾヂダ・ボバルは警官隊に包囲されていた。
だが、その表情に焦りなど一切無い。それどころか何処か余裕すら漂っている。この状況を楽しんでいるかのようだ。
ニヤニヤ笑いながら警官隊を見回すゾヂダ・ボバル。
警官隊はだいたい5メートルくらいの間隔を空けて包囲しているのだが、その誰もがゾヂダ・ボバルの迫力に負けており、ガタガタ震えている者すらいる。
「ヌゴニバ・シャモニサネ・シェグデヅ・ヲジャドルマ?」
ゾヂダ・ボバルが壮絶な笑みを浮かべ、一歩前に出た。
「う、撃てっ!!」
警官隊を指揮する年輩の警官がそう命令を下す。ほぼ間をおかずに一斉に警官達が持っていた拳銃の引き金を引いた。
ゾヂダ・ボバルの周囲から雨のように銃弾が降り注ぐ。だが、その中で、ゾヂダ・ボバルは悠然と立っているではないか。まるで少しのダメージもないように。
警官達が装填されていた全ての銃弾を撃ち尽くすが、ゾヂダ・ボバルは頭を左右に振り、馬鹿にしたように警官達を見やった。それから、まるでボディビルダーの様にポーズをとってみせる。すると、胸の辺りからぽろぽろと何かが地面に落ちていく。それは先程警官達が放った銃弾。
全ての銃弾はゾヂダ・ボバルの鋼鉄の筋肉の前に無力化されてしまったのだ。
「ノジェジャゲガ?」
そう言って警官達の方に手招きしてみせる。
だが、警官達は誰一人として動けなかった。拳銃すら通用しない相手に格闘などで立ち向かえるほどの度胸のある者はいなかった。
「ゴマリマダ・ゴッシィガダ・リグオ」
ゾヂダ・ボバルはそう言うと、警官に向かって歩き出した。
恐怖のあまり、誰一人として動けない。
毛むくじゃらの太い腕が警官の一人に向かって伸ばされる。
その時、サイレンの音が鳴り響き、数台のパトカーがその場に辿り着いた。そこから続々と降りてきたのは未確認生命体対策本部の刑事達。それぞれが手にライフルを持っている。
「第26号を包囲!気ぃつけやっ!!」
晴子が怒鳴った。
ゾヂダ・ボバルを包囲する未確認生命体対策本部の刑事達。先程まで包囲していた警官隊はその後ろに回っている。
その頃、そのすぐ近くにはPSKチームの移動指揮車・Kトレーラーが停車していた。
「昨日の今日だけど、大丈夫?」
留美がそう言ってPSK−03の各装備を装着している潤に問いかける。
「PSK−03のダメージ自体は軽微なものだったから大丈夫だけど、北川君、君の方は?」
「大丈夫ですよ。それに・・・こんな時だからこそ、やらなきゃいけないと思うんです。警察ともより密接に協力していきたいですからね」
潤はそう言って笑みを浮かべた。
「多少身体に無理言ってでも何とかやれます」
「北川さんは何時も無理ばっかりしているじゃないですか」
斉藤がそう言うが、潤はただ苦笑しただけである。
「無理無茶無謀、それが北川君だものね」
留美がそう言って笑みを浮かべた。
マスクを装着し、PSK−03の全ての装備を完全装着した潤は調子を確かめるかのように左右の拳を握ってみせた。
「昨日の騒ぎでブレイバーバルカンは故障中、高周波ブレードマークUとパイルバンカーぐらいしか用意出来てないけどいける?」
留美の言葉に頷く潤。
「接近戦でも何でもやってみせますよ!」
景気よく潤がそう言い、PSK−3がKトレーラーから飛び出していく。左肩にはパイルバンカー、背中側に高周波ブレードマークU・ジャスティスブレードをくくりつけ、ゾヂダ・ボバルのいる方へと走っていく。
 
<城西大学付近(瑞佳のアパート付近) 12:30PM>
荷物を自分の部屋におき、一旦シャワーを浴びて着替えた瑞佳がまたアパートを出て喫茶ホワイトに向かおうとした時だった。
「あれ・・・?」
近くの路上に見慣れた一台のバイクが横倒しになっている。
バイクの側まで行ってみると、人の呻き声が聞こえてきたので瑞佳は声のした方を振り返った。バイクから少し離れた民家の塀に一人のよく見慣れた青年が踞っている。
「祐さんっ!!」
青年の顔を見て、瑞佳が慌てたような声を上げた。青年の側に駆け寄り、その顔を心配そうに覗き込む。
「どうしたの? 何処か痛むの?」
そう言って青年・相沢祐一の肩に手を乗せる。
「だ、大丈夫・・・」
祐一はそう言って顔を上げた。そして目の前にいる瑞佳に気がつくと、弱々しい笑みを浮かべる。
「瑞佳さん、帰っていたんだ?」
「私の事はいいから!大丈夫? 立てる?」
瑞佳は祐一の肩の下に自分の肩を潜り込ませ、何とか彼を支えて立ち上がろうとした。だが、女性の力では持ち上がらない。
それに気付いた祐一は塀に手をつき、自分の力で何とか立ち上がった。
「すぐ近くに私の家があるからそこに行くよ?」
「・・・それよりここを早く離れた方が・・・」
「こんな祐さん見捨てていけないよ!」
瑞佳の思った以上に迫力のある声に祐一は何も言えなくなる。本当に彼女は自分の事を心配しているのだ。おそらくは自分の事以上に。長森瑞佳とはそう言う女性なのだ。
祐一を支えながら瑞佳がよろよろと歩き出す。
その様子を遙か上空から見ている巨大な影があった。未確認生命体第2号ガダヌ・シィカパである。
スコープ状の目が地上を歩く二人の姿を捕らえている。にやりと口元を歪める。
「ツギハ・・・アレダ・・・」
そう呟くと一気に降下を始める。
「ダメだよ、そんな身体で動き回っちゃ。いくら祐さんがカノンだからって言っても怪我したら同じなんだから」
瑞佳はよろよろと歩きながら祐一に注意する。
「今度から注意する・・・危ないっ!!」
はっと祐一は空から自分達に向かってくる影に気付き、思わず瑞佳を突き飛ばしていた。自身も道路を転がり、その場から離れる。
先程まで二人が立っていたところに降り立つガダヌ・シィカパ。
その姿を見て、祐一が声を上げた。
「未確認第2号!?」
何とか片膝をついて起きあがろうとするが、上手く力が入らずよろめき、また民家の塀に寄りかかってしまう。
ガダヌ・シィカパはそんな祐一を見て、にやりと笑った。
「ギナサン・ゴドヌ」
機械化された左手で祐一を指し、一歩前に出る。左手を振り上げると、その金属の指先が太陽光を反射して輝いた。
「ニメ」
「駄目ぇっ!!」
ガダヌ・シィカパの左手が振り下ろされる直前、瑞佳が祐一の前に飛び出してきた。

「瑞佳さんっ!!」

祐一の目の前で。

瑞佳の身体が崩れ落ち。

その向こう側にいるガダヌ・シィカパの左の先からは血がしたたり。

倒れた瑞佳の背に大きな傷。

そこからあふれ出す真っ赤な血。

それを見た祐一が叫び声を上げる。

「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

フラッシュバックする記憶。

血のように真っ赤な夕陽。

真っ赤に染まっていく雪。

次々甦る記憶。

広がった長い髪。

倒れている少女。

踊り場に広がっていく血だまり。

「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

再び祐一が悲鳴を上げた時、その身体が変わった。

彼の絶望にも似た悲鳴を引き金に。

その身体が戦闘態勢へと移行する。

ブートライズカノンに変身した祐一の拳が物凄い勢いでガダヌ・シィカパに直撃、思い切り吹っ飛ばす。
思い切り吹っ飛ばされ、反対側の民家の塀に叩きつけられるガダヌ・シィカパ。
そこに襲いかかるブートライズカノン。
「ウアアアアアッ!!」
塀に叩きつけたまま、ガダヌ・シィカパを何度も殴りつけるブートライズカノン。
金属の覆われた頭部が変形するくらい何度も殴られ、口から血を吐くガダヌ・シィカパ。何とか逃げだそうと左右の踵をうち鳴らす。すると、足の裏にある小型ブースターに火がつき、ガダヌ・シィカパの身体が物凄い速さで上昇する。
急にガダヌ・シィカパの身体が上昇したのでブートライズカノンの拳は空を切り、そのまま塀に直撃、コンクリートの塀を粉砕してしまう。その状態のまま、ブートライズカノンは上を見上げるが、もう既にガダヌ・シィカパは逃げ去ってしまったようで姿を見つける事は出来なかった。
ブートライズカノンは拳を塀から引き抜くと、倒れている瑞佳の側に駆け寄った。
背中からの出血は止まっていない。だが、あまりにも綺麗すぎて背中の傷はそれほど広がってはいないようだ。早く病院に連れて行けば命は助かるだろう。苦しげではあるが呼吸もまだ止まっていない。
そう思ってそっと瑞佳の身体を抱き起こそうとした時だった。
「瑞佳ぁぁぁぁぁぁっ!!!」
そんな叫び声が聞こえてきた。
振り返るとこっちに向かって突っ込んでくる深緑色の戦士の姿。怒りに身体を震わし、両手の鉤爪を前へと突き出し、ブートライズカノンに向かって飛びかかってくる。
その戦士の名はアイン。
「ウオオオオオッ!!」
アインが雄叫びを上げてブートライズカノンに襲いかかる!!
 
Episode.36「暗躍」Closed.
To be continued next Episode. by MaskedRiderKanon
 
次回予告
傷付いた瑞佳を見、ブートライズカノンに襲いかかるアイン。
アインの猛攻の前に苦戦を強いられるブートライズカノン。
浩平「あいつは・・・俺の手で殺してやる!」
老婆「そろそろ始末するべきじゃの」
PSK−03の猛攻をあっさりとはねのける未確認生命体第26号。
更に空からは第2号の魔の手が襲いかかる!
祐一「俺の所為で・・・また・・・」
冬美「どだい一人で何もかもやろうって言うのが無理だって言うのよ」
運命のいたずらに振り回される戦士達。
そしてPSK−03の新兵器が空を駆ける!
留美「PSK−03,モードF始動!!」
次回、仮面ライダーカノン「誤解」
目覚めろ!新たな力!!

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