場所は夜の繁華街。そこから少し離れた明かりの届かない路地で仲睦まじい親子が歩いていた。
夕食の買出しの後なのか母親の右手には少し量のあるスーパーの袋が握られ、空いた方の手で女の子の手を握っている。
「今日はちょっと遅くなっちゃったけど、お腹すいてない?」
「だいじょうぶ! お母さんのごはん大スキだから!」
笑顔で答える女の子に母親も嬉しくなって微笑を漏らす。その姿は本当に仲の良い親子のものだ。
「こんばんわ…お嬢さん方」
「え?」
突然声を掛けられて母親は驚き、声のした方向へ振り向く。そこには、黒一色の服装をした牧師風の男が笑みを浮かべて立っていた。
宗教の勧誘だろうかと母親は疑う。こういった勧誘は話は承諾しようとしまいと時間が掛かるから早々に話を切り捨てて帰ろうと考える。
「こんばんわ!!」
「あの…なにか?」
「アナタ…確か夫が一年ほど前からある薬品を使ってましたよね? それも入手・効果ともに特殊な物を」
「どうしてその事を?」
 牧師風の男の言葉に驚き、思わず女の子に両手を添える母親。牧師風の男は軽く両手を挙げて笑みを浮かべる。
「そう警戒なさらないで下さい。私はただそれを回収したいだけなんですよ」
「か、回収と言われても…あの人が亡くなってから、使っていた薬はほとんど処分しました」
「そうですか…なら」
「ぁ?」
牧師風の男が呟いた瞬間、母親は胸に何かの衝撃を感じ取った。見てみると男の懐からは妙な形をした、先端に鋭い針のある触手が目の前の母親の胸を貫いていた。先端の針と母親の胸からは赤い血が流れ地面に滴り落ちていく。
「おかあさん?」
何が起こっているのか分からない少女は、母親の手が離れた事に首を傾げ母親の顔を見上げる。
「お母さんは疲れて寝てしまったんだね…このままだと風邪を引いてしまうから、私が良い所に連れて行ってあげよう」
「そうなの? じゃあ、ゆっくり休ませてあげないとだね」
「ああ…そうだね」
男性の言葉に嬉しそうに答える少女。だが、年の幼さ故か、純粋な為なのか少女は気付かない。
男の口元に何かを企んだ笑み…それを自分に向けている事の意味さえも少女は解らなかった。





仮面ライダーSMASH
第四話「怪奇! ちまたで噂の怪事件!?」





「朝…か」
喫茶アミーヤの二階。眼が覚めた祐輝は、そこで与えられた布団から起き上がり腕を伸ばす。麻宮家に居候させてもらってから大分立つが、未だに記憶や住んでいた場所に関する事は解らずじまいだった。
「さてっと」
伸びをしてほんの少し眠気を飛ばし、やがて着替えを済ませて階下へと降りていった。

「おはよ〜ございまふぅ」
「おはよう」
祐輝は相変わらず朝は眠そうな空と挨拶を交わし、空に先を譲った後に自分も洗面所で顔を洗う。
「今日は随分と早いな」
「毎日…寝起きが…悪い…訳じゃ…無いですから」
「頭をフラフラさせながら話しても説得力ないと思うけど?」
「はふ…」
そこで祐輝は彼女の姉、姫里の姿が見えない事に気付く。

ドダダダダダダダダダダダダダダダダダ・ガン!!

同時に階段の方から騒がしい音が聞こえてきた事で、二人は彼女が起きた事を知る。
顔を向けてみると姫里は壁に顔を埋めていた。どうやら勢い余って壁に激突してしまったようだ。
「…ユーーーーー君!!」
「は、はい!?」
素早い動きで壁から顔を離し、涙目になりながら祐輝を睨みつけ近づいてくる姫里。
その様子に思わずたじろぐ祐輝だが、彼女に睨まれる様な事をした覚えは無く困惑する。
「ユー君。あたし昨日目覚ましに、音楽番組の歌を録音してって言ったよね?」
「ぁ、ああ…一応録った筈だけど…」
「じゃあ、なんでボヘミアが流れるの!?」
「ゑ?」
姫里の説明によると良い歌を聞いて健やかな目覚めをしてみたかったのに、眼が覚めた時に流れた歌がとんでもない選曲だったという。
「そう言えば…」
そう言われて祐輝は先日の行動を思い出し声を上げる。
姫里に頼まれた後に武志から別の仕事を頼まれた為、適当に録音ボタンを押したのだがそれが拙かったようだ。
「想像してみてよ、眼が覚めかけた時に頭からボヘ〜ミア〜の川よ〜モ〜ルダ〜ウよ〜って、もの凄く濃い声が響く様を!!笑うよ!?」
「ご、ごめん」
姫里が頬を膨らませながら顔を近づけていき、祐輝は後ろ向きに後退していく。その様子を微笑ましく見守る空。
短い間だが、彼等は自然と暖かな空気を作り出せるようになっていた。

朝食を取っている時も最初の頃より気兼ねなく食事を取り、仲良し姉妹が学校へ行く時も自然とこう言える様になっていた。
「それじゃ、行ってきまーす!」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」


姫里と空は予鈴が鳴る前には学校の昇降口が見える場所に辿り着く事ができた。
周辺には同じ様に歩いて登校してくる者、自転車でドリフトを決めながら校門をくぐる者、見ててイラつくようなバカップルの姿もある。
姫里はその中から自分の見知った顔を見つけて勢い良く走り出し、その人物達に飛び込んでいく。
「おっはよ〜う! アリサちゃん、楓ちゃん!!」
「姫里、空」
「二人とも、おはよ〜さん」
呼び掛けられたアリサ、楓という二人の少女は立ち止まって振り向き、姫里と空の姿を確認すると小さく手を振って答える。
姫里は学校の校門で思い切りその友人二人にダイビングする様な形で抱きついて行った。
「わわっと! もー、何なのよ姫里」
「驚くわー。ホント」
「えへへ〜、愛あるスキンシップだよ。ほら、空ちゃんも」
「もうお姉ちゃん、送れちゃうよ」
周りの目もお構い無しにはしゃぐ姫里に苦笑して注意する空。だが、そんなやり取りも慣れているのか友人二人も周りの生徒達も特に気にしなかった。空とアリサは少しだけ恥ずかしく思う事もあるが、今ではほとんど諦めている。
姫里達はいつも通りじゃれ合いながら学校に入っていく。それからは特に何もなく、概ね平和な時間が過ぎていった。


眠気を誘う午前中の授業が終わった昼休み。
姫里、空、アリサ・楓はとある少年の机に集合して、それぞれのお弁当を広げていた。
「え〜、それでは本日病院から退院した、【リュー君退院おめでとう晩餐会】を始めたいと思いまーす」
「晩餐会って、“死”前提じゃん」
姫里の言葉に隣の男子が苦笑いしながらツッコム。当のリュー君と呼ばれた肩に繋る金髪を後ろで結んだ少年、滝一も同様である。
「男の子は細かい事気にしない、気にしない」
「そーそ、細かい事は気にしない方がいーんよ?」
姫里と楓に笑顔でそう言われてしまっては何も言いようが無い。別に細かく注意しなければならない会話でもない。最も重要なのは、突然原因不明の症状で入院した滝一が登校出きる様になったと言う事だ。
「それじゃ、頂きま〜す!」
『いただきま〜す!』
姫里の号令に続いて空達も手を合わせてから食事を取り始める。
その様子に遅れて男子二人も律儀に手を合わせてから自分の弁当に手を伸ばす。

この麻宮姫里、空、月村アリサ・玄神楓・真神滝一の五人は幼馴染と言えるほど長い付き合いをしている。
幼い頃、ほんの些細なきっかけで五人は出会い、そのまま同じ学校に通い続けた。腐れ縁とも言う。
麻宮姫里と月村アリサがリーダーシップを取り、真神滝一がなじられ、空が二人のストッパー、玄神楓はその時によって姫里側に付いたり空側に付いたりとその場の空気を楽しむ。そんな妙な関係が長く続いている。
滝一の隣の男子、小川壮介は高校に入ってからすぐに滝一と仲良くなった友人だ。最初、彼は女子に囲まれる状況・と言うより人と多く関わる事が苦手だった為、食事は一人で取ろうとしていた。だが姫里達に半ば強引に仲間に引き込まれて仲良しチームの一員にされたのだ。皆が言うには時たまずれた事を言うのが面白いらしい。
六人は他愛の無い話をしながら食事を取る。それが自然と昼の決まり事となっていた。


「ところで、滝君が倒れた原因てなんだったん?」
「えっと…急な発熱からインフルエンザの様なものじゃないかって、担当の先生は言ってたけど…詳しく解らない内に治っちゃって」
 実際は死ぬかと思うほどの激痛もあったというが、その後遺症らしきものも無い様子に姫里達は喜びながら食事をしていく。
暫らく他愛の無い話しをしながら弁当を食べていると、アリサが箸を止めて自分が聞いた噂話を話し始めた。
「そう言えばさぁ、最近学校で妙な噂が出回ってるみたいよ?」
「噂?」
「どんな〜?」
「何でもこの近くで神隠しが起きてるんだって」
「マジで?」
「ホンマに?」
 アリサの言葉に滝一の隣の男子と楓が聞き返す。
「さあ? あくまでも噂だし…でもね、この辺りだけで三件くらい人が行方不明になってるらしいのよ」
「この前の集団放浪者といい、怖いわ〜」
 楓が言う集団放浪者とは麻宮一家が祐輝と出会った事件の事で、次の日の新聞に“集団による謎の放浪と怪死“というような見出しでニュースなどにも取り上げられていた。
「大丈夫だよ! 変な事件が起こっても解決してくれる人がいるから」
「警察も最近はあんまり当てにならないわよ?」
アリサの話にほぼ全員が同じ感想を抱く。だが、空だけは姉の言葉の意味を概ね理解していた。
それに空はアリサの話を楽観して聞くことは出来なかった。実際彼女は既に事件に巻き込まれて怪物と遭遇した事があるのだから。
口では明るく話す姫里も内心では不安に思っていた。祐輝の体や記憶はもしかしたらこういった事件に関係しているのではないか。しかし、空もそうだがその考えを姫里はすぐに捨てる。
短い間だが彼と過ごしていく内に、その優しさと人の良さは理解してきたつもりだ。そんな彼があのような恐ろしい怪物や何かの事件に手を出している筈がない。
頭の中で僅かに不安が過ぎるが、姫里と空は普段と変わらない平和な日常を過ごしていった。


・・・

姫里達が昼休みも終わり、午後の授業中盤に差し掛かっている頃。
とある商店街に祐輝は買出しに来ていた。喫茶アミーヤで働き始め、何時しか率先して買出しに行くようになったのだ。
「え〜と…キュウリ、大根、ナス、味噌、磯野カツ…少女マンガ・マジカルストライク?」
予め渡されたメモを読んでいくと、明らかに別の人物が描いた字が目に入った。
誰が書いたか何となく予想できた祐輝は、溜息とも苦笑から漏れたとも言える溜息をだす。
「まったく」
そう言いながら祐輝は改めて今の状況について考えてみる。
居候を始めた当初は一刻も早く出て行くことを考えていたが、今ではずっとこのままでいれたらと思う自分がいる。
記憶が戻らなくて不安もあるが、それ以上に今の生活が心地良い。心地良いのだが…
「これ…本当に買わないきゃ駄目か?」
祐輝は苦笑しつつ、メモに書かれた少女マンガという文字を凝視しながら呟いた。

途端、ズボンの裾を引っ張られ手いることに気付き、足元に目を向ける。そこには小学生半ばくらいの少女が祐輝を見上げていた。
「こんにちは」
「?…こんにちは」
顔も知らない少女だが、お互いに笑顔で挨拶を交わす。
「どうしたのかな?」
少女の目線に合わせるようにしゃがみ込んで話しかける祐輝。少女は満面の笑みを浮かべてポケットからメモ用紙を一枚取り出す。
「お兄ちゃんが“コード・H―MSナンバー339”って人?」
「!?」
少女が発した言葉に祐輝は思わず立ち上がって後ずさる。彼女が発した言葉はかつて祐輝が記憶を失って初めて戦った相手が言い放った言葉。それを何故こんな幼い少女が発したのか困惑する祐輝。
「あのね、すずながオシゴトがんばれば、お父さんとお母さんに会えるんだって」
少女は年相応の愛らしい笑顔で祐輝に話しかけていく。だが、祐輝から見ればその笑顔には何か隠されているようにしか思えなかった。
「だけどね、人のいっぱいいる所でオシゴトしちゃダメって言われたから、お兄ちゃんすずなについてきてほしいの」
祐輝は一瞬迷い後ずさったが踏みとどまる。
これは明らかに罠の類いだろうと分かる。恐怖もあるが自分の事を知るチャンスとも言える。それに断っても何かされる事に変わりはないだろう。なら、自分から出向いた方が身近な人達が巻き込まれる事はない。そう判断すると僅かに躊躇した後頷く。
それを見た少女、すずなは嬉しそうに微笑みながら歩いていき、祐輝は険しい表情で後についていった。


・・・

「ここならいいかなぁ?」
連れてこられて場所は建設途中で骨組みである鉄柱が所々垣間見える、人気の無い工事中のビルだった。
「キミは一体何者なんだ? 俺に何の用がある?」
祐輝はこの場所に連れてこられるまでに大分落ち着きを取り戻していた。普段から姫里達麻宮一家の生活に鍛えられ、物事に動じ難くなっていったのだ。その所為か祐輝の性格が最初の頃に比べて少し変わってきた様にも思う。一人称に関してもその変化が見られるが、今はそれほど気にする事ではない。
すずなはクルリと祐輝に向き直り、変わらない笑顔を向けてくる。
「「「「「「キー!!」」」」」」
「!!」
それが合図かのように後ろから大勢の声が聞こえ、祐輝は反射的に声のした方を振り向く。そこには黒ずくめの…最初に戦った蜘蛛男に従っていた集団と同じ格好をした集団が立ち並んで道を塞いでいた。
ほぼ予想していた事だった為に、祐輝はほとんど臆する事無く黒ずくめの集団に視線を向ける。
「あなた達は何なんだ? どうして俺をここに誘い込んだ?」
黒ずくめの集団は質問に答えずそれぞれ懐からナイフや銃を取り出し構えていく。それを見た祐輝も話しの余地なしと判断して身構える。
その時の両腕の位置は右手が左腰の方向、左手が右肩の方向に置き、そこからゆっくり時計回りに弧を描いていく。
左腕を斜め左に伸ばし右腕が右腰を過ぎると左手に握り拳を作り、さっと腰へ引いて右腕を素早く左肩を過ぎるように真っ直ぐ伸ばす!
「変身! トァ!!」
祐輝が大きく飛び上がると目映い光が身体を包みその姿を変え、建築中ビルの鉄骨の上に着地すると光が消える。
『コード:SMASH・BEGIN』
機械的な声を出しながら身構えるスマッシュ。
ドン! ドドン!! ドン!! ガン! ガンガンガン!!
ギン!! ギギン! ギィン! ギン! ギギィンギン!!
黒ずくめの集団はすぐさま銃を構え発砲するが、全ての弾丸はスマッシュの装甲に弾かれていく。
スマッシュは身体を見渡し、何の問題もない自分の身体の強度に驚きながら改めて身構え、黒ずくめの集団に向かって飛び込んでいく!
「ハァアアアア!!」
黒ずくめの一人に勢い良く飛び蹴りを見舞う。そのまま留まらずに敵の中心部に駆け込み、一人二人と拳を突き出し殴り飛ばしていく。
その背後から黒ずくめの一人が飛び掛りスマッシュの肩にナイフを突き立てる。が、強固な装甲に阻まれて逆に刃こぼれを起こし、スマッシュの振り向き様のチョップをくらって弾き飛ばされる。
「…ァアアアアアアア!!」
ドガッ! バキッギィン!! ガッガッ!! ブゥン! ドガァン!!
黒ずくめの集団から放たれる拳や銃撃を物ともせずに殴り、蹴り飛ばし、投げつけ蹴散らしていくスマッシュ。
その快進撃に黒ずくめの集団は萎縮したのか、一つ所に集まって後退していく。
「オァアア!!」
ブオン!! ドゴォ!!
「キィー!!」
スマッシュは近くにいた黒ずくめの男を掴んで身体を持ち上げ、一度勢いを付けて振り回して集まった集団に投げつけると、黒ずくめの集団はボウリングのピンの様に弾き飛ばされていった。
「わ〜。すごいすごい!!」
それまで戦闘を見ているだけだったすずながヒーローショーを見た子供の様にはしゃぐ。
黒ずくめの集団との戦闘を片付けたスマッシュはすずなに顔を向け、警戒しながら近づいていく。
「…キミに俺をここに連れてくる様に言った人が何所にいるか…分かるか?」
務めて怖がらないよう配慮したつもりだが、やはり警戒心の方が強く出てしまう。
「うん…あ、ダメダメ! 言ったらお母さん達に会えなくなっちゃう! だから、もうお話しはおしまい!!」
すずなは少し怒ったようにスマッシュを睨みつける。普通ならその容姿ゆえに微笑ましく思うだろう。
だが、次の瞬間少女の顔に血管とは違う、黒い妙な文様に似た筋が浮かび上がり、同時にその瞳も赤く血走ったものに変わっていく。
「…!?」
「先生がね…すずながオシゴトできるように注射してくれたの」
そう言い放った直後、少女の身体が変化を始める。
口元には牙が生え、爪も伸び、全身の体毛が変色しながら伸び、服が伸び千切れていく。
太陽に雲が懸かったのか段々と二人の周辺が暗くなり、少女の変化を一層不気味なものに見せていた。
「そしたらね…すずなの体……変わっちゃったの…コンナ風ニ」
その変化に祐輝が呆然とする間も少女の姿は変化を続け、やがて尻尾も生え、まだら模様のある体毛は虎をイメージさせる姿に変わった。
「グルルルルル…」
身を低くして虎女と言うべき姿に変貌した少女は、正しく獣の様に呻り声を上げながら祐輝を睨みつける。
「そんな…」
目の前の光景に一瞬放心状態になるスマッシュ。こんな年端も行かない少女が自分と同じ様に、いや、その姿には先程まで笑顔だった少女の面影は無い。膝を曲げ、両手を地面に付けて四つん這いになっている姿は獲物を狙う獣そのものだ。
「ガルァアアア!!」
すずか・虎女は膝と超腕を曲げて頭を下げ、姿勢を低くして全身のバネ使うように一気に跳躍してスマッシュに飛び掛っていく。
ドガァ!!
「ぐぁっ!?」
スマッシュは放心していた為に反応が遅れて避け損ない、一気に壁際まで押し付けられてしまう。
スマッシュの両肩を抑えながら、虎女は口を大きく開けてスマッシュの首筋に噛み付こうとする。
「ガァ!!」
「くっ!」
咄嗟に右手で虎女の額を押さえつけて自分から引き剥がそうとする。力はこちらの方が強いらしく腕一本分の距離が稼げたが、虎女はなおもスマッシュに噛み付こうと力を入れてくる。
力任せに引き剥がそうかとも思ったが、元が幼い少女という事実に倒してしまっても良いのか迷ってしまう。
「ううぅ…!!」
スマッシュがどうするべきか迷っている間も、虎女は噛み付こうとするのを止めない。
もう既に彼女の意識は無くなっているのかもしれない。このまま倒さなければ自分が殺されるかもしれない。
けれど、倒すという事はつまり…


その様子を二人が組み合っている場所の隣にあるビルの屋上でジッと見ている人影があった。
「あれがH―MS・339と体細胞変合薬の実験者か…」
雲が全てを覆いつくしそうな空の下で彼は呟く。
その時強い風が吹き、動じに雲の隙間から徐々に太陽が現れ辺りを照らし、それは人影の姿を鮮明に映し出す。
太陽の下に映し出されたその姿は、灰色をした仮面に二本のアンテナが伸び、縁取りがされた二つの紫の複眼が太陽光を反射して輝いている。身体は黒いボディスーツに胸部から腹部にかけて灰色のアーマーが施され、手足には灰色の手袋とブーツを、そこに至るまでの側面には一本の黄色いラインが走っている。
その姿は今、彼の眼下で戦っているスマッシュと大きく酷似しているものであった。






<つづく>









後書き

姫里「はいは〜い♪ こんにちは! 姫里だよ♪」
空 「こんにちは。麻宮空です」
姫里「今回はいつもより若干短めでお贈りしたいと思いまーす!」
作者:いつも無意味に長いからねぇ…今回から本格的に短めに纏めるよう自分自身強制しました。
姫里「解り辛さは倍増って感じだけどね」
作者:うるへぇぇえええ!! これでも努力はしてるんじゃぁああ! 俺は頑張れば頑張るほど空回るタイプなんだよ!!
姫里「それじゃぁ…ダメじゃない」
空 「そ、そろそろ進めないと、また長くなっちゃうよ?」
作者:ぐふっ! 仕方ない…じゃぁ今回作中で説明不足な麻宮姉妹の友達を紹介しよう。
姫里「ちょっと待ってよ。すずなちゃん…だっけ? 虎になった説明とか、最後の人は?」
作者:次回かな?
姫里「ふーん。ま、いいや。」
空 「それでは、月村アリサちゃん・玄神楓ちゃんの二人を紹介をさせて頂きます」


月村 アリサ (つきむら ありさ)
姫里、空の小学校からの友達。
容姿は金の腰まで伸びた長髪を、小さめのリボンで先端を二つに纏めている。背は女性陣の中では一番高いしスタイルも良い。
良い所のお嬢様らしく、少々勝気な所がありキツイ人と思われがちだが本当は友達思いの良い子?
アリサ「何で疑問系なのよ!!」

玄神 楓 (くろがみ かえで)
アリサと同じく麻宮姉妹とは小学校からの付き合い。時折妙な方言を使いかねない口調未決定の女の子。(なんだそりゃ)
髪は肩下まで伸びた栗色、左目に髪が掛かりやすい為にヘアピンを二つ付けて押さえている。
性格は若干皆を見守り纏める母親的な面があるが、両親は不慮の事故で亡くなっており、今は年の離れた姉達の家で生活している。


作者:以上!!
姫里「あれ? リュー君は?」
作者:後々だす!
姫里「じゃぁ今回はこれでお終い?」
作者:そうなりますな
空 「何だか他にも誰か忘れてるような気が…」
姫里「気のせい気のせい…どーせこの作者が考えたキャラなんて誰も気に止めないって」
作者:すっごく悲しいけど…これ、現実なのよね。
空 「そうですか…じゃあそろそろお別れですね」
姫里「ここまで読んでくれたみんな! 本当にありがとうね♪」
空 「これからも精進していこうと思いますので、応援よろしくお願いします」
姫里「それじゃ、またね♪」




壮介「いや…別に良いんすけど……オレは?」
作者:面倒臭い
壮介「そうっすか…」

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