<喫茶店ホワイト 14:53PM>
(……だんだん日課になってきたな……ここに来るのが)
ここのウエイトレスの長森瑞佳からコーヒーを渡され、広本昇太はふと思った。
祐が未確認生命体第3号・カノンとわかって以来、昇太は暇があればここに訪れるようになった。
また、城西大学に行き美坂香里の古代文字の解読を手伝う事も日課となっている。
現在祐はN県の方へ出かけており、今はいない。
「……そういえば香里さんは?」
「えっと……確か関東医大病院に行くって言ってたかな?」
「病院に?」
「うん、友人のお見舞いだって言ってたと思うけど……」
瑞佳もはっきりとは聞いてないようだ。
実際、昇太も関東医大病院は行った事があり、そこの主治医の霧島聖とも面識がある。
(ちょっと行ってみるか……奴等が出なきゃ特に何もないし)
奴等とは未確認生命体。
昇太もエニミートカノンとして、影ながら戦っている。
そのことを知るのは、今は誰もいない。

<関東医大病院 15:50PM>
看護婦さんに病室を教えてもらい、昇太は701号室へ歩く。
(もし、俺の身体を見たら聖さんは何て言うだろうか……)
何となくそんな考えが浮かぶ。
「!!」
その時、鈍い音がして昇太は立ち止まる。
(何だ……今の音?それにこの感じ……)
何故か嫌な予感がして、昇太は走り出した。
それは未確認生命体の物とは違ったが、それ以上の力を感じた。
701号室に着いた時、昇太が見たのは……。
「……」
病室の前で唖然としたまま立ち尽くしている水瀬秋子の姿があった。

仮面ライダーソルン
Episode.3「大任」

<関東医大病院 15:56PM>
その後、香里と会い、秋子から先程の出来事を聞く。
「じゃあ……あの相沢君は偽者だったの!?」
「ええ、そうゆう事になります……」
香里は驚きを隠せず、秋子はどこか張り詰めたような表情をしている。
「あの……」
昇太が口を開く。
「何ですか?」
「……もしよければ教えてくれませんか?相沢祐一とゆう人の事を……」
「……そうね、あなたには言ってなかったわね、相沢君の事を」
そう言いながら、香里は昇太の方を向く。
「広本君……5年前、N県で怪人が現れた事件は知ってるわよね?」
「はい、確かそこで灰色のカノンが現れたとゆう話を聞きましたが……」
「そう、その灰色のカノンは……相沢君が変身した姿なのよ」
「!!」
その言葉に昇太は驚愕の表情を現す。
「だけど……最後に黒いカノンになって……怪人を倒した後……炎の中に消えてしまったの」
「そうでしたか……でも何でその偽者が来たのでしょうか?」
「それは……私にもわかりません」
そう言う秋子の表情は固かった。
「……とりあえず俺は戻ります。また何かあったら教えて下さい」
昇太はそう言って、部屋を出た。
(あの人……)
秋子は何かを感じながら、昇太の後ろ姿を見つめていた。

<某県立大学考古学室 17:34PM>
「一体未確認生命体は何体いるんだ……?」
未確認関連のニュースを見て、石山洋介は溜め息を漏らす。
「なんだか、まだ出てきそうな気がします」
そう言いながら、木下雅美がコーヒーを持ってくる。
あれから2人は5年前の事件について色々と調べていたが、さらに多くの謎が出てしまい、これといった成果は出ていない。
「それにあいつは何処にいるんだ……」
さらに昇太の行方も、未だ掴めていない。
「くそっ……」
悔しそうに歯噛みしながら、洋介はコーヒーを口に運ぶ。
その時、携帯の着信音が部屋に響いた。
「あっ」
雅美は素早く取り出し、通話ボタンを押す。
「はい……あっ、この間はありがとうございました……はい……えっ!?」
突然、雅美は驚きの声を上げた。
「本当ですか!?……は、はい、わかりました。こちらで調べてみます……はい、お願いします……では」
雅美は、通話を切るなり洋介の方を向いた。
「どうしたんだ?」
「今、知り合いの刑事さんからなんですけど……東京で広本さんらしい人を見たって……」
「本当か!?」
洋介は思わず椅子から立ちあがる。
それと同時に、部屋のドアが勢い良く開く。
「……本当なの?」
そこにいたのは、深見彩だった。
「本当に広本君がいるの!?」
「深見、落ち着けって」
洋介はそう言いながら彩をなだめる。
「本当かどうかはわかりません……」
さっきの彩の剣幕に圧倒されたのか、雅美の口調がやや戸惑っている。
「とにかく、行って確かめるしかないか」
「はい……」
洋介は両手を腰に当て、雅美は小さく頷いた。
「深見も行くか?」
「うん!」
彩は洋介の言葉に強く頷いた。

<都内某所・とある廃ビル 21:53PM>
僅かな灯りの中で、数人の影が浮かんでいる。
「カノンバ・ゼヲアリ・ヅヌ」
「ギャヅマダ・リサガマ?」
小柄な体格の男の言葉に、複数の腕輪を付けた男が答える。
「ヴァヌデシェ・マリ?ボガミソ・リヅモン」
そこに、首輪をした女性が口を挟む。
「カノンソジョギガ?ランマギャシュ・ロデモ・シェギカ・マリ」
腕輪の男は、自信満々に言う。
「マヲマダ・ノデン・ニギョルセリニシェ・ギャヅナ!」
さらにそう言い、腕輪の男は立ちあがり、出て行った。
その姿を、長髪の男は黙ったまま見ていた。

<喫茶店ホワイト 9:34AM>
「ほんとに日課になったな……」
ホワイトの前まで来て、昇太は呟いていた。
「まあいいか、コーヒーでも頂こう」
昇太は目の前のドアを開ける。
カウベルの音が響き、奥の方から足音が聞こえて来る。
「あっ、広本さん」
「おはようございます、佳乃さん」
そこから姿を現したのはもう1人のウエイトレス、霧島佳乃だ。
「あれ、その袋は?」
昇太は、そう言いながら佳乃の手にぶら下がっている袋を見る。
「これ?実はさっき香里さんから電話があって……」
「朝食の配達ですね。何なら俺が行きましょうか?」
「えっ?でも、お客にそんな事は……」
「いいんですよ、後で香里さんの所に行こうと思ってましたし」
「……そう、じゃあ、お願いね」
昇太は軽く頷くと、バイクを取りに戻って行った。
数分後、バイクに乗った昇太は佳乃から袋を受け取り、城西大学へと走り出した。

<城西大学考古学研究室 9:56AM>
「ふぅ……」
パソコンの画面を見て、香里は息を着く。
最近は古代文字の解読が思うように捗らず、成果が出ていない。
香里はコーヒーを飲もうと、席を立つ。
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
「開いてるわよ」
香里の声の後、ドアがゆっくりと開く。
「失礼します……」
そう言いながら、1人の青年が入って来た。
歳は香里と同じくらいで、落ち着いた雰囲気を持っている。
「えっと……」
青年はきょろきょろと辺りを見回す。
「ここに……中津川先生とゆう方がいると聞いて来たんですが……」
「ごめんね、あの人なら少し前からどこかに行っちゃったの」
「そうですか……では、また日を改めます」
青年は軽く頭を下げると、部屋を出て行った。
昇太が来たのは、それから数分後だった。
「そうそう、広本君」
「はい?」
「これから病院の方に行ってもらえないかしら?」
「病院って、関東医大ですか?」
「そこしかないじゃない」
香里はさも当然の事のように言う。
「……昨日の事でですか?」
「そうよ、だから見張っていて欲しいの」
「それはいいですけど……俺は祐さんみたいな事は出来ませんよ?」
昇太は肩をすくめながら香里を見る。
この言葉は昇太の本心だった。
祐と同じように変身は出来ても、カノンとは全く異なった力を持った者。
カノンと同じような事は出来ないのである。
「それでも、人は多い方がいいわよ」
もちろん香里はそんな事は知らないので、普通に言ってくる。
「……わかりました」
そう言い、昇太は病院へと向かった。

<関東医大病院 10:32AM>
「何か今日はたらい回しだな……俺」
エレベーターの中で、昇太は溜め息混じりに呟く。
「それにしても……相沢さんの偽者が何をしにここに来たんだ……?」
昇太は腕を組みながら、エレベーターを降りる。
そして701号室へと歩き出した。
「あの……」
その途中、後ろから声がして昇太は振り向く。
「えっと……水瀬……秋子さんですよね?」
「はい、そうです」
秋子はそう言って頭を下げる。
「今日はどうしたのですか?」
「香里さんから頼まれましてね……昨日の事があったので」
昇太は軽く苦笑いを浮かべるが、すぐに表情を変えた。
「ご苦労様です」
秋子は笑みを浮かべながら昇太をねぎらう。
「所で、広本さん」
「はい?」
「少し……話したい事があるんですけど……」
そう言いながら、秋子は回りを見る。
「……わかりました、何処にします?」
「屋上にしましょう」
秋子はそう言い、歩き出した。
昇太も秋子の後を追う。

<東京駅前 同時刻>
「着いたか……」
駅を出て、洋介は辺りを見回す。
それに続いて、雅美と彩が駅から出て来た。
「ここに……広本君がいるのね」
「はい」
彩の強い言葉に、雅美は少し引き気味になっていた。
「それで、何処から探すんだ?」
地図を見ながら洋介が尋ねる。
昇太を見かけたと言っても、はっきりとした居場所までは突き止められてない。
だから、地道に探すしか方法は無いのだ。
「まずはこの辺りから探すしかありません」
「そうだな……よし、行くか」
洋介達は改めて地図を見直し、皇居の方へと歩き出した。

<関東医大病院屋上 10:44AM>
秋子に続いて、昇太は屋上へ出る。
2人以外誰もいる気配はない。
「それで……話って何ですか?」
昇太の言葉に、秋子は振り替える。
「……広本さん」
秋子の表情が変わる。
いつもの優しい表情が消え、目付きが鋭くなる。
それを見て、昇太はやや引き気味になる。
「貴方は……何者なの?」
「何者……?」
その言葉の意味が分らず、昇太は顔を顰める。
「じゃあ……こうすればいいですか?」
秋子はそう言うと、ゆっくりと目を閉じる。
それと同時に何かの力が発生し、目を閉じている秋子の周りに渦巻いていく。
「!?」
力を感じ取った昇太は1歩後ろに下がる。
(この力……昨日の……まさかっ!?)
そして秋子の目がカッと開く。
その瞳は金色の光に覆われていた。
「!?」
突然、何かが昇太の頬をかすめる。
(これは……!?)
昇太は全く動けずにいた。
「貴方から闇を感じるの……貴方は一体……」
秋子は油断なく昇太を見ている。
昇太は『闇』とゆう言葉が出て、はっとする。
(……仕方ないか)
昇太は覚悟を決め、意識を集中する。
すると、昇太の腰から生体的な形をしたベルトが浮かび上がった。
そしてベルトから発する黒い光が昇太を包み、エニミートカノンへと姿を変えた。
「それが……貴方の闇?」
「……」
秋子の言葉に、エニミートカノンはゆっくりと頷く。
そしてエニミートカノンが、昇太の姿に戻る。
「秋子さん……この事は……」
「わかってます、誰にも言いません。その代わり私の事も誰にも言わないで下さい」
「はい」
昇太はゆっくりと、そして強く頷く。
「それとごめんなさい……私は、貴方を疑ってました」
「疑ってた?」
「はい……貴方から闇の力を感じた時、昨日の仲間かもしれないと思って……」
「そうでしたか……」
ようやく昇太は納得した。
秋子がそう思うのも無理はないだろう。
あんな出来事の後に、闇の力を持っている者を見たのだから。
仲間と思っても仕方のない事だ。
「秋子さん、また何かあったら言って下さい。俺も出来る限り力になります」
「はい……お願いします」
そう言って秋子は深々と頭を下げる。
「!?」
その時、突然昇太の視界が歪む。
昇太は意識を保ち、じっと目を凝らす。
すると、目の前に蛸に似た姿が映し出された。
「広本さん?」
突然の様子に、秋子は戸惑いながら声を掛ける。
昇太はゆっくりと秋子を見る。
「すいません……俺、行かなきゃ!」
そう言うなり、昇太は屋上のドアを開けて中へと入って行った。
「祐さんの代わりになれなくても……俺がやらなきゃ……」

<都内某所 11:33AM>
どさっ、と血飛沫を上げながら人が倒れる。
「クックックッ……」
それを笑いながら見下ろしている者がいる。
コアラの姿をした未確認生命体、ゴラダ・ボカパである。
「ナシェ・シュジモ・レソモバ・ジョゴガマ?」
そう呟き、辺りを見回すゴラダ・ボカパ。
「シシュゲ・シャ」
ゴラダ・ボカパは血に濡れた爪を舐め上げ、近づいていく。
そこにいたのは、先程中津川を訪ねて来た青年だった。
ある程度の距離を取った瞬間、ゴラダ・ボカパが青年に飛び掛かった。
青年に向かって、鋭い爪が振り下ろされる。

<千代田区内某所 11:57AM>
「ふぅ……」
缶ジュースを飲み干し、洋介は溜め息を着く。
あれから洋介達は昇太を探したが、手掛かりが少なすぎるため全く収穫がない。
「広本君……」
特に彩は不安を抱いていた。
もしかして昇太は既に未確認生命体に殺されてしまったのではないか?
そんな考えが頭から離れない。
(何処にいるの……?お願い……出て来てよ……)
声にならない叫びが彩の中で響く。
「悩んでても仕方ない、探そう」
「そうですね」
「うん……」
洋介の声に2人は頷き歩き出した。
しかし、洋介達は気付かなかった。
すぐ隣の道路で昇太のバイクが通過したのを……。
昇太自身も洋介達がいる事に気付かなかった。
再び、彼らとの距離が遠くなってなってしまった。

<都内某所 12:08PM>
「あっ……あっ……」
小さな女の子を抱きかかえたまま、女性は後ずさっている。
その原因は、目の前にいる人で無い者が近寄っているからだ。
「ジョシィダン・ナギミ・ゴドヌガマ?」
鞭のような腕を振るいながら、蛸の姿をしたサジャゴ・ガカパは女性と女の子を見る。
女性は脅えながらも、子供を守ろうと震えている足を動かす。
「サラリリガ・ジョルネ・ニムジャゲ・ジャニ」
そう言うと、サジャゴ・ガカパは腕の鞭を回し、女性に向かって突くように放つ。
「っ!?」
しかし女性は足を滑らせ、地面を転がった。
そのおかげか、女性も女の子も鞭に当たらなかった。
「チッ、バウニガシャ・ジャザシュジバ!」
サジャゴ・ガカパは反対の腕の鞭を振るい、再び女性に放った。
しかし当たる瞬間、女性と女の子の姿が消えた。
「マミッ!?」
驚きの声を上げながら、辺りを見回すサジャゴ・ガカパ。
「ジョゴジャ!?ジェシェゴリ!」
そう叫ぶと、目の前の木から何者かが姿を現す。
それはエニミートカノンだった。
「ロサレバ・カノンソジョギ!サッシェジャオ!」
姿を見るなり、楽しそうな声になるサジャゴ・ガカパ。
腕の鞭を地面に叩き、挑みかかる体制となる。
「ロサレバ・ゴモ・サジャゴ・ガカパザ・ゴドヌ!」
そう言ってエニミートカノンに跳び掛かった。
腕の鞭を振り回し、叩き付けるように振るう。
エニミートカノンは咄嗟に後ろに跳び、それをかわす。
そして素早く距離を詰め、パンチを叩き込む。
たまらずよろけるサジャゴ・ガカパ。
しかし体制を立て直し、突くように鞭を放つ。
その鞭はエニミートカノンの左腕に巻かれる。
「グッ!?」
エニミートカノンはそれを外そうとするが、吸盤で強く吸い付けられてしまい、外せない。
その様子にサジャゴ・ガカパはニヤリと笑うと、腕を大きく振り出した。
エニミートカノンは宙を舞い、地面に叩き付けられる。
さらにサジャゴ・ガカパは何度も腕を振り、エニミートカノンを叩き付ける。
「ジョルニシャ?ソル・ロギャヂ・マモガ?」
余裕の表情でサジャゴ・ガカパは攻撃を繰り返す。
しかし次に腕を振り上げた瞬間、エニミートカノンは右腕の刃を振り、鞭を斬った。
「!?」
サジャゴ・ガカパは体制を崩される。
そこにエニミートカノンが跳び掛かり、鋭いパンチを放つ。
大きく吹き飛ばされ、地面を転がるサジャゴ・ガカパ。
「クッ!ノモ・バ・イャサジャマ!」
そう言って立ち上がると、今度は刃のある右腕を狙って鞭を放つ。
「グォォォォォッ!!」
しかしエニミートカノンは鞭を掴み、雄叫びを上げながら引っ張った。
体制を崩され、引き寄せられるサジャゴ・ガカパ。
「ガァッ!」
鋭い声と共に、サジャゴ・ガカパにキックを放つ。
サジャゴ・ガカパは吹っ飛ばされるが、腕を掴まれているので途中でぴんと腕が伸び、そこで留まる。
その瞬間エニミートカノンは腕を引き、黒い刃を構える。
「グノッ!ゴル・マッシャダ」
しかし黒い刃を振る瞬間、サジャゴ・ガカパの口から黒い霧状の物が吐かれる。
「!?」
咄嗟の事でエニミートカノンは体制を崩し、鞭を掴んでいた手を放してしまった。
辺りを黒く包む霧はエニミートカノンの視界を完全に遮っている。
「……」
エニミートカノンは再び黒い刃を構え、地面に叩き付ける。
すると小さな爆発が起こり、黒い霧を吹き飛ばす。
やがて、霧が無くなり視界が戻る。
「グッ!?」
その刹那、強い衝撃を受けエニミートカノンは大きく吹っ飛ばされた。
エニミートカノンは地面を転がるが、その反動で素早く立ち上がり辺りを見回す。
しかし、その時にはもうサジャゴ・ガカパの姿は無くなっていた。

<都内某所 12:49PM>
「ハァ……ハァ……ハァ……」
荒い呼吸を繰り返しながら、サジャゴ・ガカパはよろけながら歩いていた。
その腹部には切り裂かれたような傷跡が残っている。
先程の戦いでサジャゴ・ガカパは墨を吐いてエニミートカノンの攻撃を防ごうとしたが、刃は前に出ていたのでその攻撃を受けていたのだ。
「カノンソジョギ……シュジゴノバ・ロサレン・ゴドヌ!」
そう言った時、前方の曲がり角に人影らしき物が映った。
「シィョルジョ・リリ」
サジャゴ・ガカパは体制を立て直し、全身に力を入れる。
すると、腹部の傷がみるみる塞がっていく。
それが済むとサジャゴ・ガカパは人影に向かって歩き出す。
見た所、人影は2つ程あった。
ゆっくりとサジャゴ・ガカパは角を曲がる。
「!?」
しかし、サジャゴ・ガカパは驚愕の反応を表した。
目の前では、ゴラダ・ボカパが何者かとの戦いを繰り広げていた。
しかし、明らかにゴラダ・ボカパの方が押されている。
相手の姿は黒い身体に赤い目をしている事しかわからなかった。
「グッ……グノッ!」
ゴラダ・ボカパに焦りの表情が浮かぶ。
黒い姿をした者は、無言のままゴラダ・ボカパに跳びかかった。
ゴラダ・ボカパも反撃しようと構えを取り、パンチを放った。
しかしそのパンチはかわされ、相手のパンチが自らの腹部を貫いていた。
「マッ……マニッ!?」
驚く間もなく、黒い者はゴラダ・ボカパを蹴り飛ばした。
壁に叩き付けられ、地面に落ちるゴラダ・ボカパ。
そしてゴラダ・ボカパの身体が爆発した。
黒い者はしばらく立ち尽くしていたが、ゆっくりと振り向く。
「まだいたか……」
そう言いながら振り向いた先には、サジャゴ・ガカパが立っていた。
黒い者はゆっくりとサジャゴ・ガカパに近づく。
「リリジャ・ドル・ゴモ・サジャゴ・ガカパザ・ゴドニシェ・ギャヅ!」
サジャゴ・ガカパは鞭を振り、黒い者に突き刺すように放った。
黒い者はそれを手で軽々と弾くと、サジャゴ・ガカパに走り寄る。
慌ててサジャゴ・ガカパはもう片方の鞭を放つが、それも弾かれてしまった。
「グッ……」
迫って来る黒い者に恐怖感を覚えながら、墨を吐き出した。
墨が黒い者を包み、視界を消す。
しかし急な殺気を感じ、振り向く。
「!?」
そこには墨で動きを止めた筈の黒い者が歩み寄っていた。
サジャゴ・ガカパは必死な表情で家を縦横に振るう。
しかし数秒後……それも終わった。
そこに残ったのは、爆発で残った炎だけだった。

<東京駅 17:42PM>
「駄目だったか……」
新幹線を待ちながら、洋介は肩を落とす。
結局昇太を見つけられないまま、帰る事となった。
「仕方ないですよ……情報も少なかったのですから」
そんな洋介の肩に手を置き、雅美はなだめるように言う。
「……俺よりもあいつをなだめた方がいいんじゃないか?」
「さっきそうしたのですけど……」
2人は彩の方を向く。
彩はずっと俯いたままだった。
昇太が見つからず、彼女の胸には再び不安が渦巻いていた。
(広本君……出てきてよぅ……)
泣いてはいないものの、身体が震えていた。
そんな彩をなだめながら3人は新幹線に乗り込んだ。

Episode.3「大任」Closed.
To be continued next Episode. by MaskedRiderSorun


次回予告
祐は祐一としての記憶を取り戻す。
しかしその変身した姿はまやかしの姿だった。
住人「どうしちまったんだよ……祐の字!」
瑞佳「祐さん……大丈夫だよね?」
悲しみを知り、新たな決意を胸に刻む。
昇太「それに資格なんてありません」
香里「じゃあ話は聞いたわね?」
さらに激しくなる戦い!
そして現れた深緑の粛聖者とは!?。
???「汝の魂に……幸いあれ」
次回、仮面ライダーソルン「降臨」
運命からは逃れられない……。



設定資料

ゴラダ・ボカパ

コアラの姿をした未確認生命体。
鋭い爪で相手を引き裂く攻撃を好む。
しかしゼースをしている最中、突然現れた黒い者に倒される。

サジャゴ・ガカパ

蛸に似た未確認生命体。
吸盤の付いた触手を鞭の要領で敵を捕え、相手を締め上げる。
また、墨を吐いて相手の視界を奪う事も可能。
エニミートカノンから逃げている最中、黒い者に戦いを挑むが逆に返り討ちに遭い爆死。

本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
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