「こんな戦いに何の意味があるの!? 答えて、お姉ちゃんっ!!」

鏡に映る、自分と同じ姿の少女に向かって叫ぶ少女、藤林 椋。

鏡に映る彼女と同じ姿の少女、藤林 杏は何も答えず不思議な笑みを浮かべている。

「あなたにはこの戦い、ライダー同士の戦いは何の関係もないわ……」

双子の姉のその言い方に双子の妹はムッとなる。

「だったら……私がその戦いを止めてみせるっ!!」

そう言って自分と瓜二つの姿の映る鏡を叩き壊す椋。

それは双子の姉との決別。

運命の輪は、更に激しく回り始める……。


































「どうした、もうお終いなのか、お前?」

ニヤニヤ笑いながらそう言って倒れた国崎往人を見下ろしているのは木内賢一。

「少しは楽しませてくれると思ったんだがな、お前なら」

「……ふざけるなっ!!」

起きあがり様に手に持った剣で斬りつける往人。

その一撃をあっさりとかわす賢一。

余裕たっぷりの表情で言い放つ。

「そうだ。そうやって私をもっと楽しませてくれ。それがお前の役割なのだからな」

「そうやってふざけてろよ……お前なんかに俺は負けるわけにはいかないんだからな」

すっと一枚のカードをデッキから取り出す往人。

『SWORD-VENT』

彼の手に現れる巨大な槍。

「そうでなくてはな……」

賢一の手にも一枚のカード。

『SWORD-VENT』

その手に現れる剣。

「……俺の邪魔をするなっ!!」

「さぁ、楽しませてくれよ!!」


































その手にある両刃の薙刀が空を切る。

「やめろっ!! そんな事をしてもっ!!」

薙刀を必死にかわし、高町恭也は叫ぶ。

「うるさい!! 俺の邪魔をするならお前も敵だっ!!」

薙刀を振るう青年、櫂崎諒一はそう言って相手を睨み付けた。

「だから言ったじゃないか。あいつもそれなりの理由を持ってライダーになったんだ、止められるわけがないんだよ」

二人の戦いをニヤニヤ笑いながら見ている一人の男、千堂和樹。

「貴様……見ているだけなら手伝ったらどうだ! こいつは復讐の為なら何だってやるんだぞ!!」

恭也が和樹を見てそう言うが、和樹は肩をすくめただけである。

「それがそいつの目的だろ。復讐でも何でも、目的があるからライダーになったんだ」

和樹はそう言って一枚のカードを取り出した。

「まぁ、そう言う俺もそうなんだが……」

『CREATE-VENT』

何もない空間に突如生み出される戦車。

「くっ!!」

慌てて恭也もカードを取り出す。

『GUARD-VENT』

「とりあえずさ、俺の目的の邪魔はさせないよ。お前も、そこのお前も」

戦車から砲弾が発射され、爆発が起こる。

その爆発をかわし、諒一が飛び出してきた。

「お前も……殺してやるっ!!」

「やめろっ!! 櫂崎っ!!」

両手に小剣を持った恭也が諒一の薙刀を受け止める。

「助けてくれたことに感謝はしないぜ、俺は」

自分の前で押し合いを続ける諒一と恭也に向かって和樹がそう言い、またカードを取り出した。

「俺にとっちゃどっちも邪魔なだけだからな」

『FINAL-VENT』

3つ巴の戦いの行き先に待つものは何か?


































折原浩平は黙ってカウンターの椅子から降りた。

隣に座っていた男、奈良橋翔馬も同じように黙って立ち上がる。

「それじゃ始めるか……」

「ああ、そうだな……」

示し合わせたかのようにカードデッキを取り出す二人の男達。

何故戦うのか。

理由など無い。

あるとすれば。

二人が仮面ライダーだから。

その運命を受け入れたから。

『SWING-VENT』

『STRIKE-VENT』

鞭が唸り、鋭い爪がそれを弾き返す。

傷付き、血を流しても、それでも男達は戦うことをやめはしない。

それぞれに果たしたい目的があるから。

その為に。

「俺は負けられないっ!!」

浩平が叫ぶ。

「千紗都、空、待ってろ……俺は絶対にお前達の元に帰るっ!!」

翔馬が叫ぶ。

『FINAL-VENT』

『FINAL-VENT』

激突する二人の男の意地と決意。


































吹っ飛ばされる貴島和宏。

そんな彼を追うように悠然と一人の男が歩いてくる。

「ふむ……なかなかのものだな、このカードの力は」

手に持っていたカードを見ながら、その男、比良坂竜二は言う。

「さて、この程度のことで倒れられても困るのだがな、貴島君」

「くう……」

痛みを堪え、起きあがる和宏。

「君は大事な実験材料だ。この程度のことでダウンされては困る」

「お、お前は……」

竜二は和宏をまるでモルモットでも見るかのように冷たく見下ろしていた。

そう、彼にとっては自分以外のライダーは自分の力を試す実験材料でしかない。

「俺は……モルモットなんかじゃないっ!!」

カードを取り出し和宏が叫ぶ。

『STRIKE-VENT』

「……全く、弱い奴程良く吼えるものだ……」

そう言って別のカードを取り出す竜二。

『COPY-VENT』

「さて、同じものならばどちらが強いか、なかなか興味ある実験だな」




































その男は死を恐れずに突っ込んでくる。

その姿はまさに死に神、悪夢の具現した姿。

「はははははっ!! どうした!! 臆したか、御門和人っ!!」

勝ち誇ったように言う勝沼紳一。

「だ、黙れっ!!」

そう言い返す御門和人だが、紳一の纏う悪夢のオーラに気圧されてしまう。

『SWORD-VENT』

紳一の剣が和人を捕らえる。

吹っ飛ばされ、地面に叩き伏せられる和人。

「ふはははっ!! 所詮は何一つ不自由のない生活を送っていたお坊ちゃんだな!!」

倒れて立ち上がれない和人を見て、あざ笑う紳一。

「この俺様の勝沼財閥と並ぶ御門財閥の次期当主もその程度か。これでは相手にならんな」

「く……こ、この……」

「この俺様とお前では背負ったものが違う!! さぁ、立て。立って、もっと俺を楽しませろ。そして死ね」

圧倒的な強さに裏打ちされた圧倒的な自信。

それが死の病に冒されている紳一を支えている。

「く……この俺を誰だと……」

必死に立ち上がる和人。

その顔に怒りの色が見える。

ここまで馬鹿にされたのは生まれて初めてだ。

この相手だけは絶対に生かしておけない。

「勝沼……お前は俺がこの手で殺してやるっ!!」

立ち上がるなり、一枚のカードを取り出す和人。

『SHOOT-VENT』

彼の手に現れたのは大型のガトリングガン。

それを見た紳一の表情が少しだけ曇った。

だが、すぐに不敵な笑みが彼の顔を覆う。

「フフフ……楽しくなってきたな、御門和人……」

そう言うと、和人に向かって走り出す。

「この俺を馬鹿にする奴は許さん!! 死ねっ!!」

和人の手の中でガトリングガンが火を噴く。

その攻撃を剣で全て弾き返す紳一。

「その程度で終わりとか言うなよ、御門和人!!」

「くっ!!」

一気に詰め寄られ、和人は手に持っているガトリングガンで紳一の剣を受け止める。

「フフフ……ここでお前を殺せば、お前に付き従っているあの小娘は俺のものになる」

「何っ!?」

「あの小娘……俺がお前に変わって存分に可愛がってやるよ」

「貴様ッ!!」

紳一の言葉に更に怒りの火を燃やす和人。

「お前に椛を渡しはしないっ!!」

「たかが女一人に何を言うか!!」

互いに離れ、カードを取り出す紳一と和人。

『FINAL-VENT』

『FINAL-VENT』

「これで、死ね、御門和人」

「死ぬのは貴様だ、勝沼伸一」

二人の戦いは、もはや「死」以外の結末は望めないのか?



































その男は振り返って少年の顔を見つめた。

「ライダー同士の戦いを止めるだと……?」

意外そうな顔をして男は言う。

「お前に出来るのか、そんな事が?」

「出来るとかじゃない! 俺は……」

「ライダーになった奴は皆それぞれ抱えているものがある。それでもお前に、戦いを止める権利があるのか?」

男の問いに少年は答えることが出来なかった。

彼が知っているライダー達……それぞれが切実な思いを抱え、その運命を受け入れたのだ。

果たして自分に止めることが出来るのだろうか?

止める権利があるのだろうか?

「お前のように偶然ライダーになった奴にはわからないだろうな。俺たちがどう言ったものを抱えて戦っているかなんて」

「俺は……俺は……」

「やめておけ。お前がライダーを倒せるというのなら話は別だが……」

男はそう言って苦笑を浮かべた。

「ライダー同士の戦いを止めるなんて言っているうちはお前が先に倒されるだけだ」

「それでも!……俺は約束したんだ。ライダー同士の戦いを止めるって。俺は……人を守る為にライダーに変身するって」

少年の叫びの中に、男は果たして何を見たのか。

目を細めて少年を見、そして黙ってカードデッキを取り出す。

「人を守る為か……ならお前の覚悟を俺が試してやろう」

「俺はライダー同士で戦うことはしないって……」

「甘ちゃんが……お前が何と言おうと、お前がライダーである限り、この運命からは逃げられないんだよっ!!」

男が少年を容赦無く殴りつける。

「さぁ……戦いの始まりだ」

そう言ってにやりと笑う男、相沢祐一。

その笑みの中に狂気を見て取った少年、岡崎朋也はもはや逃れられない運命を悟るほか無かった。

「変身ッ!!」

カードデッキの力が解放され、彼らの姿を変える。

戦う為の姿へと。

仮面ライダーへと。

戦場は鏡の中に広がるもう一つの世界。

謎のモンスターが跳梁跋扈し、仮面ライダーを名乗る戦士達が互いの命を散らす世界。

「最後に残るのはこの俺だ!!」

「俺は……戦いたくないのにっ!!」

朋也の意志などお構いなしに祐一は彼に襲いかかる。

もはや、その目に正常な意識はない。

戦うことにのみ意識を奪われた狂気が彼を突き動かしている。

『SWORD-VENT』

手に持った剣が唸りを上げて智也を襲う。

「死ねぇっ!!」

『SWORD-VENT』

自分も剣を手にし、祐一の一撃を受け止める朋也。

「くう……相沢さん、やめてくれ! 俺は……」

「戦わないならお前が死ぬだけだ!」

容赦無く朋也を襲う祐一。

それでも朋也は戦えない。

人間同士で、ライダー同士で戦うことに躊躇いを感じている。



































「彼は死ぬわ……このままじゃね」

鏡の中で杏が言う。

「戦わないのなら死ぬって、みんな言っているのにね」

「……楽しい、お姉ちゃん?」

鏡に向かって言う椋。

「こんなことして、人を思うように操って、戦わせて、何が楽しいの!?」

絞り出すような悲痛な声で双子の姉に向かって呼びかける双子の妹。

「……あなたは……椋は、知らなくて良いの……この戦いの意味なんか」

悲しげな瞳を双子の妹に向ける双子の姉。

その瞳は、まるで泣いているかのようにも見える。

「そう……この戦いの本当の意味を……」

その呟きは椋に聞こえることはない。

「お願い、朋也君!! 戦って!! 戦わないと、朋也君が死んじゃうから!!」

鏡の中に向かって叫ぶ椋。

だが、その声は鏡の中の智也達には聞こえない。

「朋也君、死なないで!!」

涙を零しながら椋が叫ぶ。

その時、鏡にひびが入った。



































地面にまた叩きつけられる朋也。

それを見て、祐一はつまらなさそうな目を彼に向けた。

「やはりお前はここで死ぬべきだな。自分の甘さを噛み締めながら」

そう言って一歩一歩彼に近寄っていく。

だが、朋也はゆっくりと立ち上がる。

「ここで……」

顔を上げ、祐一を真っ直ぐ見る。

「俺は……」

すっと一枚のカードを取り出す。

「死ぬわけにはいかないっ!!」

『FINAL-VENT』

空に突如出現する龍。

その龍を纏いながら、朋也はジャンプする。

「ライダァァァァァ!!」

空を舞う朋也を見上げる祐一。

「そうこなくっちゃな……面白くない」

その手にはやはりカードが。

『FINAL-VENT』

身構える祐一。

「キィィィィィィィック!!」

空中からの必殺のキック。

祐一の必殺技と、朋也のキックが激突する。

起こる大爆発。


































13人の仮面ライダー

生き残れる者はたった一人

己の命を懸け

その願いを叶える力を得る為に

戦う以外の選択肢はない

運命の輪は激しく回り続ける




































仮面ライダークラナド



































戦わなければ、生き残れない……!!




































やっぱり書く気はない……と思う(爆)


後書き
はい、仮面ライダークラナド第2弾です(笑)
今回は戦いの中盤戦当たりのお話をダイジェスト風に書いてみました。
戦っている相手は全くのテキトーですが、このうち誰が死んで誰が残るかなどは余り決めておりません。
13人中、性格がそのまんまの人が一体どれだけいるでしょうか?
やってないゲームの方が多いもので(爆)
持ってないのもあったりする(爆死)
各ライダーの名前、戦闘能力や契約モンスター、持っているカードなどは『世界征服組織ブロッカー』にて掲載されていたりして。
嘘予告1を元にきよし丸支部長が書き、そこで出来たものを元にこの嘘予告第2弾が出来上がったという不思議時空も真っ青なこの不思議なライダークラナドワールド。
さて、またこの嘘予告があるとすれば今度はファイナルバトル辺りでしょうか?
誰が死に、誰が生き残り、そして誰が最後の勝利者となるのか?
さぁ、みんなで考えよう!
ちなみに私、作者DことDO−DOは何も考えておりません。
とりあえずは……。

戻った戻った

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