<水瀬家門前 07:35AM>
水瀬家の玄関から道路に飛び出した相沢祐一は、じっと水瀬家の方を見ている男がいることに気がついた。かなり野性的な・・・まるで血に飢えた獣のような印象を思わせる男。
「・・・・・」
何故だかわからないが祐一の全身に緊張が走る。この男は危険だ、と。何かが訴えている。
「ふっ・・・」
その男は祐一の姿に気付くとニヤリと口の端を歪め、きびすを返し、歩き去っていった。
それを見送った後、祐一は自分がかなり強い力で両方の拳を握りしめていたこと、そして背中には冷や汗をかいていたことに気がついた。
「まさか・・・奴も・・・」
 
<校門前 08:13AM>
わいわいと登校してくる生徒の声が騒がしい。
二日前にあんな事があったというのにもう忘れてしまったのだろうか?そう言うわけではあるまい。誰もがあの怪人がもう一人の怪人に倒されたと思っているからだ。そして・・・昨日病院を襲った怪人がいることを知る者はそう多くはない。
「お姉ちゃん、ちょっと待ってよ」
そう言って美坂栞が息を切らせながら先を行く姉の美坂香里に追いつく。
はぁはぁと荒い息をしている妹を見て、香里は足を止めた。
「あんたねぇ・・・まだ完全に直っていないんだから無理しちゃダメじゃない」
あきれたような顔をして妹を見る香里。
「だって久しぶりにお姉ちゃんと一緒に学校行けるから・・・」
息を整えながら栞が言う。
「学校ね・・・」
呟くようにそう言って香里は空を見上げる。
(相沢君と名雪・・・今日は来るのかしら?)
いつの間にか病院から祐一がいなくなっていたことを彼女が知ったのは彼女が栞と一緒に家に帰り着いてからだった。だが、彼女は知らない。昨日、謎の黒い怪物と戦っていた怪人が祐一であったことなど。
そんな彼女の姿を少し離れたところから見ている人影があった。
「ま、私の相手じゃないわね」
その人影はそう呟くと、爪に綺麗に塗られたマニキュアを太陽の光に透かして見せた。それは・・・血を思わせる赤い色。
不吉な笑みを人影が浮かべる・・・。
 
仮面ライダーカノン
Episode.3「焦燥」
 
<水瀬家 08:42AM>
祐一は自分の部屋に戻ると、すぐにベッドに倒れ込んだ。
とにかく身体が休息を求めている。
今はまだ戦えるような状態ではないことを頭より、身体が訴えていた。
目を閉じると自然と眠りに落ちていく。
・・・・・・・・・・深い、闇に落ちていくような感覚の中、彼は自分を見つめる視線があることに気がついていた。
「・・・・何だよ?」
不機嫌そうに呟く祐一。
『体調、よくなさそうだね、祐一君』
すっと闇の中にダッフルコートを着た少女の姿が浮かび上がる。
祐一はその少女の方を振り返ろうともせずにため息をついた。
「ああ、変身して戦うようになってどんどん体調が悪くなる一方だ。しかも全く敵わない奴が相手ときた。どうすればいいんだろうな?」
『うぐぅ』
困ったような顔をする少女。イヤ、本当に困っているのだろう。
そんなことを言われても彼女に答えようなど無いことを彼もよくわかっている。
「・・・済まない。気が立っていたんだ」
祐一はそう言うと、初めてダッフルコートの少女の方に向き直った。
「俺が自分で選んだんだ。お前が悪い訳じゃない」
『祐一君・・・』
上目遣いで祐一を見上げる少女。
祐一は少女の頭をくしゃくしゃと撫でてやるとにっこりと笑って、右手の親指を立てて見せた。
「大丈夫だよ。俺は負けないからさ」
少女はそれでも不安そうな顔を隠さない。
『祐一君、変身するときはよく考えて。余り何度も変身すると、祐一君が・・・』
「大丈夫だ!」
思わず強い口調で言う祐一。言ってからはっとなって口を押さえる。
「・・・大丈夫だ。絶対に」
まるで自分に言い聞かせるように言う祐一。
そんな祐一を見て、少女は悲しげな笑みを浮かべた。
『自分を追いつめないで。祐一君、君ならきっと大丈夫だと・・・信じているよ』
少女はそう言うと闇の中に、現れたときと同じようにすっと消えていく。
・・・・・はっと目が覚めた。
身体を起こしてみると、寝る前とは違って身体に力が漲っている。
どうやら完全に回復したようだ。
「これなら・・・また戦える・・・」
ベッドに腰掛け、拳を握りしめ、そう呟く。
「でも・・・」
祐一は昨日の玄武との戦いを思い出す。
カノンの技は一切通用せず、玄武のパワーに圧倒されていた。必殺のライダーキックも玄武の堅い装甲のような背中の甲羅に防がれてしまった。
今のままでは玄武に勝ち目はない。
「どうすれば・・・いいんだ?」
その時、ドアがとんとんとノックされた。
「祐一さん、起きてますか?」
「あ・・・はい」
ドアの外から聞こえてきたのは秋子の声だった。
「祐一さんにお会いしたいという人がきているんですが」
遠慮がちな秋子の声。
おそらく祐一の体調のことを思ってのことだろう。
「大丈夫です。すぐに行きます」
そう言って、祐一はベッドから立ち上がった。
ドアを開けると心配そうな秋子の顔があったが祐一は笑顔を見せて階下へと向かう。
玄関で祐一を待っていたのは何と中津川忠夫であった。
「あ、あんた・・・?!」
「よお、随分探したぞ。少年!」
中津川はそう言うと、気さくに祐一の肩を叩いてきた。
「どうしてここが?」
「色々探させて貰ったんだよ。病院で勝手にファイルを覗いたりしてな」
それは犯罪じゃないか、と祐一は思ったが口にはしなかった。
「で、俺に何のようだ?」
素っ気なく祐一が聞く。
この男に訪ねて来られる理由など彼には全く心当たりがないからだ。
「冷たいな、君は。それにこんなところじゃ何だろ?中に入れてくれないか?」
中津川は笑みを浮かべてそう言った。
その笑みに何か油断ならないものを感じた祐一だったが二階から降りてきた秋子の「了承」の一言に仕方なく彼を家に上げるしかなかった。
中津川をリビングにまで案内し、祐一は彼の正面になるような位置に座った。
「で、俺に何のようだ?」
再び同じ事を聞く祐一。素っ気ないのも先程と変わらない。
「一応言っておくが俺にはあんたにこうやって訪ねて来られる理由なんかないからな」
「ほう・・・果たしてそうかな、相沢祐一君」
そう言ってニヤリと笑う中津川。
「まぁ、構わないがね。少し聞いて貰いたい話があって来たんだ。そう邪険にしないでくれ」
中津川は秋子が出してくれたお茶を飲んで一息つくと、また正面から祐一を見据えた。
その顔に先程までのにやにや笑いはなく、かなり真剣なものになっている。
「昨日は病院にライダーが現れて怪人と戦ったそうだな」
「あんただけだよ、あの戦士を仮面ライダーだと呼んでいるのは」
言ったからしまったという顔になり、口を手で押さえる祐一。
それを見て一瞬ニヤリとする中津川。
「やはり君は仮面ライダーと何らかの関わりがあるようだな。僕の予想通りだ。しかし、今はその話をしている暇はない。もっと重要なことがある」
ニヤリとした笑いをすぐに引っ込めて中津川が続ける。
「昨日僕は警察と一緒に例の遺跡・・・あのベルトが発見された遺跡を調査しに行ったんだが、そこで驚くべきものを発見したんだ。あの遺跡にはライダーベルトと一緒に封印されていたものがあったらしい」
「・・まさか・・・あの怪人?」
「そうだ。始めにライダーが戦ったのはよくわからないが、少なくても四体の怪人が封印されていたらしい。中国の四方を守る聖獣の名を取った怪人がな」
「中国の四方を守る聖獣?」
「北を守る玄武、南を守る朱雀、西を守る白虎、東を守る青龍。どれもかなり強い力を持つと言われている。その名を持つ怪人・・・想像以上に強いんだろうな」
中津川はそう言うと、ため息をついた。
「昨日のことはよくは知らないが・・現れたのは・・・?」
「玄武と名乗っていた。自分のことを無敵の鎧とも言っていたな。流石にそう言うだけあってキックも通じなかったみたいだ」
祐一は言葉を慎重に選びながらそう言った。
「ライダーキックが通じない相手か・・・苦戦したようだな。イヤ、勝てなかった、か」明らかに気落ちしたように中津川は言う。
「・・・どうすれば・・・勝てると思う?」
あえて尋ねてみる祐一。
この際誰でもいいから玄武を倒すヒントが欲しかったのだ。
「・・・本当なら特訓、と言うべきなんだが時間がない。この際反則かも知れないがマシンを使っていくしかないだろうな。それでも勝てるという保証はないが」
悲痛な祐一の声にそう答える中津川。
「マシン、か・・」
祐一は呟くと、家のガレージの方を見た。
まだ新品のバイクがそこに眠っている。主人が来るのを待っているかのように。
(やるしか・・ないのか)
顔を伏せ、目を閉じて祐一は思う。
(いちかばちか・・・でも敵がまだ居ると知った以上、ここで負けるわけには行かない。やるしかないんだ)
目を開いた祐一はさっと立ち上がった。
「どうしたんだ、少年?」
驚いたように中津川が顔を上げる。
「用事を思い出した。悪いが話はこれまでだ」
そう言ってリビングを出ようとする祐一。
「少年、聞いておいて欲しいことがある」
その背に中津川が呼びかけてきた。
「僕はこれから全力をもってあの遺跡の調査を始める。少しでもライダーの力になると思うからだ。きっと何かわかると思うから、連絡してもいいか?」
「・・・勝手にしてくれ。俺は・・・」
「それと、どんな奴にも弱点の一つや二つはあるものだ。卑怯かも知れないが、この際そんなことも言ってられないだろう。そのことを忘れないでくれ」
中津川はそう言って自分も立ち上がった。
「お互い、やれることをやろうじゃないか」
祐一の肩を叩いて、中津川はリビングを出ていく。
ただ黙って祐一はその背中を見送っていた。
 
<学校 10:24AM>
ガシャーンと窓ガラスの割れる音が響き、そこから生徒が表へと投げ飛ばされていく。
その教室の中、中央には黒い巨大な人影が立っており、その周りを複数の生徒が机を壁にして取り囲んでいる。正確には取り囲んでいるのではなく、机をバリケードにしているだけなのだが。
黒い巨大な人影は、既に人間の姿をしていない。
それは・・・昨日病院を襲った巨大な直立した亀とワニ、そして蛇の入り交じった怪物・・・玄武であった。
「このような怯えている連中など、何が面白いのだ・・・」
玄武はそう言いながらゆっくりと周りを見回す。
誰もが怯えたような顔で玄武を見ている。中には失神しているものもいる。ちゃっかりしているものはコソコソと教室のドアから廊下に逃げ出そうとしていたが、外に逃げても同じ事だ。既にこの学校は彼らによって完全に包囲されているのだから。
「・・邪魔だ。どけ!」
玄武が歩き出し、自分の進路をふさぐ生徒を机ごと殴り飛ばした。
次々と上がる悲鳴。
それに構わずドアをぶち破り、玄武は廊下に出る。
そこには数人の教師が竹刀や金属バット、箒などで装備して彼を待ち受けていた。
「わしに刃向かうか・・・」
ニヤリと笑う玄武。
教師達は皆がたがた震えていたが、それでも逃げようとはしない。流石だと言うべきだろう。
「その心意気だけは誉めてやろう!」
そう言って玄武は猛然と教師達に襲いかかった。
先頭に立つ教師を掴んで投げ飛ばし、すぐに横にいた教師を殴り飛ばす。
その隙をついて金属バットを持って殴りかかっていった教師がいたが、玄武の硬い皮膚には少しのダメージも与えられなかった。
「その程度では無理だな」
そう言って玄武がその教師から金属バットを取り上げ、両手で掴んであっさりと曲げてしまう。綺麗に折れ曲がった金属バットを後ろに投げ捨て、教師の胸ぐらを掴みあげ、玄武は横へと、投げ飛ばした。
その頃には通報を受けた警察が校門前に集結していた。
今回は制服警官のみならず機動隊まで引き連れている。
「怪物には発砲許可が出ている!生徒および職員を避難誘導させた後は怪物を射殺するように!」
一番偉いらしい警官が拡声器を使って全警官にそう指示を出した。
「突入!!」
警官と機動隊が一斉に校門をくぐり、校庭へと入っていく。
その時、遙か上空から次々と赤い羽根が降ってきて校庭に入った警官達に突き刺さった。
何が起こったのかわからないまま次々と倒れる警官達。
「な、何だ?」
一瞬のことに誰もが呆然として目を見張る。
そこに上空から赤い鳥のような影が降りてきた。
それは校庭に着地すると、背中の羽根をすっと前に出し自分を隠すようにして、またその翼を下ろした。するとそこにいたのは赤いドレスを身にまとった美女。手の爪には血のように赤いマニキュアが塗られている。
「な、何だ、お前は?」
警官の一人が聞く。
すると美女は妖艶な笑みを浮かべて彼らに一礼して見せた。
「ようこそ、私たちの狩り場へ。あなた達も歓迎するわ」
そう言った美女の目がきらりと輝く。
次の瞬間、前に立っていた警官の身体を、その美女の爪が貫いていた。
「さぁ・・・私を楽しませて」
そう言った美女の姿が異形のモノへと変化する。
それはさながらどう猛な鷹やコンドルのような鳥を思わせる肉食の鳥。鋭い嘴、長い爪、それよりも印象的なのは真っ赤な翼だった。背中に生えた翼が毒々しいまでに赤い色をしている。そして体色も赤い。
まさに赤い鳥。
「私は朱雀!赤き空の女王、朱雀よ!!」
うっとりと陶酔しているかのようにそう言い、朱雀が翼をはためかせて舞い上がる。
「う、撃て!」
拡声器を持った警官が叫ぶ。
慌てて拳銃を構える警官達だが、それをあざ笑うかのように朱雀は警官達の間を飛び抜けた。おそらく同時に爪で攻撃をしていたのであろう、警官は次々と倒れていく。
朱雀は警官達の中に舞い降りると、今度はその爪で攻撃を始めた。
対して警官達は味方に当たることを恐れて発砲できない。
「ほほほほほ!あなた達はこの時代の戦士でなくって!?」
朱雀のあざ笑う声が響く。
 
<学校校舎2階 10:36AM>
香里は逃げまどう生徒達とは反対の方向へと必死に走っていた。
「全く、どうしてこう何回も襲われるのかしら?」
「運が悪いよな!」
独り言のつもりだったのに答える声があったので振り返るとそこには北川潤がいる。
「北川君!逃げなかったの?」
驚いた香里がそう言うと、彼は人差し指を左右に振って
「俺が美坂をおいて先に逃げるとでも思ったか?」
「私に付き合っても良いこと無いわよ」
「俺はそれでも構わない。どうせ栞ちゃんとこだろ?付き合うよ」
北川はそう言うと、香里の横に並んだ。
「それに男手があった方が何かと便利なときもあるだろ?」
「・・・そうね。いざとなったら囮になって貰えるし」
香里はそう言ってまた走り出した。
「囮って・・おいおい、そりゃ無いだろ、美坂〜」
情けない声を上げつつ北川も香里の後を追って走ってくる。
二人が人並みをかき分けて何とか下に降りる階段に辿り着いたのは表で警官隊が次々と朱雀の手によって倒されているのとほぼ同時だった。
下から二階に逃げてくる人ももういなくなっている。
「上に逃げたって同じなのに・・・」
香里がそう呟いた。
一階に求めるものが無くなればきっと二階に、二階にも無くなれば三階に。
それだけのことなのだ。
上に逃げることはこの先訪れる恐怖を先延ばしにしていることに過ぎない。
「まだ・・・あの怪物がいるかも知れないわね」
「怖いのか?」
「北川君の方でしょ?足が震えているわよ」
そう言って香里は笑顔を浮かべた。
彼女の言う通り、北川の足が傍目にもわかるほどがたがた震えている。はっきり言って当然だろう。震えない方がおかしい。
「な、何を・・・これは武者震いって奴さ」
わざわざおどけたように言う北川。
彼も知っている。
香里の体が震えていることを。
だがそれを口に出すようなことはしない。
「さぁ・・・行きましょうか」
香里はそう言うと階段を駆け下り始めた。
慌てて続く北川。
 
<水瀬家 10:45AM>
部屋の中で何時も愛用しているコートを羽織る。
手には革製のグローブ。
部屋の中を一度見回し、それからドアを開けて廊下に出る。
階段を降りる前にとなりの部屋のドアの前煮立ち、ドアの方を見つめる。
ドアに掛けられたプレートには「名雪の部屋」と書かれているが、今部屋の主は何時目覚めるかわからないほどぐっすりと眠りの世界に没頭しているようだ。
「行ってくるぜ・・・」
小さい声でそう呟き、彼は階段を降りていった。
玄関で靴箱の上に無造作に置いたキーを手にし、ヘルメットをかぶる。
ドアを開け、外に出るとすぐにガレージに行き、バイクにキーを差し込んだ。
「後で見せてやるって言ったのにな」
エンジンを掛けながらそんなことを思い出す。
つい三日ほど前のこと。
その約束を果たせることが出来るのかどうか今では不安ですらある。
「行くぞ!」
一気にエンジンを吹かし、バイクを猛スピードで走らせる。
向かう場所は・・・学校。
彼の全身が敵の気配を感じている。
相沢祐一は・・・戦うために走り出した。
 
<学校 10:58AM>
栞は教室の隅でがたがた震えていた。
逃げだそうにも逃げ出せない。
教室のドアは机でバリケードが築かれ、窓から外に出ようにも外では別の怪人が警官相手に暴れている。
例の黒い怪人は今この教室の前にいるようだ。
机のバリケードがギシギシと揺れている。誰かがまたドアに叩きつけられたようだ。
(どうして?どうしてこんなことになるの?)
昨日で終わったのではなかったのか?
悪夢はどうして自分ばかり襲ってくるのか?
折角お姉ちゃんと一緒に学校に通えるようになったのに。折角長年の夢が叶ったのに。
これは私への罰?
生きることに絶望していた私への・・・。
目から涙がこぼれる。
(イヤ・・・死にたくない!)
強く身体を抱きしめる栞。
その時、ドーンと言う音と共にバリケードが吹っ飛ばされ、中に黒い怪人・・・玄武が入ってきた。
何人かの勇敢な男子生徒が箒やらモップやら持って玄武の前に立ちはだかるが。
誰もが恐怖で怯えている。
「立ち向かう勇気はある・・・だが・・・それだけか」
何故か落胆したような声を出す玄武。
その時、誰かが玄武の後ろからその首に飛びついた。
「今だ!美坂!」
その声を受けて、一人の少女が教室の中に飛び込んできた。
彼女と入れ違いになるようにモップを持った生徒が玄武に殴りかかる。それに続く箒を持った生徒。
「栞!」
教室に飛び込んできた少女・・・香里は妹の姿を見つけるとすぐにそばに行き、ぎゅっと抱きしめた。
突然の姉の登場に言葉もない栞。
「大丈夫・・・もう大丈夫だから」
そう言って香里は窓を見た。
逃げ出す先はここしかない。
外でも別の怪人が暴れているが警官隊が何とか相手をしていてくれるはずだ。
「逃げるわよ」
そう言った香里は妹が頷くのを見てから窓を開けて、栞と一緒に外に飛び出した。
そして、走り出そうとしたとき、彼女の眼前にきらりと光る赤く鋭い爪が突きつけられる。
「ダメよ、逃がさないから」
そう言って微笑む赤い鳥の怪物・・・朱雀。
既に警官隊の大半が官女の手によって倒されているようだった。
「・・せめて・・せめて・・・妹だけは・・・」
香里はそう言って栞を背中にかばう。
「お姉ちゃん・・・」
栞の不安そうな声。今にも泣き出しそうだ。
「私、あんたにひどい事したもんね。だから・・これでいいのよ」
香里はそう言って唇を噛んだ。
「ダメだよ・・お姉ちゃん・・・」
「さぁ。殺すなら私を殺しなさいよ!」
大きい声で香里がそう言う。
だが、朱雀はニヤリとした笑みを浮かべると、
「ダメよ・・・でもすぐに一緒にいられるようにしてあげるからね」
大きく右手を振り上げる。
と、その時、窓ガラスを突き破って北川が表に放り出されてきた。
先程教室で玄武に飛びついたのは彼だったのだ。
見事に囮役をこなして見せた彼だったがやはり玄武には敵わなかったようだ。
「つぅ〜〜〜っ・・・」
叩きつけられた背中を押さえながら何とか立ち上がろうとする北川だったがあまりの痛みに起きあがれない。
「北川君!!」
香里が叫ぶ。
後ろを振り返ると玄武がこちらを見下ろしている。
(ダメ・・・栞も・・・北川君も・・・)
絶望感が香里を包み込む。
「イヤァァァァァァァッ!!!」
香里が絶叫する。
その時・・・まるでその声を受けたかのように一台のバイクが校門前のパトカーを飛び越えて校庭に入ってきた。
そのバイクはそのままのスピードを維持したまま一直線に朱雀に向かって来、いきなりウイリーして前輪で突然の乱入者に驚いている朱雀を跳ね飛ばした。
「むうう!?」
玄武はいきなりのことで何も出来ない。ただ驚きの声を上げるだけだ。
バイクの前輪が着地し、乗っていた男が静かに降り立つ。
誰も何も声が出せなかった。
今、この場を支配しているのはこのバイクの男。
「だ、誰・・・だ?」
呻くように北川が言うと、その男はヘルメットを脱いで見せた。
そして、右手で十字を切り、腰に構えていた左拳の上に添える。
「変身!!!」
その声と共に両手を広げると腰の当たりにベルトが浮き上がり、その中央が放射状に光を放った。
その男、相沢祐一の姿が瞬時に戦士・カノンへと変わる。
「あ、相沢・・・?」
あまりのことに声を失う北川。
呆然と祐一の変身した姿を見ている美坂姉妹。
「・・・はははっ!!」
いきなり後ろにいた玄武が笑い出した。
「よく来たな、カノン!今度こそとどめを刺してやろう!!」
そう言って巨体を翻らせ、カノンに飛びかかってくる。
それをかわしたカノンは北川達を見て、
「早く逃げろ!」
そう言い、玄武にパンチを繰り出していく。
だが玄武の鎧のような皮膚はそのパンチを受け付けない。
「やっぱりダメか!」
「その程度の力でこのわしに敵うとでも思ったか!」
玄武はそう言うと、カノンを両腕で掴みあげ、投げ飛ばした。
地面に叩きつけられるカノンだが素早く起きあがると玄武の向こう側にあるバイクを見た。
(いちかばちか・・・ダメ元でやるしかないか!)
カノンがすっと右手を前に出し、左拳を腰に構えた。
「行くぞ!!」
そう言って駆け出すカノン。
「ふははははっ!!その技は通じないことがまだわからんのか!!」
高笑いして玄武はカノンの攻撃を待ち受ける。
「たぁぁぁぁっ!!」
玄武との間合いを計ってジャンプ。空中で一回転するところまでは昨日と何も変わらない。だが、カノンはキックを出さず、玄武を飛び越えたのだ。
「何?」
慌てて振り返る玄武の目に・・・バイクにまたがるカノンの姿が映った。
アクセルを回し何度もエンジンを吹かすカノン。
次の瞬間、カノンのベルトの中央がまたも光を放ち、バイクを包み込んだ。そして、バイクは変形を始める。
それはカノンのベルトに秘められた力が起こしたある種の奇跡かも知れない。
バイクはただの市販のバイクからこの世にただ一つだけの、カノン専用のバイク・アーツランダーへと姿を変えたのだ。
アーツランダーのエンジンが唸りをあげる。
「うおおぉぉぉっ!!」
カノンの雄叫びと共にアーツランダーが前輪を持ち上げて玄武に迫った。
「何だとっ!?」
前輪での一撃に玄武が吹っ飛ばされる。
カノンはアーツランダーを反転させると再び玄武に向かっていった。今度は前輪ではなく、急ブレーキを掛けて後輪を持ち上げ、横殴りに叩きつけた。
たまらず、吹っ飛ばされ、倒れる玄武。
地面に両手をついて起きあがった玄武が次に見たものは唸りをあげてこちらに突っ込んでくるアーツランダーの姿であった。
アーツランダーの猛スピードの体当たりを受けて、玄武が大きく吹っ飛ばされる。
大きく宙を舞い、校舎の壁に激突、更に地面に叩きつけられた玄武は自分の不利を悟った。
「まさか・・・ここまでとは・・・」
玄武は立ち上がると、先程自分が飛び出してきた窓に飛び込んでいった。
「逃がすかっ!!」
カノンが叫び、アーツランダーで玄武を追うべく、ジャンプして窓の中へと突っ込んでいく。
教室の中には倒れている生徒や壊れた机、椅子などで散乱としていたが玄武の姿は何処にもない。だが、カノンには玄武が何処に逃げたかすぐに察知できた。
「・・・上かっ!」
アーツランダーが教室を抜け、廊下へと飛び出す。上へと続く階段を駆け上り、一気に三階まで上がっていくと、廊下の端に玄武が立っているのが見えた。
「ここまでだ、玄武!」
カノンが叫ぶと玄武は大きく頷いた。
「ここで決着をつけてやろう!」
玄武が身体を変形させる。
首を引っ込めて、背中の甲羅を前へと押し出す。昨日、カノンを倒したあの技だ。
だが、カノンはそれを見てもひるまない。
(どんな奴にも弱点の一つや二つはあるもの・・・)
朝、別れ際に中津川が言ったことが思い出される。
どれだけ固い体でもどこかに弱い部分が存在する。背中の甲羅の堅さは相当なものだ。身体全体を覆う皮膚も鎧のように頑丈。だが・・・唯一、この技を使うときに隠す頭・・・もしかするとそこが弱点かも知れない。
(あれをかわして・・・一気に勝負を掛ける!)
カノンがアクセルを回し、エンジンを吹かした。そして、ウイリーしながら走り出す。
同時に玄武も走り出した。
このまま行けば廊下のほぼ中央で両者は激突するだろう。
だが・・・カノンはぶつかる直前、前輪を着地させて後輪を反動で浮かしつつアーツランダーを反転させて玄武の突撃をかわしたのだ!
まさにギリギリのタイミングで玄武の突撃をかわしたカノンはすぐさまエンジンを全開にさせて玄武を追いかけた。
着地した玄武が驚く暇もなく、その背中にアーツランダーの前輪が激突し、そのまま前へと突っ走る。
その先には階段があるが構わずにカノンはアクセルを全開にし続ける。そして、玄武もろともアーツランダーが宙を舞った。階段の踊り場を越え、その先の壁をぶち抜き、外へと飛び出す!
「うおおおぉぉぉぉっ!!」
カノンの叫び声が轟く。
着地する直前に無理矢理前輪を持ち上げ、バランスを取り直すカノン。
玄武はそのままの勢いで地面に叩きつけられてしまう。更にその上にアーツランダーの後輪が落ちて来、更なるダメージを与える。
「ぐああっ!!」
たまらず玄武は声を上げた。
流石の玄武も三階から突き落とされた上にアーツランダーの重さをも加えられてかなりのダメージを受けたようだ。背中の甲羅にはひびすら入っていた。硬い皮膚に覆われた身体はともかく、内臓にかなり深刻なダメージを与えられている。
カノンは少し離れたところでアーツランダーから降りると、さっと身構えた。
よろよろと立ち上がろうとする玄武を見据え、走り出す。
玄武との間合いを計った上でジャンプ。空中で一回転した後、右足を前へと突き出す。その足が光に包まれ・・・立ち上がったばかりの玄武の頭部に直撃する!!
たまらず吹っ飛ばされる玄武に、すっと華麗に着地するカノン。
カノンはかなりエネルギーを消耗したのか、肩が大きく上下している。更に呼吸も荒い。
一方玄武は立ち上がろうと地面に手をつくが、それもならず、ばったりと地面に倒れ伏した。
「・・・・何故だ・・・何故このわしが・・・無敵の鎧の玄武が・・・」
玄武がそう呟く。
次の瞬間、玄武の身体が大爆発を起こした!
その爆炎を見ながらカノンが立ち上がり、後ろを振り返った。そして油断無く身構える。
そこには朱雀が腕を組んで立っていた。
「玄武を倒すなんてやってくれるじゃないの。今度はこの朱雀が相手よ!」
朱雀はそう言うと背中の翼を大きくはためかせ、宙に舞い上がった。
そして、高速でカノンへと襲いかかる。
 
<ものみの丘 11:36AM>
学校でちょうどカノンが玄武を倒していたのと同じ頃、街中から少し離れたところにある小高い丘・・・通称ものみの丘と呼ばれる場所に一人の少女がやってきていた。
少女は栞や香里と同じ服装・・・つまり学校の制服を着ている。唯一違うのはリボンの色・・・栞の緑、香里の赤ではなく、青い色。学校でも最上級生であることを示す色である。
「・・・ひどい・・・」
少女が呟く。
ものみの丘のあちこちに・・・無惨にも何かで引き裂かれたようなキツネの死骸が転がっている。
虐殺・・・そんな言葉が一番よく当てはまる。
「・・・許せない・・・」
彼女、川澄舞は怒りに全身を震わせていた。
 
<学校 11:43AM>
朱雀が宙を滑るようにカノンへと襲いかかってくる。
そのスピードは尋常ではなく、カノンは何度も吹っ飛ばされていた。
「くう・・・なんてスピードだ・・・」
よろけながらも何とか倒れることだけは防ぐカノン。
倒れたら最後、あの鋭い爪の餌食になることは間違いないだろう。それだけは避けたかった。
「ほほほほほ!その程度でよく玄武を倒せたものね!」
朱雀があざ笑う。
だが、カノンは玄武を倒すのに使った必殺のキックのためかなりエネルギーを消耗していた。
「これでも喰らいなさい!!」
朱雀がそう言って真っ赤な羽根をとばす。
それはまるでダーツの矢の如く、カノンの身体に突き刺さる。
「ぐああっ!!」
たまらず悲鳴を上げるカノン。
羽根の刺さった場所から血が噴き出している。
「この朱雀の身体が赤い理由を教えてあげましょうか?あなたのような戦士の血を浴びて真っ赤に染まったのよ・・・さぁ・・・私をもっと楽しませて!!」
朱雀がそう言って鋭い爪を振り上げてカノンに襲いかかる。
ボディアーマーを切り裂かれ、腕に幾筋もの傷を負い、たまらずカノンが倒れてしまう。
「ううう・・」
何とか立ち上がろうとするが、力が入らない。
だんだんと視界も歪んできているようだ。
変身のタイムリミットが近付いている。
(ダメだ・・・今変身が解けたら確実に死ぬ・・・)
薄れていく意識の中、カノンはそれだけを考えた。
まだここで死ぬわけにはいかない。まだ敵は残っている。目の前の朱雀、まだ見ぬ白虎と青龍。
今ここで俺が死んだら誰がみんなを守る?
今ここで俺が死んだら・・・誰が・・・彼女を守る?
不意にカノンの脳裏に一人の少女の笑顔が浮かび上がった。
何時もそばにいてくれた少女。
何時も眠そうで、起こすのにとても苦労させられて・・それでも・・その苦労が楽しかった。
(そうだ・・・まだ約束、あったよな)
『後でバイク、見せてね?』
名雪の無邪気な声が彼を奮い立たせた。
「まだだ・・・まだ死ねないんだ・・・」
カノンが立ち上がる。
そして、とどめを刺そうとしていた朱雀の腕を掴むとパンチを食らわせた。
「こんなところでやられるわけにはいかないんだよ、俺はっ!!」
そう言って何度もパンチを繰り出すカノン。
朱雀は玄武みたいに全身を硬い皮膚で覆われてはいないらしい。そのパンチが着実にダメージを与えている。
「うおおっ!!」
雄叫びをあげながら回し蹴り。倒れたところに踵落とし。起きあがろうとするところに肘を落とし、更に顔面にエルボーを叩きつける。
たまらず吹っ飛ばされる朱雀。
「な、何なの、このパワーは?さっきまで死にかけていた奴のパワーじゃないわ!!」
驚きの声を上げ、朱雀はカノンを見た。
肩を上下させ、荒い息をしているがカノンはまだまだ戦える力を持っている。
「こんな奴に正面からぶつかるのは馬鹿よ」
朱雀はそう言うと翼をはためかせ、一気に空高く上昇した。
「流石のあんたもここまでは来れないでしょう?自分の無力さを噛み締めて死になさい!!」
遙か上空からそう言って朱雀は地上のカノンに向けて羽根を降らせた。
上空を見上げていたカノンは朱雀が何かをしたのを見るとすぐに地面を転がって移動した。すると先程まで立っていた場所に次々と赤い羽根が突き刺さるではないか。
「く・・・何て奴だ。ここからじゃ何の手出しも出来ないことを・・・」
そう言ってからカノンは停めてあるアーツランダーを見た。
もしかして、あれなら。しかし、かなりの危険を伴う行為に違いはない。失敗すれば待っているのは確実な死。
(それでも・・・やるしかない!)
カノンは立ち上がるとアーツランダーに駆け寄った。そして、エンジンを吹かすと一気に走り出す。
その間も、次々と赤い羽根は降ってきており、カノンのいた場所へと突き刺さっていく。
「いちかばちかだ!いくぞ!」
そう言ってカノンはアーツランダーで校舎の中へと入っていく。今度も階段を駆け上り、一気に屋上へと飛び出した。
そこから空を見上げると朱雀の姿が確認できた。
向こうはカノンがいきなり校舎に隠れたので少し降下してきているようだ。
(チャンスは今しかない!頼むぞ、アーツランダー!!)
エンジンを大きく吹かし、猛スピードで走り出すアーツランダー。そして・・・空に向かってジャンプする!!
「いけぇぇぇぇっ!!!」
その声に気付いた朱雀が慌てて上昇する。
「き、貴様!?」
「逃がすかぁっ!!」
カノンはそう言うと、アーツランダーの上から更にジャンプした。
その瞬間、カノンが朱雀の上をキープする。
がしっと朱雀の身体を掴んだカノンはその翼に手を掛けた。
「な、何をする気?」
「決まってんだろう!!」
言うが早いかカノンは全身の力を込めてその翼を引きちぎる!
「ぎゃああぁぁっ!!」
悲鳴を上げる朱雀。
その身体がカノンと一緒に落下を始める。
「ついでにもう一枚ッ!!」
残る片方の翼も先程と同じように引きちぎる。
落下スピードが更に増した。
「こ、このままだと貴様も一緒に・・・」
「構わない!お前は必ず倒す!」
猛スピードで落下する朱雀とカノン。
だが、カノンに死ぬつもりはなかった。
地面に落ちる直前、朱雀の身体を蹴って上へとジャンプしたのだ。
蹴られた勢いで更に地面に落ちるスピードを増す朱雀。一方カノンは空中で一回転して校舎の壁を蹴り、落下する勢いを殺していた。
ものすごい勢いで地面に叩きつけられる朱雀と華麗に着地するカノン。イヤ、それでも殺しきれなかった分、がっくりと膝をついてしまう。
「ま・・まさか・・・そんな・・・」
呻くような朱雀の声。
次の瞬間、朱雀の身体が大爆発を起こした。
その爆風を受けてカノンも吹き飛ばされる。
地面を転がりながらカノンの姿が祐一の姿へと戻っていく。
「ハァハァハァ」
荒い息をして、立ち上がることすら出来ない祐一。
身体中に先程朱雀と戦ったときの傷が有り、血が流れ出している。額からも流れ落ちる血。まさに満身創痍だった。
「か・・・勝ったのか・・・?」
何とか立ち上がる祐一。
そんな彼を遠巻きに生徒達が見つめていた。
校庭には二体の怪人が爆発したときに出来た穴が二つ。校舎のあちこちにはひび割れや穴、窓ガラスに至っては大半が割れていた。
それを見て祐一は唇をかみしめた。
(勝ったと言っても・・・これじゃ・・・)
その時、一人の生徒が前に進み出た。
「お前だ!お前がいるからあいつらは襲ってくるんだ!」
そう言った男に祐一は見覚えがあった。
生徒会長の久瀬。
彼とはある少女を通じての因縁がある。
「そ、そうだ!お前のせいだ!」
他の生徒の声。
次々とわき上がる非難の声。
傷だらけになって、必死に怪人を倒して、その結果がこれ。
祐一は苦笑を浮かべた。
「お前なんか出ていけ!」
「この怪物!」
祐一はそんな声を無視してバイクを探した。
先程空中で飛び降りたから無事ではないだろう。そう思っていたが・・・校庭のど真ん中にそれは無惨な姿をさらしていた。
地面に叩きつけられた衝撃で完全に壊れてしまったようだ。折れ曲がったフレーム。あちこちから漏れているオイル。ぶすぶすと立ち上る煙。からからとむなしく空回りする車輪。
(・・・済まない・・・ありがとう・・・短い付き合いだったけどな)
祐一は生徒達に背を向けた。
体中が痛む。足下がおぼつかない。視界も歪んでいる。
変身が解けた後は何時もこうだ。
でも、今は倒れるわけにはいかない。
祐一はよろよろと校門から出ていく。
その背を見ながら香里は涙を流していた。
「そんな・・・どうして相沢君が・・・」
彼女の問いに答えるものは誰も居ない。
 
Episode.3「焦燥」Closed.
To be continued next Episode. by MaskedRiderKanon
 
次回予告
夜の街中で繰り広げられる新たな戦い。
舞「お前だけは許さない!!」
祐一「お前じゃ無理だよ・・・」
一人の少女が剣を持ち、また別の少女が運命を呪う。
真琴「何で・・・何でそんなことをするのよ!!」
美汐「それでも・・・あなたはあの子達のために泣いてくれました」
恐るべき強敵の前にどう戦うカノン!?
秋子「あなたが帰る場所は、ここですから」
次回、仮面ライダーカノン「憤怒」


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