ZOIDS 〜勇気ある獅子と正しき邪竜〜






−ブレードライガーMk−U・コクピット内−

「ねぇ、酷いと思わない?祐一ってば3日かけてこの村に来たのに『お前はついて来るな』って言うんだよ」
ガアァァァ
コクピット内で愚痴をこぼす名雪に困ったような感じで応えるブレードライガーMk−U。
彼女は自分が置いていかれたことに凄く腹を立てているようだ。
祐一にしてみれば任務に関係ない『店』とかに連れて行かれそうだと思ってのことなのだろう。
「今度の町では何か奢ってもらおうかな?」
ガァァァ
返事をすることしかできないライガーであった。






「へっくしょん、なんか寒気がするな……ここら辺は暖かいのにな」
名雪の言葉に反応したのか悪寒を覚える祐一であった。








第4話「鋼鉄の腕」









−カカリア山南側・カロナ村−

この村の酒場に一人の少年がいる。
ガーディアンフォース部隊所属、相沢祐一少尉である。
なにやらこの酒場のマスターに聞き込んでいるようだ。
その手には二枚の写真がある。
写真には岩肌に造られた感じの洞窟とカバーのかぶされた『何か』を牽引しているグスタフが写っている。
牽引しているものは大きさからしてゾイドであることは間違いないだろう。
「どうですか?この場所を見かけたことありませんか」
「ふぅむ………私も昔は何度か山の中に足を運んだことはあったが最近は行ってないんでねぇ、ちょっとわかんないね」
「そうですか」
彼の欲しい情報は知らなかったようだ。
「だがね……最近こういったことを聞くよ」
「何ですか?」
「こっちのふもとの方までは来ないけど上のほうでよく地震が起こっていると」
「そのことは村の人から何度か聞いてます、とくに夜に起こることが多いんですよね?」
「そうだよ、ただ……こっちも何でそんなに起こるのかわからないんだよ」
「わかりました、捜査のご協力ありがとうございました」
「いやいや、こっちこそ大したことできなくてすまんねぇ」
礼を言い祐一は酒場を後にした。
酒場を出て村の入り口で立ち止まり自分の背後にそびえ立つカカリア山を振り返り見上げる。
「なんどか聞いた『地震』が怪しいと思うけど……場所が特定できないな」
彼は頭を抱え込んで悩んでいる。
「とりあえず、夜になったら行ってみるか」
祐一は再び歩き出した。






−荒野−

カロナ村から数km離れたここには祐一が待機させている名雪とブレードライガーMk−Uがある。
そして今、祐一が戻ってきたところだ。
「おーい、名雪、ハッチあけろっ」
『……』
「おーい」
呼びかけるがライガーのハッチが開く気配は全くない。
「………もしかして」
何かを勘付いたのか祐一はコクピットに駆け上る。
外部からハッチを開ける。
「………やっぱり」
中を覗き込んだ祐一は落胆の声を上げた。
中では名雪がぐっすりと寝付いていたのである。
「くー」
静かな寝息が聞こえてくる。
「夜までまだ時間があるからこのまま寝かせといてやるか、夜にまた寝られたら困るし………今のうちにライガーの整備をしとこう」
そういって静かにハッチを閉じた。
そして祐一はゾイドの収納スペースから工具を取り出して整備(点検)をはじめた。







−夕暮れ−

「よし、これでいいだろ」
祐一の手による入念な整備が終わる。
グァウゥゥゥゥゥゥッ
ライガーが礼を言うように唸る。
「良さそうだな、じゃあ行きますか」
工具を直してコクピットに戻る。
「すー」
まだ名雪は眠っていた。祐一が戻ってきてからもう3時間ほど経っただろうか?それでもまだ起きていなかった。
「まったく、よく寝るやつだな………ほら、起きろっ」
名雪の頬を軽くペシペシとたたく。
「うぅん……くー」
「おい、起きろって………起きないな……なら」
何を思ったか祐一は自分たちが持ってきたバッグをあさりだす。
「あった、こいつだ」
中から一つのガラスの瓶を取り出した。その中にはジェル状のオレンジ色の物体が入っていた。
祐一は一瞬、嫌そうな顔をしたがすぐに仕方ないといった感じで表情を戻した。
「ほら、名雪……起きないと『秋子さん特製のジャム』を口に放り込むぞ」
ビクゥッ!!
「お、起きたよっ」
「よし、なら行くぞ」
効果は抜群だった。
「だけど祐一、何処に行くの?」
「まだ寝ぼけてるのか?俺たちの任務は何だ?」
「えっと……あっ」
しばらく考えたあとようやく理解したようだ。
「それじゃ、アジト見つかったの?」
「いや」
名雪の質問に否定する祐一。
「じゃあ、何処に行ってるの?」
「一応アジトのつもりだ、俺なりに推測してその場所に向かってるんだ」
「具体的な場所は?」
「山の裏側」
「どうして裏側なの?」
場所を言われただけでは納得いかないといった感じだ。
「それはだな、村の人たちの行動範囲だ。村の人たちは基本的に村に面している半分の箇所しか登らないらしい、
 そして村の人たちは写真の場所を全く知らない。なら何処だってことになると村人が行かない場所、つまり山の裏側になるわけだ」
「もしかすると、見落としてるかもしれないよ?」
「俺も最初そのことを考えたが……村で話を聞いていく限りそれはないようだ、けっこう村の人たちの出入りが多いらしいからな」
「それならないか」
「それにどう考えてもその類の組織の奴等がそんな村人の目にさらすような危険を冒すとは思えないしな」
祐一が言うとおりこういう類の組織というのは大体が秘密主義で、人目につくような所で行動したりしない。
稀に、反対に『木を隠すなら森の中』といった考えで街中でしたりすることもあるが
今回はそんな地形や環境じゃないのでそれはないだろう。
「それじゃ、今向かってるのはその山の裏側なんだ」
「そう、山の裏側の中腹より上の方にな」
祐一はフルスピードでライガーを走らせていた。








−カカリア山北側・中腹−

日も暮れ辺りが静寂の闇に包まれる中、ブレードライガーMk−Uは静かに進む。
しばらく進んだところでライガーは足を止めた。
「名雪どうだ?付近に何か反応があるか?」
「少し上のほうに熱反応が感知できたよ」
画面には脚らしきものを4本のびた影が写っていた。
「……何か動いてるな……ん?……これは!?」
祐一が見た瞬間、その熱反応は消えてしまった。
その場から掻き消える様に完全に反応が無くなってしまったのだ。
(間違いない、この反応は隠密行動用の装備をしたゾイドの反応だ)
名雪から渡された計測結果を見て祐一はそう判断した。
この反応はステルス装備ゾイドの熱反応と酷似していた。
ステルス装備ゾイド特有の起動時の熱反応である。
起動してすぐは大量に排熱し
しばらくして各部の冷却機関が動き出し外から感じられる排熱量をほぼ0に近づけてしまうというものである。
戦闘中であってもその排熱量を現在と同等まで押さえ込むことができるのだ。
そして、ここで忘れてはいけないのはステルス装備ゾイドはそれ以外のステルス機能を併せて搭載しているということだ。
その代表的なものが歩行時の消音構造と光学迷彩である。
消音構造というのはその言葉のとおり、歩行時のゾイドの『足音』を消すものである。
特殊な構造でその足音を消し、拾音装置による探知を不可能にしてしまうものだ。
光学迷彩は機体の表面を特殊磁場で覆い、光を湾曲させ周囲の景色と同化するものだ。
以上の3つの機能が搭載されている場合、センサー、視覚、聴覚による機体の確認はほぼ不可能になる。
「腹をくくっていかないと危ないかもな」
祐一は細心の注意を払い歩を進めた。







−深夜・カカリア山北側ふもと−

ここに一体のゾイドが停止している。
頭部のコクピットハッチが開き、その横にパイロットと思わしき少年が立っている。
少年の容姿は、少し茶色の入った髪に人当たりが良さそうな顔立ち、そして軍服を着ている。
その肩には紋章がある。中心に剣があり、その後ろから翼竜と思われるシルエットが尾を剣に絡ませた紋章だ。
「ここか、奴らの工場があるのは」
少年がつぶやく。
「軍の兵器を横流しし、それを大量生産して儲けようなんて考えが浅いよなぁ」
そういい少年はゾイドに乗り込む。
そして少年を乗せたゾイドは山の中に入っていった。






−同時刻・カロナ村−

夜の酒場に一人の少年が訪れた。
その少年はマスターのいるカウンターへ真っ直ぐに向かってきた。
「すみません、お聞きしたいことがあるのですが……この写真の方々がここに立ち寄りませんでしたか?」
そういって少年は一枚の写真を見せる。
その写真に写っているのは祐一と名雪であった。
祐一は恥ずかしそうにだが名雪の方はうれしそうに腕を絡めて写っている。
マスターは写真を受け取り、あごに手を当てまじまじと眺める。
「右に写ってる女の子は知らないけど、こっちの人だったら今日の昼間にここに来たよ」
マスターは祐一の方を指差して言った。
「そうですか…じゃあ、この人が聞いていったことを僕にも教えてください」
「うん、別にかまわないけど……君、この二人とどんな関係なんだい?」
「えーと……旅の仲間です、はい」
それを聞いて信用したのかマスターは祐一と話したことを順を追って話していった。
「教えてくださってありがとうございます、僕は二人に追いつかないといけないんでこれで失礼させてもらいます」
「ちょっと良いかい?昼間に話を聞きに来た人の仲間って言ったけど、君はいくつなんだい?あの人はどう見ても軍人だったけど」
「今年で13になります、それではっ」
そういって少年は飛び出していった。
「昼間に来たお兄さんもそうだが……あんな子まで軍人とは世の中変わったもんだねぇ」
そう呟いてマスターはカウンターの奥の椅子に座り、手元にあった新聞を広げた。








−カカリア山・山頂付近−

「ここまで来たけど………辺りにそれらしい所が無いな」
「うん……ゾイドの稼動反応もないし」
祐一たちはすでに山頂近くまで上がってきたのだが密売組織のアジトを見つけられないでいた。
ここまで決して手を抜いてたわけではないのだが、見つからず山頂まで辿り着いてしまったのだ。
「今まで見つからないということはここら辺にあることになるが……それらしいところは無いよな?」
「無いと思うよ……ここら辺、遮るものが無いから」
名雪が言う通りこの辺りには全くと言っていいほど地形の遮断物が無い。
もし、この近くにあるとすればすぐに見つかるはずなのだ。
「んっ、遮るものが無い?……まさか!?」
ズガァゥンッ
「ぐぁっ!!」
「きゃあっ!!」
祐一が何かに気づいた瞬間と同時に機体の横から衝撃が襲ってきた。
「くっ、やっぱりそうか!!奴ら、俺たちがここに辿り着くまで周囲で息を潜めてやがったんだな!!」
祐一の考えは当たっていた。
密売組織は昼間のうちに祐一と名雪がここを探りに来ているのに気づき、見張りを付け殲滅する策を練っていたのだ。
そして、日が暮れると同時に行動を開始した祐一たちの後を尾行し
アジトには周囲の地形と同化する精巧なカムフラージュを施し祐一たちの探索をやり過ごし
ステルス搭載ゾイドを中心としたゾイド部隊を展開していた。
「こんな状況じゃこちらが不利だ!!森の中へ、ぐぁぁっ!!」
ライガーを森のほうへ進ませようとすると向いた方向から砲撃される。
「囲まれてんな……孤立無援だな」
祐一のライガーを中心に円を描くように部隊を展開させてある。
敵は大半がステルス搭載ゾイド、しかも森に身を潜めている。
対してこちらはステルス装備は殆ど無く、相手との間に大した障害物も無い。
はっきり言って圧倒的に不利である。いくら祐一といえど殲滅されるのは時間の問題といえるだろう。
「くっ、どうするかな?名雪、相変わらず反応は全くなしか?」
「えっと……熱反応があるよ、嘘!?」
「どうした!?」
「この反応は大型ゾイドだよ、しかも10機近く!!」
「嘘だろ!?そんなの見えないぞ!!」
「間違いないよ!!」
「マジかよ?そんなのに狙われたらひとたまりも無いぞ!!」
あちらも迂闊に攻撃を仕掛けると居場所がわかると危惧して沈黙している。
全機での一斉攻撃でしとめるつもりだ。
「こうなったら一か八かだ!!シールド全開で突っ込む!!名雪、しっかり掴まってろ!!」
ドズゥゥゥンッ
言い終えた祐一(ライガー)の後ろで大きな音がした。
「なんだ!?レッドホーン!?」
振り向いた先にはレッドホーンが横倒しになってシステムフリーズしていた。
「何が起こった!?」
「祐一、レッドホーンの後ろに大型ゾイドの反応!!」
「なにっ」
祐一が迎撃体勢をとろうとする。
『ちょっと、待て!!味方を撃つつもりか!?』
「なっ、味方!?」
『俺だよ、相沢!!』
「北川!?」
そんな通信が聞こえてくるとすぐに森の中から淡い光沢を放つ銀色のアイアンコングMk−Uが姿を現した。
『元気にしてたか?おっと、水瀬さんも一緒だったな、相沢と仲良くやってるかい?』
「助かったが、何でお前がここに?」
『おっと、話は後だ……まずはこいつら叩き潰す』
「そうだな、いくぞ!!」
掛け声と同時に二人は攻撃を開始した。
祐一はライガーのレーザーブレードを展開し、Eシールドを全開で森の中に突っ込む。
そして敵が居るだろうという所にレーザーブレードと一体になっているパルスレーザーガンを乱射する。
そうすると敵ゾイドの一体が直撃し一気にシステムフリーズを起こし光学迷彩が解かれた。
命中したゾイドはステルス搭載機で一般的なヘルキャットだった。
「やはりヘルキャットがいたか……こいつらが見張ってたんだな、まだ何機かいると見ていいな」
倒したゾイドを確認すると次のゾイドを模索する。


森の中で一体、アイアンコングMk−Uが佇む。
「俺もやるか」
操縦桿を握ると同時にアイアンコングMk−Uは咆哮を上げ自らの胸でドラミングをする。
そして右肩に装備されているビームキャノンを連射しながら全速力で突っ込む。
「ここだっ!!」
潤が叫ぶとアイアンコングが腕を振り上げる。
それと同時に手首の付け根に備え付けられていたスパイクのついたカバーが、アイアンコングの拳の前まで移動し装着される。
そしてスパイクが放電し輝き始める。
「くらえぇぇぇぇっ!!」
アイアンコングが前方の空間を殴りつける。
激しい衝突音を上げ、姿を現したレッドホーンが木々をその身で薙ぎ倒しながら吹き飛ばされていく。
60〜80メートルは吹き飛んだだろうか。
そして、そのまま沈黙する。
「よし、とりあえず光学迷彩しか搭載してないやつから倒すか」
そしてアイアンコングが再び森の中を爆走する。


「すごいね、北川君」
「あぁ、格闘戦やらせたらあいつの右に出る奴はいないと思う」
戦闘中だというのによそ見をして感心する二人。
敵が攻撃してこないところを見ると、敵も今の潤の戦い方を見て驚愕しているのだろう。
「こっちも負けてられないな、ブレード展開!!」



数分後

「大型ゾイドはあらかた倒したな」
『あぁ、だがヘルキャットとかが残ってるはずだ』
お互いの機体を背中合わせに立たせ状況を確認する。
周りにはレッドホーンなどの大型ゾイドが10機ほどとヘルキャットが3機、システムフリーズなどを起こし沈黙していた。
大型ゾイドのほとんどは潤が倒し、残りは祐一が倒したものだ
『だが、どうする?奴さん、大型ゾイドを倒されて慎重になってるぜ、おっと』
言ってるそばから細かな攻撃が断続的に襲ってくる。
「たしかに……あっちに慎重になられたらこっちには打つ手が無い」
姿が見えず、音も聞こえず、そして攻撃してくる手数も少ない。
これでほぼ敵を見つけ出すのは不可能になってしまった。
『まいったな……射撃兵器の弾数だって残り少ないぞ、どうする相沢?』
潤は現在の機体の状態を確認し問い掛ける。
「……考えてる」
『はぁ………ん?……こっちに高速で近づいてくる機影があるぞ!!』
「なんだって!?」
「こっちでも確認したよ、数は1機だよ!」
この状況で敵に増援が来るなんて絶望的である。
下手をすれば2機とも合流した増援とともに一気に殲滅される。
(1機?なんだってこんな状況で敵の増援が1機だけなんだ?)
だが、祐一は増援が1機だけということに関して疑問に思った。
そして、その機影が一気に近づいてくる。
『来るぞ!!』
潤の警告と同時に森から一つの影が飛び出して祐一たちの頭上で静止する。
「上っ!?」
祐一が見上げるとすぐにその機影は周囲の地形に発砲を始めた。
そして瞬く間に周囲に潜んでいたヘルキャットがシステムフリーズを起こし次々と姿を現す。
『なっ、なんだ!?』
潤はいきなりのことに驚きの声を上げている。
そして計14機ものヘルキャットが姿を現した。
すべてのゾイドが沈黙したのを確認するとその機体は地上へ降りてきた。
降りてきた機体は新緑の色をしたジェノブレイカーだった。
『なっ、ジェノブレイカー!?』
「北川、こいつは味方だっ」
『こいつが!?』
潤は信じられないといった様子だ。
「あぁ、そうだぜ…竜聖、応答しろ」
『はい、追いつけましたね』
竜聖はジェノブレイカーの通信回線を開く。
そうすると各機体のモニター画面に小さなコンソールが開き竜聖の顔を映し出す。
『おい、こんな子供が乗ってんのかよ!?』
「あぁ、それがどうした?」
さも当然と祐一は応える。
『子供を乗せといて大丈夫なのかよ?』
「それなら問題ない、こいつは善悪の区別もつけば操縦の腕も悪くない」
「そうだよ北川君、竜聖くんは祐一と勝負して互角だったんだよ」
潤の質問の意図を理解し祐一は答え、名雪もそれに同意する。
『うーん、そうなのか?そうはとても見えんけど?』
『はははは……』
潤が不満げに自分を凝視するので竜聖は苦笑する。
『あのー、祐一さん、この方は?』
竜聖が潤のことを尋ねてくる。
「こいつは北川 潤、帝国の中尉で俺の親友だ」
『北川だ、よろしくな』
『僕は高峰竜聖です、よろしくお願いします』
お互いに簡単に自己紹介をする。
「こいつはゾイドでの格闘戦が得意だ、こいつに格闘戦・接近戦でかなう奴はいないと思う
 そこら辺でくたばってるゾイドの残骸を見てみろ腹に派手にへこんだ奴とかあるだろ?」
『はい、ありますね』
祐一が言ったとおり周りには派手に腹部や背部、脚部がへし折れたりしているゾイドが倒れている。
「そいつらはこいつが全部始末した奴なんだがすべて殴り倒してるんだ」
『えっ!?』
「凄いだろ?だからこんな渾名がつけられたんだ『鋼鉄の腕』ってな」
『凄いですね、北川さん今度手合わしてください!!』
『照れるなぁ…今度、都合がついたらな』
潤は竜聖に賞賛され照れていた。
「それにしても竜聖君、よくここがわかったね」
名雪は竜聖がここに都合よく来たのが気になったようだ。
『山に向かってる最中、山の上のほうで小さな爆発が見えたんです』
「ミサイルなんかが着弾したときの爆発だろうな」
『ふもとの村で話を聞いておいたので祐一さん達が戦闘しているのかもと思ったので』
「そうだったんだ、それと龍牙静かだね?」
祐一たちの話に先ほどからオーガノイドの龍牙の声が聞こえない。
『リュウガってなんだ?』
聞きなれない単語に潤が問い掛けてくる。
「龍牙っていうのはこいつが連れているオーガノイドだ、こいつのジェノブレイカーと一緒で緑色のな」
『お前、オーガノイドも連れてんのか?』
『はい』
『凄いな……』
竜聖の素性に驚いて絶句する。
「それで龍牙は何処にいるんだ?」
『龍牙だったら下のほうにいますよ、アジトらしき場所を見つけたので上がってくる最中にそこを沈黙させてきたので』
「なにっ、アジト見つけてきたのか?」
『はい』
「マジかよ」
自分達が散々時間かけて探したのに竜聖が見つけてきたのに落胆する。
ちなみに祐一たちが捜索に割いた時間は2,3時間は軽くいっていた。
「だけど龍牙一人じゃ何もできないんじゃないの?」
『大丈夫です、敵のリーダー格と思われるセイバータイガーに合体させてきましたから』
『おいおい、それでもパイロットがいるだろ』
『降りないと荷電粒子砲を撃つと言って降りてもらいました、撃つ気は毛頭ありませんでしたけどね』
((敵を脅すとは……末恐ろしい奴だ))
竜聖の返答に祐一と潤は二人して同じことを思った。



そして竜聖の案内でアジトへ辿り着いたときには
龍牙のセイバータイガー一体だけだと油断して殲滅しようとした部隊が返り討ちにあって全滅していた。
「オーガノイドって凄いな」
「あぁ」
そして祐一と潤の二人は龍牙の性能の凄さにただ驚き感心するだけだった。







−翌朝−

「じゃあ、俺はこいつらを軍刑務所まで連れて行くぜ」
潤の後ろでは帝国軍の部隊が到着してアジト(秘密工場)の出入りが激しくなっている。
中には接収した兵器を外に運び出すトレーラーの姿もある。
「あぁ、頼むな」
「北川君、香里や栞ちゃんはどうしてるの?確か帝国に出向してるはずだったけど」
名雪がしばらく会っていない親友とその妹の事を聞く。
「あの二人はDr.ディの研究室にいたはずだ、元気にやってるみたいだったぜ」
「よかったよ〜、最近連絡つかなかったから心配してたんだよ」
二人に何もないと知り顔をほころばす。
「じゃあ、あの二人に俺と名雪が気にしてた程度でいっといてくれ」
「わかったぜ」
「北川中尉、内部の調査に同行して欲しいのですが、よろしいでしょうか?」
秘密工場から出てきた帝国兵士が潤に調査の同行で呼ばれる。
「わかった、すぐ行く…というわけだ、俺は軍刑務所まで護送した後はアルディア基地に戻るぜ」
「そうか、近くに用事があったら寄ってくな」
「おう、相沢、水瀬さん、またなっ」
別れを告げて潤は兵士とともに工場内部に入っていった。
「それじゃ、俺達はどうするかな?任務は来てないだろ?」
「うん、まだ届いてないよ〜」
「うーん……俺達もリバーサイド基地に戻るか?」
「途中どこか寄っていこうよ〜」
「しょうがないなぁ……竜聖、龍牙、行くぞっ」
工場から運び出されてくるものに興味津々といった様子で見ていた竜聖に伝え、3人と一体はその場を立ち去った。












NEXT
ZOIDS〜勇気ある獅子と正しき邪竜〜

第5話「漆黒の獅子」

二頭の獅子、光と闇は相容れぬもの・・・・・・

続く
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