カノン・相沢祐一が炎の中に消えてから4年……
あの一件以来、N県の遺跡の調査が進んでいる。
その中で……過酷な運命を背負った青年が運命を乗り越え戦士へと甦る。
『救いたい』という意志を持って……。

仮面ライダーソルン
Episode.1「運命」

<某県立大学考古学室 0:37PM>
「あれから4年か……」
「あれからって……何がだ?」
N県の遺跡がテレビ写っているのを見て青年が呟く。
「ほら、N県に謎の怪人が現れただろ?」
「あっそっか……もうそんな経つんだな……」
「ああ、その割には大した結果は出てないそうだぜ」
しばらく話をしてた時、ドアが開く音がした。
「あっここにいたんですね、広本さん、洋介さん」
そう行って入る女性。
「どうしたんだ?木下さん」
そう答える青年・広本昇太。
「仕事か?」
もう一人の青年は、石山洋介
「はい、何でもあの遺跡の調査をしてくれって……」
そして入ってきた女性は、木下雅美。
3人は考古学部で、遥か古代の研究を行っている。
「ついにウチにも来たか」
そう言って立ち上がる洋介。
「それでいつ?」
「明日行ってくれって」
「急だな……」
「仕方ないさ」
昇太は溜め息混じりに言う。
「あの遺跡に関してはまだ謎が多い……どのグループが先に結果を出すか争ってるようなモンだから
な……まっ、こっちもやるからには全力で解明しようじゃねぇか」
昇太は立ち上がる。
「おう、そうと決まれば明日の対策を練ろう」
「はい!」
そして3人は部屋を出る。
この先の運命を左右する場所へ向かう為に……。

<昇太のアパート 21:33PM>
「えっと……これはこっちで……これは……」
昇太は明日の調査に必要な物を整理している。
「ふぅ……こんなもんかな」
道具を全てバックに入れ、机に置く。
その時、携帯電話の着信音が鳴る。
「はい……広本ですが」
『あっ、広本君?』
電話からは、女性の声がした。
「深見さん……どうしたんだ?」
『雅美から聞いたよ、明日……あの遺跡に行くって』
彼女は深見彩。
雅美の友人で考古学部ではないが、よく昇太達の手伝をしている。
「ああ、深見さんも行くのか?」
『ううん、明日はちょっと都合が悪くて……』
昇太はそうかと言い、椅子に座る。
『でも大丈夫なの?あの遺跡って怪人が現れた所でしょ?』
「なに、もう4年も前の話だ。問題ないって」
『そう……』
「どうした?」
『……ううん、何でもない……じゃあ明日、頑張ってね』
そう言って、電話が切れる。
「……?」
昇太は頭の中に引っ掛かりを感じながら、部屋を出た。

<N県遺跡発掘現場 9:47AM>
彼らが着いた頃には既にいくつかのグループが集まっていた。
「ちっと来るのが遅かったかな?」
「まあいいさ、焦んなくても」
そう言って空いてる所に荷物を置く昇太。
「それじゃあ俺と雅美で古代文字を撮って来るから、広本はここで頼む」
「はいはい、早く行ってきな。邪魔者はここで掘ってるから」
「ひ、広本さん!」
頬を染め、やや慌てた口調の雅美。
「と、とりあえず行くぞ!」
「は、はい!」
洋介と雅美はカメラを持って足早に遺跡の奥へと歩く。
「何度やってもからかいがいがあるね〜」
そう呟きながら昇太も作業を始める。

「色々ありますね……」
カメラのシャッターを押しながら、雅美は呟く。
「ああ、何か象形文字に似てる様だが……」
洋介も文字を見ながら言う。
「ん?」
その時、洋介の手が止まる。
「どうしました?」
「いや、これなんだが……」
そう言って洋介は雅美に1つの文字を指す。
「これは……?」
「今見て思ったんだが……この文字、何か誰かの顔っぽく見えないか?」
「……言われてみればそうですね」
雅美も首をかしげる。
「古代の人の顔でしょうか?」
「かもな……さて、次行くか」
「はい」
2人は更に別の場所へと足を運ぶ。

しばらくして、2人は昇太の所に戻る。
「おっ、どうだった?」
2人に気付き、昇太は振り向く。
「結構たくさん撮れました」
「そっちはどうだ?」
「こっちは一筋縄じゃいかねえみたいだ……これといった物が全然出ない」
そう言って昇太は壁を見る。
「じゃあ場所を変えますか?」
「いや、もうちょいやらせてくれ」
昇太は壁に手を当てる。
「!?」
その時、彼の頭の中で何かが駆け抜けた。
ベルトを身に纏った青年が白き戦士へと変わる姿。
そしてそのベルト───。
「広本!」
洋介の声で彼の意識が現実に戻される。
「どうしたんだ?ぼ〜っとしてたぞ」
「いや……何でも無い」
昇太は頭を振る。
(何なんだ?……今のは)
そう思いながらさっき触れた壁を見る。
(……もしかして!)
昇太は何かを感じ取ったかのように作業を始める。
「広本……?」
「広本さん……?」
洋介と雅美は唖然としたまま昇太を見ていた。

1時間程経って昇太の動きが止まる。
「……あった」
「えっ?」
「見てみろ」
と言って昇太が出した物────。
それは石で出来たベルトだった。
「やったじゃねえか!」
「すごいです!」
思わず声を上げる2人。
しかしそのベルトは昇太の頭の中に映し出された物と全く同じ物だった。
(何故……俺はこれを見たんだ……?)
昇太はその事しか考えてなかった。

<半年後・某県立大学考古学室 3:46PM>
それから半年が過ぎた……。
「カノン……ビサン……ヌヴァラグ……か」
やっと解読出来た言葉を見て洋介は思わず溜め息を漏らす。
「……今まで頑張って、やっと解読したのはたった3つの言葉だけ……」
「それに……その言葉の意味も全く分かりません……」
隣に座っていた雅美もお手上げ状態だった。
「悪い、遅れた」
その時、昇太が入ってきた。
「……どうした?2人とも」
お手上げ状態の2人を見て昇太は少々驚いてた。
「……ついさっき3つだけだけど……文字が解読出来たんだ」
「本当か!」
昇太はそれを見る。
「カノン、ビサン、ヌヴァラグ……」
「何を表してるのでしょう?」
雅美も覗き込む。
「たぶん……人の名前……もしくは民族だな」
『えっ?』
いきなり答えを出した昇太に驚く2人。
「どうした?」
「いや……どっからその考えが出るんだ?」
「考えって言ってもカノンしか証明できないが……」
昇太は古代文字が映っている写真を出す。
「このカノンって文字、結構いろんな所にあっただろ?ここから考えられるのは物や人の名前だ。だけ
ど発見されたベルトから推測すると、人や民族の名前の可能性が高いって所だ」
「ではビサンとヌヴァラグは……?」
「たぶんカノンと何らかの関係を持つ人か民族だろう」
敵かもしれないけどなと昇太は付け足す。
「後は……このベルトか……」
洋介はベルトを見る。
「これに関しては……まだ何も言えん」
「……はい」
結局、ベルトの謎は解明出来なかった。

<昇太のアパート 10:05PM>
昇太は5年前、N県で起きた事件を調べていた。
半年前に見た白き戦士、それがどうしても頭から離れない。
もしかしたら5年前の事件に関係あるんじゃないかと思い調べる事にした。
「……あった」
そこには5年前の事故現場等の写真が貼られていた。
その中には謎の怪人が映っている写真もあった。
「!!」
昇太が見た1枚の写真。
それに映っている灰色の怪人。
色違いだが彼の頭の中に映し出された戦士と全く同じ姿だった。
そしてその怪人が身に纏っていたベルトも……。
「これが……カノン……」
昇太は確信した。
遥か古代に現れた白き戦士。
5年前に現れた灰色の怪人。
そして2人が身に纏っているベルト。
この2人は、戦士・カノンだと……。

<某県立大学考古学室 2:48PM>
「本当なのか!?」
昇太の話を聞いて洋介は思わず声を上げる。
「ああ、これを見てくれ」
そう言って昇太は1枚の写真を出す。
「これは?」
「5年前に現れた怪人の1体だ。そいつのベルトを見てくれ」
その写真を見た2人の顔色が変わる。
「これって……」
「そう……俺が見つけたベルトと全く同じ物……恐らくそいつがカノンだ」
洋介と雅美はあまりの衝撃に言葉を失い掛ける。
「では……私達の発見は……」
「ああ、俺達は5年前の事件を解明する手掛かりを見つけた事になる」
「マジかよ……」
洋介も雅美も驚きを隠せずにいる。
「だから俺はこれからあの遺跡に行ってもう一度調査しようと思う」
そう言って昇太はベルトを持つ。
「すまん……」
「私達も手伝いたいのですが……」
洋介と雅美はすまなそうに頭を下げる。
実は2人のクラスでレポートの提出を言われていた。
その量がかなりあるらしく、とてもじゃないが行けないようだ。
ちなみに今もその作業を行っている。
「いいって、俺が無理に言ってるだけだし。じゃ、行ってくる」
昇太はベルトをスポーツバックに入れ、ドアを開ける。
その時、ドアの前に彩が立っていた。
「あれ、広本君お出かけ?」
彩は昇太のスポーツバックを見て言う。
「ああ、この間の遺跡にな」
「えっ……」
昇太の言葉に、彩の表情が変わる。
「どうした?」
「えっ!……う、ううん……何でもないよ」
「……」
昇太は何か言いたそうな顔をしたが、何も聞かなかった。
「あっそうそう、石山」
昇太は2人の方へ向く。
「2人っきりだからって……襲うなよ」
そして唐突にそんな事を言う。
「おい!!」
「広本さん!!」
2人とも顔を赤くして叫ぶ。
「はっはっはっ!冗談だって」
笑いながら昇太は部屋から出て行った。
「……」
彩はどこか不安げな表情で、昇太の後ろ姿を見ていた。

<某PA 3:49PM>
「ふぅ……」
とあるPAで休憩している昇太。
そろそろ行こうと歩き出した時、1人の青年とすれ違う。
「?」
その青年に僅かな違和感を感じ、振り向くがあまり気にせずバイクに跨り走り出した。

───その姿をさっきの青年が見ていた。
その青年の首には奇妙な形をしたタトゥーが着いている。
「……カノン?」
昇太を見ながら呟く。
「まさか……」
そう言うと青年はバイクに跨り走り出す。
封印の地へ……。

<N県遺跡発掘現場 4:16PM>
「さて……」
近くにバイクを置き、中に入る。
とりあえずいくつかの部屋を回るが大した手掛かりは無い。
「やっぱりカノンを表す文字は多いか……」
そうぼやきながら次の部屋へ入ろうとした時───
「キャャャァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
遺跡内に響き渡る悲鳴。
それと同時に響く何かがぶつかる音。
そして……何かが倒れる音。
「!?」
昇太は悲鳴のした方へ走る。
そして辿り着いたのは他よりやや広い部屋。
「なっ!?」
それを見て昇太は言葉を失う。
血塗れになって倒れている人達。
それも1人や2人じゃ無い、10人近くの人達が無残な姿で倒れている。
そして……その部屋の中央に立っている黒い影。
「……」
その影がこちらを向く。
「!!」
昇太は影の威圧になんとか耐え後ずさる。
それに比例するかのように影が歩き出す。
(どうする……?)
このままでは間違いなく殺られる事を確信する。
「!?」
その時、再び彼の頭の中に駆け抜ける。
───ベルトを身に纏った青年が右手で大きく十字を切る。
そしてその手を左の腰に当てる姿───
昇太はスポーツバックに入っているベルトを見る。
(やれるのか……?いや、やらなきゃ!!)
おもむろにベルトを取り出しそれを腰に装着する。
その瞬間、石だったベルトが金属のように輝き昇太の体内へ入り込む。
「ぐっ!!」
体中に焼け付く痛みを感じながらもしっかりと立つ。
そして右手で十字を描き左の腰に当てる。
「変……身!!」
そう叫ぶと同時に体内にあったベルトが現れ輝き出し、彼の体が変わり出す。
体は白いボディアーマーで覆われ、左右の手には白い手甲とナックルガード、その手首には赤く輝く宝石がはめ込まれている。
膝には白いサポーター、足には白い足甲が備われ、頭にヘルメットのような物が装着される。
それは仮面に近い物……。
そして赤い目、牙のような口、金に輝く角。
昇太は戦士・カノンへと姿を変える。
(な……なれた!?)
カノンとなった自分にとまどいを覚えつつも、すぐに気持ちを切り替える。
「カノン……カァノォン!!」
影・黒い怪人はカノンの姿を見るなり襲い掛かる。
「ハアッ!!」
カノンは怪人のパンチをかわし、カウンターの如くパンチを放つ。
しかし全くよろけず、逆に怪人に投げ飛ばされる。
「くっ!」
カノンは地面を転がるが、その勢いで立ち上がる。
(駄目だ……もっと強い攻撃じゃなきゃ……)
そう思った時、カノンは左足が疼くのが感じられた。
(!!……これならっ!)
カノンは咄嗟に走り出し、間合いを詰めて飛び、空中で一回転して左足を前に出す。
その足の先が光に包まれるのが見えた。
「ハアッ!!」
そして怪人に直撃する。
「なっ!?」
しかし怪人はカノンのキックを受け止め、押し返した。
「ぐっ!!」
そのまま壁に叩き付けられる。
(全く……歯が立たない!?)
その時、怪人の周りに黒いオーラが渦巻くのが見えた。
「……ニメッ!!」
声と同時に怪人は渦巻くオーラを集中してカノンに放つ。
「うがっ!!」
放ったオーラがベルトに直撃する。
その時、ベルトに異変が起こった。
金属質のベルトが生体的へと変わリ、黒い光を発する。
それに比例するようにカノンの体にも変化が生じる。
生体装甲にひびが入り、割れ始めていく。
その中から灰色の皮膚が現れ、それが全身に伝わって行く。
さらに仮面も割れ始め、中から怪人の様な顔が出てくる。
それはもう先程のカノンとは呼べない。
カノンが生体的に変化した灰色の怪人としか言葉に表せない姿となってしまった。
「!?」
怪人は予想外の出来事に僅かな驚きを表している。
「グッ!……ガァァッ!……」
灰色の怪人は頭を抱え強烈な苦痛に耐えている。
「グォォォォォォォォォォォォッ!!」
痛みに耐えるような声を挙げながら灰色の怪人はそばにある壁を砕く。
そこは外へと通じていた。
外へ出た灰色の怪人だが、そこは崖になっていた。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
叫びながら落ちていく灰色の怪人。
怪人はそれを見届けた後、遺跡から消えていった……。

<??? 17:03PM>
邪気を発している遺跡を遠くから見ている者がいた。
「ついに……目覚めてしまった……」
タトゥーを持った青年に焦りの色が見える。
「カノンは……殺られたか……」
青年は昇太が持っていたベルトを感じ取っていた。
「僕が……」
青年はバイクに乗って走り出す。
「止める!」
殺戮の舞台となる場所へ……。

<川岸 17:38PM>
「グッ……」
ゆっくりと起き上がる灰色の怪人。
「!?」
水面に映る自分の姿を見て驚愕する。
その時、昇太の姿に戻る。
「今のは……?」
昇太はさっきまでの事を思い出す。
ベルトを着け、カノンになった。
しかし、全く攻撃が通用しなかった。
怪人の攻撃を受け体中に伝わった痛み。
そして……怪物となった自分の姿。
「俺も……奴と同じになっちまったのか?」
そう呟いた時、彼の意識が薄れて行った……。

<某県立大学考古学室 10:34AM>
洋介と雅美は部屋でコーヒーを飲んでいる。
思ったより作業のペースが速く進み、先程終わらせ提出を済ましていた。
「どうしたんだ……?広本は」
「わかりません……家の電話も携帯電話も繋がりませんし……」
「寝てるのかな……?」
洋介はテレビを付ける。
『……ニュースを続けます。昨日午後5時頃、N県にある遺跡で研究員等、合わせて11人が殺害されると言う事件が起きました』
「なっ!?」
「えっ!?」
その言葉に驚き立ち上がる2人。
『現在までに身元が判明してるのは9人で、研究員の里村博士教授、同じく研究員の小林恵教授───』
次々と名前を挙げるニュースキャスター。
『───同じく大学生の辻和義さん、そして大学生の広本昇太さんです』
『えっ……?』
2人の声が重なる。
「そ……そんな……」
「広本が……死んだ……?」
その時、2人の後ろで何かが落ちる音がした。
「嘘……でしょ……」
そこにいたのは彩だった。
手からバックが落ち、その場に座り込んでいく。
3人はショックのあまり、しばらく何も言えなかった……。

This Episode's End.
To be continued by MaskedRiderSorun.


次回予告
怪人を倒すため東京に来た昇太。
そこで出会う様々な人達。
瑞佳「浩平……?」
香里「よろしくね、広本君」
現れる怪人を影で倒していく昇太。
祐「だから俺は戦うんです」
昇太「俺は既に一緒だけどな……」
その中で深い傷を負いながらも戦う事を誓う。
昇太「それでも……救いたいんだ」
次回、仮面ライダーソルン「意志」
運命からは逃れられない……。



設定資料

広本 昇太(ひろもと しょうた)
21歳
本編の主人公。
他人に流されず自分を出すタイプ。
そのせいか、若干頑固な一面も。
発掘等の技術は高く回りからの信頼も大きい。
しかしこれから降りかかる運命など、彼はまだ知る由も無い。

石山 洋介(いしやま ようすけ)
21歳
昇太の友人で同じ部活仲間。
少々呑気者だが根はしっかりしている。
同じ部活仲間の雅美と付き合っているが、昇太に冷やかされる事もしばしば。

木下 雅美(きのした まさみ)
21歳
昇太とは部活仲間で洋介と付き合っている。
大人しい性格で少々照れ屋。
そのせいか、冷やかされるとすぐ恥ずかしがる。

深見 彩(ふかみ あや)
21歳
雅美の友人。
部活は違うがよく昇太達の手伝いをする。
活発で昇太達のペースを振り回したりするが、繊細な心を持っている。


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