前書き
何というかまぁ初めてしまいました。
かおりん「後悔しているの?」
いや、半ば確信犯的にやっているけど?
かおりん「なら問題ないじゃない。何をそんなに?」
わかる人がどれだけいるか心配。一応シリアス路線だし。
かおりん「私も結構いい役だもんね。この先は、だけど」
(機嫌がいいのはそのせいか。キャスティング表見せるんじゃなかったな)
かおりん「何ぶつぶつ言ってんのよ。始めるんでしょ?」
そ、そうでした。とにかく始めましょう。

 
その日、相沢祐一は授業が終わると同時に教室を飛び出していった。
その様子を彼のそばの席にいる美坂香里と水瀬名雪は呆然と見送っていた。
「相沢君、どうかしたの?」
自分のすぐ前の席にいる名雪に話しかける。祐一は名雪とは従兄弟同士であり、今はその名雪の家で生活しているのだ。だから何か知っているかも知れないと期待したのだが・・・。
「さぁ?私も聞いてないんだよ」
そう言って名雪は苦笑してみせた。余り困っているようには見えないがこれでも彼女は困っているようだ。
「祐一ったら全然話してくれないんだよ。バイトとかしてたようなんだけどその理由も教えてくれないし。酷いと思わない?」
名雪は頬を膨らませてみせ、それを見た香里は苦笑してみせた。
「相沢の奴、今日念願のバイク買いに隣町まで行くって言ってたぜ」
二人の横から祐一の後ろの席にいる北川潤が声をかけてきた。彼は祐一が転校してきて以来、ずっと後ろだと言うこともあり、祐一とはかなり仲がいい。どうやら今日のことも祐一から聞いていたようだ。
「バイク?」
キョトンとした顔で名雪が言う。
「この街でバイクなんて勇気あるわね」
腕を組んで、香里は言い、頷いた。 冬になると必ず雪に覆われるこの街でバイクに乗るなど命知らずであるとしか思えない。もっとも郵便屋さんなどバイクに乗っている人もいることにはいるが、一般人で冬場バイクに乗っている人は余り見かけなかった。
「一応俺も止めたんだがな。相沢はどうやらバイクの免許を取って乗り回すのが夢だったらしい」
そう言って肩をすくめる北川。案外祐一のことを子供っぽいとでも思っているのだろうか?
「こっちに来る前に免許だけ取っていたのかな?」
「多分そうでしょうね。この辺でバイクの免許の取れる教習所って無いから」
名雪の質問に香里が答える。
「ところで名雪、部活、いいの?」
香里に言われて名雪はあっと言う顔になった。どうやらすっかり忘れていたようだ。大慌てでカバンに教科書などを詰め込み、教室から出ていった。
「あれで部長だから凄いよな」
北川は大慌てで出ていく名雪を見送りながら呟いた。
「お人好しなのよ、あの子は」
そう言いながら香里は自分のカバンを手に立ち上がった。
「私は帰るけど北川君はまだ残っているつもり?」
教室の中にはほとんど人が残っていない。残りのクラスメイトももう出ていくところで香里と北川が最後になりそうだった。
「何時の間に・・・」
たらりと汗を流しつつ呆然となる北川。そんな彼を冷ややかな視線で見つつ、香里はさっさと教室を出ていった。
昇降口を出ると、もう陽が傾きかけていた。そろそろ陽の出ている時間が短くなり始めている。
「隣町まで行ったってことは・・・帰ってくるのは陽が落ちたあとね、きっと」
空を見上げながらつい、そんなことを香里は考えていた。
その頃、祐一は隣町のバイク屋で自分のバイクを受け取っていた。250ccのオフロードタイプのバイクである。雪道を走るかも知れないと言うことを自分なりに考えて選んだ結果がこれであった。同時にヘルメットやグローブも購入すると今まで貯めて置いたお金があっという間になくなっていく。
「でかい散財だなぁ」
心で泣きながらそう呟く祐一。しかし、これで昔からの夢が叶うと思うと嬉しい気分でもあった。
「一応ガソリンはサービスってことで入れておいたからな。気をつけなよ」
バイク屋の店員がそう言って笑顔で祐一を送り出す。
買ったばかりのバイクにまたがりエンジンをかける。一回目は失敗。ヘルメットの下で苦笑しながら又エンジンをかけてみる。二回目でようやくエンジンがかかる。クラッチを切りながらアクセルを吹かしエンジンを温める。
「よし、行くか」
ゆっくりとクラッチを戻し、バイクを走らせ始める。 始めはゆっくりと、だが少しずつスピードを上げていく。水瀬家がある街に入る頃にはすっかり運転にも慣れていたが、余り道を覚えていなかったせいか到着したのはすっかり陽が落ちたあとだった。
「あ〜、遅くなった遅くなった」
そう言って玄関に入ると二階からどんどんと足音も荒くこの家のもう一人の居候・沢渡真琴が降りてきた。
「何々、今の音!?」
どうやら家の前に止めたバイクのことを言っているようだ。祐一はヘルメットを玄関の靴箱の上に置くと、玄関先でキョロキョロしている真琴の頭をむんずとつかんだ。
「あう〜、何するのよぉ」
「説明してやるから少し待っていろ」
祐一はそう言うと、靴を脱いでリビングに入っていく。
「秋子さん、この前言っておいた件なんですけど・・・」
ドアを開けるなりそう言うと、リビングのソファに座っていた名雪の母親にしてこの家の家主・水瀬秋子さんが振り返り、にっこりと笑って一言言った。
「了承」
「ありがとうございます。で、何処置いておきましょうか?」
流石に玄関先に置きっぱなしにして盗まれでもしたら悲惨だ。そう考えていた祐一はバイクの納車に何日か前にこの話を秋子さんだけにはうち明けていたのだ。その時は良いとも悪いとも言わなかったので今改めて切り出したのだが。
「そうですね・・・ガレージにでもおいておけばいいと思いますよ」
秋子さんがそう言ったので祐一は頷くとすぐに玄関に戻っていった。そこでは未だに真琴がキョロキョロと落ち着かない様子で祐一が来るのを待っていたようだ。彼が戻ってくるなり、
「祐一、遅い!」
そう言って祐一を睨みつけてきた。
「そうか?それ程でもないと思うけど・・・」
まだぶーぶー言っている真琴を無視して祐一は玄関から外に出る。玄関の先には新品のバイクが彼の来るのを待っていた。それを見つけた真琴の目が大きく見開いた。
「何、何、これ何!?」
すかさず祐一の右の袖をつかんで真琴が聞く。
「何って・・・バイクだよ。知らないのか?」
「・・・そう言えば・・マンガで見たことある・・・」
真琴の一般知識の大半がマンガからの知識である。もっともこの街ではバイクなど余り見かけないのだが。
「ね、ね、動くの?」
「当たり前だ。動かないバイクを買ってどうする」
真琴の質問に祐一はあきれながら答える。ポケットの中から鍵を取り出すと、真琴の前でエンジンをかけてみせる。
ドッドッドと重い音と共にエンジンが始動する。
「わわわ」
何か驚いたような顔をする真琴。おそらく初めて見るのであろう。徐々に目が輝いてくる。意外と好奇心が旺盛なのだ。
「ね、ね、走るの?」
「ン?・・ちょっと待ってろ」
祐一はそう言うと、一度玄関に戻り、中からヘルメットをとってきた。ヘルメットをかぶり、バイクにまたがる。そして、エンジンを吹かし、走らせ始めた。水瀬家から百メートルほど行ったところでUターンし、水瀬家の前に戻ってくる。
「すごーい・・・」
真琴が目をキラキラさせて呟いた。これは本当に驚き、感動しているようだ。
「乗せてやりたいが、ヘルメットが一つしかないからな・・・悪いが、また今度ってことにしてくれ。それと・・・勝手に触るなよ」
そう言って祐一は庭とつながっているガレージにバイクを運び込んだ。何故かすぐ後ろを真琴がとてとてとついてくる。
真琴のことを気にせずにバイクのスタンドを立て、U字ロックをかけて鍵を抜く。
「中に入るぞ?」
祐一がそう言って初めて真琴は彼がそばにいることを思いだしたようだ。はっとした顔で彼を見上げ、さっさと彼を置いて家の中に入っていった。
「なんだ、あいつ?」
首を傾げながら祐一も家の中に入っていく。
玄関のところで靴を脱いでいると、ちょうど名雪が帰ってきたようだ。
「ただいま〜、・・・あ、祐一」
「おかえり」
一言そう言うと、名雪の邪魔にならないように先に階段を上がっていく。
「ね、ね、バイク買ったってホント?」
二階に上がろうとする祐一を止めるように名雪が靴を脱ぎながら声をかけてくる。それで、足を止めた祐一は振り返ると、ニヤリと笑ってみせた。
「ガレージに置いてある。勝手に触るなよ」
「触らないよ〜。でも後で見せてね?」
「おう」
祐一は機嫌良く答えると、二階の自分の部屋に入っていった。名雪も着替えるために自分の部屋に向かう。それから晩ご飯の準備を手伝うために一階のキッチンに向かった。
「お母さん、晩ご飯の準備、手伝うよ」
「ありがとう、名雪、じゃそっちお願いね」
こうして親子二人の手によってまたも絶品の料理が出来上がっていくのであった。
 
翌朝、いつもと変わらず祐一と名雪の二人は走っていた。
「どうしてこう、毎日毎日走っているんだろうな、俺達はっ!」
走りながら祐一が隣を息も切らせずに走っている名雪に問いかける。流石は陸上部部長、息一つ切らせていない。問いかけた祐一の方は声を出したと言うこともありかなり息が荒い。毎日走っているからそれなりに体力は付いているのだろうけど・・・。
「何でだろうね?」
のんびりとした声で名雪が答える。
「せめて二度寝だけはしないでくれ!」
「うん、努力するよ〜」
「努力はいいから実践しろ〜」
泣きそうな声になっている祐一。実は朝一度起こした名雪が二度寝していたために今のこういう状況になったのだ。
二人がわき目もふらず走っていると、その横を大きめのワンボックスカーが走り抜けていった。
「なんだ、あれ?」
祐一がそう呟くと、名雪が思いだしたように、
「そう言えば学校の裏山で何か遺跡が発見されたって。その調査を今日からやるって昨日言ってた・・・」
「覚えてないぞ・・・」
「祐一、寝てたから」
「ぐあ・・・名雪に言われるとは一生の不覚」
「祐一、酷い事言ってるよ〜」
そんなことを話ながら二人はなんとかチャイムが鳴る前に学校にたどり着いたのだった。
 
授業自体は何事もなく平穏に過ぎ去り、昼休みにいつものように名雪や北川、香里を相手にくだらない話で盛り上がっていると、何か中庭の方が騒がしくなってきた。
「なんだ?」
北川が窓の方を見たので 祐一と香里もつられたように窓の外を見る。
「どうした?」
「何かあったの?」
口々に言う二人。その横で名雪はまた寝息を立てていた。
中庭の方では何か調査団の着るような服を着た男が必死に走っていた。まるで何かに追われているかのように必死になって走っている。いつの間にか学校の敷地内に入っていることにも気がついてないようだ。走りながら時折後ろを振り返っている。何かが追ってきていないか確認するように。
と、男の走っているのとは別の方向・・・男が走ってきた方向から何か悲鳴のようなものが聞こえてきた。
「今度はなんだ?」
窓を開けて祐一が外・・・悲鳴の聞こえてきた方向を見ると、何かが悠然と歩いてくるのが見えた。それは・・・あわてふためく生徒(お昼休みを中庭で過ごしていたのだろう)を何か白いものを吹き付け身動きをとれなくしてそれの中を悠然と歩いてくる。
「なんだ、ありゃ・・・」
思わず呆然と呟いてしまう。
「コスプレ?」
北川が悠然と歩いてくるモノを見て言うがそんなわけはない、と祐一はあっさりと無視した。
「あ、先生がでてきたわよ」
香里が余り興味なさそうに言う。
彼女の言う通り、騒ぎを聞きつけたのであろう、教師が一人、悠然と歩いているモノに走り寄っていく。どうやら詰問をしているようだ。だが、いきなりその怪人(と言う表現がぴったりだと祐一は思った)は、教師に白いものを吹き付けた。それは怪人の口の部分から吹き出され、教師を動けなくする。すると続々と他の教師達も出てきて怪人のそばへと走っていった。どうやらその全てが体育の教師や、風紀関係の教師のようだ。何人か見たことのある顔がそこに混じっている。
「大変だねぇ・・・公務員ってのは」
どこか見当違いのことを北川が呟く。
「警察には通報したのかしら?」
そう言ったのは香里だった。
祐一はそれには答えずに後ろを振り返った。ほっておかれているので名雪は完全に寝入ってしまったようだ。机の上に突っ伏している。
「すっごくイヤな予感がするな・・・」
呟き、窓を離れる祐一。
「逃げ出す準備はしておいた方が良いと思うが、どうだ?」
「そうだな」
北川は青い顔をして答えた。
「あれはマジでやばそうだ」
彼の視線の先では教師達が次々に怪人の白いもので動きを止められていたり、どうにか怪人にまで辿り着いてもあっさりとなぎ払われたりしているようだ。
「急ごう・・・」
北川が呟く。窓を離れるとすぐに教室を出ていこうとドアに手をかける。ドアを開けると、廊下では何人もの生徒が我先に逃げ出そうとしてちょっとしたパニックが起きていた。
「おいおい・・・」
「どうせ名雪を起こさないとダメなんだ、今出れなくてもいい」
祐一はそう言うと名雪のそばに歩み寄る。
「ほれ、こう言うときぐらいさっさと起きろ」
そう言って名雪の頭にぐりぐりと拳を押し当てる。
「うにゅ・・・?」
目をこすりながら名雪が身を起こす。
「おふぁようございましゅ〜」
「そんな場合じゃないわよ、あれ、こっちに向かってきているわ」
窓の側にいた香里がそう言って振り返った。
「行くぞ!」
祐一はそう言うと、名雪の手を取って教室を出ていった。慌てて北川と香里も続く。混乱の局地である廊下を抜け、昇降口まで辿り着いたとき、四人は倒れている一人の男を発見した。
「こいつ・・・確か・・・」
祐一が倒れている男に駆け寄ると、この男は確かに先ほど中庭を走り抜けていった男であった。手にはまるで石で出来たようなベルト状のものを持っている。
「なぁ、相沢。もしかしてあの怪人、この人を追ってきたんじゃないか?」
祐一の後ろの立っている北川が震える声で言う。
「もしそうだとすると・・・」
「あの怪人はこの人のいるところ・・・、つまりここに来るというの?」
香里の声は冷静であった。
四人のすぐ後ろではまだ生徒達がたくさんいて、我先に逃げようと押し合いへし合いしている。
「これじゃ・・・」
香里はその様子を見てため息をついた。
「裏口に回っても無駄だな。ここと同じだろうし」
北川もため息をつく。
その時、昇降口の入り口のガラスを叩き割って何かが中に飛び込んできた。一気にパニックの度合いが深まる。
「ここから離れるんだ!」
祐一がそう言い、少し後ろでぼうっとしている名雪の手を引いて走り出す。
その頃には通報を受けた警察が辿り着いており、続々と校庭に入ってきていた。そして、中に入ってきた制服警官の誰もが中庭の光景に息をのんで立ち止まった。
彼らの目の前に広がる光景、それは・・・巨大な蜘蛛の巣に張り付けられた人間、白い繭に包まれた人間・・・まさに信じられない光景が広がっているのだ。誰もが恐怖を感じていたのに間違いはなかった。誰一人としてその場から動くことは出来なかった。
 
パニックの中心である怪人は先ほど自らの口から吐いた白い粘着質の糸で絡め取った教師を昇降口のガラスに向けて投げ、ガラスを破壊すると、悠然と中に入って行き、周りを見回すように首を回す。どことなく蜘蛛を思わせる容貌の怪人・・・その場にいた誰もが息をのみ、恐怖に固まりながらもそう思う。
しばらく周囲を見回していた怪人だが、目的のものが見つけられなかったようだ。それに機嫌を損ねたのか、怪人は近くにあった下足箱を押し倒し、暴れ始めた。近くにいる生徒を殴り倒し、蹴り飛ばし、投げ飛ばす。口と思われる場所から白い糸を吐き、次々に逃げ遅れた生徒を絡め取っていく。
苛立たしげに怪人が絡め取った生徒を投げ飛ばした。再びガラスが割れ、その生徒が表へと投げ出される。
その怪人から見えないところで先ほど祐一達が見つけた男が見つからないように廊下の奥へと進んでいた。その方向は・・偶然にも祐一達が向かった方向である。彼も意識してのことではなかっただろう。しかしこれが・・・まさに運命の一瞬だったのか?
 
祐一達は二階から三階に続く階段のところで下の階の様子をうかがっていた。
「ね〜、一体何があったの?」
この状況を知らない名雪がのんびりとした口調で香里に尋ねる。
「あんたねぇ・・・この騒ぎで・・・」
「名雪は半分寝ていたんだ、知らなくても当然だ」
あきれ顔の香里に祐一がそう言う。
「祐一、酷い事言っているよ〜」
「本当のことだろ。とにかく詳しい説明は後、今は無事に生き延びることを考えろ」
ふくれ顔になった名雪に真剣な顔をして祐一が言い返した。
それを聞いた名雪の顔色が変わる。
「どういう・・・事?」
「さぁな。俺にもはっきりしたことはわからない。ただ、逃げないと・・・やばいことになりそうだって事」
祐一はそう言って苦笑を浮かべて見せた。
「おい、誰か来るぞ!」
階段の方を見ていた北川が振り返らずに言う。慌てて三人が彼のそばに駆け寄り、階段の下をのぞき込む。下の階から息を切らせて一人の男が登ってくるのを見た四人がほっと安心のため息をつく。
「お〜い、助けてくれ〜」
男が四人の姿を見つけて声をかけてくる。その顔を見て、祐一は、はっとなった。その男は先ほど、昇降口で倒れていた男であったのだ。手には確かに石で出来たベルトのようなものを持っている。
「一体何なんだ、あんたは?」
駆け寄ってきた男に祐一が聞く。
「ぼ、僕はここの裏山で発見された遺跡を調査しに来た城西大学考古学教室助教授・中津川忠夫だ。遺跡を調査していて、何か石棺みたいなものを発見してそれを開けてみたら中にミイラが入っていて・・・」
「それより、あの怪人は何なんだよ?」
少々混乱しているような中津川という名の男に北川が言った。
「石棺の中のミイラがしていたこのベルトを取ったら急に地面から出てきたんだよ。あんな姿の奴じゃなかったと思うんだけど・・・」
「一体・・何なんだよ、あれは!?」
語気荒く北川が言う。
しかし、誰も答えなかった。この中津川という男にもわからないのだろう。おそらく、誰もあの怪人の正体など分からないのだ。何を目的にして、何のために存在しているのか?今この場でそれのわかる人間は誰も居ない。
「くそっ!」
祐一が床を殴りつける。それを見た名雪がびくっと肩を震わせた。
「このままじゃらちがあかない。どうする?」
北川が祐一を見て、言った。
「とりあえず逃げよう。ここにいても・・どうにもならない」
祐一に代わって中津川が答える。
「何であんたが答える?」
そう言ってジト目を中津川に向ける北川。
その祐一は何か考え込む仕草をしている。腕を組んで、うつむき加減に首を傾げている。「どうしたの、相沢君?」
香里がそんな祐一に気がついて尋ねた。
「さっきも北川が言っていただろ。あの怪人はこの人を追ってきたんじゃないかって。もしかすると、この人じゃなくってこのベルトみたいなもの」
祐一はそこまで言って中津川が持っている石のベルトみたいなものを指差した。
「こいつを追ってきたんじゃないかって」
そう言って祐一は中津川を見た。
「どうしてこれを持ってきたんだ?」
「大切な研究材料だ。と言うか・・・気がついたら持っていた」
一瞬周りの視線が殺気立ったので慌てて中津川が真相を話す。
「それならそいつを・・・」
北川がベルトを指差してそう言ったとき、突如階段の踊り場の窓ガラスが割れ、外から何かが飛び込んできた。
それは両手両足を広げて着地すると、そのままの状態で上にいる五人を見上げる。
「お、おい・・・」
震える声で北川が言う。何が言いたいのか、大体祐一にもわかっていた。
踊り場では怪人がゆっくりと立ち上がって五人の方へと一歩一歩足を踏み出している。少なくても今この怪人は自分たちを目標としている。それがわかっていながら恐怖で足が動かない。
「・・・に、逃げろっ!」
そう言ったのは中津川だった。
彼は祐一の肩を押すと、自分は階段に向かって走りだし、怪人に飛びかかっていく。それでようやく全身の呪縛が解けた祐一は他の三人に向かって叫んだ。
「走れっ!」
祐一達が駆け出そうとした時、中津川の身体が宙を舞って彼らの後方へと叩きつけられた。続けて怪人が祐一達を飛び越え、彼らの進行方向に立ちふさがる。
「く・・・このっ!」
祐一が怪人に向かって突っ込む。
流石に不意をついたのでそのタックルを喰らって怪人は祐一もろとも転倒してしまった。
「今だ、逃げろっ!」
祐一が再び叫ぶ。
「祐一!」
名雪の悲鳴。
「お前一人をっ!」
北川がそう言って怪人に飛びかかった。
「美坂、行けっ!」
「北川君!相沢君!」
香里の声に祐一と北川は頷く。
「俺達は良いから!」
「早く行け!」
「・・・絶対・・・絶対死なないでよ!」
香里がそう言って二人と怪人に背を向け、名雪の手を取り階段を駆け下りる。だがよほど慌てていたのだろう、香里は足を階段から踏み外してしまう。
「あっ・・・」
そう思ったときはもう遅かった。
名雪もろとも二人は階段を転げ落ち、踊り場に叩きつけられる。
「くう・・・」
全身に走る痛みに顔をしかめながら香里は身を起こすとすぐに一緒に落ちたはずの名雪の姿を探した。
「名雪・・大丈夫?」
返事はない。
香里は顔を上げ、すぐに辺りを見回し、驚愕した。
踊り場の壁のそばに名雪が倒れている。その長い髪の下から血がゆっくりと広がっている。
「な、名雪っ!!」
慌てて名雪のそばに駆け寄るが名雪は返事をしない。どうやら落ちたときに壁に頭を打ったらしい。今は気を失っているのかさえ、香里にはわからない。
「相沢君!名雪がッ!名雪がッ!」
訳も分からず、ただ叫ぶ香里。
一方祐一と北川はあっさりと怪人にはね除けられていた。廊下を転がり、何とか立ち上がる二人の耳に香里の声が届く。
「どうした?何があったんだ?」
祐一は怪人から目を離さずに聞いた。
香里からの返事はない。ただ泣き叫ぶ声だけが聞こえてくる。それに不安を覚えた祐一は北川をちらりと見た。
「任せろ」
一言そう言って、北川は親指を突き立てて見せた。
「頼む・・・すぐに戻るさ」
祐一も親指を立てて答え、階段の方に走った。そして、彼がそこで見た光景は・・・踊り場の隅に倒れている名雪と、そのそばでうずくまっている香里の姿。名雪の頭のあたりからは血が流れている。
「・・・なゆ・・・き・・・?」
呆然と呟く祐一。
何が起こったのか理解できなかった。どうして名雪があそこで血を流して倒れている?どうして香里はそのそばで泣きわめいている?
「うわあぁぁぁっ!!」
ふいに後ろから北川の悲鳴が聞こえた。
振り返ると、彼は怪人の口らしき部分から吐き出された糸のようなものに絡め取られ、壁に叩きつけられている。
祐一はそれを見て・・・心の奥底から怒りを憶えた。
こいつのせいで名雪が血を流して倒れている。こいつのせいで香里が泣き叫んでいる。こいつのせいで北川が苦しんでいる。許せない。大切なものを、守りたいもの傷つけるお前を。
「うおおおおおおおっ!!」
雄叫びをあげながら祐一が怪人に殴りかかった。だが、彼の力では怪人にかなうはずもない。あっさり受け止められ、投げ飛ばされてしまう祐一。
「こ、この野郎ッ!!」
再び立ち上がる祐一。その彼の目の前に怪人がすっと現れ、その手を彼に向かって振り下ろす。
「うわあぁぁぁっ!!」
思わず両手を顔の前で交差させて、目を閉じる祐一。
しかし・・・来るであろう衝撃はいつまで経っても来ない。
そのことに疑問を感じながら祐一が目を恐る恐る開けていくと、怪人の腕は今まさに振り下ろされる直前で止まっていた。周りにも動きは一切無い。時間自体が止まっていた。
「こ、これは・・・一体・・・?」
『時間が止まっているんだよ、祐一君』
どこかで聞いた声がした。
『あのままだと死んじゃうからね、祐一君が』
声の主の姿は何処にもない。少なくても祐一の見える範囲にはいなかった。
『うぐぅ・・・ちゃんと居るもん』
よく見れば祐一のそばにいた。赤いカチューシャをはめたダッフルコートの女の子。背中には白い翼が生えている。
「なんで、ここにおまえが・・・?」
『神様にお願いしたんだ。祐一君を助けたいって』
「お前が天使じゃあの怪人を倒してくれそうにないな」
そう言って祐一は苦笑する。
『あの怪人を倒す方法はあるよ』
目の前にいるダッフルコートの天使がそう言って微笑んだ。しかし、何故か悲しげな笑み。
『祐一君に、それが出来るならあの怪人は倒せるよ』
「本当なのか、あゆ?」
『でも、それは・・・祐一君も傷つけることになるかも知れないよ?大切なものをなくしちゃうかも知れないんだよ?』
「・・・それでもいい。俺はあいつを倒したい。俺の大切なものをあいつは壊そうとした。俺は絶対に許せない」
その祐一の言葉を聞き、ダッフルコートの天使は悲しげな笑みを浮かべた。
『やっぱり名雪さんのことが・・好きなんだね?』
そう言われて祐一は逆に驚愕する。
「そ、そ、そうなのか?」
『そうだよ。・・・祐一君、もしあの力を持ったら君までいつか・・・』
「諸刃の剣って事か?」
『うぐぅ・・・何それ?』
「強すぎる力は自分をも傷つけるって事だ。そう言いたいんだろ?」
『う、うん・・・じゃあ覚悟は出来ているんだね?』
「ああ・・・覚悟は出来ているさ・・・名雪と香里を逃がそうと思ったときからな」
そう言って祐一は微笑んだ。それは自然な笑み。何かを覚悟した男だけが浮かべる決意の笑み。
その笑顔を見たダッフルコートの天使は頷いて、怪人の後方に転がっているベルトを指差した。
『あれを身につけて、変身と叫べば戦う力を得ることが出来るよ。でも、それは本当に祐一君をも傷つけることになるかも知れない力なんだよ。いつか、人は祐一君も敵だと、あの怪人と同じように思うかも知れないんだよ?それでも・・・』
「あゆ・・・覚悟は出来ているって言っただろ?」
心配そうな顔を向ける天使に祐一はそう言ってその頭に手を乗せる。そしてくしゃくしゃとなでてやる。
『子供扱いしないで、祐一君』
上目遣いに祐一を見上げるダッフルコートの天使。
「心配するな、俺は負けないよ」
祐一はそう言って天使から手を離した。
『わかったよ、祐一君。でも忘れないで。あの力は本当に危険な力なんだって事』
ダッフルコートの天使がそう言って祐一から離れる。 その姿が少しずつ薄くなってきている。
「あゆ・・・お前は・・・」
祐一が手を伸ばそうとするが届かない。
『祐一君、もうすぐ時間が動き出すよ。早く準備して・・・』
ダッフルコートの天使の声までがだんだん遠ざかっていく。
「・・・済まない、あゆ・・・」
祐一はそう呟いて、身を低く、いつでも飛び出せるように構えた。時間が動き出すのと同時に壁を蹴って前へ飛び出せるように。ベルトの位置も確認する。
少しずつ世界に音が戻ってくる。時間が動き出したようだ。
祐一の全身に緊張が走る。一歩間違えれば怪人の腕に叩きつぶされるだろう。チャンスは一度しかない。失敗は許されない。失敗すれば死ぬだけだ。
「やあぁぁぁぁぁっ」
雄叫びをあげて壁を蹴り、前に飛び出す祐一。その数p上を怪人の腕が通り抜けていく。時間が止まったときに身体の体勢を変えていなければ出来なかったことだ。
「ハァハァハァ」
荒く肩で息をし、背中にはびっしょりと冷や汗をかきながら廊下を転がる祐一。その目は素早く周りを見回し、ベルトの位置を確認する。今彼のいる位置からは少し遠い。もう一歩、前にでなければ手に届かない。
「くそっ!」
床を蹴って祐一がベルトに手を伸ばす。同時に彼の動きに気付いた怪人がジャンプしていた。
二つの腕がベルトに向かって伸びる。一瞬早く祐一の手がベルトを掴み、自分の方に引き寄せることに成功した。怪人はジャンプした勢いのまま、廊下に激突して跳ね飛ばされている。
祐一は怪人に構わずベルトを腰に装着してみた。すると、石のようだったベルトが途端に輝く金属風に生まれ変わる。そして、ベルトは・・祐一の体内に吸い込まれるようにして消えてしまう。
「くああ・・・!!」
祐一は身体中に焼け付くような痛みを感じていた。見ると、彼の身体・・・ちょうどベルトをつけたあたりの服が破れ、下の身体が赤くなっていた。
「ハァハァハァ・・・こ、この・・・」
何とか身体を起こし、祐一は怪人を見た。
ゆっくりと身を起こそうとしている怪人を見て、祐一は怪人に向かって走りだした。
「へ、変身!」
そう叫びながらタックルを喰らわせるが何の変化も起きず、彼は怪人によってあっさりとはじき飛ばされてしまう。教室のドアに叩きつけられ、ドアごと教室の中に祐一は倒れ込んだ。
「は、話が違うじゃねぇかよ・・・」
そう呟きながら必死に身体を起こす。
「このままじゃ・・死ぬ・・・」
まだ立ち上がれない祐一に向かって怪人がゆっくりと歩み寄ってきていた。それに気付いた祐一だが、まだ動けなかった。
「く・・・」
再び全身に力を込め、立ち上がろうとしたとき、祐一の頭の中に何かのイメージが駆け抜けた。グレイの身体の戦士・・・右腕で大きく十字をきり、その手を左の腰に当てている。
「う・・うおおおおっ!」
雄叫びをあげて一気に全身に力を込めて立ち上がる。そして、頭の中を駆けめぐったイメージと同じく右腕で大きく十字を書き、そのまま右手を左の腰に当てる。
「変身!」
今まで体の中に消えていたベルトが浮かび上がり、その中央が光を放つ。同時に祐一の身体が変化していく。身体は灰色のボディアーマーで覆われ、左右の手には同じく灰色の手甲とナックルガード、その手首には赤く輝く宝石がはめ込まれている。膝には灰色のサポーター、足にも灰色の足甲が備わり、頭がヘルメットのようなものに変化する。そう、言うならばそれは仮面に近い・・・赤い目、牙を持つような意匠の口、そして輝く角。この姿こそ、祐一の頭の中を駆けめぐったイメージの戦士そのものであった。
「な、なれた?」
戦士となった祐一は自分の姿に驚きつつも、すぐに気持ちを切り替え、怪人の方を見た。怪人はいきなり変身した祐一にとまどっているようだ。呆然と立ちつくしている。
「くらえっ!!」
そう言って殴りかかる戦士。そのパンチは怪人の頭を捉え、教室の入り口から廊下へと怪人を吹っ飛ばした。廊下の窓ガラスに叩きつけられ、そのまま廊下の床面へと倒れ込む怪人。
「ひ・・ひいぃぃっ!!」
いつの間にやら気がついていたらしい中津川がいきなり飛んできた怪人を見て悲鳴を上げる。そんなところに教室の方から灰色の戦士が出てきた。それを見た中津川はヒッと息をのんだが、すぐにマジマジと戦士を姿を見て、ぽんと手を叩いた。
「仮面ライダー!」
一言そう言って中津川は立ち上がった。そして、すぐに彼が「仮面ライダー」と呼んだ戦士のそばに寄ってくる。
「もしかしたら、と思っていたがやはりあれはライダーベルトだったのか・・・うむ、それなら君は正義の戦士だな?」
一人納得顔で頷く中津川。
「よしよし、ならば君の戦いをこの中津川、ちゃんと見届けよう!思う存分戦ってくれ!」
そう言って中津川が戦士の肩を叩いた。
その時、倒れていた怪人が起きあがり戦士に向かって飛びかかってきた。それに気付いた戦士は中津川を押しのけ、怪人を受け止める。そして、そのまま窓際まで行き、窓ガラスを叩き割って二人とも下へと落下する。
慌てて中津川は窓の側に走り寄り、下を見る。怪人と戦士はあっさりと着地し、戦闘を開始していた。
互いに間合いを取り、相手の隙を伺いつつ校庭の中央へと向かっていく。
ふいに怪人が口らしき場所から白い糸のようなものを吹き出した。今までのものは放射状に吐かれていたが今度は一直線に戦士に向かって伸びる。
とっさに右手を前に出し、白い糸を受ける戦士。白い糸は戦士の右手首に巻き付き、戦士の右腕の自由を奪う。
「くっ!」
怪人が白い糸を手にし、ぐいっと引っ張った。バランスを崩す戦士に向かって怪人がキックを放ってきた。流石にかわしきれず、そのキックをまともに受けてしまう戦士だが右手に巻き付いた白い糸のせいで間合いが取れないでいる。後ろの少しよろけたところで白い糸がピンと張りそれ以上戦士の身体を向こうには行かせない。
「こ、このっ!」
戦士は左手で右手に巻き付いている糸をつかむと逆にぐいっと引き寄せた。今度は怪人がよろける。そこを狙って戦士がパンチを繰り出すが、怪人はぴょんと飛び上がってそれをかわしてしまう。また糸がピンと張り、戦士がそれに引っ張られてよろける。すかさず怪人のパンチ。倒れてしまう戦士。
「く、くそっ!」
戦士は素早く立ち上がると怪人を見た。が、既に怪人の姿はそこにはなく、後ろから強烈な衝撃が加えられ、戦士はまたも地面に倒れ込む。
「うわっ」
倒れた戦士の背に足を乗せ、怪人は大きく右手を振り上げた。その指先がぐっと伸び、鋭い先端の針のようになる。
「ライダー、気をつけろっ!」
ふいにそんな声が響いた。声の主は勿論中津川である。
その声に遠のきかけていた意識を取り戻した戦士は両手をついて、一気に起きあがり、背を踏んでいる怪人を振り落とした。そして、右手に巻き付いている糸を左手でほどき、戦闘ポーズを取る。
「ライダー、一気にいけっ!」
中津川の声に頷き、戦士はまだ倒れている怪人に駆け寄り、容赦なく蹴りを食らわせる。地面を転がり、怪人が起きあがるのを見た戦士は素早く走り寄って連続パンチを食らわせていく。ボディに数発喰らわせた後、強烈なアッパーカットを怪人の顎に決め、怪人を吹っ飛ばす。
「ライダー、今だ!ライダーキックだ!!」
その声を背に、戦士が走り出す。怪人との間合いを計った上でジャンプ。空中で一回転した上で右足が前に出る。その足の先が光に包まれ・・・よろよろと立ち上がろうとした怪人の身体に直撃する!
着地した戦士は肩で息をしている。呼吸もかなり荒い。相当なエネルギーを消費したようだ。
一方怪人はよろよろと二、三歩よろめいた後、両手を広げてその場に大の字に倒れ込んだ。次の瞬間、怪人が爆発を起こす。
「やった!勝った!ライダーが勝った!!」
中津川が嬉しそうに大声で叫ぶ。
そんな彼の方を戦士は向いて親指を突き立てて見せた。
 
その様子を学校の屋上から見ている影が四つ。
「今度のカノンはあれか・・・」
「この程度の相手に苦戦するようじゃ話にならないな」
「油断は大敵だよ。前の時もそうだったし」
「所詮はその場にいた蜘蛛を使った操り人形。それに苦戦するような相手が我々の敵になるとも思えませんわ」
四つの影が口々に言う。
「いずれにせよ、我らは解放された。奴も復活した。これからが始まりだ・・・」
 
Episode.1「戦士」Closed.
To be continued next Episode. by MaskedRiderKanon
 
 
 
次回予告
 
力つき、眠り続ける祐一。だが、新たな敵が彼に守るべきものを脅かしに再び現れる。
祐一「俺が・・・やらなきゃいけないんだ!」
玄武「今の貴様などわしの相手ではない」
迫り来る強敵。恐るべき力の前に、為す術もない祐一。
栞「どうして、どうして・・・?」
祐一「負けられないんだよ、俺はっ!」
スーパーマシーン、アーツランダーが唸りをあげる。
祐一「変身!!」
次回、仮面ライダーカノン「強襲」

後書き。

いやぁ、長かった長かった。ようやく一話、お終い。
かおりん「一気に始めようとするからよ」
これでもまだ語られてない謎がたくさんあるんだぞ。
かおりん「それに”戦士”とか”怪人”とか、ちゃんとした名称ないの?」
一応ありますが、それも次回まで秘密。
かおりん「随分もったいぶるじゃないの?もっともちゃんと考えてあるかどうか不安だけど」
ぎくっ!・・・まぁ、気にしては負けだ。
かおりん「少しは気にしなさい!!」


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