<東京駅 8:11AM>
「久しぶりだな……」
東京駅を出て昇太は呟く。
あの戦いの後、昇太は多くの怪人の力を感じ取り東京へ向かった。
また、昨日ニュースで自分が死んだと言う事も知った。
(あいつらは今頃どうしてるかな……?)
そう思いながら歩く。
その時、横断歩道で1人の青年とすれ違う。
(!)
僅かな違和感を感じ、立ち止まる。
(何だ……今のは?)
しかし、気のせいだと思いそのまま歩き出す。
昇太は知らない……。
彼もまた、戦士であること。
そして、この先戦士として出会う事を。

仮面ライダーソルン
Episode.2「意志」


<昇太のアパート 9:02AM>
「これで全部かな……」
荷物を整理し終えてソファーに座る。
彼は東京に来る前に以前のアパートを出ていた。
当分の間はここにいるだろうと思ったからだ。
「さて……」
しばらくして立ち上がり、上着を羽織る。
「喫茶店とか近くにあるかな?」
そう呟きながら部屋を出る。

<喫茶店ホワイト 9:28AM>
「あったあった」
喫茶店を見つけ、昇太は少し安心した。
「空いてるよな……」
開店してるのを確認してドアを開ける。
カランカランとカウベルが店内に響く。
カウベルの音に気付き、1人の女性が出迎えに来た。
「いらっしゃ───」
客を見た時、女性の声が止まる。
「浩平……?」
「えっ……?」
女性の言葉に昇太は思わず驚きを現す。
「あっ……」
女性はその客が、浩平と言う人では無い事に気付いたようだ。
「すっ、すいません!知り合いに顔が似ていたので……その……」
「いいですよ、気にしなくて」
昇太はのほほんとした顔で女性に言う。
僅かに感じた女性の悲しみに気付きながら……。
「はっ、はい……あっ、こちらへどうぞ」
そう言って昇太をカウンター席に薦めた。
その近くにはウェーブのかかった女性が座っていた。
「ご注文は?」
この店のマスターらしい中年の男性がカウンター越しに聞いてくる。
「じゃあ……コーヒーの濃いやつを」
「ハイな。瑞佳、コーヒーの濃いやつで」
マスターは後ろにいる瑞佳に言う。
「……」
差し出された水を飲みながら、昇太は瑞佳を見ていた。
先程感じられた悲しみの表情が何故か気になっていた
「はい、お待たせしました。喫茶ホワイト特製コーヒー、濃いバージョンです」
瑞佳はカウンターからコップを昇太の前に置く。
「さっきはすいませんでした……いきなりあんな事を言っちゃって……」
「気にしないでください、誰かに似ているってゆうのはたまにありますから」
昇太はそう言ってコーヒーを口に運ぶ。
「あら、あんな事って何かしら?瑞佳さん」
その時、近くにいた女性が瑞佳に話し掛けた。
「えっ!?そっ、それは……その……」
女性の言葉に瑞佳は戸惑っている。
「ねえあなた、瑞佳さんは何て言ったの?」
その女性は、昇太の方を向く。
「えっと……俺がこ───」
「わっ、わっ!言っちゃだめだよ!」
瑞佳は頬を染めながら、昇太の言葉を遮る。
「おしかったわ……もう少しで聞けそうだったのに」
女性はそう呟きながら、目の前のサンドイッチに手を伸ばす。
「……ところであなたも城西大学の?」
急に女性は昇太に話し掛ける。
「いえ……静岡の大学からここに来て、今は……フリーターのようなモンです」
コーヒーを口にしながら昇太は言う。
「引っ越して来たの?」
何時の間にか瑞佳も話に加わる。
「ええ……ちょっと訳ありで……」
瑞佳の質問に昇太は言葉を濁す。
怪人を追ってきたなんて言える訳がないから。
「一応、そこで考古学をやってました」
「あら、そうなの」
昇太の言葉に、女性は少し驚いたような声を出す。
「何だか……あなたとは始めて会った気がしないわ」
「俺もそんな感じがします」
「うん、私もそう思うよ」
3人とも何時の間にか会話が弾んでいた。
「私は長森瑞佳だよ」
「あたしは美坂香里よ」
「俺は広本昇太です、えっと……長森さんに美坂さん?」
他人行儀のような言い方に、瑞佳と香里は小さく笑っていた。
「香里でいいわよ」
「私も瑞佳でいいよ」
「わかりました、瑞佳さん、香里さん」
「よろしくね、広本君」
「またいつでもここに来てね、広本さん」
挨拶を交わす3人。
「そういえば……あの人は?」
昇太はそう言うと、庭で水を撒いている青年に目を向ける
その時瑞佳の表情が僅かに曇る。
「あの人は……祐さんって言うんだけど……」
「記憶喪失なの」
香里も説明に加わった。
それから昇太は2人から祐の事を聞いた。
半年ほど前にマスターがN県の山の中で倒れていた事。
焼け残った免許証から、『祐』としか解らなかった事。
「そうですか……」
昇太は半年前とN県の言葉に反応しながら頷いた。
その後、コーヒーの代金をテーブルに置く。
(また昼にでも来ようかな?)
昇太は出る前に少し祐の姿を見てからドアを開けた。
同じベルトを持つ者……。
2人が共に戦える日は来るのだろうか。

<某県立大学考古学室 10:41AM>
「本当か!?それは?」
雅美の話を聞いて声を上げる洋介。
「はい……知り合いの刑事さんから聞きました」
雅美はそう言い椅子に腰掛ける。
「殺害された11人の中に広本さんに当てはまる人が1人もいないんです」
「じゃあ……あのニュースは?」
「多分……残っていた広本さんのバックがたまたま他の人の側にあったのでその人が広本さんだと勘違いしたんだと思います」
それを聞いて洋介は顔を顰める。
「なんだ、ただの早とちりかよ……それじゃあ広本は何処に?」
「遺跡に大きな穴が空いていました……広本さんはたぶんそこに……」
「そこはどうなってるんだ?」
「崖になっています……」
洋介はそうかと呟く。
「とにかく、広本はまだ生きてる可能性はある訳だ」
「はい」
「あいつはそんなヤワな奴じゃない……そう簡単に死ぬ訳ない」
「そ、そうですよね……きっと生きてますよね!」
と自分に言い聞かせる2人。
「全く……バックがあったからって広本が死んだとおも……あれ?」
言いかけて疑問を感じた洋介。
「洋介さん?」
「雅美……あいつのバックにベルトは残っていたか?」
「いえ……現場にも残っていませんでした」
雅美はそう言いながら首を横に振る。
「広本が持ってたのか……?」
何故かベルトが気になる洋介。
「雅美……5年前、N県で起きた事件を調べよう。あの事件に関係あるかもしれない」
「はい!」
強く答える雅美。
互いに頷いた2人はすぐに調べ始めた。

<某県立大学屋上 同時刻>
同じ頃、屋上に1人の女性が佇んでいる。
「広本君……」
それは彩だった。
昇太が死んだと言われて以来、彩は元気を無くしている。
彩はまだ雅美から昇太の遺体が発見されてない事を聞いていない
「何でだろうね……何でこんなに胸がざわざわするんだろうね……?」
誰に言うのでもなく、彩は呟く。
彩はその理由がわからないまま、空を見上げていた。

<喫茶店ホワイト 3:10PM>
「随分掛っちまったな……」
ホワイトの前まで来て、昇太は軽く溜め息を漏らす。
彼はこの辺りの地形を覚えようと歩き回っていたが、途中で道に迷ってしまったのだ。
「我ながら情けないな……」
そうぼやいた時、見知った顔を見た。
「あれ、瑞佳さん」
「あっ、広本さん……今来たんですか?」
「はい」
「よかった……アレ……食べてないんだね」
瑞佳は何故か安堵の息を着く。
「アレって何ですか?」
「いいの、いいの!こっちの話だよ」
そう言い昇太を中へ入れようとした時───
「きゃっ……」
「ご免、瑞佳さん!!」
突然、祐が飛び出してきてガレージに止めてあったバイクに乗ると、すぐさま走って行った。
「何なんだ……?」
昇太は訳が分からずその場に立ち尽くしていた。
そして数十秒後……。
突然香里が店の中から出てくる。
「香里さん、待って!私も行く!!」
さらに瑞佳も出てきて、香里の後を追う。
「何かあったのか……?」
そう思った時。
「!?」
急に彼の視界が歪む。
(な……何だ……?この感じ)
そして、歪んだ視界に何かが映し出される。
それは蜥蜴のような姿をしていた。
(……こっち……か)
深く息をすると、昇太は走り出した。
祐達とは違う方向へ……。

<都内某所 3:38PM>
多くの倉庫が並ぶ場所……。
そこを歩いている怪人。
蜥蜴のような姿をした怪人、ショガゼ・バフェの見ている方には病院が見える。
「ラノゴ・ミバ……ギョヴァッシャ・ビサンザ・シャグナヲ・リヅ」
そう呟きながら爪を舐める。
「ゴゴジェ……リッギミ───」
言いかけた言葉が止まる。
何かを感じ、ショガゼ・バフェは振り向く。
そこにいたのは、昇太だった。
「はぁ……はぁ……」
昇太は荒い呼吸を繰り返しながら、ショガゼ・バフェを見る。
「マヲジャ・ギナサ?」
そう言いながら一歩前に出るショガゼ・バフェ。
(さっきの奴は……こいつか)
「シィョルジョ・リリ・ロサレン・ナリニョモ・レソモミ・ニギョル」
ショガゼ・バフェは余裕の表情を浮かべ、ゆっくりと昇太に歩み寄る。
昇太は未だ、荒い呼吸を繰り返している。
その表情もかなり苦しそうであった。
(駄目だ……もう……)
その時、彼の体からベルトが現れる。
しかし、それは金属質の物ではなく生体的な形をしていた。
ベルトの中央から黒い光が放たれ、昇太を包んで行く。
やがて昇太の全身が真っ黒に覆われ、変化し始める。
全身の筋肉が膨れ上がり、ベルトの中央が赤く光り出す。
さらに頭部から2本の触覚が飛び出し、右腕からも刃のような物が現れる。
そして、黒い光が消える。
その中から現れた者は、人とは呼べない姿をしていた。
全身は分厚い灰色の筋肉で覆われ、その上にはいくつもの筋肉の筋や血管が浮かび上がっている。
目は赤く覆われ、口には荒々しい牙がむき出しになって生えている。
額には2本の触覚、そして右腕には4本の刃が備わる。
それは、カノンが生体化した姿。
昇太は闇に支配されたカノン・エニミートカノンへと姿を変えた。
「カノン!?……リギャ、ギャシュバ・シィーシャモ・ショゴドミ・リヅバウジャ……マ、マミソモ
ジャ!?」
ショガゼ・バフェは変化した彼の姿を見て、思わずうろたえる。
「サ、サラリリ……ジャデジェ・ラドルショ……ゴドヌジャゲジャ!!」
ショガゼ・バフェは腕を振り上げ、エニミートカノンに飛び掛かる。
エニミートカノンはその腕を受け止め、空いた手でアッパーカットを叩き込む。
さらにそのまま頭突きでショガゼ・バフェを突き飛ばす。
ショガゼ・バフェは頭を押さえながら立ち上がる。
「ゴ、ゴモ……シィョルニミ・モヅマ!!」
体制を立て直したショガゼ・バフェは両手の爪を伸ばした。
伸びた爪は1m程の長さとなり、鋭い鎌のような形となる。
爪を振り上げ、ショガゼ・バフェは再び飛び掛かる。
「ニメ!カノンソジョギザッ!!」
ショガゼ・バフェは叫びながら爪を振り下ろす。
「ゴオオオォォォ……」
エニミートカノンは低く唸り、右腕の刃を構える。
「ガァァァァッ!」
叫び声と共にその刃でショガゼ・バフェの両腕を凪ぎ切る。
「ギャアアアアアァァァァッ!!」
腕を切られ、苦痛の叫びを上げるショガゼ・バフェ。
「ガアアァァァァァッ!!」
エニミートカノンは素早く間合いを詰める。
右腕の刃が黒い光に包まれ、黒い刃がショガゼ・バフェの体を切り裂く!
「マ、マヲマヲジャ……?カノンソジョギザ……ゴデボジョモ・シィガダン……?」
切り裂かれた所から古代文字が浮かび上がる。
「グッ……ガッ……ギ……ナ……サ……」
何かを言い掛けた時、ショガゼ・バフェは爆破され、体が四方向に飛び散った。
そしてエニミートカノンが昇太の姿に戻る。
「今のは……?」
昇太は爆発で残った炎を見る。
「俺が……やったのか?」
その言葉に答える者はいない。
「……どうなっちまったんだ……俺の身体は……」

<喫茶ホワイト 16:51PM>
カランカランとカウベルが鳴る。
「あっ、広本さん」
「どうも、さっきの祐さんが気になってな……」
「今、部屋で寝てる」
と、カウンター席にいた黒ずくめの男が口を挟む。
「あなたは……刑事さんですか?」
「ああ……俺は国崎住人」
「広本昇太です」
互いに自己紹介する2人。
「祐さんに何かあったんですか?」
「わからん……俺は倒れていたから運んだだけだ」
「瑞佳さんは?」
そう言って瑞佳の方を向く。
「その……私にもよくわからないよ」
瑞佳は首を横に振る。
「……そうですか」
昇太はそれ以上言わなかった。

<廃虚となった建物 16:24PM>
今はもう使われていない建物に数人の人が集まっている。
「ショガゼザ・ギャダデシャ・ノルジャマ」
やたらと髪が長い男が腕を組みながら言う。
「ギャッシャ・モバ……カノンガ?」
「リギャ、ジョルギャダ・シィザル・ギョルジャ」
「マヲジャショ?」
紫の服を着ている男が驚きの声を上げる。
「ノデミ、ラモ・アインジェソ・マリダニリ」
「イャア……ジャデザ?」
小柄な体格をした男がサングラスをした男に聞く。
「ラリシュガソ・ニデマリ……」
首輪をした女性が口を開ける。
「ラリシュ?」
「ヴァデダン・ルダジッシャ……ラモ・ロショゴギョ」
「ラリシュガ……」
紫服の男が思い出したように言う。
「ガモルネリバ・ラヅマ」
小柄な男が同意する。
「ショヂラレウ……シシュゲシャダ・ゴドネ」
そう言って長髪の男はその建物から出ていった。

<喫茶ホワイト 10:25AM>
ホワイトの近くまで来た時、昇太は立ち止まる。
「あれは……瑞佳さんと祐さん?」
昇太が見たのは、祐の腕を取って、外へ出る瑞佳の姿があった。
そして外に出るなり祐に振り替える。
何か言ったようだが聞こえなかったので少し近づいた。
「昨日、見たの。祐さんが未確認生命体って言うのと戦っているのを。何で?どうして祐さんは変身できるの?どうしてあいつらと戦うの?」
「!?」
その言葉に反応する昇太。
(じゃあ、あの時急いでいたのは……奴等を感じ取ったから?)
「私、心配だよ……祐さん、いつかあの怪人と一緒になっちゃうんじゃないかって」
涙で滲んだ目で瑞佳は言う。
「俺は既に一緒だけどな……」
誰に言うのでもなく昇太は呟く。
「……瑞佳さん、俺が変身できるようになったのは偶然なんだ。諏訪湖であの怪人達に襲われた時、何か
ベルトのようなものを見つけて……」
(あの時か……祐さんがカノンになったのは)
「瑞佳さん、瑞佳さんは明日が来ないって考えたことあります?」
突然祐がそう言ったので瑞佳はとまどったような表情を見せた。
「ありませんよね。何気ない日常を送っていたら明日が来ないなんてことはない。そりゃ、事故とかで死んでしまうことがあるかもしれないけど、普通なら誰にだって明日は来ます。奴らは・・・未確認生命体とか呼ばれている奴らは……何の罪もない人の明日を平気で奪っているんです。それを
……止める力が俺には ある。だから俺は戦うんです」
そう言う祐を見る昇太は悲しそうだった。
「俺だって……誰かを救いたいから戦うんだ……例え……怪人と呼ばれても」
「待て!」
声がした方を振り替えるとそこには一台の軽トラックが止まっており、その運転席から中年の男性が降りてきた。
「───祐の字、諏訪湖で見たあの白い奴はお前だったんだな」
不機嫌そうに祐に向かって言う中年男性。
(何だ……あの人は?)
「───だったらこいつを使え。それじゃあの怪人には追いつけない」
昇太も彼の指した方を見る。
そこに乗っているの見た事も無い形をしたバイクだった。
「うおっ……いいバイクじゃん……」
思わず声が出る。
その後、祐はそのバイクに乗り、飛び出した。
「祐さん……」
祐の後ろ姿を見つめる瑞佳。
「大丈夫ですよ」
『!?』
昇太の声に思わず振り替える2人。
「広本さん!?」
「すいません……近くまで来た時、祐さんと話しているのが聞こえて……それで……」
「聞いてたのは俺だけじゃなかったか」
「広本さん……この事は……」
「わかってます、他言はしません」
「うん……」
瑞佳はゆっくりと頷く。
「所で、お前は?」
中年男性が昇太の方を向く。
「俺は広本昇太です」
「この人は本坂さんだよ」
と紹介する瑞佳。
「!?」
その時、昇太の顔が真っ青に染まり出した。
「広本さん!?」
「すいません……俺、行かなきゃ」
と言って昇太は祐とは違う方向に走り出す。
「広本さん……?」
2人はそのまま昇太の後ろ姿を見つめていた。

<都内某所 11:23AM>
「はあっ……はあっ……はあっ……」
人気の無い道を必死に走っている女性がいる。
いや、逃げていると言った方がいいだろう。
「!?」
逃げている女性の目の前に立ち塞がる。
「ミゼシェソ・スジャジャ……ロショマニグ・ニメ」
ヤママユのような姿をした怪人、サーギュ・ゴフェはそう言ってすっと右手を上げる。
「いっ……いやっ……」
女性はただ、恐怖に脅える事しかできない。
サーギュ・ゴフェはニヤリと笑い、右手を振り下ろす。
その瞬間、サーギュ・ゴフェの視界から女性の姿が消えた。
「!?」
いや、女性が消えたのではなく、サーギュ・ゴフェが飛ばされていた。
「ジャデジャッ!?ロデモ・イャサン・ヌヅギャシュバ!」
サーギュ・ゴフェは、起き上がりながら目の前にいる者を睨み付ける。
そこにいたのは、エニミートカノンだった。
「カ、カノン!?。リ、リギャ……ノヲマバウバ・マリ。ゴヲマ・カノンバ・シシャゴショザ・マリ……」
その姿に思わずうろたえるサーギュ・ゴフェ。
「ひっ!?」
そしてそれを見た女性は悲鳴に近い声を上げ、逃げるように走り出した。
「!?」
逃げる女性を見てエニミートカノンは、はっとした表情になる。
今、昇太としての意識を取り戻した。
さらに、そこには自らの姿を映した鏡が置かれていた。
エニミートカノンは今、自分がどんな姿をしているのかがわかった。
それと同時に、何故自分の姿を見て女性は逃げたのかも……。
「……」
エニミートカノンはサーギュ・ゴフェの方に向き、右腕の刃を構える。
「ウオオオオオオオオオォォォォォォォッ!!!!」
そして雄叫びを上げながら突っ込んでいく。
その声は怒りなのか、それとも悲しみなのか。
それが分かる者は、今は誰もいない……。
沸き上がる感情を込めた黒い刃は、サーギュ・ゴフェの体を確実に切り裂いた。
切り裂いた部分から古代文字が浮かび上がり、サーギュ・ゴフェは爆発した。
「……」
エニミートカノンの姿が昇太に戻る。
その目は、悲しみの色に染まっていた。
自分は怪人と同じ様に扱われた。
自分はもう人には戻れない。
この戦いで、昇太の心に大きな傷を負った。
「それでも……救いたいんだ」
昇太はそう呟き、立ち去って行く。
その目からは、悲しみが消えていた。

<??? ??:??PM>
人気のない廃工場から、1人の青年が姿を現す。
近くに停めてあったオフロードバイクの前で、その青年の足が止まる。
(奴等の敵とは違う……何か別の組織が動き始めたのか?)
青年はしばらく思考を巡らしていた後、バイクに跨りヘルメットを被る。
「とにかく、用心しないとな……」
そう呟くと、青年は走り去って行く。
青年が出てきた廃工場の中には、人の物とは呼べない何者かの腕が転がっていた。

Episode.2「意志」Closed.
To be continued next Episode. by MaskedRiderSorun


次回予告
祐がN県に言っている間も、未確認生命体の動きは止まらない。
香里「あの相沢君は偽者だったの!?」
洋介「何処にいるんだ……」
洋介達は昇太を探しに東京へと向かう。
すれ違う事に気付かぬまま。
秋子「……何者なの?」
そう言う秋子の前にいる者とは!?
昇太「俺がやらなきゃ……」
祐の代わりに立ち向かって行く昇太。
その中で何かが動き始める……。
???「まだいたか……」
次回、仮面ライダーソルン「大任」
運命からは逃れられない……。



設定資料

エニミートカノン

カノン(昇太)が第0号の闇の力を受けて変化したカノンの突然変異体。
カノンの体がそのまま生命体になり、皮膚は灰色で覆われている。
本来なら無差別に殺人を繰り返す悪魔と化していたが、昇太の意志がそれを無くした。
必殺技は右腕の4本の刃で敵を斬るハイスライサー。

ショガゼ・バフェ

蜥蜴のような姿をした未確認生命体。
自らの爪を1m程伸ばし、敵を斬る事が出来る。
しかし、この爪の切れ味は鈍い。

サーギュ・ゴフェ

山繭のような姿をした未確認生命体。
飛行能力を持つが、あまり速くない。
また、羽を広げ相手を威嚇する事が出来るが、特に効果はない。

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