昨年の冬

ある北の街に

一人の人物を中心に複数の奇跡が起きた

その奇跡を呼んだであろう中心人物の少年と

奇跡を体験した少女達は

その事をとても喜んだ

少女達は少年を慕い

少年は少女達を大切に想った

彼らは騒がしくも楽しい日々を送っていた

しかしその『奇跡』が

少年を厳しく激しい戦いへ導く

儚く脆い序章であったと

誰も気付く者はいなかった・・・

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーZERO

                              Presented By cancer

第一話「変身!その名はZERO!!」

 

 

 

 

五月一日、世に言うゴールデンウィーク。

少年は現在、数ヶ月前まで自らが住んでいた家へと歩いていた。

少年の名は相沢祐一、北の街の親戚の家に居候している。

そんな彼がなぜ以前住んでいた街にいるかと言うと、四月某日、夕食を終えた水瀬家に電話がかかってきたのである。

相手は祐一父、相沢裕輔であった。

内容は『休暇がとれたから日本に帰る、久しぶり家族全員で過ごしたいからお前も家に帰って来い。』ということだった。

その時、水瀬家メンバー(秋子、名雪、あゆ、真琴)や美坂姉妹、大学生ズに美汐、北川などが集まってGWについて計画を立てようと集まっていたわけだが祐一から実家に帰る旨を聞いてブーイングが起こったが秋子のジャム発言により沈静化されたとか。

「みんなには悪かったなぁ、でもたまには親孝行してやらなきゃな。」

その時の事を思い出しながら独り言を呟いた。

 

 

 

 

色々考え事をしながら歩いていたら目的地の自分の家の前に立っていた。

鍵を開けようと玄関に行こうとすると

バタンッ、ドスッ、ズサーッ!

最初の音はドアを思いっきり開いた音で次の音はラリアットが入った音、最後の音は祐一が吹っ飛んだ音である。

「ケホッ、い、いきなり何するんだ姉さん!」

「家族に数ヶ月間、何の連絡もしない愚弟に制裁を与えただけよ。」

祐一にラリアットをかました女性、祐一の姉相沢祐夏は弟の文句をばっさり切り捨てたが、顔は久しぶりに会えた事に喜びを隠せないでいる。

愚弟など言っているがなんだかんだ言って結構ブラコンである。

「そうよ祐一、秋子から定期的に手紙が無かったらもっと酷い目にあってたわよ。」

そんな姉弟の様子をみてころころ笑いながら祐一の母冬香は諭すように言う。

「悪かったよ。色々あって忙しかったから。」

苦笑して立ち上がりながら頭をかく。

「向こうでは、無茶していたらしいな。」

奥から裕輔が出てくる。

その声には多少咎めるものが含まれていたが優しさに満ちていた。

「・・・だが、いい男に成長したようだ。」

「そんなことはないさ、あの時はがむしゃらだっただけだ。(秋子さんあの時の事もかいたのか?)」

祐一は冬の奇跡が起きた時を思い出す。

「何を言ってるんだか。秋子君の手紙には祐一の周りには8人の女の子がいると書いてあったぞ。」

にやりとしながら祐一をからかいだす。

さっきまでのシリアスな父子の雰囲気は微塵も無い、祐一の性格は間違いなく父譲りだろう。

それを聞いた祐一は言葉を失っていた。

(あ、秋子さん、それは別に書かなくても・・・)

「祐一〜、それは姉さんも聞きたかったんだなぁ〜。」

からかおうとしているのが見え見えの口調だった。(微妙にこめかみがピクピクしていたのは気にしてはいけない)

「あら〜、誰が義娘になるんでしょうね。」

朗らかに言う、さすが秋子の姉だということを認識される表情だった。

「はっはっは、手紙で見た感じ誰もいい娘みたいだから楽しみだ。」

ちなみにこの3人言動からは信じられない事に、それぞれ機械工学、バイオ工学、遺伝子工学の権威なのだ。

そんなこんなで祐一のGWは玄関前から波乱に満ちていた。

誰もこの光景が壊れるなどと思わずに・・・。

 

 

 

祐一達、家族が久しぶりの水入らずの生活を楽しんだ連休の祐一が北の街に帰る前日。

5月4日の深夜、相沢邸前で複数の影が現れていた。

「ここか、アークの反応があったのは?」

「キィー!確かに間違いありません。」

「そうか。・・・ん?ここは。・・・くくくっ、そうか!これは都合がいい、相沢博士らともども連れ去ることができるではないか。アラスカでは見失ったが日本にいるとはなぁ。」

影達が月明かりに照らし出される。

そこには黒づくめの集団と異形の怪物が狂喜に表情(かお)を歪めていた。

 

 

 

ガタンッ、バタンッ、ドスンッ!!!

「な、何だ!?真琴か?」

下から聞こえた物音で祐一は目を覚ました。

ただ事ではない音に祐一は息を潜め押入れにあった木刀を持ち一階に向かった。

そのころ下では祐一以外が黒い集団と鬼のような怪人に追い詰められていた。

「貴様ら!何故俺達が日本に戻ってると気付いた!?」

裕輔は動揺していた。

いつか捕まる可能性を考えていなかったわけではない。

よりにもよってやっと過去を乗り越えた息子がいるときに捕まるという失態に動揺したのである。

「ふふっ、お前たちは運がなかったな。我らがここへ来たのはアークの適格者がいたからだ。お前らは偶然ここにいたにすぎん。こちらは改造する者と被改造者が一度に見つかって助かったぞ。」

ここにいる3人以外と言う事は祐一しかいない。

3人は祐一が異常に気づき逃げ出すために時間稼ぎを始めた。

「アークですって?」

怪人は手柄が増えて機嫌がいいのか饒舌になって話し始める。

「アークとは星の核になった石のことだ。我らが首領でも一かけらしか取り出せなかったというな。」

「ただの隕石とどう違うの?」

冬香の疑問に怪人はにやりとする。

「星が一つ出来る可能性がどのくらいか知っているか?さらにその中で生命体が生まれる可能性ある星がどれほどあると思う?これはまさに奇跡といえるだろう。だがそれは偶然ではなく全て星の核たるアークが呼び寄せたものなのだ。」

「適格者とは何だ?」

非現実的な内容ながら裕輔の科学者としての好奇心を刺激され続きを聞く。

「その名の通りだ。アークの力を呼ぶ事ができるアークに選ばれた者だ。我々は適格者にアークを埋め込み最強の兵士を造りだす。そしてデスクロスが世界を支配するのだ!」

それを聞いて3人はピクッと反応する。

自分達の家族を悪魔に造り替えようとしているということに戦慄した。

その時

祐一「ば、化物!父さん達を放しやがれ!!」

裕輔「祐一!俺達の事はいいから逃げろ!」

木刀を携えた祐一が震えながらも啖呵を切った。

3人はとにかく逃げて欲しかった、幸せになって欲しかった。

だが、果たして心優しきこの少年が家族を置いて逃げる事が出来るだろうか?出来るはずも無い。

むしろ助けるために行動を起こす事が想像に難くない。

そんなものを嘲笑うかのように祐一が現れたときに怪人の持っていた石が輝きだす。

「ほおぅ、こいつが適格者か。良かったな、関係者を改造する事になって。」

にんまり笑いながら裕輔たちに言う。

「お前ら、適格者を捕まえろ。」

「キィー!」

全身を黒で覆われたもの達が一斉に祐一めがけて襲い掛かる。

「祐一ぃーー!」

「逃げなさい!」

しかし祐一は逃げずに前に出る。

「見えない『魔物』に比べたらお前らなんてっ!」

祐一は戦闘員達の動きをことごとく避ける、さらに避けつつ誘導して衝突させたり体重の乗った一撃をくわえて1人ずつ確実に減らしていった。

その様子に裕輔たちもあっけにとられた。

「これはこれは、戦闘能力もたいしたものだ。だが、お遊びもこれまでだ。」

怪人がそう言って前に出る。

その時には戦闘員は裕輔たちを捕まえてる者以外全員気絶していた。

「すぐに我らの仲間になるだろうが一応名乗っておこう、我が名はヘルズオーガ。デスクロスの第一幹部だ。」

(くそっ、震えるな!ここで踏ん張らなきゃ父さん達を助けられない。)

ダンッ!

気迫と共に祐一は一気に踏み込む。

(化物には普通の攻撃は効かないだろう、ならば狙うは一点!!)

オーガが祐一を掴もうと腕を前に突き出す。

祐一は身をそらし避けながら、木刀をオーガの腕の上を滑らす。

そして、

グシャッ!

嫌な音が響いた。

「グゥゥゥァァァッ!」

木刀はオーガの左目を潰していた、が。

「このガキがぁぁぁぁぁっ!!」

ガスッ!

オーガは腕を振って祐一をぶっとばした。

「がっ!」

祐一は強く壁に叩きつけられ気を失う。

「嫌ぁぁっ!」

「祐一ぃぃっ!」

「祐一っ!」

3人は壁にふっ飛ばされた祐一を見て悲鳴を上げた。

「適格者でなければぶっ殺しているところだ。連れて行くぞ。」

祐一を抱えながら、3人を捕まえている戦闘員に命令する。

そしてその日、気絶した戦闘員ごと塵も残さず相沢邸は燃えた。

 

 

数日後

 

 

とある研究施設らしき場所で祐一は寝かされていた。

「起きろ、祐一。」

「起きて、祐一。」

「起きなさい。祐一。」

何度呼びかけたかわからないほど祐一を呼び続ける声。

「うっ・・・。」

その声にようやく祐一は目を開ける。

「ここは・・・?あいつらはっ!?」

だんだん意識が覚醒してきて辺りを見回す。

しかし、そこは全く知らない場所、唯一わかるのは自分の家族がまわりにいること。

「祐一、落ち着いて。」

「あ、ああ。」

普段、朗らかに微笑んでいる母の顔が険しくなっていることに真剣さを感じ、とりあえず疑問を置いておいて自分を落ち着ける。

「今から言う事を良く聞いて。私達はあの後あいつらに連れ去られたの。」

感情を極力抑えたような声でたんたんと話す祐夏。

「そして、ここで祐一を・・・・・・あいつらと同じような体に改造したの。」

搾り出すように事実を告げる。

祐一は無言でそのことを聞く。

「奴等は、お前が既に洗脳済みだと思ってるが実際は変身の仕方と戦い方を刷り込んだだけだ。」

裕輔は祐夏の言葉を継ぎ話を続ける。

「俺を・・・あいつらと戦わせるためか?」

「そうだ。」

無表情で言い放つ。

「酷い家族だろう。自分達を守ろうとしてくれた息子に全て押し付けようとしてるんだからな。」

そこで一瞬自嘲的な表情になる。

祐一はその顔を見逃さない、人の悲しみに敏感だから、何よりこの家族をよく理解しているから。

「無理しなくてもいいよ。そうするしかなかったんだろう?みんな辛そうにしなくてもいい。」

優しく、慈しむように言う。

その声に祐夏は涙を流す。

冬香はただ祐一を抱きしめる。

裕輔は神を呪う、何故ここまで強く優しく育った祐一にこの様なめにあわせるのかと。

「変身という事は、普段は今まで通りの姿なんだよな?なら変身した後の姿はなんて呼べばいい?」

「『ZERO』はどうだ?始まりと終わりの数字、あらゆる可能性を表すいい名だろ。」

「なんだか、格好いいな。」

皆に心配させないように普段通りの調子で話す祐一。

「その名は、今お前に埋め込まれている『アーク』そのものだ。『アーク』色々な可能性を秘めている。あの街で起きた奇跡も、お前がその力を呼んで起したらしい。」

「まじか?なら、ここで奴等の壊滅させれば・・・。」

「それは出来ない、普段はお前に強い力を与えるだけなんだ。お前が追い詰められた時にのみその真の力が発揮されるらしい。」

「あの時は精神的に限界だったってことか。」

その後数分、裕輔は得ることのできた『アーク』の情報を教えた。

今度は冬香が真剣な顔で伝えるべき事実を告げる。

「祐一、デスクロスの本部は秋子のいる街のそばなの。あの辺りの最近多くなってる行方不明者のほとんどは奴等が攫ってるの。」

「何!?」

それを聞いて祐一は焦った。

自分の友人達に危険が及んでいる可能性が出てきたからだ。

「奴等は数日中に本格的な活動を開始するらしいわ。」

「くっ、なら急いでここから出なければ!」

冬香の話を聞き祐一の表情は険しくなる。

「その通りよ祐一。私達が祐一の脱出を誤魔化すから、あなたは今から一足先に鍵山市に向かいなさい。」

「父さん達はどうするんだ?」

「大丈夫だ、とっておきがある。」

「信じていいんだな。」

「・・・ああ。だから絶対お前の守りたい人たちを守れ!」

「あたりまえだ!」

そう言って、祐一は駆け出す。

その後祐一が施設から脱け出したのを確認すると裕輔はぽつりと漏らした。

「やはり俺は駄目な父親だった。子供に気を使わせたあげく悲しみを背負わせるんだからな。しかも、お前たちも巻き込んでしまうとは・・・。」

「気にしないでください。あなたは十分立派な父親でしたから。」

「それに祐一ならきっと大丈夫。なんってたって私達の自慢の家族なんだから。」

それぞれが涙を流しながら抱き合う。

家族全員で過ごした楽しかった日々を思い浮かべながら祐一ある程度離れるのを待つ。

「そろそろか・・・。頑張れよ祐一。」

「いつまでも見守っていますよ。」

「絶対勝ちなさいよ、祐一は私の弟なんだから!」

裕輔が何かのボタンを押す。

 

 

 

施設の外は森になっており、その中を祐一は駆け抜けていた。

どうやら追っ手はいないようだ。

(さて、どうするか?万が一脱出がばれた場合のことを考えると公共機関は使えないな。奴等が襲ってきたら被害が大きくなってしまう。となるとバイクか・・・。バイク買わなくちゃいけないな。とっさに財布持っててよかった。・・・というかここ何処だ?)

そんな事を考えていた時

ドオオオオォォォォンン!!!

背後から大きな爆発音と衝撃がきた。

振り返ると裕輔たちがいたはずの研究施設から炎と煙が立ち昇っていた。

何が起きたのか頭の中で整理がつかずぽかんとしていたが、やがて裕輔たちが自分を逃がすために証拠を自分達ごと爆破したという考えに辿り着いた。

裕輔たちがもうどこにもいないと思い至るとがくんと膝から力が抜けた。

祐一「くそっ!、くそっ!、ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!!

涙が止まらなかった、自分を逃がすために裕輔たちが死んだのを認めたくなかった、ただただ悔しかった。

ひたすら地面を殴り続けた、そうしないと心が潰れそうだったから。

一時間ほどその場に座り込んでいたが、やがて立ち上がり意志のこもった瞳燃える炎を見た。

祐一(デスクロスは必ずぶっ潰す。だから見ていてくれ父さん、母さん、姉さん・・・。)

その後は一度も振り返らず近くの街に向かって走り出した。

 

 

 

「適格者の改造をしていた施設が何者かにより爆破されました。」

片目を潰したヘルズオーガが首領と思われる何かに報告している。

「適格者の件に関してはお前が一任されていたのではないのか?しかも、相沢博士達まで失うとは・・・・・・目をただの人間に潰されるといい失態続きだな。」

角のある馬の姿をした幹部と思われる怪人が嘲るように言う。

「何ぃ!」

ヘルズオーガは激昂し馬の怪人に掴みかかる。

(相沢とやらが死んで清々したわ。新参者がわしより優遇されるのは納得いかなかったからのぉ。)

白髪の老人は何も言わずその様子を静観していた。

「止めろ。ひょっとした仮面ライダーとやらが現れたのかもしれぬ。そうなると我らの邪魔になる、奴等の支えとなっている立花藤兵衛を捕まえる、又は殺せ。そして引き続きアークの捜索を続けろ」

首領に止められ納得いかなそうに馬の怪人を放す。

「ははっ、立花藤兵衛の方へはカマキラーを向かわせます。」

 

 

 

 

立花モータースでは立花藤兵衛がバイクをいじっていた。

藤兵衛「ふぅ、完成だ。」

藤兵衛は今までのライダー達のバイクなどで培われた知識を総動員して一台のバイクを作っていた。

ただそれは普通の人が乗れるような性能ではないので売るつもりはない。

完成したバイクを満足そうに眺め、世界に散っているライダー達に思いを馳せる。

(皆、元気でやってるか?お前たちのおかげで今日も平和だ。)

「ごめんください。」

店先から声がかけられる。

藤兵衛「はいはい、いらっしゃい。」

店から声のしたほうへでると。

「お前が、立花藤兵衛だな?」

自分を呼んだ黒いスーツを着た男の傲慢な態度に気分を害したが、一応答える。

「そうですが、なんでしょう?」

その返事を聞いた男は、突然スーツが裂け螳螂の姿をした怪人になった。

さらに周囲から黒づくめの戦闘員が現れ逃げ道を閉ざした。

「きゃぁぁぁっ!」

偶然通りかかった主婦がその光景を見て悲鳴を上げた。

逃げようとして走ったが戦闘員に捕まりナイフで首を切られて絶命した。

「今、日本に仮面ライダーはいるのか?」

藤兵衛は絶句していた。

日本に新たに悪の組織ができたという事実に、そして今日本にライダーがいないということに。

そのことを知られては厄介なことになることが目に見えていた。

「答えろ。」

だから藤兵衛は相手が警戒するような答えを言った。

「お前たちに、教えてやる義理は無い。」

「ならば、死ね。」

(くっ、もう駄目か!?)

怪人が命を狩らんとカマを振り下ろそうとしたその時

「待てっ!」

 

 

 

 

祐一は森を抜け、近くにあった町に辿り着いていた。

そこで、現在位置の把握のための地図と脚の確保の為に本屋とバイク屋を探していた。

とりあえず、自分で探しても道に迷うと思い通りかかった女子高生に道を聞いた。

「ちょっと、ごめん。本屋とバイク売ってる場所ってわかるかな?」

「え、えーと。バイク売ってる場所でしたらこのまま真っ直ぐ行ってつきあたりに出たら直ぐ右に立花モータースっていうお店があります。本屋はその三軒先にあります。」

何故か真っ赤になりながら教えてくれたのを、急に聞いたので恥ずかしいのだろうと結論付けた祐一は、微笑みながらごめんねと謝り立花モータースへとむかった。

後ろで女子高生が顔をぽーっと赤らめながら祐一を見ていたのを彼は知らない。

 

 

教えてもらった通り真っ直ぐ歩いていき、つきあたりにもう直ぐ着くといったところで女性の悲鳴を聞き、何事かと走るとそこには先日自分達を襲った戦闘員と見知らぬ螳螂の怪人がいた。

そして、主婦と思しき女性が家族に作ろうとしていたであろう料理の材料と共に血だまりの中に倒れていた。

家族を失う深い悲しみを呼び、理不尽な死を平然と作り出す奴等を許すわけにはいかない。

祐一は走り出す、これ以上理不尽な悲しみを作らないために。

新たな獲物を見つけた戦闘員たちが祐一に襲いかかろうとする。

隊形の崩れた先に見えた螳螂怪人は男性にカマを振り下ろさんとしていた。

それを見た祐一は叫んだ、

「待てっ!」

と。

その声に反応してか螳螂怪人の動きが一瞬止まる。

その間に襲い掛かってきた戦闘員の頭を掴み怪人に向かって投げ飛ばす。

迫ってくる気配にカマキラーが振り向くと、祐一によって投げ飛ばされた戦闘員と衝突した。

藤兵衛はその間に離れて、スパナを持ち戦闘員に殴りかかり逃げ道を確保する。

「ぐあっ!何をしているかこの役立たずが!」

自分に衝突した戦闘員を切り裂く。

螳螂怪人は藤兵衛から祐一に標的を変える。

「貴様、俺を怒らせたな!」

「お前らは、すでに俺を怒らせている!」

戦闘員達を殴りつけながら叫ぶ。

藤兵衛は今の状況がわからなかったが、今戦闘員と戦ってる少年が自分を助けた事を理解した。

「一気にかかれ!」

「キィー!」

「まずいぞ、逃げろっ!」

藤兵衛は自分を助けた少年に向かって叫んだ。

「無駄だ!」

襲い掛かる戦闘員の攻撃をかわし次々にカウンターで仕留めていく。

藤兵衛は少しでも加勢しようと祐一のほうへ走る。

だが辿り着いたときには既に戦闘員たちは全て倒されていた。

「後は、お前だけだ!」

祐一の言葉に藤兵衛は驚く。

「何を言ってるんだ、早く逃げるぞ!あいつは殴るだけでは勝てない!」

「俺は大丈夫だから、あんたは逃げろ。巻き込まれるぞ。」

「もう遅い!」

祐一が藤兵衛に気を回したときにカマキラーはいつの間にか間合いを詰めて襲い掛かってきた。

祐一は何とかそれを藤兵衛を抱えて跳んでかわす。

「何度もかわせると思うなっ!」

またカマが祐一に振り下ろされる。

辛くも避けてカウンターをいれるが。

「効かんなー!」

効果は無く、見るだけでもおぞましい笑みを浮かべ再度カマが振り下ろされる。

そこへ後ろからスパナが投げつけられる。

「お前の目的は俺だろうが!」

注意がそれた隙に祐一は藤兵衛の方に転がる。

(生身の攻撃が効かないとなると変身するしかないか。)

祐一が最初から変身しなかったのはした後の姿がどうなのか知らなかったからである。

自分の姿が目の前のような怪人になったなら、守りたい大切な人たちから否定されるだろうから。

「でも、やるしかない!」

この身体を造ったのは両親と姉である。

いわば形見ともいえる身体を恐れるわけにはいかない。

「俺は仮面ライダーみたいになれるか?」

自分を後押しするために日本を悪の組織から守ったというヒーローの名前を口に出した。

「何?」

突然自分を助けた少年から聞きなれた単語を聞いて思わず聞き返した。

それには何でもないですというように微笑みながら首を横に振る。

覚悟を決めた祐一は螳螂怪人から距離をとる。

「いくぞっ!」

そこで両手を上下に構えると腰に中央に青い石のある大きなベルトが現れる。

「変っ・・・」

そのまま時計回りに腕を回し、180度回転したところで一気に胸の前で交差する。

「身っ!!」

そのまま腰に両手を引くとベルトの蒼い石から石と同じ色の光が発せられる。

光が収まるとそこにはバッタを模したようなダークブルーにグリーンのラインが入ったマスクに赤い眼

そしてボディはマスクと同じダークブルーで胸の中央にはZのようなマークの入った緑の石がありそれを中心にシルバーの意匠が施されている

首には赤いマフラー、手と脚にはそれぞれシルバーの手袋とブーツ、手首部分と膝の部分には水色の石があり、金色のラインがはいっていた

腕と下半身は黒で、ベルトの中央の石の色が蒼から紅に変わった怪人が立っていた。

その姿はまるで・・・。

「仮面・・・ライダー。」

藤兵衛は目の前に現れた怪人に過去のライダー達の姿を見た。

「貴様っ!我等と同じ改造体か!?」

基地から送られた仮面ライダーのデータにどれも合致しない目の前の敵に動揺する。

「貴様と一緒にするな。・・・俺の名はZERO!貴様らを終わりを告げるために生まれた改造人間だ!!」

ZEROは名乗りを上げたあと一瞬で間合いを詰める。

予想していなかったスピードにカマキラーは慌てて両方のカマを振るう、しかしZEROはそれを手で掴みそのまま頭上を回転しながら飛び越える。

その結果、遠心力も加わりカマキラーは地面に強く叩きつけられた。

「がぁっ!・・・・・・・ぐっ、貴様ぁ!もう殺す!!」

よろけながら立ち上がり吠える。

「無理だ。」

宣告するように無感情に言い放つ。

その態度に完全に怒り狂ったカマキラーはカマを振り回す、ZEROはカマの軌道しっかり見据えてかわしながら隙を窺う。

そしてまたしても両方のカマを掴む、カマキラーは先程のように投げられるのを警戒し踏ん張るが。

ミシッミシッ!グシャッ!!

「ガアアアアァァァァァ!!!」

握力のみでそのまま両腕を自慢のカマごと握り潰されてしまう。

ZEROは握りつぶした腕を放り、カマキラーの頭部にアッパーをはなつ。

カマの消失により正気を失っていたカマキラーそれをまともに喰らい吹っ飛ぶ。

頭部にうけた衝撃で狂いかけていた意識が正常に戻り敵わないと判断して逃亡しようとするが、目の前には既にZEROが立っていた。

ZEROは手加減なしで首根っこを掴み上げ壁に押さえつける。

「お前らの本部は鍵山市のどこだ?」

感情を殺した声で手に力を入れながら聞く。

「答えると思っているのか?たかが、下級改造体の俺を倒したぐらいでいい気になるなよ。」

顔を不敵に歪ませながらそう言い、口からZEROへ向け毒針を放つ。

奇襲ではあったがそれを間一髪で避けカマキラーを空中に放り投げる。

「ならば、止めを刺すまでだっ!」

さらに自らもジャンプしてそれを追う、するとベルトの石が紅く光りZEROの胸の緑の石それにが反応して輝く。

「バーストキィィィック!」

突き出した右足に緑光が集まりそれがカマキラーに吸い込まれる、その衝撃でさらに上空に押し上げられるカマキラー、ZEROはそのまま一回転し着地する。

「ここはお前のいるべき世界(ばしょ)じゃねぇ、(ゼロ)に還れ!!」

「グゥゥゥゥゥゥアアアアアッッッ!!!!」

ドオオオオオォォォォンン!

断末魔の叫びとともにカマキラーは時間差で空中で爆発を起した。

怪人の破片が多少散らばったようだが周囲の建物等には特に影響はない、それを確認すると変身を解いて殺された主婦に近寄りしばらく立ち尽くしていた。

藤兵衛にはそれが黙祷しているようにも悲しんでるようにも見えた。

一分程だろうか、じっとしていた祐一は振り返り藤兵衛の方へ近づいてきて言った。

「バイクを売ってくれ。」

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

作:どうでしょうか?

祐:へたれ・・・。

作:ぐさっ!い、言うに事欠いて・・・。

祐:はいはい、ちゃっちゃと進める。

作:ぐっ、・・・えーと、この話はRXのようなV3のようなXのような話です。

祐:ふーん。

作:何か冷めてるね。

祐:気にするな。

作:もうちょっと明るく行こうよ。

祐:努力する。で、なんで最初の怪人はあんなに弱いんだ?

作:今回は、家族との別れ、おやっさんとの出会いと変身が重要であり怪人はへぼくてOKなんだ。

祐:ベルトの石はアークとして胸のは?

作:力の増幅器です。

祐:俺の変身後の格好の説明がわかりにくいぞ。

作:イメージ原画はあるんだけどね難しいんだよ描写。

祐:んな、ごちゃごちゃしてるのか?

作:いや、無茶苦茶スキッとしてる。肩とか尖ってないしな。胸の意匠は某鳳凰座の聖○士っぽい。

祐:スキッとしてるか?まぁいいか、次回は俺のマシンの登場だな。

作:おうよ、ちなみにモデルはSU○UKIの今年のモーターショーで発表されたコンセプトカー(バイク)?のG−STRIDERだ。

祐:何か、名前そのままでいけそうだな。って、やべっ!名雪達が出番が無かったから百花屋に連れ行ってとせがまれてたんだった!

作:モテル男はつらいですな。じゃ、締めますか。

作・祐:次回もこのチャンネルでよろしく!

 

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