【五月のある日の午後 都内山中】

 その日は絶好の行楽日和といった快晴だった。
だが、その場に居る人間の誰もが皆、浮かない顔で作業をしている。
それは、猟奇殺人事件の捜査だった。
昨晩、山中で謎の光が目撃され、捜査に向かった地元の警官達が何者かによって
一人残らず殺害されたのだった。
更にその手口が普通ではなかった。信じられないほどの力で殴り殺されているというのだ。
事件の異常性から捜査は地元の警察と、警視庁から派遣された人間が合同で行うことになった。
 捜査員の一人が、現場を見て回っている若い男に声を掛ける。
「鷹山警部、付近でおかしな洞窟を見つけたのですが、何か事件と関連があるかもしれません。こちらまで来て頂けますか?」
「ん? ああ、わかった。案内してくれるか?」
鷹山と呼ばれた男は数名の捜査員に先導され、事件現場から少し離れた場所へと歩いていった。
彼の名は鷹山遼一、彼はいわゆるキャリア組の一人であったが、刑事としての能力を評価され、若いながらも現場では常に第一線で活躍していた。

 遼一たちが着いた先には、つい最近空いたものと思われる巨大な穴が口を開けていた。
直径およそ10メートル近いいわば洞窟のような穴だった。
毒性のあるガスが湧き出している、といった気配は無いようだ。
彼らはしばらく相談した後、更に数名の警官を加えて洞窟の中を調査することにした。
洞窟の中に警官達を惨殺した猛獣が潜んでいるかもしれない。万が一の出来事に備えて拳銃の装備の確認をする。
しばらく進むとそこは広い空洞になっていた。数名の警官がライトを照らすと奥に祭壇のようなものが見え、棺のような物が奉られている。
更に周りを見渡すと、他にも棺のような物が見え、
さらに奥にはいくつかの別の部屋もあるようだ。
「遺跡ですか? 驚きましたね… こんな所にこんなものがあるなんて。」
と、捜査員の一人が漏らす。
一行はさらに歩を進め、フロアの中程までやって来た。
よく見るとその棺のどれもが、蓋が開いた状態になっている。
「(棺桶の蓋が開いている? では中にあった物はどうなったんだ?)」
遼一はその光景に本能的な恐怖を感じていた。
「中には何の気配も無さそうだな… 一旦引き返そう。」
彼らは中をぐるりと見回した後、いずれ専門家を交えて本格的な調査をする、と結論付け、一旦もと居た現場に戻ることにした。
 
 一行が洞窟の入り口付近に差し掛かった時、
「うわあああぁぁぁっっっ!!」
現場の方向で悲鳴が上がった。
すぐさま遼一たちが現場に駆けつけると、そこでは自らの正気を疑うような凄惨な光景が広がっていた。
犬と人間の中間の姿をしたような怪物が、その場に居た人間達を次々と襲っている。
警官達は銃で応戦をするが、あまりの突然の出来事に混乱し、上手く狙いを付けられない。
かろうじて命中した弾丸も、怪人の動きを一瞬止めただけでまるでダメージを与えられていない様子だ。
更には流れ弾が後ろにいた人間たちに命中してしまう。
死体の山が次々に出来上がり、現場はまさに地獄絵図と化していた。  
あまりの光景に、一緒に居た警官たちは声を出すことすら出来ない。
「奴は私が引き付ける! 君達は被害者の救護を!」
遼一は彼らにそう言い残すと一行とも怪人とも少し離れた所から犬怪人を狙撃した。
パァン!パァン!
二発撃った銃弾は怪人の後頭部と背中に命中するも、やはり大したダメージを与えられない。
しかし怪人はこちらに気付いたようだ。
「おい! こっちだ!」
遼一が犬怪人を誘導し、二人は山の奥へと消えていった。

 先程の現場からおよそ数百メートル程ほど離れた川原、そこへ遼一は犬怪人を誘導してきた。
「(よし、ここなら足場は悪いが奴に身を隠される事も無いだろう。)」
と、そのとき犬怪人がものすごい勢いで飛び掛かってきた。
「ヌグォォォォォォ!!!」
遼一は銃の狙いを定めて連射するが犬怪人の勢いは止まらない。
何とか犬怪人の頭上を飛び越えて着地する。
「(くっ! なんてバケモノだ!! せめて“あれ”があったら… こうなったら力を使うしかないっ!!)」
遼一は上着を脱ぎすてると、構えを取って全身に力を込める。
「んんっ!」
すると遼一の全身の筋肉が僅かに膨れ上がった。
更に目つきが鋭くなり、さながら猛獣の瞳のようだ。
そこへ犬怪人の爪が迫る。

 遼一はすかさずその攻撃を両腕で受け止めると、犬怪人の腹に膝蹴りを浴びせ、
さらにパンチで追い討ちを掛ける。
だが3発目のパンチが受け止められ、遼一は強烈な反撃の蹴りを食らい吹き飛ばされてしまった。
更に追い討ちを掛けるように怪人が遼一を踏みつける。
何とか体勢を変え犬怪人を蹴り飛ばし、遼一は立ちあがって間合いを取った。

 遼一は再び構えを取ると、先程と同様に全身に力を込めた。
「はあっ!!」
次の瞬間、遼一の体に更なる変化が訪れた。
まず瞳の色は真紅に変化し、同時に頭髪は銀色へと変化を遂げた。
その姿からはすさまじい殺気が放たれ、並の人間なら視線が合っただけで
金縛りに掛かってしまいそうな雰囲気を醸し出していた。
犬怪人は遼一の変化に少々うろたえている。
「よし…… 行くぞ……」
遼一と犬怪人の戦いが始まった。

 犬怪人の爪が横殴りに遼一の頭部を狙う。
だが遼一はそれを左腕で受け止めると、右手で強烈なボディブローを放った。
さらに回し蹴りで追い討ちを掛け、犬怪人を蹴り飛ばす。
しかし犬怪人はすぐさま立ち上がると、追って来る遼一めがけて飛び蹴りを放った。
ガードの上から吹き飛ばされる遼一。だがすぐに受身を取って立ちあがると
再び間合いを取って犬怪人を睨み付けた。
だがその視線の先に犬怪人はいない。
見上げると頭上に犬怪人が爪を振りかざして迫っていた。
遼一はかわし切れずに肩を僅かに切り裂かれてしまう。
蹴りで反撃するものの、かわされ逆に強烈な蹴りを食らってしまう遼一。
しかし続けざまに放たれた犬怪人の攻撃を屈み込んでかわすと、遼一はカウンターのパンチを浴びせた。
 
 遼一と犬怪人との戦いが始まってから既に20分余りが経過していた。
初めの内は互角に見えた戦いも、時が経つにつれ徐々にスタミナの差が現れて来ていた。
ダメージを受けているのは両者とも同じだが、人間の姿のまま遼一の身体は長時間の戦闘には向いていない。
それでも戦ってこられたのは、遼一の格闘技術と“力”による回復力に拠るところが大きい。
だが、それも限界に来ていた。犬怪人の腕力と回復力は遼一のそれをさらに上回っているのだ。
遼一の意識が朦朧としてよろめいたところを怪人の攻撃をまともに食らい、地面に叩き付けられてしまう。
遼一は絶体絶命の窮地に追い込まれていた。
「(これまで…か。)」
遼一が死を覚悟したその瞬間、遼一に耳に遠くから仲間達の声が聞こえてきた。
数名の警官達が応援に駆け付けて来てくれたのだ。
不意に犬怪人の注意が声のした方向に逸れる。
遼一はその瞬間を見逃さなかった。
がら空きになった犬怪人の胴に遼一の渾身の力を込めたジャンプキックが炸裂する。
キックをまともに食らい、川岸から中洲辺りまで飛ばされる犬怪人。
その場にがくりと膝を付く遼一。その頭髪、及び瞳の色はもう元に戻ってしまっている。
遼一の目にはその場から走り去る犬怪人の姿が見えたが、もうそれを追いかける力は残っていなかった。
「(やはり生身のこの体ではだめだ。すぐにでも腕輪を持ってこないと…)」
遼一の意識は、それきり薄れていった。

 遥か遠くの山の上からその戦いの一部始終を見ていた者がいた。
一人は若い二十歳前後の青年。
そしてもう一人は少し大人びた感じの中学生くらいの少女であった。
無言のまま静かにその場を立ち去る二人。
だがその顔には冷たい笑みが浮かんでいた。


仮面ライダーシュラ

第一話 『輝石』


【翌日、午前8時過ぎ・とあるマンションの一室】

 若い男が電話で誰かと話している。年の頃は20代前半であろうか。
この男の名は鷹山 啓治。フリーターである。
電話で話をしている相手は彼の兄、遼一であった。
「…わかった。今日は予定も無いし、これから出発すれば夕方までには行って帰って来られると思う。
…大丈夫だって、そんな軽率な事はしないって。
大体兄さんでも敵わない相手を俺がどうにかできる訳無いじゃないか。
…ああ、わかった、それじゃすぐに出発するよ。」
話を終えると、啓治は早速身支度に取りかかる。

 遼一は、犬怪人との戦いの後、警察病院に運び込まれていた。本来なら数日はベッドから起き上がれないほどの怪我なのだが、並の人間よりも遥かに優れた回復力のおかげで遼一の身体はもう普通に動き回れるまでになっていた。
上司や医者からは静養を強く勧められていたが、本人の強い希望により、念の為精密検査を受けたあと、職場に戻る事になっていた。

 「(…まさかあの腕輪が必要になるとは思わなかった。兄さんが戦った化け物って一体どんな奴なんだろうな。)」
そんな事を考えながら支度を終えると、啓治は部屋を後にしてマンションのバイク置き場に向かう。
啓治はそこから一台のバイクを引き出してきた。
啓治のバイクはオフロード車にオンロードタイヤを履かせた所謂ターミネーターと言うカテゴリーのバイクである。
エンジンがこっそり300ccのものに交換されている他は、特に目立った改造の施されていないごく普通の市販のバイクである。
啓治はエンジンを掛け、しばらく暖機した後バイクを発進させマンションを後にした。

 啓治が向かった先は、他県にある彼の実家である。
啓治は兄、遼一の頼みを受け、実家に代々伝わるという『奇蹟の腕輪』を取りに向かったのであった。
啓治はまだ詳しい話を知っている訳ではないが、何でもそれを身に付けた者は『破邪の戦士』となり、超人的な戦闘力を手に入れる事が出来るらしい。
別に啓治は今のままでも遼一と同じく相当な力を持っているのだが、その力もかつて彼らの先祖が奇蹟の腕輪を身につけた事による影響だというのだ。



【その日の午後・関越高速道路内某SA】
 
 啓治はレストハウスの食堂で遅めの昼食を取りながら、実家で腕輪を受け取った帰り際に母に言われた事を思い返していた。
『…それじゃあ、遼一の事をお願いね。もし、遼一にもしもの事があったら、お前が遼一を助けてやってね。
お前だって私や遼一と同じ、先祖代々受け継がれてきた“力”を持っているのだから…』
啓治は、母から預かってきた腕輪、所謂ブレスレットを取りだし、それを見つめながら物思いに耽っていた。
そのブレスレットは金属製のリングに無色透明の宝玉が埋め込まれているという物だったが材質まではわからない。
ただ、数百年、あるいはそれ以上の永い時を経たとは思えない程の不思議な輝きを放っていた
「(俺も、戦士になれるのか…?)」

 そんな時だった。表の駐車場の方で何やら悲鳴が上がったのは。
悲鳴、というよりも絶叫に近い叫び声、それも一人のものではない。
「(まさか例の化け物!?)」
啓治は状況を確認すべく、荷物を手に取ると表に出て物陰からから悲鳴の上がっている方向を見た。
「(やっぱり…)」
駐車場内で次々と人を襲っているのは、犬によく似た人型の怪物だった。
特徴が遼一の言っていたものと一致するので、恐らくこの怪物は遼一と戦ったものと同一の個体であろう。
犬怪人は、逃げ惑う人々を力任せに殴りつけ、車内に立て篭もる人をドアもろとも押し潰し、腰を抜かして動けなくなった人を踏みつけていた。

 長旅の疲れを癒すためのSAが一瞬にして絶望の悲鳴が木霊する怪物の狩猟場と化してしまった。
犬怪人は虐殺を続けながらも辺りをキョロキョロと見まわし、何かを探している様だった。
だが、啓治はそんな光景を目の当たりにしながらも、歯を食い縛り、拳を握り締め、その場に踏み止まっていた。
自分には力が無い事が、どうにも出来ないことが分かっていたから、啓治は動けなかった。
兄の遼一ですら勝てなかった敵に、戦闘力の劣る啓治が勝てる筈も無い。
ここでのこのこ出ていって犬怪人に殺され、さらに腕輪を奪われでもしたら取り返しのつかない事になる。

 「(しかしなぜ奴はここに現れたんだ…?)」
啓治は犬怪人がここに現れた理由を推測した。
犬怪人の最初に目撃された場所からこのSAまでの距離は決して近くは無い。
確かに偶然にしては出来すぎている。
と、そこで啓治は一つの結論に突き当たった
「(そうか、匂いだ! 奴は兄さんの匂いを追いかけて… それでよく似た匂いを持つ俺の所へ現れたのか。 だったら俺がここを離れればいいんだ。)」
啓治は自分のバイクを止めた場所の方を見る。しかしバイクは自分と犬怪人を挟んでちょうど反対側にあった。
このままバイクを取りにいけば間違い無く犬怪人に見つかってしまう。
とはいえ、このまま走って逃げられる筈も無い。奴は犬怪人なのだから、匂いを辿られてすぐに追いつかれてしまうだろう。
「(どうする…?)」 啓治は考えた。だが、その答はただ一つしか思い浮かばなかった。

 啓治は腕輪を手にして飛び出すと、近くの茂みに身を潜める。
だが、その姿がちょうど犬怪人の目に止まってしまった。犬怪人は啓治の隠れた茂みに一歩一歩ゆっくりと近づいていく。
犬怪人が啓治の隠れた場所まであと十数メートルの距離まで迫ったとき、突如として茂みの中から眩い光が発せられた。
「グ、ゴァガ!?」 あまりの眩しさに犬怪人の目が眩んでしまう。
そして、光の中からゆっくりと姿を現したのは、黒いアンダースーツと白いプロテクターに身を包んだ異形の怪人だった。

 胸には白色のブレストアーマー、両手には手甲とナックルガード、右手首には奇蹟の腕輪、左手首にも同じ形のブレスレットが装備されている。
両足には宝玉の埋め込まれた金色のアンクレット、腹部には一際大きな宝玉とそれを固定するベルト状のプロテクターが備わっている。
そして頭部のメットには牙の意匠のマスク、緑色に輝く大きな目、額の辺りから左右に開いた二本の金色の角、その中央にはやはり小さな宝玉が埋め込まれている。
プロテクターは金色のラインで縁取られ、全身に散りばめられた宝玉は全てエメラルドグリーンに輝いていた。

 犬怪人は、目の前の怪人を見て一言二言放つ。
「シ、シュラ?」
犬怪人が何か訳の分からない言葉を発している。だがその白い姿の怪人には『シュラ』という単語だけははっきりと聞き取れた。
白い怪人は自分の手足をまじまじと見つめている。
「(これが、俺? いや、破邪の戦士…)」
白い怪人、いや、破邪の戦士となった啓治は一通り自分の体の変化を確認すると、犬怪人を睨み付け、戦いの構えを取る。
「さあ、来い化け物。俺が相手になってやる!!」
しばらく呆然としていた犬怪人だったが、我に帰って間合いを取りながら啓治の様子を伺う。
二人の間に流れる一瞬の沈黙。
そして、どちらからともなく攻撃を仕掛けた。

 両者の拳と拳が交差する。そして犬怪人の腕が啓治の頭部めがけて振り上げられる。
啓治はその攻撃をかわすと、犬怪人の懐に潜り込み二度、三度とパンチを放つ。
更に追い討ちを掛ける様に前蹴りで突き飛ばし、犬怪人をその後ろにあった乗用車に叩きつけた。
激しい音を立てて乗用車のボディが大きく凹む。だが、犬怪人は体勢を立て直すと追ってきた啓治に掴みかかり、今度は逆に啓治を別の乗用車のフロントガラスに頭から突っ込ませた。
「ぬうわっ!」
車内に上半身を突っ込みながらボンネットの上にうつ伏せの形で倒れこむ啓治。
啓治はすぐさま両手をついて体を支えると、体を捻って反転させ、踵で犬怪人の顔面を蹴りとばした。
鼻っ面をまともに蹴られて、鼻を抑えて苦しがる犬怪人。
その隙に啓治は車内から脱出し、体に付着したガラスの破片を払い落とす。
そしてここぞとばかりに間合いを詰め、一気にラッシュを掛ける。
だが、何度目かの攻撃が受け止められ、啓治は手痛いカウンターの一撃を食らう。
思わぬ反撃を受け、仰け反る啓治に更に犬怪人の追い討ちの一撃が加えられた。
バランスを崩しその場に倒れこむ啓治。だが尻餅をつく寸前に体勢を立て直しバック転で間合いを取る。
そしてなおも追い討ちを掛けようとする犬怪人にパンチ、キックで応戦する。

 啓治は犬怪人と戦っているうちに、思いのほか破邪の戦士の戦闘力が低いことに違和感を覚えていた。
「(どういう事だ? あの犬のバケモノに力で負けているぞ。これが本当に破邪の戦士の実力なのか!?)」
だが、その疑問に答える者は誰もいない。

 ふと、遥か遠くから聞こえたサイレンの音が啓治の思考を遮った。
通報を受けた警察が駈けつけてきたのだろう。
組み合っているうちに、二人は何時の間にか警官隊に囲まれてしまっていた。
「二体か!? 通報では一体と聞いていたが、構わん、狙え!」
リーダーらしき中年の男の号令により、警官達の持つ拳銃の狙いが一斉に啓治達に向けられる。
「(な、何!? 俺もか?)」
と啓治が考えるのが早いか、警官達が一斉に発砲した。
鉛玉が直撃し、啓治の全身にチクチクとした軽い痛みが走る。
「(痛てて、何しやがんだこの警官ども!! 普段はロクに仕事しねえくせに!!)」
スーツとプロテクターで武装した体でも一斉に撃たれてはやっぱり少しは痛い。

 だが、それは犬怪人も同じ様だ。この状況は不利だと判断したのか、犬怪人は後ろを振り返ると脱兎の如く掛けだし、敷地の外へと逃げていった。
続いて啓治もその場から逃げ出し、男子トイレへと駆けこんだ。
「逃がすな! 追え!!」と男の叫びが聞こえるが、その時にはもう二人の姿は見えなくなっていた。

 啓治は男子トイレへと駆けこむと、まず窓を外して足元に下ろし、フェンスを強引に外し外へと放り投げた。
それから個室へと駆けこむ。啓治が(戻れ!)と念じると、すうっとその姿が人間のものへと戻っていった。
そして頃合を見計らって個室から出た…ところで啓治はいきなり数人の警官に囲まれて銃を突き付けられる。
「うわっ!? な、何なんですか!?」
啓治は思わず両手を上げ降参のポーズを取った。
「え? あ、も、申し訳ありません!!」
と、構えた銃を下ろすのが早いか、一人の警官が謝罪してきた。
「実は先程人を襲う二体の化け物が現れまして、その内の一体がここに逃げ込んだらしいのですが、何かお気づきになられませんでしたか?」
と、その警官が質問するが、啓治は何食わぬ顔で、
「いや、実は私もさっきの化け物騒ぎでここに隠れていたんですが…」
と、辺りを見まわしながら
「そう言えばさっきガシャン、という物音がしましたけど…」
先程自分で壊した窓を指差しながら、
「あ、あそこから逃げたんじゃないんですか?」
と、いかにも『自分は何も見てません』といった様子で答えた。

 警官達が窓の外を見まわすが、当然そこには何もいない。
「じゃ、すいません、私はこれで失礼します〜」
と、啓治はそそくさとその場を後にした。
啓治の右手首に、白い怪人の物と同じブレスレットがはめられていた事に気が付く者は、その場には誰一人としていなかった。

 啓治は茂みの中に置いてきた荷物を取ると、未だに騒ぎに包まれている駐車場内を横目にしながら自分のバイクの元へと向かう。
キーを挿し、エンジンを掛け、ヘルメットを被ってさあ発進、という所で不意にスーツ姿の男に呼び止められる。
「済みません、警察の者ですが、お話をお伺いしたい事がありまして、少々お時間を頂けませんか?」
そう言って警察手帳を見せた男は、先程警官隊を指揮していた男だ。
啓治は内心「(こいつは…)」と苦々しく思っていたが、それを表には出さず、「あなたは?」と聞き返した。
「あ、申し遅れました。私は警視庁の刑事で、沢田と申します。実は先程の怪物騒ぎで少しお話を伺いたいのですが…」と。
そこで啓治は、これ以上話をややこしくしない為にも、
「ええ、私はさっきまでトイレに隠れていたんです。ですから何があったのかは私にも分かりません。これから急ぎの用事があるのでこれで失礼します。」
と、話を強引に打ち切ると、バイクを発進させその場を後にした。
「あ、ちょっと!!」と、沢田が呼び止めようとするが、啓治はもう声の届かない場所まで離れてしまっていた。
ふと、沢田の脳裏に何か引っかかるものがあった。
「あの顔、どこかで…?」

 啓治は次のPAへと立ち寄り、公衆電話で遼一と連絡を取り、これまでの出来事を話した。
その上で、これからの事を相談していた。
そして、夕方は都内の道路が渋滞して到着する正確な時間が分からないことと、遼一もまだ仕事が残っていることを考慮して、午後九時に都内の某公園で待ち合わせをすることにした。
『じゃあな。道に迷うんじゃないぞ。』
そう言って遼一は電話を切った。
啓治はいつもの癖が出たな、と思い、苦笑した。
「(何で兄さんはこんなに心配性なんだろうな。いや、単に一言多いだけか?)」
啓治は遼一の待つ東京へと向かい、再びバイクを走らせた。


【都内某公園・8:52pm】

 遼一は啓治を待つため、約束の公園へとやって来た。
まだ約束の時間には少々早い様で、啓治の姿は無い。
「(来るのが早かったか? まあ少し待つか。)」
遼一は公園内をうろつきながら、啓治がやって来るのを待っていた。
その背後に遼一をじっと見つめる影があった。
その影は、さながら梟(フクロウ)を思わせる姿をしている。
その梟に似た怪人…梟怪人は足に生えた鋭い爪を剥き出しにして、遼一目掛けて音も無く舞い降りていった。

 遼一の背後から梟怪人の爪が迫る。だが遼一はその気配に気付いていない。
梟怪人の爪が寸前まで迫った時、ようやく遼一は背後から自分を襲おうとしている者の殺気に気がつく。
「上かっ!?」
遼一は後ろを振り返ることなく、素早く体を沈めて地面を転がった。梟怪人の爪が遼一の背中を掠めていく。だが、幸いにも遼一の体が傷付けられる事は無かった。
「(こいつは…、 また別の奴か!?)」
遼一はすぐさま起き上がると、梟怪人の方を向き、構えを取った。そして一気に力を解放し、赤い瞳に銀色の頭髪、戦いの姿へとその身を変化させた。
「(すぐに啓治が来てくれる筈だ。それまで持ちこたえる事が出来れば…)」

 遼一は一気に間合いを詰め、梟怪人の腹にパンチを叩きこむ。
二度、三度と立て続けにパンチを放つが、昨日の今日では身体は完全には回復しきってはおらず、梟怪人の身体をほんの少しだけしかよろめかせることしか出来ない。
梟怪人の身体が不意に浮かび上がり、その足で遼一を蹴り飛ばした。
梟怪人はよろける遼一の両肩をその両足で掴むと、遼一を空中へ持ち上げ、近くに生えていた木の幹に叩きつけた。
「ぐほあっ!!」
遼一は背中に強烈な衝撃を受け、そのまま地面へ向かって落下する。
何とか受身は取れたものの、遼一の身体は相当深刻なダメージを受けてしまっていた。
「くそっ、啓治はまだか!? もう俺の体が持たんぞ。」
約束の時間まではほんの数分間であった。しかし遼一にとってはその僅かな時間が気の遠くなるような長い時間に感じられていたのだ。
うつ伏せに倒れた遼一に、梟怪人がその鋭い爪を遼一の首筋を目掛けて真上から振り下ろそうとしていた。
だが、遼一はすんでのところで体を捻って爪の攻撃をかわし、その勢いを利用して立ちあがった。
とどめの一撃をかわされた梟怪人は怒りを露にしている。

 遼一は懐から拳銃を取り出すと、梟怪人に向けて弾丸を発射した。
ダメージを与える事は出来ないにしても、その動きを一時的に止める事は出来る筈だ。
そう思って遼一は弾丸を発射しながら梟怪人との距離を取った。
しかし、その考えは甘かった。梟怪人は銃弾を身体にまともに浴びながらも、低空飛行で遼一目掛けて突っ込んできたのだ。
遼一は梟怪人の体当たりを食らって跳ね飛ばされる。何とか踏みとどまり梟怪人にパンチを仕掛けようとするが、簡単にあしらわれて再び地面に叩き伏せられてしまう。
梟怪人は今度こそ遼一にとどめを刺すべく、再び空中に舞い上がった。
剥き出しの鋭い爪が、遼一に迫る。

 梟怪人の爪があとほんの少しの距離で遼一を捕らえる…という瞬間、何者かが横から飛び出してきて、梟怪人を突き飛ばした。
驚きの声を上げる遼一、そして梟怪人。
遼一はその者の正体を見極めるべく、体を起こして目を凝らした。
「そうか… 啓治、よかった… 間に合って…」
今しがた戦場に飛び込んで来た者の姿が公園の街頭に照らし出される。銀色の髪に赤い瞳、『力』を開放した啓治であった。

 啓治は梟怪人が動揺している今の瞬間を狙って一気に攻撃を仕掛ける。
さらに啓治は着ていた上着のジャケットを脱ぐと、それを梟怪人の顔面に叩き付ける様に被せた。
視界を遮られ、もがく様に暴れる梟怪人。
啓治はそんな梟怪人の隙を見計らってさらにラッシュを掛ける。
ふと、啓治の視界に『もえるごみ』と書かれた公園の屑篭が飛び込んできた。
何かを思いついた啓治は、未だ視界を遮られている梟怪人の背後に回りこみ腰に手を回すと、バックドロップの要領で梟怪人の身体を持ち上げて上半身を屑篭の中に押しこんだ。
啓治は梟怪人をその屑篭ごと抱え上げ、力の限り遠くへと放り投げる。
梟怪人と屑篭は横倒しになって地面を転がっていった。
啓治はその隙に遼一のもとへと駆け寄ると、遼一の体を支えながら近くの茂みへと身を隠した。

「何とか間に合ったみたいだな。」
啓治が遼一の姿を見て安堵の表情を浮かべる。
「もう少しで殺されるところだったぞ。まあ助かったがな。すまない。」
と、冗談ぽく苦笑を浮かべながら答える遼一。
「『腕輪』は持ってきてあるんだろう? 奴が来ないうちに早く渡してくれ。」
と、啓治に要求する遼一。だが、啓治はそれを首を振って「だめだよ。」と拒否する。
「な、何を言っているんだ!? まさかお前がやるというのか!? お前がわざわざ傷つくような真似をする事は無いんだぞ!! 戦いは俺に任せるんだ!!」
と遼一は強い口調で言うが、その言葉を啓治は頑なに拒否する。
「兄さんこそその身体じゃ戦えっこない。それに、俺にこれからも指を咥えて見ていろっていうのかい? 俺は母さんに兄さんを助けてやれと頼まれてきたんだ。」

 その頃、梟怪人がようやく屑篭から脱出した。
生身の人間如きにあのような無様な格好をさせられた事がよっぽど腹立たしいのか、その表情は怒りに燃えている。
梟怪人は辺りを見まわすと、すぐに啓治達を発見した。例え星の光ほどの僅かな光量でも、梟怪人の目には真昼の明るさの如く映るのだ。
梟怪人は二人の隠れた茂みにゆっくりと足を進めていく…

 啓治は遼一の目を真剣な眼差しで見詰めながら強い口調で言葉を続ける。
「いつまでもあんな奴らの好き勝手にさせておけるか!! 俺にも『力』がある、戦えるんだ! だから…俺に任せてくれ。」
遼一は啓治のその射抜くような視線の奥にある決意を感じ取り、少しの沈黙のあと、首を縦に振った。
それは、了承の合図だった。
「わかった… お前に任せよう。だが、決して無謀な戦い方はするな。自分の力量がわからない奴は自滅するだけだ。」
啓治は短く頷くと、腕輪を右手首にはめ、茂みを飛び出した。
こちらに梟怪人が迫っていたが、啓治は臆する事も無く、のしのしと梟怪人に向かって歩いていく。
「見ていてくれよ… 俺の、戦い!!」

『装身!!』
啓治が叫んだその瞬間、腕輪に埋め込まれた宝玉が緑色の輝きを放つ。
その光は啓治の全身を包み込み、目も眩むほどの光量となって辺りを照らす。
その光の中で、啓治の衣服は黒いアンダースーツへと変化し、その上を金色の縁のついた緑色のブレストアーマー、ベルト、手甲、ブレスレット、ナックルガード、アンクレットが覆っていく。
そして啓治の頭部をまるで鬼の角のような二本の角、緑色に輝く大きな目、牙の意匠の口のマスクマスクが覆う。
全身に散りばめられた宝玉は一際強いエメラルドグリーンの輝きを放っていた。

「(貴様は…)シュラ!? (なぜこの時代に居る!?)」
梟怪人が戦士の姿となった啓治の姿を見て何かを叫んでいた。
それは日本語ではないらしく啓治の耳では聞き取ることが出来なかった。
しかし、啓治には梟怪人の言わんとしている事が本能的に理解出来た。
「(シュラ… そうか『修羅』か。悪くない名前だ。)」
犬怪人も啓治を見て『シュラ』と言っていた。恐らくこの戦士の名前なのだろう。

 戦士の姿を見た遼一の脳裏に思い浮かんだのは、幼い頃にTVで見た正義のヒーローであった。
「あれは、仮面、ライダー…」
遼一は無意識のうちにそのヒーローの名を口にしていた。

 「さあ、来い。破邪の戦士、『シュラ』の真の力を見せてやる! 」
シュラがそう言うと、梟怪人はシュラ目掛けて突進してきた。
「(やるなら、やってやる!!)」
梟怪人は両手の爪を振りかざしてシュラに襲いかかる。
だが、シュラは梟怪人の両手を掴んでその突進を止めた。
そして互いの両手を組み合い、力比べの体勢を取る。
その力比べを制したのはシュラであった。
シュラは手を組み合ったまま梟怪人の頭を挟み込み、頭突きを放った。
二度、三度と頭突きを繰り返し、四度目の頭突きで梟怪人とシュラの組み合った手が離れ、梟怪人は頭を抱え込む様に抑えて後ろに仰け反る。
そして、がら空きになった梟怪人の胴にシュラの強烈なパンチが炸裂した。
今度は頭と腹を抑えてその場にうずくまろうとする梟怪人。
だが、シュラはそれを許さず、梟怪人の上半身に前蹴りを浴びせて蹴り飛ばした。
 
「(凄い…! これが、破邪の戦士の、シュラの真の力か。)」
啓治は、シュラのあまりの戦闘力に言い知れぬ驚きを覚えていた。
それもそのはず、SAで犬怪人と戦ったときの白いシュラと比べたら、この緑のシュラは比較にならない程の攻撃力を持っているのだ。

 と、その時シュラの後方から爪を振り上げて迫ってくる影があった。
犬怪人がまたしても遼一や啓治を追ってやってきたのだ。
シュラが気付いた様子は無い。
遼一がその光景を目の当たりにして(危ない!!)と心の中で叫ぶが、それは声にはならなかった。
犬怪人の爪がシュラの首筋目掛けて振り下ろされようとしたその時、シュラはまるで最初から気付いていたかの様に体を捻って犬怪人の攻撃をかわすと、軽めのキックを浴びせて犬怪人を突き飛ばした。
犬怪人はバランスを崩し、地面を転がる。

 先程シュラに蹴り飛ばされた梟怪人は、ようやく立ちあがって再びシュラの目の前にやって来た。
続いて犬怪人も立ちあがる。
二体の怪人は互いに顔を見合わせると、再びシュラの方を向き嫌らしい薄ら笑いを浮かべた。
どうやら仲間を得たことにより形勢が逆転したと思ったのだろう。
数の上ではシュラのほうが不利だ。
だが、シュラはそんな二体の怪人を前にしながらも、全く臆することなく、
「なめるなよ、ザコ共が!」
と、自信に満ち溢れた声で言い放った。

 その言葉を理解しているのかしていないのか、二体の怪人は怒り狂った様にシュラに向かって突進していく。
だが、シュラは軽くジャンプして難なく怪人達の頭上を飛び越えた。
攻撃をかわされた怪人達が振りかえる前に、シュラはまず梟怪人の方へ向かって行き、殴り飛ばす。
続いて犬怪人に掴みかかると首相撲の体勢を取り、膝蹴りを連続して叩きこんだ。
そして犬怪人から離れると、腹を抑えている犬怪人にとどめの一撃とばかりに飛び膝蹴りを浴びせた。
がら空きになった顔面にシュラの飛び膝蹴りが決まり、犬怪人は仰向けに倒れ込んでしまう。

 シュラが着地したそこへ梟怪人が低空飛行で飛びかかってきた。
「うおっと!!」
さすがにかわし切れずに爪の一撃を食らってしまう。
だが、とっさに防御の体勢を取ったおかげでダメージを最小限に抑えることが出来た。
なおもシュラの頭上から飛びかかってくる梟怪人を、シュラはジャンプキックで迎撃する。
シュラのキックが胸に当たり、梟怪人はバランスを崩して墜落した。
梟怪人に駆け寄るシュラの背後から、犬怪人がまたしても爪を振りかざして襲いかかる。
だがシュラは今度は振りかえる事もなく犬怪人の鼻っ面に裏拳を浴びせ、
「うせろ!!」と言い放った。
「ギャイン!!」
シュラの強さと、その気迫に押されたのか、犬怪人は怯えた声を上げてその場から逃げ去ってしまう。
「あっ! このやろっ!!」
シュラが追おうとするが、犬怪人の足は思いのほか速く、すでに追いつけない距離まで離れていってしまっていた。

 シュラは追うのを諦め梟怪人の方を見る。
すると梟怪人もまた空を飛んで逃げようとしていた。
「逃がすか!!」
シュラは空中にいる梟怪人の足に飛びつくと、自らの身体を揺らして梟怪人をそれ以上上空に行かせまいとする。
シュラは近くにあった木の幹に足でしがみつくと、そこを支点にして梟怪人を振り回し、隣の木の幹に叩きつけた。
まっ逆さまに転落し、地面に仰向けに叩きつけられる梟怪人。
その背中に、地上に降りてきたシュラが飛び乗る。
シュラは梟怪人の両の翼を鷲掴みにし、翼の付け根、つまり背中の中央に片足をかけると、背筋力を利用して一気に梟怪人の翼を二枚とも引き千切った。
「グギャアァ!!」という悲鳴と共に、梟怪人の背中から真っ赤な鮮血が流れる。
シュラは梟怪人の背中から足をどかすと、もぎ取った翼を無造作に投げ捨てた。
梟怪人は立ち上がり、「(バ、バケモンだあ!!)」というような意味の言葉を口走りながら一目散に逃げていく。
だが、梟怪人の足の形は鳥のそれに近いため、走るスピードは遅い。

 シュラは梟怪人の方を向くと、陸上競技のスタンディングスタートのような体勢を取る。
すると右手のブレスレットの宝玉が、より強い輝きを放つ。
それと同時に右足のアンクレットに埋め込まれた宝玉も緑色の輝きを増した。
そして梟怪人目掛けて猛烈な勢いで駆けだし、一気に距離を詰める。
一定の間合いまで達したところで低くジャンプ、梟怪人に向かって真っ直ぐ突き出された右足が、アンクレットの宝玉を中心に光に包まれる。
大砲の如き威力のキックが、梟怪人の背中を直撃した。
前につんのめり、うつ伏せの体制のまま地面を滑っていく梟怪人。
地面との摩擦熱により白い煙が沸き上がっているのが見える。
梟怪人の身体は数十メートルほど滑ったところでようやく止まるが、それきりピクリとも動かない。
一瞬の沈黙。そして、梟怪人の背中、シュラのキックが当たった場所に“死”の文字が現れると、その直後に梟怪人の身体は爆発して木っ端微塵に砕け散った。
「(な、何なんだ今のは…?)」
シュラは梟怪人の身体に今起きた変化の理由を考えようとしたが、検証の仕様も無いのですぐに考えるのをやめた。

シュラがふう、と息をつくと、その姿が元の啓治のものへと戻っていく。
そんな啓治の後ろから遼一が駆けより、祝福の声を掛ける。
「やったな、啓治。見せてもらったぞ、お前の戦い。」
「ああ、楽勝だ。」
二人は互いに歩み寄ると、笑顔を浮かべてサムズアップを交わした。



仮面ライダーシュラ 第1話『輝石』 完



次回予告

ついに『シュラ』の力を手にした啓治。
だが、その前に立ちはだかる障害は、未確認生命体と呼ばれる怪人達だけではなかった。

「なんだと!? 何で俺まで化け物扱いなんだ!!」
シュラを未確認生命体二号とし、攻撃目標に加えようとする警察。

「しまった!? 食パンの一枚でも食っときゃ良かった!」
戦闘中に啓治を襲う極度の空腹。

そして、シュラの身体に更なる変化が訪れる。
「スピードやジャンプ力が増す代わりに、パンチ力や防御力が弱くなってしまうのか…」

次回 仮面ライダーシュラ第2話 『舞闘』




後書き

こんにちは。私の初めてのSSがついに完成いたしました。
『クウガ』のストーリーをモチーフにしながら、コンセプトは『もし五代君でない人間が力を手にしたら』というものなのですが如何でしたでしょうか?
お見苦しい点も多数あるかと思いますが、楽しんで頂けたら幸いです。
勢いだけで始めてしまったこのSS、これがまた書いても書いても夏休みの感想文の宿題の如く全然終わりません。いつもいつもこのSSの文章量より遥かに多く、また読み手を飽きさせない文章をコンスタントに書き上げていらっしゃるDO−DO様には全く敬服するばかりであります。
最後に、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。




登場人物+α紹介


鷹山 啓治 (22)

本編の主人公。割と自由奔放な性格で、ちょっと強引なところもある。兄の遼一を上手く言い包めて奇蹟の腕輪の所有権を得る。定職にも付いていないのになぜか結構金を持っていたりする。(正義の味方にはふさわしくない発言もちらほら。彼は本当に仮面ライダーになれるのでしょうか?)


鷹山 遼一 (25)

啓治の兄。啓治とは違い生真面目な性格で、ちょっと頑固なところと、心配性なところがある。啓治に腕輪の所有権を譲り渡したものの、啓治を上回る身体能力と、警部という立場を利用して啓治の戦いをサポートしていくことになる。(つまりやたらに腕っ節の強い一条さんです。)


鷹山 美由紀 (46)

啓治達の母。息子や夫と離れ、姪(啓治達とは従妹にあたる)と二人で暮らしている。根は優しいが、ちょっとぶっきらぼうなところもある。啓治との会話の中で、『力』を持っている事を示唆していたが、その能力は不明。(とにかく凄い母さんです。彼女の真の実力は…)


沢田 (38)

警視庁の刑事。遼一の同僚でもあり、階級は遼一と同じ警部。(ポスト杉田さん?)



仮面ライダーシュラ

啓治が奇蹟の腕輪を身に付ける事によって変身した『破邪の戦士』。人間を遥かに上回るの戦闘力を持ち、破邪の力で怪人達を爆死させる能力がある。しかし、肉体の強度が不充分な者が腕輪を身に付け力を使おうとすると、身体が腕輪の力に耐えきれずに死に至る。(ベルトじゃなくて、ブレスレットです。一応ベルト状の装身具は付けましたが…)

 
 基本形態 ベーシックフォーム (未熟の白)

啓治が初めて変身した姿。気合や腕輪のエネルギーが不充分だとこの姿になる。
啓治の言葉通り、弱い。(いわゆる、まっさらな状態です。)


 完成形態 マイティーフォーム (万能の緑)

啓治が十分な気合を持って変身した、破邪の戦士本来の姿。二体の怪人を『ザコ』とこき下ろし、軽くあしらえるほどの実力を持つ。最もバランスの取れた形態。必殺技は砲撃の如き威力を誇るカノンキック。(マイティの名だけは譲れませんでした。それとカノンキックはKanonじゃないです。カノン砲のCannonです。)


啓治のバイク T‐250改

オフロードバイクの車体にオンロードバイクの足回りを持つ市販のバイク。300ccのエンジンに(不正に)交換してある。他の仮面ライダーのスーパーマシンの様には変形はしない。最高速は170〜180キロくらい?(モデルは存在します。実在のバイクです。)



怪人達

山奥からある日突然蘇ってきた謎の怪人集団。暴力による殺人を快楽とし、拳銃も通用しない肉体と、人間を一撃で仕留められる程の腕力を持つ。(まあ、そういう連中です。『業魔』と呼ばせたいのですが、果たしてその機会はあるのか…)


 犬怪人  ド・ドグマ

最初に出てきた怪人。嗅覚に優れ、数百キロ離れた場所からでも獲物を追跡する事が可能。戦い方は牙や爪による格闘戦を得意とする。遼一、白のシュラ、緑のシュラと一話で三度も戦って三度とも逃げ出すという珍しい怪人。元来臆病な性格で、その為他の怪人達からは最弱の怪人として認知されている。(彼はこれから何度か登場します。ゴオマ君のように少しは強くなってくれるといいのですが。)


 梟怪人  ド・アラン

緑のシュラの最初の相手。全く音を立てずに滑空することが可能で、後ろから獲物に近づき足で鷲づかみにし、叩きつけて殺害する。しかし、格闘能力は低く緑のシュラには為す術無く倒されてしまった。その際に自分の事を棚に上げてシュラの事を『化け物』と表現したとんでもない奴。(シュラの強さを表現する為だけに用意されたただのザコです。)



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