<世田谷区多摩川玉川公園 13:07PM>
地面に片膝をついている相沢祐一と、まだ地面に倒れたままの天沢郁未。
その二人の前にいるオフロードバイクに乗ったサングラスの青年、山田正輝。
今先程、祐一と郁未は正輝操るバイクに轢き殺されかけたのだ。油断ならない視線で正輝をじっと見ている二人。
「お前が相沢祐一だな?」
正輝が急にそう言ったので祐一は頷いた。
「・・お前は・・・?」
祐一が問い返すと、正輝は口の端をあげ、にやりと笑った。そして両手を腰の前で交差させる。と、そこにベルトが浮かび上がった。
ベルトの存在を見た祐一は驚きのあまり、言葉を失ってしまう。
「べ、ベルト・・・まさか・・あいつも・・・?」
郁未も驚きを隠せないようだ。
二人の驚きをよそに正輝はゆっくりと右手を挙げ、続いて残る左手と上に挙げた右手を胸の前に素早く交差、一気に左右に振り払う。
「変身っ!!」
ベルトの中央が光を放ち、正輝の姿をフォールスカノンへと変える。
「あ・・あれは・・・!?」
「まやかしの力のカノン・・・一体・・何?」
驚きのあまり二人は動けなくなっていた。それを見ながら、フォールスカノンは一歩一歩前に出る。
「悪いが・・・お前には死んで貰う」
フォールスカノンがそう言って祐一に向かって手を伸ばそうとした時、祐一はさっと立ち上がり、その手を自分の右手で振り払った。
「冗談じゃない!ここで黙って殺されるわけには行かないんだ!!」
そう言うと、祐一はフォールスカノンに向かって拳を振り上げた。
「お前が俺に勝てるか!?」
すっと身を反らし、祐一のパンチをかわすフォールスカノン。伸びきった祐一の腕を掴み、軽々と投げ飛ばしてしまう。
宙を舞い、地面に背中から落下する祐一。そこに振り下ろされるフォールスカノンの足。慌てて地面を転がり、足をかわした祐一は、その勢いを利用して立ち上がると両手を腰の前で交差させた。そして素早く胸の前まで腕を上げ、左手を腰まで引き、右手で十字を描く。
「変身っ!!」
そう言って右手を顔の横まで引き、一気に払う。
祐一の身体に浮かび上がっていたベルトの中央部が光り、彼の身体を戦士・カノンへと変える。変身を遂げたカノンは素早く身構え、フォールスカノンと対峙した。
一方のフォールスカノンは祐一がカノンに変身したのを見て驚いていたが、すぐに立ち直り、カノンと同じように身構えている。
「面白い・・・少しは楽しむ事が出来そうだ・・・」
依然余裕たっぷりに言うフォールスカノン。
「くっ・・・」
カノンはやや相手に気圧されながらも、じっとフォールスカノンを睨み付けている。
 
<倉田重工第7研究所 13:05PM>
PSK−03”ベルセルガ”がブレイバーバルカンを構え、物陰から飛び出した。
「ウオオオッ!!」
装着員・北川潤の雄叫びと共にブレイバーバルカンから放たれる無数の強化弾。その直撃を食らい、奇怪な声を上げながら次々と倒れ、爆発しているのは未確認生命体によく似た姿の怪人達。
PSK−03の隣には自衛隊の強化装甲服、DS−01が、両手に専用アサルトライフルを持ち、PSK−03と同じように弾丸をばらまいている。
「なんて数だ!!本当にこいつらは・・・」
『北川君、今どの辺?』
マイクに内蔵された無線から聞こえてくるのはPSKチームのリーダー、七瀬留美。
「玄関ロビーです!ここで何とか食い止めていますが・・・」
『もうそこは手遅れよ!所内の隔壁もどんどん突破されているわ!裏からも来ているから気をつけて!!』
「わかりました!ところで所内に残っている人はいないんですか?」
『ほとんどシェルターに逃げ込んだはずよ!それと私達の事は気にしないで!後・・・深山主任が第9研究室に来てって!』
「第9研究室・・・?わかりました、何とか行ってみます!」
会話を交わす間も怪人達がわらわらとこちらに迫ってきている。
「奴らを一掃する!」
DS−01がそう言い、足下に置いてあったバズーカを持ち上げた。もう片方の手にはロケットランチャーを持ち、その両方を肩に担ぎ上げると、DS−01は、怪人達の方を向いた。
「吹っ飛べ!!」
そう言って引き金を引くと、バズーカから強力な弾頭が、ロケットランチャーからはロケット弾が飛び出していく。
PSK−03も負けじとブレイバーバルカンのグレネードを発射した。
一瞬の後、巻き起こる大爆発。
もうもうと立ちこめる爆煙の中、立っている姿はない。立ち上がろうとしている姿もない。センサーでそれを確認したPSK−03がその場に背を向けた。
「何処に行く?」
DS−01がそう尋ねてきた。
「奴らはここだけじゃない。他の所からも入ってきている。それを倒しに行くんだよ」
素っ気ない口調で答える潤。
DS−01は頷くと、肩に担いでいたロケットランチャーとバズーカを降ろした。
「私は別の場所に行く。数が多いなら手分けした方がいいだろう」
「任せた」
潤はそう言って振り返りもせずに廊下の奥に向かって走っていく。
DS−01も別の方向へと走っていった。
誰もいなくなった玄関ロビー・・・そこに入ってくる怪しい影。
 
仮面ライダーカノン
Episode.34「光刃」
 
<都内某所 13:07PM>
「ウオオオオオッ」
アインの雄叫びと共に両手の鉤爪がロゲダ・ゴバルを襲う。
だが、鎌状になっている腕で鉤爪を受け止め、更に反撃とばかりにアインのボディに蹴りを叩き込む。
よろけながら後退するアイン。
「ゲッゲッゲ、ノモ・シェヂジョガ・アイン?」
よろけているアインを見てロゲダ・ゴバルが笑い声をあげた。
「こ、このっ!!」
アインは何とか踏みとどまると、またロゲダ・ゴバルに向かって飛びかかっていく。
だが、ロゲダ・ゴバルは素早く腕を振り上げ、アインを受け止めるとその勢いを利用して投げ飛ばしてしまった。
地面に叩きつけられるアイン。
その背にロゲタ・ゴバルが飛びかかってきた。
「くっ!!」
素早く起きあがり、飛びかかってきたロゲタ・ゴバルに肘打ちを叩き込む。ロゲダ・ゴバルがのけぞったところでアインは頭を掴み、力任せに投げ飛ばす。
ロゲダ・ゴバルが今度は地面に叩きつけられる。
それを見たアインが立ち上がり、大きくジャンプした。
右足を大きく振り上げ、倒れているロゲダ・ゴバルの上に振り下ろそうとする。
「ウオオオオオッ!!」
雄叫びと共にアインの足が振り下ろされる。だが、一瞬早くロゲダ・ゴバルはアインの落下点から逃げ出していた。
地面を物凄い速さで這い、自分がでてきた穴へと戻っていくロゲダ・ゴバル。
「ゴモガヂバ・ガマダウ・ガレヌ!!ロトレシェロゲ!アイン!」
そう言ってあっと言う間に穴の中に入っていく。
着地したアインが穴の所まで駆けつけるが、そこにはもうロゲダ・ゴバルの姿はなかった。
「逃がしたか・・・?」
少しの間、何も見えない穴の中を覗いていたアインだが、やがて、ある事を思い出し、慌てたようにブラックファントムに駆け寄った。
「間に合えば良いんだが・・・」
そう呟き、アクセルを回してブラックファントムを発進させる。
目指す先は倉田重工第7研究所。
改造変異体とPSK−03,DS−01が激戦を繰り広げているところである。
 
<世田谷区多摩川玉川公園 13:12PM>
カノンの鋭いパンチがフォールスカノンを襲うが、すっと身を反らせてかわされてしまう。
続けて逆の手によるパンチ。それもかわすフォールスカノン。今度は素早く足を振り上げ回し蹴り。軽くバックステップして又もかわしてしまうフォールスカノン。
「どうした、その程度なのか?」
余裕綽々と言った感じでフォールスカノンが言う。
「何を!!」
そう言いながら後ろ回し蹴りを放つカノン。
今度は前に出てそれを受け止めるフォールスカノン。がしっとカノンの足を抱え込み、そこから力任せに振り回してから投げ飛ばす。
地面に叩きつけられるカノンだが、地面に手をつき、素早く起きあがろうとする。と、その背中にフォールスカノンの足が落とされ、カノンは地面を嘗める事になる。
「くうっ!!」
「フンッ・・・変身出来るから少しは楽しめるかと思ったが・・・そうでもないようだな」
カノンの背を踏む足に力を込めながらフォールスカノンがつまらなさそうに言う。
「大婆様も一体何を恐れているんだろうな、こんな奴の事を・・・」
「・・・!!」
カノンが顔を上げた。地面に手をつき、無理矢理身体を起こす。
「何!?」
驚き、フォールスカノンは思わず足をカノンの背から離してしまう。だが、すぐに又カノンの背に足を落とすが、今度はカノンはそれをこらえていた。
「ウオオオオッ!!」
雄叫びをあげながら一気に立ち上がるカノン。
よろけているフォールスカノンに、振り向き様にパンチを食らわせる。続けてボディに数発のパンチを叩き込み、最後に一際力を込めた一撃をお見舞いする。
身体を九の字に曲げ、フォールスカノンの身体が宙に浮く。
「おおりゃぁっ!!」
そこに鋭い回し蹴り。
たまらず吹っ飛ばされるフォールスカノン。
それを見ながらカノンは肩を大きく上下させていた。
地面に倒れたフォールスカノンが驚いたようにカノンの方を見る。
「な、何だ、急に・・・お前・・・?」
「今の今までテメェの正体がわからなかったからな、ちょっとは躊躇していたんだ。だけど、お前があのクソババァの仲間と知ったからにはもう手加減はしない。ここで叩きのめしてやる!!」
カノンはそう言うとよろよろと起きあがるフォールスカノンに詰め寄った。
「くっ!!」
フォールスカノンがパンチを放つが、それを受け流し、がら空きになったボディにアッパー気味のパンチを叩き込む。
更によろけるフォールスカノンに無言で詰め寄り、膝蹴り。のけぞったところに軽くジャンプしてのキック。またも吹っ飛ぶフォールスカノン。
倒れたフォールスカノンを見、カノンは又駆け寄ろうとした。
と。
「ふふふ・・・ははははは!!」
いきなり笑い出すフォールスカノン。
思わずカノンは足を止めていた。
「な、何がおかしい?」
「ははははは・・・こいつは良い。お前なら俺の全開の力を出せそうだ!」
そう言ってすっと起きあがるフォールスカノン。
まるで今の一連のカノンの攻撃のダメージがなかったかのような動きだ。
「後悔するなら地獄でするがいい・・・」
フォールスカノンが動いた。それはまるで風のように。身体を左右に揺らしながらカノンとの距離をあっと言う間に詰めていく。
「何ぃっ!?」
カノンが驚く間もなく、フォールスカノンの拳がカノンを捕らえていた。一発、二発、三発。連続で叩き込まれるフォールスカノンの拳。
二人の戦いをすぐ側でずっと見ていた郁未は突然のフォールスカノンの猛攻に目を丸くしていた。
「な、何なのよ、こいつは・・・?」
フォールスカノンの攻撃は流れるように無駄が無く、そして何時終わるとも知れない連続の技。更に彼女にはその攻撃の一つ一つが見切れなかった。
「こ、こいつ・・・・強い・・・!!」
彼女がそう言うのと同時にフォールスカノンがカノンから離れた。
「これで・・・終わりだ」
呟くように言うフォールスカノン。
その言葉と共にカノンの身体がぐらりと揺れ、そのまま倒れてしまう。
フォールスカノンは倒れたカノンを見下ろした。
「俺に全力を出させたんだ。お前はそれなりに凄い奴だよ」
そう言って止めてあったバイクに向かって歩き出す。
「待てよ・・・」
後ろから聞こえてきた弱々しい声。
立ち止まり振り返ると、カノンが、ぼろぼろになったカノンが片膝をついて起きあがっている。
「何なんだよ、お前は!?一体何で・・・」
「まだ死んでいなかったか・・・ならこれでとどめだ!!」
フォールスカノンはそう言うと、足を前後に開いて腰を落とした。右手の平を上に向けやや前に出し、左手は腰の前で構える。
「ハアアアアアアア・・・」
気合いを溜めるかのように息を吐くフォールスカノン。その背中に戦士の紋章を思わせるオーラが浮かび上がる。
「カノン!!逃げてっ!!」
思わず郁未は叫んでいた。
だがカノンはその場から、片膝をついたまま、動かない。
「あなたは死んじゃ駄目なの!!だから逃げてっ!!」
再び郁未が叫ぶその前でフォールスカノンがジャンプした。
「ハッ!!」
短く気合いの息を吐き、左足を突き出す。
カノンはジャンプしたフォールスカノンを見上げていた。その胸に突き出された左足が直撃する!!
吹っ飛ばされながらカノンは祐一の姿に戻り、そして地面に叩きつけられ、遂に動かなくなった。
「今度こそ、終わったな」
フォールスカノンがそう言い、バイクの方へと歩いていく。
そのすぐ横を郁未が駆け抜けていった。倒れている祐一の側にしゃがみ込むと、そっと彼を抱き起こす。
「何で、何で逃げなかったのよ、この馬鹿!!」
そう言った彼女の目から涙がこぼれ落ちた。
フォールスカノンは郁未の嘆きの声を聞きながら、正輝の姿に戻ると、バイクに跨り、そのまま走り去っていった。
「あんたが・・・あんたが死んだら・・・」
泣きながら郁未が言う。
と、そこで郁未はある事に気付いた。
抱き起こした祐一の身体から鼓動が聞こえていると言う事に。
「・・・生きて・・・いるの・・・?」
驚いたように祐一の顔を見る郁未。
だが、祐一は何も言わず、そして動く事すらなかった。
 
<倉田重工第7研究所 13:33PM>
隔壁の閉じられた廊下を異形の姿が走っていた。
教団の尖兵にしてもっとも神聖な姿・・・改造変異体である。倉田重工第7研究所壊滅の為投入された改造変異体はレベル2を中心に小隊長クラスのレベル3,指揮官クラスのレベル4と総勢50体程であった。
玄関ロビーでPSK−03とDS−01によって全滅させられたのがだいたい15体程、残りは研究所のあちこちから中に侵入を果たしていた。
「ギャー!!!」
悲鳴を上げて一体の改造変異体が倒れ、爆発する。
その爆発の向こう側に立っているのはブレイバーバルカン装備のPSK−03”ベルセルガ”。
PSK−03は今、研究所内のかなり深いブロックに来ていた。ここに来るまでに改造変異体を10体は倒している。そろそろブレイバーバルカンの残り弾数も気になるところだ。だが、雪見が来るように指定した第9研究室はまだ奥の方にある。
「そこまでもてばいいけどな・・・」
ブレイバーバルカンを構え直し、歩き出すPSK−03。
装備的にはブレイバーショット、電磁ナイフ、そしてパイルバンカーとまだ残っているが一番強力なのはブレイバーバルカンであり、これが使えなくなるとかなり苦しい事になるだろう。
慎重に、一歩一歩進んでいくPSK−03。
その頃、研究所の正門に一台のバイクがやってきていた。
乗っているのはダークブルーの強化装甲服を着た男。キリトである。
彼は何故かぼろぼろの正門を見て、口笛を鳴らす。
「派手にやっているようですねぇ・・・さて、俺も行きますか」
キリトはそう言うと、愛車であるアメリカンバイクから降りた。PSK−02のマスクを装着し、マグナマシンガンを構える。今回はそれだけではない。バイクから巨大な機関銃を取りだし背中に背負う。腰にはスタンガン付き警棒。更にアタッシュケースのようなものを取りだし、左手に持つ。
「出来れば使いたくないものですね、これだけは」
左手のアタッシュケースを見ながら呟くキリト。
悠然と玄関ロビーに入っていくPSK−02。
玄関ロビーには未だ爆発の跡から漂う煙が立ちこめ、上手く正面が見れないでいた。マスクのモニターをセンサー重視に切り替え、ゆっくりと倒れている改造変異体達の間を進んでいくPSK−02。
と、PSK−02が通り過ぎた後、むくりと起きあがる影があった。
全身傷だらけで、片腕も変な方向に折れ曲がっている。足も妙に感じに折れており、立つのもやっとのようだ。
「ガ・・・ガアア・・・」
呻き声のようなものをあげながらPSK−02の背に手を伸ばす改造変異体。
さっと振り返り、手に持っていたマグナマシンガンの弾丸を叩き込むPSK−02。
「悪いんですがね、死に損ないの相手をしている暇はないんですよ」
つまらなさそうに言うキリト。
断末魔の悲鳴さえなく、崩れ落ちる改造変異体。
それを見届けたキリトは又研究所の奧に向かっていく。
「今度は楽しませて貰えると信じていますよ、PSK−03さん」
 
<警視庁未確認生命体対策本部 13:47PM>
未確認生命体第25号出現の報告がもたらされたのは既に被害者が何名も出てからだった。
通報が遅れたのは被害者が皆一人だったと言う事、更に被害者の死体が常に第25号が出現したと思われる穴の中に隠されていたと言う事に寄るものらしい。偶然第25号が被害者の死体を穴の中に引きずり込むところを見た者がおり、それでようやく事件が発覚したのだ。
「第25号は地中から出現しているそうで、犯行後は必ず地中に被害者を引きずり込むという特殊な習性を持っているようです」
報告書を読み上げているのは住井護。未確認生命体対策本部の中でも若手の方だ。
「例によってその出現位置には何の法則性もなく、何時、何処に現れるか全く予測不可能です」
地図上にいくつもつけられた×マークは確かにバラバラだ。
「現在地中探査機を使用して捜索していますがそれでも位置の特定は難しいと思われます」
「おいおい、せめてもう少し希望のもてそうな報告はないのか?」
そう言ったのは同じ未確認生命体対策本部の国崎往人。何時も不機嫌そうな目つきの悪い、黒ずくめの刑事である。
「これじゃ手の打ちようが無いじゃないか」
「それでもやらなあかんやろ?」
国崎をたしなめるように言ったのはやはり同じ未確認生命体対策本部の女傑、神尾晴子。
「とりあえずヘリからの地中探査は続ける。その上で地上から出来る範囲で地中探査機を使ってみる。残りは警戒するしかないやろ」
晴子がそう言う風に指示を出す。そして本部長である鍵山を振り返ると、鍵山は頷いた。
「警戒をより一層強化するしか方法はない。それと今日は一つ朗報がある」
鍵山はそう言うと、居並ぶ警官達の一番端に座っている男を見た。
「彼はN県系の鑑識課の南君だ。彼が持ってきてくれた報告書に未確認生命体に対する我々が取るべき方法が書かれている。南君、頼む」
「は、はいっ!!」
南と呼ばれた男が慌てて立ち上がる。
かなり緊張しているようだ。その動きがかなりぎこちない。
「こ、こ、これはN県で採取された第2号のものと思われる血液の成分分析の結果です。報告書にもある通り、第2号の血液成分は人間のものと酷似しています」
そう言って南は一同を見渡した。
誰もが興味深そうに新たに配られた報告書を見ている。
「残念ながら得られたのが血液だけだったので、これ以上の分析は出来ませんでした。しかしながら人間に酷似した血液成分と言う事で」
そこで言葉を切る南。
「人間の血液中に注入すると危険な劇物、これが通用しないか実験いたしました」
「・・・で、結果は?」
先を促したのは国崎であった。
彼は元々N県警の人間であり、南とも勿論面識がある。それに第2号の血液を入手したのは国崎であり、それを南に渡して分析を依頼したのも彼なのだ。
「はい・・・こう言っては何ですが・・・成功です」
少しおどおどしながら南が答える。
彼がやった事は決して誉められる事ではないだろう。しかし、この非常時には必要な事なのかも知れない。そう思ってか、誰も何も言わなかった。
「鍵山本部長には既にお話ししてあるんですが、このデータを科警研に提供し、対未確認生命体用の特殊弾の開発を依頼したいと思うのですが」
「・・・未確認生命体に効くかもしーへんもんやったらやるしかないやろ」
晴子がそう言った。だが、その表情は決して晴れやかなものではない。
「取り扱い、物凄く慎重にしないといけませんね」
住井も青ざめたような顔をして言う。
南の言う特殊弾、もしも間違って人間に当たれば確実に殺してしまうものなのだ。今の拳銃もそうであるが、そこまでのものを警察が持って良いのか、そこに誰もが不安を持つ。
誰もが言葉を無くし、思い沈黙が会議室内を満たしていく。
「未確認生命体に対して未だ有効な手段を我々が持ってない以上、この特殊弾に頼るほか無い。南君、君は今日から未確認生命体対策本部の一員として科警研に出向、特殊弾の開発を急いで貰いたい」
重苦しい沈黙を破って鍵山がそう言った。
「は、はいっ!!」
南が鍵山に敬礼し、慌てたように机の上の資料を片付けはじめる。それを見た国崎が声をかける。
「何もそんなに慌てる事はないだろう?後で送っていってやるぜ?」
「ご厚意はありがたいんですが一刻を争うと思うんです。申し訳ありませんが今すぐ行ってきます!」
そう言うと、皆に頭を下げ、南は会議室から出ていった。
「神尾君、科警研に連絡を」
「はい」
鍵山の指示に晴子が立ち上がる。
「他の者はそれぞれ第25号の動きを追うように。相手は何時、何処に現れるかわからない。それでも一般市民を守るのが我々の仕事だ!」
「はいっ!!」
鍵山の激励に皆が大きい声で答えた。
 
<世田谷区多摩川玉川公園 14:09PM>
郁未は気を失っている祐一を心配そうに見ながら、彼の額に濡らしたハンカチをおいた。
あの”まやかしの力のカノン”に似た謎の存在による一撃を食らいながらも何とか生きている。奇跡としか思えなかった。あのキックはカノンが未確認生命体を倒す時に使うキックとほとんど同じものだと思えたからだ。
「・・・晴香は・・・会えたのかな・・・」
何気なく空を見上げて呟く郁未。
もうこれからでは間に合わないだろう。倉田重工第7研究所を襲っている改造変異体は相当な数だ。もう全て終わっているかも知れない。せめてもう一人の戦士・アインが駆けつけていれば何とかなるのかも知れないが、あそこにあるPSK−03だけではあまりにもきつすぎだろう。
「こんなんじゃ・・どうにも・・・」
目の前で倒されてしまった祐一を見た所為か、彼女は今、物凄く弱気になっていた。絶対に勝てる、そう信じていた存在が無惨にもやられてしまったその瞬間を見たのだ。これでは落ち込むのも無理はないだろう。
「う・・ううう・・・」
不意に祐一が呻き声を上げた。
はっとして祐一の顔を覗き込む郁未。
「祐さん!?気がついたの!?」
そう声をかけると、祐一がうっすらと目を開いた。
「こ、ここは・・・」
「まだ何処にも動いてないわ。勿論天国でも地獄でもないから安心して」
郁未はそう言って微笑みを浮かべた。目には涙が浮かんでいたが。
「良かった・・本当に死んじゃったかと思った・・・」
「・・・そうか・・・何とか間に合ったんだな」
祐一はそう言うと、ゆっくりと身を起こした。だが、胸に走る激痛に顔をしかめてしまう。
それを見た郁未が慌てて彼の身体を支える。
「まだ無茶したら駄目よ!何をどうやったのか知らないけど、あのキックをまともに受けたのよ!相当ダメージがあるって考えるべきだわ!」
彼の事を心配して郁未がそう言うが、祐一は彼女を見て、その肩に手を置きそっと彼女の身体を押して自分から離した。
「悪いが・・・ここでゆっくりと寝ている暇はない・・・」
そう言ってよろよろと立ち上がる。
ふらふらする足取りで、彼は停めてあるロードツイスターに向かって歩き出した。
それを見た郁未も立ち上がり、彼を追いかけてくる。
「無理よ!何をしようとしているのか知らないけど、そんな身体じゃ危ないわ!」
「俺なら・・大・・丈夫だ・・・」
苦しげに言い、ロードツイスターに取り付く祐一。その顔は青ざめているのを通り過ぎて紫色になっている。
「そんな顔をして・・何処が大丈夫なのよ!」
郁未は遂に怒鳴ってしまった。
何故そこまで祐一が無理をするのか、全くわからなかったからか、それとも本当に彼の事が心配だったからか。
「あんたはまだ死んじゃいけない人なのよ!未確認もいる!教団の怪物もいる!そいつらを倒せるのはあんただけなのに!!」
涙ながらに郁未が言うのを聞いて、祐一は彼女を振り返る。
「・・・済まない・・・どうしてもやらなきゃならない事が・・・あるんだ」
苦しそうに祐一は言う。
ロードツイスターに身体を預け、涙を流している郁未を見ながら。
「俺の・・・大切な人を・・・助け出さなきゃ・・・もう・・・失うのはイヤなんだ」
そう言った祐一の脳裏にフラッシュバックする光景。
血のように赤い夕焼け。
真っ赤に染まる雪。
動けなくなりながらも笑みを浮かべる少女。
「守りたい者を守れる強さ・・・誰かの為に何かが出来る力・・・それを俺は持っているから・・・だから・・・」
祐一はそう言って、不意に意識が遠のくのを感じた。身体が揺れる。止めようと思っても止められない。
そんな祐一の身体を郁未が正面から抱き留めた。
「・・・わかった、わかったから・・・」
言いながら祐一の背をゆっくりと撫でる。
「あなた一人行かせるわけにはいかないから、私が手伝うわ。さっき助けて貰ったお礼も兼ねてね」
郁未はそう言うと、涙を拭って笑顔を見せた。
 
<倉田重工第7研究所 14:15PM>
カツーンカツーンと静かな廊下に金属的な足音が響いている。
専用のアサルトライフルを両腕に持ったDS−01だ。
改造変異体の集団がこの研究所を襲ってから既に2時間以上経っている。アサルトライフルの弾丸も底をつきかけているし、何より、DS−01の起動用バッテリーに残りも心許ない。
だが、敵もかなり倒してきているはずだ。ここにはいないPSK−03もおそらく相当数の敵を排除している事だろう。残る敵はそう多くはない。だが、問題はこれから出会うであろう残りの敵が、どのような強さかわからないと言う事だった。
「今までのが手応えが無さ過ぎる・・・つまり本命はまだいると言う事・・・」
DS−01がそう言った時、不意に背後から何者かが飛びかかってきた。
それはDS−01の首を絞めるかのように腕を回し、物凄い力で締め上げていく。
「クッ・・・しまった・・・!!」
両手に持っていたアサルトライフルを取り落とし、もがくDS−01。
「このっ!!離さないかっ!!」
そう言って自分を締め付けている相手に肘を喰らわせる。
どうやらそれで相手は少し怯んだようだ。締め付けている手の力が緩まる。それをチャンスと思ったのかDS−01は身体を沈めて相手の腕から脱出、素早く足下に落としていたアサルトライフルを手に取る。振り返りながら引き金を引き、更に床面を蹴って後ろにいた敵から離れる。
DS−01の使用するアサルトライフルはPSK−03が使用するブレイバーバルカンと同様に対未確認生命体用の強化弾丸が使用されている。一発一発は通じなくても何発も叩き込めばその威力は馬鹿にならないものがあるのだ。
そのアサルトライフルからの強化弾丸を叩き込まれた改造変異体がよろよろと後退し、爆発した。だが、その代償に今DS−01が使っていたアサルトライフルは遂に弾切れを起こしてしまう。
「くっ!!」
忌々しげにアサルトライフルを投げ捨てるDS−01。
もう一方のアサルトライフルを手に取り立ち上がると、マスク内のモニターに警報が現れた。前方に何かがいる。
DS−01がアサルトライフルの銃口をそちらに向けるが、前方は先程の爆発による煙が立ちこもっており、何も見えない状態だった。
「なかなかやってくれるな・・・まさかここまで頑強に抵抗されるとは思っていなかった」
煙に向こう側から声が聞こえてくる。
それにDS−01は少なからず動揺していた。
「貴、貴様・・・未確認生命体じゃないのか!?」
「あのような古い連中とは違う。我々は選ばれた存在、新たなる支配者。貴様達は我らが支配する世に不必要な存在。ここで抹消してくれる」
そう言って煙の向こうから何かが飛びかかってきた。
DS−01がアサルトライフルの引き金を引くが、それにも構わず突っ込んでくる。
頭には二本の角、荒々しく、そして筋肉の固まりのような身体を持つ猛牛怪人だ。それが巨体を唸らせて突っ込んでくる。
DS−01はその体当たりをまともに食らい、思い切り吹っ飛ばされてしまった。更にその衝撃でアサルトライフルを手から取り落としてしまっている。その上に、装甲のあちこちにスパークが走り、火花を飛ばしている箇所すらある。たった一撃、それだけでDS−01は相当のダメージを受けてしまったようだ。
「くう・・・」
床に手を突き、何とか起きあがろうとするDS−01だが、身体に受けたダメージは相当深く、上手く力が入らない。
「ふははははっ!死ねっ!!」
猛牛怪人が笑いながら又突っ込んでくる。
よろよろと何とか立ち上がったばかりのDS−01にそれをかわす事は出来なかった。
またも吹っ飛ばされ、今度は壁にぶつかり、床に叩きつけられる。もし、この様子をモニターしているものがいれば即刻戦闘を中止させただろう。それほどまでのダメージをDS−01は受けているのだが、PSKチームと違いDS−01にはサポートメンバーなどいず、更にはその戦闘状況、DS−01のダメージ状況を確認するものすらいなかったのだ。
「どうした、手応えがないぞ!我々の仲間を散々倒してきて疲れたか?」
猛牛怪人が足を床に擦らせながら言う。どうやら又体当たりを敢行するつもりらしい。もし、この一撃を食らえばDS−01は勿論、中の装着員まで粉砕されるであろう。
「こんな事で・・・!!」
本当なら立つ事も出来ない程のダメージを受けているはずである。それなのにDS−01は立ち上がった。手持ちの武器は何一つ無い。あるのは自分自身の身体だけ。
「こんな事で・・・・七瀬留美に負けられないのよ!!」
DS−01が叫びながら走り出す。
全身から火花を飛ばしながら、限界以上の動きをしてみせるDS−01。もし、この場に留美がいたら、何も言えなくなったであろう。
だが、それでも。
「甘いっ!!」
猛牛怪人の太い腕が振り回され、DS−01は軽々と吹っ飛ばされた。
床を転げるDS−01。そのマスクが先程の衝撃により、外れ落ちる。
「くう・・・」
マスクの下から現れたのは真希であった。
額から血を流し、悔しそうに涙を流しながら猛牛怪人を見上げる。
「お前を相手にしていてもつまらん。そろそろ抹消してやろう」
猛牛怪人がそう言いながら真希の方へとやって来た。太い腕を振り上げ、一気に振り下ろそうとする。
その時、物凄い銃撃音が鳴り響き、猛牛怪人の身体を廊下の奥へと吹っ飛ばした。
「やれやれ・・・あんたらと手を切ったのは正解だったね」
真希は声のした方を見た。
そこには重機関銃を腰だめに構えたダークブルーの強化装甲服。
「PSK−02・・・だと?」
驚きの声を上げる真希。
PSK−02はN県で何者かに強奪され、それ以来行方不明となっているはずなのだ。それが今、自分の目の前にいて、自分の窮地を救ってくれた。驚かない方がどうかしている。
「どうやら生きているようだね、お嬢さん。悪いが俺も手が離せないんでね。自力でここから脱出してくれるかい?」
倒れている自分を見下ろして言うPSK−02。
「脱出だと・・・私はまだ・・・」
そう言って起きあがろうとする真希だが、身体は言う事を聞かなかった。もう指一本動かせない。それにDS−01は完全に機能を停止させてしまっている。そうなってしまってはただの重い鎧と変わりがない。
「まぁ、無茶はしなさんな。生きていりゃきっと挽回出来る日も来るさ」
「生きている事が出来るならな」
廊下の奥からそんな声が聞こえてきた。
ゆっくりと猛牛怪人が姿を見せる。先程、重機関銃の直撃を受けたのに、それほどダメージはないようだ。
「今度は楽しめるか?お前はお俺を楽しませてくれるのか?」
「悪いね、俺はお前さんを楽しませる気もなければ長々とお付き合いする気もない。大事な用があるんでね」
PSK−02がそう言って重機関銃を構える。本来ならば地面に固定して撃つものなのだろうが、それをPSK−02は手に持ったまま出来るのだ。
「ならば、ここで始末してくれる!!」
猛牛怪人が突進してくる。
「どうしてそうなるかねぇ?」
PSK−02は冷静に突っ込んでくる猛牛怪人を見つめていた。この重機関銃は普通に軍隊で使用されているものを彼が改造したものである。だが、ブレイバーバルカンやDS用アサルトライフルと違い、強化弾丸などは使用されていない。使っているのは撤甲弾なのだ。
「お嬢さん、目、つぶっておかないとやられるよ」
PSK−02が側に倒れている真希濡向かってそう言い、真希は目を閉じたのを見ると、引き金を引いた。
物凄いマズルフラッシュと共に撤甲弾が銃口から吐き出されていく。その全てが突っ込んでくる猛牛怪人の頭に吸い込まれていき、猛牛怪人を吹っ飛ばした。
「お、おのれ!!」
よろけながらも起きあがろうとする猛牛怪人。
それを見たPSK−02は重機関銃を降ろし、腰の辺りにくくりつけていた丸いものを手に取った。
「あまりこれを使いたくはないんだがね、仕方ないか」
そう言って丸いものからピンを抜き、猛牛怪人の方へと放り投げる。
その丸いものが猛牛怪人の足下に落ち、それを見たPSK−02は真希をかばうように片膝をついた。同時に起こる物凄い衝撃と爆発。
その爆風が収まると、PSK−02はすっと立ち上がり、振り返った。爆発の威力は物凄かったらしく、周囲の壁まで吹っ飛ばしてしまっている。その中心にいた猛牛怪人は木っ端微塵になってしまったのだろう。姿形もない。
「高かっただけの事はあったね」
そう呟いて足下の真希を見ると、彼女はいつの間にか気絶していた。
「まぁ、ここはもう安全でしょうし、おいていっても大丈夫でしょうね、多分」
PSK−02はそのまま廊下の更に奧へと歩いていった。
その頃、PSK−03は第9研究室の手前辺りまでやって来ていた。
ここに来るまでに予想以上の敵と接触、何とか全て倒してきているがブレイバーバルカンの残弾ももう限界だった。
「この角を曲がれば第9研究室だっけか?」
第7研究所はかなり広い。装着員である潤が立ち入った事のない場所もかなりある。第9研究室もその一つであった。時間がかかったのはそれもある。
廊下の角を曲がると、あるドアの前に改造変異体が3体ほどいて、ドアをこじ開けようとしていた。どうやら中にまだ誰かいるようだ。
「まさか・・・深山さん!?」
『北川君、ブレイバーバルカンの残り弾丸数はほとんど無いわ。パイルバンカーと電磁ナイフ、ブレイバーショット、全て使うつもりでないと突破出来ないわよ!』
「・・・七瀬さん、AI起動してください。あれでなら奴ら3体くらい倒せると思います」
『わかったわ。いくわよ!』
「はいっ!」
このやりとりの後、潤はマスク内のモニターが真っ赤に染まるのを見る。
モニターの中央に”SYSTEM B、READY?”と表示され、潤はそれに頷く事で答えた。次の瞬間、PSK−03の各パーツ内にブンッといった軽い衝撃が走る。AIが起動された事による新たなシステムが始動しはじめたのだ。
「ウオオオオオッ」
雄叫びをあげながら飛び出していくPSK−03。残っている弾丸を全て使い果たすようにブレイバーバルカンを乱射する。だが、それも全てAIが修正し、3体の改造変異体に叩き込まれていく。
「ギャアアアッ!!」
断末魔の悲鳴を上げて一体が爆発。
”ENEMY1、DISAPPEARANCE”、そうモニターに表示が浮かび、すぐに消える。同じモニターの端にはブレイバーバルカンの弾丸が全て無くなった事を示す警告ランプがついていた。
「後二匹っ!!」
そう言ってブレイバーバルカンを投げ捨て、左肩に装備されているシールドのロックを解除する。すると、シールドの中央が左右に分かれ、そこに短い槍が出現した。更に下の方にガイドが伸び、その先端にレバーが現れる。そのレバーを掴み、未だこっちの奇襲に対応出来ていない敵の一体に向かって詰め寄り、
「いけぇっ!!!」
PSK−03の、潤の叫びと共に射出されるパイルバンカー。その鋭い先端が相手の頭部を貫通、そのまま壁へと縫いつける。
「よ、よくも!!」
最後の一体がPSK−03に向かってくるが、PSK−03は素早くブレイバーショットを引き抜くとその一体に向けて弾丸を叩き込む。
相手が怯んだところに更に追い打ちをかけるべく、右手に持ったブレイバーショットを左手に持ち替え、右手で左の二の腕に装備されている電磁ナイフを持ち、ナイフを逆手に持ってその肩口に突き刺す。
「ギャアアアッ!!」
悲鳴を上げる改造変異体。
その腹を蹴り飛ばし、容赦なくブレイバーショットを叩き込むPSK−03。
装填されている全ての弾丸を叩き込むと、そこでようやく改造変異体は爆発した。壁に縫いつけられていたものもほぼ同時に爆発する。
赤いモニターに”ALL ENEMYS、DISAPPEARANCE”と表示されたのを見てから潤は呟くように言った。
「七瀬さん、終わりました」
『了解、AIを終了させるわ』
留美の返事からすぐにマスクの中のモニターが通常の色に戻る。
それを見て、潤は大きく息を吐いた。
「深山さん、俺です。北川です。お待たせしました」
第9研究室と書かれたプレートのあるドアに向かって声をかけると中からごそごそ物音が聞こえてきた。しばらく待ってからようやくドアが開く。
「随分と待ったわよ、北川君」
深山雪見はそう言うと苦笑を浮かべて見せた。だが、何処かほっとしているようでもある。今の今まで改造変異体がこのドアの前にいたのだ、何時破られるか、気が気ではなかったのであろう。
「すいません、敵が多くて」
「道に迷ったんじゃないの?ここ、結構広いから」
頭を下げるPSK−03に雪見はそう言って中に入るよう促した。
中に入ると机やらロッカーやらがドアのすぐ側に置いてあった。どうやらこれでバリケードを作っていたらしい。研究室の一番奥には何やら大きな発電機みたいなものと、それに繋がるコード、その先にはライフルのようなものがあった。その隣にはPSK−03の身長程もある巨大な縦長のトランク。
雪見はその内の発電機のようなものの側まで行くと、何かをチェックしはじめた。
「・・・だめね、まだ充電が充分じゃないわ」
そう呟いてからPSK−03を振り返る。
「北川君、悪いけどもう少し時間を稼いで貰えないかな?まだ充電完了してないから」
「時間を稼ぐのは良いんですが、手持ちの武器とバッテリーがもう無いんですけど?」
潤がそう言うと、雪見は発電機のようなものの後ろ、おそらく充電用の設備であろう、そこからPSK−03用のバッテリーパックを取り出してきた。
「はい、これ。それと武器はこれを使って」
バッテリーパックを潤に手渡しながら雪見はそう言い、次に縦長のトランクケースを見やった。
「PSK−03なら充分に使いこなせるはずよ」
「は、はぁ・・・」
困ったような、そんな返事を返す潤。
と、そこに留美の声が飛び込んできた。
『北川君、次が来たわよ!バッテリーパックの交換急いで!』
「わかりました!・・深山さん、手伝って貰えますか?」
そう言って潤は手にしていたバッテリーパックを雪見に返し、今装着されているバッテリーパックを外して、新たなバッテリーパックを装着する。それから縦長のトランクケースに手をかけると、ロックを外し、開いてみた。
「ぐは・・・こ、これは・・」
思わず呆然とした戸惑いの声を上げてしまう潤。
トランクケースの中に入っていたのは何と、PSK−03装着員である潤の身長とほぼ同じ長さで、更に幅広の剣だった。柄の部分には何やらモーターのようなものもある事からこれが高周波ブレードだと言う事だけが何となくわかる。だが、前にPSK−01で使用していた高周波ブレードと違い、とにかく大きすぎた。いわゆるグレートソードというものよりも巨大、まさに化け物みたいな剣である。
「ジャスティスブレード、高周波ブレードMkU。本当はお遊びで作ってみたんだけど、所長も七瀬さんもいいって言ってたし、実戦で使用出来るようにしてあるわ」
まだ呆然としている潤の後ろで自信たっぷりに言う雪見。
潤はジャスティスブレードの柄をそっと掴んでみた。
トランクケースの中から出してみると、見た目以上に重い。これは斬ると言うよりも叩きつけるという使用方法が正しいのだろう。
「・・・深山さん、何分稼げばいいですか?」
そう言って雪見を見る潤、いや、PSK−03。
「そうね・・・10分・・・いえ、5分で良いわ。それで充分使えるようになると思うから」
「わかりました。じゃ、5分後に」
PSK−03がジャスティスブレードを片手に部屋の外に出ていく。
丁度廊下の角を曲がって数体の改造変異体が出てきたところだった。
「七瀬さん、お願いします!」
『北川君、AIの稼働時間にも限界があるわ。ジャスト5分、それが限界よ!良いわね!!』
「わかりました!」
潤がそう言うのと同時にモニターがAI起動を示す赤い色に染まる。
「うおおおっ!!」
PSK−03がジャスティスブレードを構えて改造変異体の群れの中に飛び込んでいく。
 
<倉田重工第7研究所正門前 14:39PM>
折原浩平がブラックファントムでそこに着いたのは14時半を少し回った頃であった。
「随分と遅くなったが・・・まだ終わっていないようだな」
ブラックファントムから降り、中から時折聞こえてくる爆発音を聞きながら浩平は玄関口へと歩いていく。
と、その時、突如空から一体の怪人が急降下してきた。その鋭い爪が浩平を狙う。しかし、浩平はそれに気付いていないようで未だゆっくりと歩いている。
「死ぬがいい、折原浩平・・・!!」
声に出さず、呟く怪人。その姿はまるでフクロウのようなもの、梟怪人である。
梟怪人の鋭い爪が浩平の目前にまで迫った時、浩平が不意に上を見上げた。梟怪人に気付き、素早く身を躍らせ、地面を転がる。
浩平襲撃に失敗した梟怪人が再び上昇していくのを見て、浩平は素早く立ち上がり、自分の手を重ねて前へと突き出し、それをそのまま左の腰に引き寄せた。次いで右手だけをもう一度伸ばし、更にすぐ引き寄せる。そして首刀を立て、ゆっくりと前に突き出していく。
「変身っ!!」
その声と共にベルトが浩平の腰に浮かび上がり、その中央が紫の光を放つ。その光の中、浩平の身体が戦士・アインのものへと変わっていく。その姿はやはり荒々しいままのアインであった。
「ウグワアァァァァァッ!!!」
天に向かって吠え、アインがジャンプする。
同時に急降下してくる梟怪人。両者が空中で交錯、もつれ合ったまま地面へと落下する。
地面に激突する寸前、両者は互いを蹴り飛ばし、受け身のとれないまま地面を転がった。
先に起きあがったのは梟怪人。
まだ起きあがっていないアインに駆け寄り、蹴り飛ばす。
更に地面を転がるアインだが、その勢いを利用して何とか片膝をついて起きあがる。
「こ、こいつが・・レベル5か・・・?」
そう呟いて梟怪人を見る。見た目に今までの改造変異体との違いは見られない。だが、その戦闘能力は今までの改造変異体とは桁違いであった。
「折原浩平・・・我らが教団の敵、抹殺リストの上位に位置する男。ここで処分する・・・」
梟怪人がそう言いながらアインの方に歩いてくる。
アインはこっちに迫ってくる梟怪人を見ながらゆっくりと立ち上がった。
その時だ、アインのベルトの左右の小さな宝玉が光を放ったのは。その光はすぐに治まったがアインの全身に新たな力が漲っていた。
さっと両手を左右に広げるアイン。その体勢から左手を腰に引き寄せ、右手を横へ水平に移動させる。引き寄せた左手を突き出し、右手と交差させる。
「激変身っ!!」
そう叫んだ瞬間、アインのベルトの中央がさらなる光を放った。その光の中、アインの身体にさらなる変化が起こる。今までの荒々しい生体装甲が割れ、中からより洗練された深緑色の生体装甲が現れる。腕や足の生体装甲も割れ、内側からよりシャープに、だがアインらしい戦闘的なイメージを残した新たな生体装甲となって現れた。頭部の仮面の角も荒々しさがとれ、より洗練されたものへと変貌していた。
すっと身構えるアイン。
梟怪人は変貌を遂げたアインを見て、少したじろいだが、それでも足を止めなかった。
「死ね・・・」
手を振り上げ、爪をむき出しにしてアインに振り下ろそうとするが、アインは両手を振り上げ、それをガードすると、梟怪人の腹に膝を叩き込んだ。
よろける梟怪人。
その左右の首筋に両の首刀を叩き込むアイン。更によろけて後退する梟怪人。それを追いかけ、アインはジャンプ、両足でのドロップキックを喰らわせる。
吹っ飛ばされる梟怪人。素早く起きあがると、たまらず空へ逃げ出そうとした。
「逃がすかっ!!」
ジャンプして飛び上がろうとしている梟怪人に飛びかかっていく。梟怪人の足を掴むと、アインは身体を揺らして地面へと引き戻していく。
アインの足の先が地面に着く。すると、アインは一気に梟怪人を地面にまで引きずり降ろし、そのまま豪快に振り回し、投げ飛ばした。
地面に叩きつけられ、転がる梟怪人。
「ウオオオオオッ!!!」
アインが吠える。
マウスガードが開き、その内側から牙が覗く。そこから轟く野獣の咆吼。全身が変わってもそれは変わらない。
地面を蹴り、一気に駆け出すアイン。その踵に生えている鉤爪が徐々に光を宿していく。
よろよろと起きあがる梟怪人を見ながらアインがジャンプ、空中で一回転して、両足を梟怪人の頭上から振り下ろす!
「ウグワァァァァ!!」
アインの叫びと共に両踵の鉤爪が梟怪人の肩に突き刺さる!
身体を曲げて地面に手をつき、梟怪人の身体から鉤爪を引き抜き、足をつくと同時に相手の腹にパンチを食らわせる。
その一撃を食らい吹っ飛ばされる梟怪人。
よろよろと後退する梟怪人の肩に古代文字が浮かび上がる。悶え、苦しむ梟怪人。その身体に光のひびが走り、それが腰の辺りに達すると梟怪人が大爆発を起こした。
その爆発を前にしながらアインはじっと一点を睨み付けていた。
「・・・違う・・・あいつはレベル5じゃない・・・レベル4・・・」
そう呟くと、アインはさっと玄関の方を振り返った。
「・・・いるのか・・・」
中からは何も聞こえてこない。
 
<大田区田園調布 14:42PM>
郁未は苦しそうな祐一に肩を貸しながら歩いていた。
「大丈夫、祐さん?」
時折郁未が声をかけるが祐一は苦しそうに頷くのみである。
顔色は悪く、額には物凄い脂汗。身体のダメージは想像以上のものらしい。
「もうすぐ駅だから、そこでタクシーでも拾うわ。そうすれば少しは楽になるから、もうちょっと頑張って」
郁未がそう言ってずり落ちそうになる祐一の身体を担ぎ直す。
と、その時だった。突如二人の前方の地面が盛り上がり、そこから未確認生命体第25号が姿を見せたのは。
「ゲッゲッゲ、シュジモ・レソモジャ」
そう言ってのっそりと身体を地面に掘った穴から引きずり出してくる未確認生命体第25号、ロゲダ・ゴバル。
それを見た郁未の足が止まり、思わず彼女はたじろいでしまう。
「な、何でこんな時に・・・」
青くなる郁未。
今の祐一の状態では満足に戦う事は出来ないだろう。それに自分も側にいる。この状況下で、自分をかばいながら戦うのは不可能に違いない。
「・・・逃げろ・・・」
そんな声が耳に飛び込んできた。
はっとなった郁未が祐一の方を見る。
祐一は郁未の肩から離れ、よろよろとだが、自分の足で立ち、ロゲダ・ゴバルを見据えた。
すっと両手を腰の前で交差させ、ベルトを浮かび上がらせる。その状態から両手を胸の前に真っ直ぐあげ、左手を腰まで引き、残る右手で十字を描き、さっとその右手を顔の側まで引き寄せる。
「変・・・身っ!!」
弱々しい声でいいながら右手を振り払うと、腰のベルトの中央が鈍い光を放った。
鈍い光の中、祐一が変身した姿、それは・・・ブートライズカノン。
古代文字の碑文の言うまやかしの力のカノン。心に迷いや恐れがある時、それを受けて具現化するまやかしの力。この姿の時、カノンはその本来の力を100%発揮する事は勿論、敵味方の区別すら付かない化け物と化してしまう。ただ、野獣の本能がそうさせるのだろうか、その戦闘能力だけは高かった。
「な、何で・・・あの姿に・・・?」
目の前に現れたブートライズカノンに言葉を無くす郁未。
しかも、奇妙な事にブートライズカノンの背に、まるでシミのように黒いアザが浮かび上がっていた。
その黒いアザこそ、今のカノンをブートライズカノンへと変貌させている原因なのであるが誰もその事を知らない。
「あ、あれは・・・?」
郁未はブートライズカノンの背に浮かぶ黒いアザを見つけ、又言葉を失う。そのアザが徐々に戦士の紋章へと変貌を遂げていたからだ。
「フウウウッ!!」
その郁未の目の前で両手を広げ、ロゲダ・ゴバルに飛びかかっていくブートライズカノン。
 
<倉田重工第7研究所 14:45PM>
PSK−03がジャスティスブレードを横に薙ぎ、改造変異体を吹っ飛ばす。
この一体で新たにこの廊下に現れた改造変異体は最後であった。流石に5分以上時間がかかっている為、途中でAIの恩恵もなくなり、苦戦を強いられたが手にしているジャスティスブレードの破壊力のおかげでどうにか全ての敵を倒しきる事が出来たようだ。
「ハァハァハァ・・・七瀬さん、敵は?」
『今研究所内をチェック中よ。もう少し待って』
「わ、わかりました・・・」
肩を大きく上下させ、荒い息をしながらPSK−03はすぐ近くの第9研究室に入っていく。
「北川君、よく頑張ってくれたわ。ホント、ありがとう」
研究室の隅にいた雪見がそう言って笑みを浮かべて入ってきた潤を迎える。
「結局、使う事無かったですね、それ」
潤はそう言って床におかれている発電機のようなものを指さした。
「それはまだ試作品だからね。使わない事に越した事はないわ」
「一体何だったんですか、それ?」
「これ?ブレイバーノヴァ。高出力の・・・」
雪見がそこまで言った時、急にPSK−03の無線に留美の悲鳴にも似た声が飛び込んできた。
『北川君、まだ!!』
同時に第9研究室の壁を突き破って中に3体の改造変異体が躍り込んできた。その内の一体、それには潤も雪見も見覚えがあった。
ブレイバーバルカンをものともしなかった強敵、シオマネキ怪人である。
「死んで貰うぞ」
シオマネキ怪人がそう言って巨大なハサミを振り上げる。それを見たPSK−03がジャスティスブレードを下から上へと振り抜き、シオマネキ怪人のハサミを跳ね飛ばした。よろけるシオマネキ怪人。
「ほお・・・今度は決着をつける事が出来そうだな」
何処か嬉しそうに言うシオマネキ怪人。その左右には蟷螂怪人とオニヤンマ怪人がいる。
それに対してPSK−03は一人の上、後ろには雪見がいる。不利な事、この上なかった。
「まずは貴様から血祭りだ!!」
そう言って蟷螂怪人が両腕の鎌を振り上げた。
「くっ!!」
自分の後ろに雪見がいる以上、その鎌をかわす事は出来ない。蟷螂怪人はそこまで計算した上で攻撃しようとしているのだ。
「・・・やれやれ・・・そう言う事が好きですねぇ、あんた達は」
不意にドアの方から聞こえてきた声。
3体の改造変異体が振り返ると、そこにはダークブルーの強化装甲服が立っている。
「・・・PSK−02・・・?」
雪見が呆然と呟いた。
「別にあんたを助けに来た訳じゃない。でもこいつらにそこのお姉さんを殺させるってのは夢見が悪い。だから手伝わせて貰いますよ」
PSK−02はそう言うと、手に持っていた重機関銃を中に向けた。
と、そこにいつの間にか蟷螂怪人が迫っており、両腕の鎌で重機関銃を切断してしまう。
「なかなかやるっ!!」
PSK−02がそう呟き、切断された重機関銃を捨て、素早くマグナマシンガンを引き抜く。そして近接射撃をお見舞いする。
吹っ飛ぶ蟷螂怪人。
PSK−03は突然のPSK−02の乱入に驚いていたが、すぐに我に返り、ジャスティスブレードを構えてシオマネキ怪人に向かっていった。だが、シオマネキ怪人はジャスティスブレードの刀身をハサミで押さえ込むと、空いている方の手でPSK−03を殴りつけた。
その威力に吹っ飛ばされ、ジャスティスブレードから手を離してしまうPSK−03。倒れるのだけはこらえたが、その後ろにオニヤンマ怪人が回り込み、PSK−03を羽交い締めにしてしまう。そこに迫るシオマネキ怪人。PSK−03は身体を起こし、シオマネキ怪人を蹴り飛ばすと、肘で羽交い締めにしているオニヤンマ怪人を殴って、身体を離した。安心する間もなくシオマネキ怪人のハサミがPSK−03を殴り飛ばす。
今度こそ吹っ飛ばされるPSK−03。
そこに迫り寄るオニヤンマ怪人とシオマネキ怪人。
と、そこに又新たな影が現れる。
それは風のように素早くオニヤンマ怪人を蹴り飛ばし、そしてシオマネキ怪人を投げ飛ばした。
「お、お前は・・・あの時の?」
すっとPSK−03の前に立つ姿を見て、PSK−03は驚きの声を上げる。
何時か都内の何処かの公園で見たカノンに似た戦士。それが今、目の前にいる。
「ウオオオオオッ!!」
雄叫びをあげながら戦士・アインが走り出し、オニヤンマ怪人を掴んで3体が入ってきた穴に飛び込んでいく。
PSK−03はシオマネキ怪人がまだ倒れているのを見ると雪見の方を振り返った。
「深山さん、ブレイバーノヴァ、使わせてください!!」
言うが早いか、PSK−03が発電機のようなものとケーブルで繋がっているライフルのようなものを手に取った。
「北川君、気をつけて!!一回の最大照射時間は30秒!それ以上は銃身が持たないわ!!」
雪見が未だ座り込んだままそう言った。3体の改造変異体が研究室内に躍り込んできた時に腰を抜かし、未だそのままだったようだ。
「それと今使用しているライフルじゃ使用出来る限界は3回!それ以上はやっぱり銃身が持たないから気をつけて!」
「わかりましたっ!!」
ライフルを構え、さっと振り返るが、もうそこにシオマネキ怪人はいなかった。
「死ねぇっ!!」
その声と同時にシオマネキ怪人の右手のハサミがPSK−03に襲いかかった。
はっと気付いた時はもう遅い。ハサミはPSK−03の首を掴み、そのまま壁へと縫いつけてしまう。
「くっ!?」
「ふっふっふ・・・このまま首を切り落としてやろう・・・」
シオマネキ怪人がそう言うのを聞きながらPSK−03はライフルの銃口をシオマネキ怪人の腹に押しつけた。
「無駄な抵抗を・・・」
「そいつはどうかな・・・?」
マスクの中でにやりと笑う潤。そして引き金を引く。
次の瞬間、物凄い光が周囲を照らし、そしてシオマネキ怪人の腹に穴が空いた。
「ぐおっ!?」
何が起きたかわからないまま、シオマネキ怪人がよろけ、後退する。その間に足を入れ、シオマネキ怪人を蹴り飛ばすPSK−03。
「まず一回!!」
そう言ってPSK−03は倒れているシオマネキ怪人を見た。
「ぐおおおおお・・お、おのれ・・・・一体何を・・・?」
穴の空いた腹を手で押さえながらシオマネキ怪人が身を起こす。
自分でも驚きながら、シオマネキ怪人に銃口を向けるPSK−03。
「こ、こいつが・・・ブレイバーノヴァ・・・?」
たった一発、それもほんの一瞬引き金を引いただけでこの威力。まさに想像を絶する威力であった。過去最強の兵器。
「このっ!!」
シオマネキ怪人が素早く起きあがり、ハサミを振り上げる。
「やらせるかっ!!」
再び引き金を引くPSK−03。
 
Episode.34「光刃」Closed.
To be continued next Episode. by MaskedRiderKanon
 
次回予告
炸裂するブレイバーノヴァ。
PSK−03,PSK−02,アインが繰り広げる激闘。
潤「こいつで・・・とどめだっ!!」
浩平「俺に関わるな」
傷付いたまま戦う祐一に次々と迫る危機。
刻一刻と迫る秋子の処刑の時。
名雪「もう・・お終いだね」
祐一「絶対に、絶対にやらせるかよぉっ!!」
祐一の絶叫が轟く中、奇跡の光明が見えるか?
新たに現れる謎の女性は敵か味方か?
冬美「さぁ、お手並み拝見と行かせてもらおうじゃない」
次回、仮面ライダーカノン「救出」
それは悪夢の序章・・・!!

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