<水瀬家 15:16PM>

日月が笑い始めて数分、ようやく日月は笑いが収まってきた。

「ハァ・・・ハァ・・・・ふう〜・・・・マジで死ぬかと思った」

「大丈夫ですか?日月さん」

左腕で口元を拭う日月に秋子が声を掛ける。

「はい、お騒がせしてすみませんでした」

そう言って頭を下げる。

「本当に久しぶりに笑って・・・何だか二年間分くらい笑った気がしますよ」

日月の清々しい笑顔でそう言う。

その表情を見た秋子と栞は嬉しそうに微笑む。

「元気そうで何よりです」

「はい・・・あの」

日月は罰が悪そうに顔を背けながら何か言おうとする。

秋子と栞はどうしたのかと思い首をかしげる。

「・・・・あの、今朝は本当に・・・・何と言うか・・本当に申し訳ありませんでした!!」

その言葉と同時に日月は床に両手を付き頭を下げ、土下座する。

いきなりの行為に二人は戸惑う。

「ひ、日月さん!?」

「いや・・・もう本当に言い訳はしません。ただ、八つ当たりして・・・すみませんでした」

そう言って深々と頭を下げる。

その姿から彼が秋子たちに対し、本当に申し訳なく思っているのが分かる。

「顔を上げてください日月さん」

ゆっくりとだが秋子の言うとおり日月は顔を上げる。

「日月さん、あまり一人で抱え込まないでくださいね」

「・・・・はい。」

秋子の言葉を聞いてどこか予測していたかのような、少し困ったような表情をして返事をする。

(でも・・・今はまだ)

今朝と違い秋子の優しさを素直に受け止める余裕が今の日月には出来ていた。

しかし、日月は他人に対して距離を取ろうとしていた。

それは迷惑を掛けたくないからなのか、関わってほしくないのか自分でも分からなかった。

「・・・ちょっと良いですか」

自分の体と部屋の周囲を見渡してから秋子に尋ねる。

「なんですか?日月さん」

「着替えたいからちょっと席外していただけませんか?」

日月が着ている上着は彼の物ではなかった。

普通に他人の服を借りるのには抵抗があり、既に借りた服を一着駄目にしている為に着心地が悪く感じてしまい早く着替えたかった。

「わかりました」

二人は承諾して部屋から出て行こうとする。

「日月さん。着替えが終わったら下に降りて来てもらえますか?」

部屋を出て行こうとして扉を閉める前に秋子が日月に尋ねる。

「あっはい。分かりました」

日月の返事を聞き二人は扉を閉めてリビングに下りていく。

それを見届けた後日月は部屋の隅に置いてあった自分の鞄から自分の服を取り出して着替え始めた。

 

仮面ライダーR【リベンジ】

繋がりを求めるもの編 仮面ライダークルス

Episode. 4[理由]

 

<水瀬家 15:19PM>

着替えを終えた日月は鞄を持って一階のリビングに向かう。

一階に向かう途中で日月はリビングが騒がしい事に気付いた。

「なんだ?」

疑問に思いながらも日月はリビングの扉を開けようとした。

「和彦君!!」

「ダーーーン!!!!」

「ぐぇ!!?」

日月が扉を開けようとした時、突然内側から扉が開く。

突然の出来事に日月は顔を扉にぶつけ、よろめき鞄を落としてしまう。

「っっっつぁぁぁ〜〜・・・・」

日月は痛みによって手で顔を隠してうずくまる。

「和彦君。家の中で暴れちゃ駄目だよ」

「は〜い」

開いた扉の向こう側から名雪が注意するように話し掛ける。

よく見ると名雪と日月の間に日月が助けた少年が立っていた。

「和彦君、ちゃんと誤らないと駄目だよ」

「・・・ごめんなさい」

名雪に注意され少年、和彦は頭を下げて素直に謝る。

「あ、ああ。まぁ大丈夫だ」

それに立ち上がりながら右手を上げて答える日月。

そこでふと疑問に思った事を尋ねる。

「・・・この子は?」

「日月君が助けた子だよ」

「いや、それは分かるけど・・・」

「日月君にお礼が言いたかったんだって・・・ね?」

「ね〜!」

名雪が尋ねると和彦も楽しそうに答えて名雪に抱きつく。

どうやら栞たちが日月と話している時も名雪が和彦の相手をしていたようで、家に帰る途中から既に仲良くなったらしい。

「はぁ〜、律儀だなぁ」

説明を聞いて感心する日月。

「おかあさんがね、助けてもらったら、ちゃんとおれいをいわないとだめだって」

「ずっとそのままのキミでいて・・・いやマジで」

そう言って日月は名雪に抱きついてる和彦の頭をぽんと優しく叩く。

「ほら、和彦君」

そう言って和彦を降ろす。

「ん、どおもありがとうございました!」

和彦は日月に向き直り大きな声でお礼を言って頭を下げる。

「ああ、どうも」

そう言うと日月は屈んで和彦の頭をなでる。

その表情は恥ずかしさを含めた様な笑顔になっていた。

「そう言えばお母さんとかにはちゃんと連絡したのか?」

「んーん、してない」

「え?」

和彦の答えに少し驚く。

和彦が連絡しなくてもこの家の人達なら率先して親に連絡すると思っていたからからだ。

「和彦君の家は両親共働きで家にいないんだって」

日月が驚いた顔をしていると名雪が説明を入れてくれる。

「名雪さーん、和彦くーん!準備できましたよー」

話をしているとリビングから栞が二人を呼ぶ。

その声に三人ともリビングに振り返る。

和彦は振り返ると同時に駆け出してリビングに入っていった。

「日月君、私達もいこう!」

「え?あ、おう」

名雪は日月の手を掴んでリビングに向かう。

日月は驚き少し慌てるようにして後に続く。

「はい、和彦さん」

リビングでは秋子がイチゴのショートケーキを和彦に手渡していた。

「わ、お母さん私の分は〜?」

その様子を見て名雪が秋子にすがりつく様にねだる。

「まだ沢山あるから大丈夫よ」

そう言って微笑みながらケーキを名雪に渡す。

「お母さんありがと〜!」

心底嬉しそうな表情でイチゴのショートケーキを受け取る名雪。

和彦はそのやり取りに目もくれず、ケーキを食べる事に夢中になっている。

「日月さんもどうぞ」

「どうも・・・てか何時の間に買ったんだ?」

日月はケーキを受け取り、栞の隣が開いているのでそこに座り呟く。

「日月さんが寝てる間に和彦君がお腹空いてしまったそうです」

「そっか・・・悪い」

「あ、その・・・」

謝る日月に失言だと思って気に病む栞。

栞の様子に対して日月は自分のケーキに乗っているイチゴの葉っぱを摘んで持ち上げる。

「お詫びに誰かにこのイチゴをあげよう」

「本当!?」

日月の言葉に名雪が身を乗り出して尋ねる。

「どうぞ」

「ありがと〜」

名雪にイチゴを渡した後日月は栞に向き直る。

「これで許してくれないか?」

日月は栞に向けて右手を水平に立てて方目を瞑りながら誤った。

栞は手で口元を押さえて微笑む。

「仕方ありません。特別に許してあげます」

栞は何となく日月が自分を気遣ってくれているのを感じていた。

それは日月自身は気付いていないものだったが、栞はそれを受け止めおどけた調子で返事を返す。

「あっ」

しばらくリビングでケーキを食べていると不意に日月が声を上げる。

「どうかしたんですか?」

キョトンとした表情で尋ねる栞。

「あ・・・いや、そういえばオレ・・・鍵掛けたままバイク置きっぱなしだった」

あっちゃーと言いながら頭を掻いて唸る日月。

確かに鍵を掛けたまま放置してしまったら盗まれても仕方ないだろう。

日月が唸っていると秋子が微笑みながら話し掛ける。

「日月さんのバイクでしたらガレージに入れてありますよ」

「え?」

間抜けな声を出して秋子に顔を向ける日月。

「流石にあのままにしておくのは良くないと思いますから」

「ああ、どうも・・・すみません。色々と迷惑掛けて」

「迷惑なんかじゃありませんよ」

微笑しながらそう答える。

「・・・ところで日月さん」

「何ですか?」

「こんな事を聞くのも何ですけど・・・今免許証は持っていますか?」

「あ、はい。一応持ってますよ」

そう言って日月は立ち上がり、廊下に置いてある鞄を取ってくる。

「ちょっと失礼します」

そう言うと鞄を開けて中の少ない荷物を全部出して床に置く。

そして中身がなくなった鞄の底から一枚の板を取り出す。

「二重底ですか?」

「いんや」

栞が尋ねると日月は取り出した板の横側をなぞる様にして指を滑らせていく。

そして日月はその板の空洞になっている部分を探り当て、それを広げるようにして引っ張り手を突っ込む。

「っと、ありました。これがオレの免許です」

そう言いながら日月は免許証を取り出して秋子に見せる。

偽造などでもない限り、これで無免許運転ではない事が証明された訳だ。

だが、秋子たちは日月の行為に疑問を感じていた。

「日月さん。どうしてこんな隠す様に閉まっているんですか?」

栞が疑問に思った事を尋ねる。

確かに盗難防止といってもここまでする必要があるだろうか?

「あ〜。いや・・・まあ、盗難防止っていうか」

「住所が分からないようにする為・・・ですか?」

栞の問いに歯切れ悪く答える日月に対して今度は秋子が尋ねる。

その一言に日月は驚いた表情をした。

「違いますか?」

「・・・・いえ、合ってます」

罰が悪そうにして頷く日月。

一瞬この人にはどんな嘘もばれてしまうのではないかと考えてしまう。

確証は無いが、最初に会った時から秋子からは何故かそう思える雰囲気を感じるのだ。

「どうしてそんな事を?」

「・・・こうすればオレに何かあっても・・・・すぐ親に知られる事もないと思ったからです」

日月の答えに僅かに表情を曇らせる三人。和彦はケーキの御代わりに入っていた。

「どうして両親に知られたくないんですか?」

秋子がもう一度尋ねる。

名雪と栞も顔を日月に向けて答えを待つようにしている。

「仕事に就いてるって嘘言って・・それがばれるのもありますけど・・・・こんなオレに何かあっても泣いてくれる人だから」

そう言うと困った様に苦笑する。

その様子から本当に家庭を嫌って連絡しない訳ではない事がわかる。

「それなら、どうして日月さんは戦っているんですか?ご両親に心配かけてまで日月さんが戦う必要なんて無いと思いますが?」

秋子の問い掛けに日月は暗い表情になる。

「・・・居たくないんです・・・・家に」

「どういう事ですか?」

気を落ち着かせるように日月は目を伏せて軽く息を吐く。

「絶対に破っちゃいけない・・・守らなきゃいけない約束を破ったんですよ・・オレは」

「約束・・・」

日月の言葉に誰かが呟く。

取り合えずケーキを食べている和彦ではない事は確かである。

「大切な人達に任された約束を全部破って・・・・それを認めたくなくて家を飛び出したんですよ」

目線だけ下に向けて答える。

「日月さんが連絡をしたくない理由は分かりました。けどそれは日月さんの戦う理由ではありません」

(・・・確かにその通りだな)

少し考えて、日月は心の中で苦笑する。

「日月さんが戦っている理由は何ですか?」

「・・・なんでしょうね」

日月は俯いて答える。

その声は適当に答えたものではなく、本当に分からないといった感じだった。

「・・・じゃあ日月さんは、どうして栞ちゃんを助けたのかしら?」

秋子は少しだけ質問を変える。

「それは・・・奴等が人を殺そうとしてるのが分かるから・・・・」

「放っておけないんですか?」

「当たり前でしょう」

秋子の問い掛けに、さも当然とばかりに答える日月。

そんな日月を見て、秋子はもう一度尋ねる。

「どうして当たり前だと思うんですか?」

「どうしてって・・・」

それから後が続かない。

日月としては当たり前と言う以外どう答えれば良いか解らなかった。

「日月さん。それが当たり前なら私達も戦うべきだと思いますか?」

「いえ、そんな事は無いです」

日月はすぐに首を振って否定する。

「どうしてですか?」

「それは・・・」

日月は言葉に詰まる。

ここで何を言っても自分の方が言い負かされる様な気がしたからだ。

視線を逸らしながら、それでも何かを言おうと考える。

その様子を見て秋子は目を伏せる。

(祐一さん達と言い、日月さんまで・・・男の人って皆こうなのかしら?)

自分の事は構わず、他人の事に必死な姿が自分の甥達と重なり心の中で苦笑する。

しかも、他人の事に敏感だという事を自覚していない所まで似ている。

だが実際に自覚していない理由は、天然である事と罪の意識からくるものと全く違うものなのだが。

「どーしたの?」

唸りながら顔を下に向けている日月に、ケーキを食べていた和彦が近づいて話しかける。

「だいじょーぶ?」

「・・・大丈夫だ。ありがとうな」

心配そうに日月の顔を見上げる和彦。

そんな和彦に顔を向けて答える。

「もう良いのか?ケーキは」

「うん、うちにおばあちゃんがくるから」

「迎えに来る・・・じゃないのか?」

和彦の言葉に首をかしげる日月。

「うん。だからもうかえる。ケーキありがとう」

「どういたしまして」

和彦がお礼を言って秋子が答える。

お礼を言い終わると和彦はリビングから出て行こうとする。

「・・・送って行こうか?」

和彦がリビングを出る前に日月が尋ねる。

和彦は立ち止まり、少し迷う様なそぶりを見せる。

「いいの?」

「ヘッポコのエセヒーローで良ければな」

「やった!」

(うれしいか?それともまだ怖いのか?)

そう考えながら立ち上がり和彦の隣まで移動する。

ついでに、ほとんど手を付けていないケーキをテーブルに置いていく。

「わ、私も行きます!」

ガタっという音を立てて栞が立ち上がる。

「えっ?」

「了承」

日月が困惑するのと同時に秋子が承諾する。

「・・・日月さん私が一緒だと迷惑ですか?」

日月の隣に来た栞が小声で尋ねる。

「いや・・・」

(まだ胸ネタの事を恨んでるのか?)

ただ純粋に驚いただけなのだが、思わず疑心安危に駆られる日月。

「おじゃましましたー」

「気をつけてくださいね」

和彦がそういってから玄関から出て行く。

秋子はそれを笑顔で手を振って見送り、扉が閉まった後、秋子はリビングに戻る。

リビングに戻る途中ふと、日月のことを考える。

本当ならもう少し話をして、日月自身に心を開いてほしかったのだが。

(もう少し時間が要るかもしれませんね)

そう思いながらリビングに戻る。するとそこでは、名雪が日月の残したイチゴのショートケーキとにらめっこしていた。

「お母さん。これ食べちゃ駄目かな?」

「名雪。あんまり食べ過ぎると太るわよ?」

「う〜」

秋子の言葉に唸る名雪。

秋子はそんな娘の様子に微笑んだ。

 

<とある港町・霧島診療所前 15:52PM>

祐一たちが掃除を行っている霧島診療所の前に、毛むくじゃらの丸い物体が転がっていた。

その丸い物体はゆっくりと動き出し、ウサギの耳と短い手足の様なものが生えた。

「ム〜・・・全く酷い目にあったム〜!最近の子供は扱いが荒いム〜!!教育面の見直しが必要だム〜!!!」

そう言いながらポールは起き上がり、(と言っても大して変わらない気がするが)周囲に人気が無いのを確認して浮かび上がる。

どうやら少し前に子供達の玩具にされていた様だ。

「ム〜・・・こっちの方に来てると言っても、どれが当たりか分からないム〜。かと言ってボクが暴れたらこっちの身が危ないし、情報屋は苦労するム〜」

そう言いながらポールは霧島診療所の窓から中を覗いてみる。

「ここは誰も居ないハズじゃ無かったのかム〜?」

ポールはしばらくこの周辺でカノンを探し出す為、事前に寝泊りできそうな所を調査していた。

しかし、中では幾人かの人が忙しなく動いている。

「引っ越して来たのかム〜・・・・ム?」

その時ポールは中で掃除をしている一人の青年に注がれる。

「あの人から変なモノを感じるけど・・・きっと気のせいだム。あんな女ったらしっぽい感じの男がカノンと関わってる訳無いム〜」

そう結論付けるとポールは地面に降りて、その短い足で走り始めた。

 

「ックシュ!!」

唐突に診療所の中で掃除をしていた青年がくしゃみをする。

「祐さん大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ瑞佳さん」

青年の近くで掃除をしていた女性、長森瑞佳が声をかけて青年、祐一が返事を返す。

「誰か祐さんの噂でもしてたりして〜」

「案外香里ちゃんあたりが文句言ってるんじゃないか?」

別の部屋から来た二人、霧島佳乃とマスターが適当な事を言う。

もしこの場に香里が居たら、マスターは彼女の言葉攻めに晒されただろう。

「二人とも勝手な事言わないでくれよ。埃の所為だろ」

鼻を擦りながら返す祐一。

その頃ポールは数メートル先で再び子供達の玩具にされていたという。

 

<N県某並木道 15:54PM>

日月たち三人は街路樹が並ぶ並木道を歩いていた。

日月は自分のバイクに和彦を乗せ、手で押しながら歩く。だが、その表情は水瀬家を出てから心此処に在らずといった感じである。

「日月さん」

不意に隣を歩いていた栞が日月に声をかける。

「・・・ん?あ、なんだ?」

「どうしたんですか?秋子さん家を出てからずっとボーっとしてますけど?」

「・・・いや、ちょっと考え事」

日月は歯切れ悪く答える。

「オレは何で戦ってるんだろうってさ・・・」

今は怪人たちを憎む為、殺す為に戦っている。そう思っていた。

けれど、何かが自分の胸の内で引っかかっている。

水瀬家でのやり取りでもう一度深く考えてみた。

実際彼はこの疑問に何度も自問自答してきた。しかし、いくら考えても答えが出る事はなかった。

口に出しても変わらないと解っているが言わずにいられなかった。

「日月さんって本当に優しいんですね」

「は?」

何を言ってるんだという表情で栞に顔を向ける日月。

「だって、理由も無く他人を助けようとするなんて、普通は出来ませんよ?」

「まぁな、けどオレの場合は・・・」

「待ってください」

栞が日月の目の前に手を突き出して話を止める。

いきなり顔の前に手を出されて少し驚く日月。

「日月さんは自分の為に戦ってますか?」

「自分の為・・・」

日月は確認するように呟く。

「日月さんは人を守る為に戦えるのに、どうして自分自身を守る為に戦わないんですか?」

「・・・自分勝手なヤツはその気が無くても人を傷つける」

栞の問い掛けに自分の正面を見ながら答える。

栞は首をかしげて日月の言葉を待つ。

「自分勝手な考えしか出来ないから・・・自分で決めた事にも責任が持てなくて・・・・あの時アイツがああ言ってくれればオレはあんな事はしなかった。だからああなったのは自分のせいじゃない・・・・とか言って、逃げる事しか考えなかった・・・そんな自分が憎かったから・・なんてな」

自分自身の事を客観的に話す日月。

最後は苦笑して言って見せたが、話している途中その表情は自分自身に呆れ、失望しているといった感じだった。

「・・・日月さん、もう自分自身を許してあげませんか?日月さんだってずっと悩んで、自分自身を責め続けて・・・でも、日月さんは自分が言う用な嫌な人じゃありません。少なくとも私達はそう思っています」

(・・・同じような事を言うんだな)

栞の言葉に昔友人に言われた事を思い出す。だが、今は昔の事を思い出しても嫌な感じはしなかった。

しかし、そう言われても自分自身素直に納得できなかった。

「納得出来ないならそれでも良いです。私が勝手に思ってますから、日月さんは素直じゃない優しい人だって」

(あ・・)

そう言って微笑む栞を見て日月は動きを止めた。

その笑顔が自分の一番強く想っている友人と被ったからだ。

(そうか・・・人を心配する時の感じがアイツに似てるんだ)

日月が最初感じた違和感は懐かしさからくるものだった。

確かに容姿はいくらか似ているが、別に凄く似ているという訳ではない。

強いて言うなら雰囲気が似ているのだ。

「・・・そう言えばあの時の顔以外・・・思い出す事なかったな」

「え?」

「いや、もう一度昔の事を思い出してみようかなって思ったんだよ」

そう言って笑う日月。

その笑顔は小さなものだが、新たな一歩を踏み出そうとしている雰囲気があった。

 

並木道から少し歩き、ようやく和彦の家にたどり着く。

日月たちが和彦の住む家に辿り着いた時には、すでにお婆さんは家にいた。

詳しい事を話しても困惑するので、送ってきた理由は和彦を迷子になったという事にして挨拶をする。

「二人とも、わざわざありがとうね」

「いえ、そうでもないです」

お婆さんの言葉に変な返事を返す日月。

「家に上がったら和君居ないもんだから、お婆ちゃん心配したよ」

「ごめんなさ〜い」

そう言いながら和彦は既にお婆さんの横に着いて甘えている。

お婆さんも微笑みながら和彦の頭をなでる。

「それじゃあオレ達はこれで・・・」

「ちょっとまって」

日月が立ち去ろうとするのを和彦が呼び止める。

そして日月の前に駆け寄ると、ポケットから袋に入った小さなオレンジ色のグミを取り出し日月に差し出す。

「・・・オレに?」

「うん!」

「・・・ありがとな」

日月はそう言うと小さな笑みを浮かべてグミを受け取る。

「じゃあね、和彦君」

「ばいば〜い!」

栞に返事をするように手を振って答える和彦。

二人もそれに倣って、お互いに手を振りながら分かれた。

 

<市内某所 16:00PM>

人の手が加えられていない森の中で異形の影が争っていた。

異形の影はそれぞれカラスとヘビの姿をした二体の未確認亜種体。

そして鎧姿の大男、ナイトがその二体と対峙している。

「カアアアアアアア!!!!」

カラス怪人が高い咆哮を出しながらナイトに飛び掛る。

ナイトはそれを体を捻って避け、右手を出してカラス怪人の背中を突き飛ばす。

「ぐっ!?」

飛び掛かった勢いに加え、突き飛ばされてカラス怪人は前のめりに倒れこむ。

「くらえ!!」

そこにヘビ怪人が大口を空けて背を向けているナイトに飛び掛る。

ナイトはそれに反応すると右手で素早く自分の背中に背負っている、自分の身体が隠れるほどの大剣を掴む。

そして引き抜くと同時に恐ろしい速さで横なぎに振るう。

「がッ!?」

ヘビ怪人は何が起こったのか分からない様な声を出す。

ナイトが振るった大剣は一撃でヘビ怪人の胴体を切り裂き、ワンテンポ遅れてヘビ怪人が爆発する。

「なっ!!?ば、馬鹿な!!」

倒れていたカラス怪人が驚きの声をあげる。

彼にしてみれば得体の知れない相手に、自分と同等の力を持つ仲間が一撃で倒されるなど信じられなかった。

ナイトはそんな事など構わずカラス怪人に向き直る。

「抵抗しなければ殺しはしない」

突然ナイトが口を開く。

「な、なめるなああああああああああ!!!」

カラス怪人はそれを挑発と受け取ったのか、いきり立ってナイトに迫る。

ナイトは持っていた大剣を地面に突き刺しカラス怪人と組み合う。

「ぐぬううううぅぅ!!」

カラス怪人はナイトを押しきろうとする。

しかし、ナイトは微動だにせず組み合った腕を振り上げカラス怪人の腕を振りほどく。

そして振り上げた右腕の方をカラス怪人に振り下ろし肩に叩きつける。

予想以上に強力な一撃にカラス怪人は膝を就く。

ナイトは透かさずカラス怪人の腹部に左アッパーを叩き込む。

「ぐぶえぇ!!!」

たまらずカラス怪人は吹き飛ぶ。

ナイトはそれを追う様にゆっくりと歩く。

「おっ・・・おのれ・・・・」

カラス怪人は肘を付いて立ち上がろうとする。

そこに突然数本のナイフがカラス怪人の背中に突き刺さる。

「ぐああっ!!?」

「!?・・・これは」

「見てらんないなぁ、ナイト」

中傷する様な言葉と共に木の陰からスーツ姿の青年、セイが現れた。

その手には羽の様な形をしたナイフが数本握られている。

ナイトは無言でセイを睨みつける。

「何?もしかして怒ってる?」

セイは全く動じずに聞き返す。

「別に良いじゃないか。キミは真面目すぎるんだよ・・・だからこんなのに手間取るのさ」

そう言ってカラス怪人に近づいて踏みつける。

「ぐっ・・・キサマぁ!!」

カラス怪人は憎しみのこもった目でセイを睨みつける。

「ウルサイよ、お前」

セイは普段とは違う、気分を害した獣の様な目でカラス怪人を睨みつける。

そして手に持っているナイフをカラス怪人の両肘、両膝の四ヶ所に突き刺す。

さらに左肘に突き刺さったナイフを思い切り踏みつける。

「ぐああああああああぁぁ!!!!」

あまりの痛みに叫ぶカラス怪人。

ナイフが突き刺さった部分からは火花が飛び散る。

だがセイは目つきはそのままに、全くの無表情で今度は右腕の方に足を上げる。

「そこまでだ」

気付くといつの間にかナイトが突き刺した大剣をセイの喉元に突き付けていた。

「貴様は黒翼の捜索をしているのだろう・・・コレは私の任務だ」

「・・・わかったよ」

そう言うとセイは後退して突き付けられた大剣とカラス怪人から離れる。

するとセイの姿が人でないものに変化する。

ハヤブサの様な頭部をもち、灰色の鎧をつけたような体の怪人のものとなる。

背中には翼を束ねたマントをつけ、変化と共に手にはナイフと同じ羽の様な装飾の二本の細身の長剣が握られる。

セイは変化が終了すると凄まじいスピードでナイトに切りかかった。

だがその剣はナイトの喉元で止める。

何故ならセイの喉元にもナイトの大剣が突き付けられ、止めざるを得なかった。

「気は済んだか」

「・・・・・チッ」

ナイトの言葉に軽く舌打ちをするセイ。

恐らくナイトが剣を突き付けなければ、そのまま殺すつもりだったのであろう。

セイは両手を下げ人間の姿に戻る。

すると両手に持っていた長剣も消える。

「今はまだ殺らないけどね・・・僕達は協力する義務はあっても義理は無いって事、忘れないようにね」

そう言うとセイは何処かへと去って行った。

ナイトはそれを見送ると、持っていた大剣を背に戻しカラス怪人に近寄る。

「ぐっ・・・ぉ・・のれ」

カラス怪人は生きているが、四肢を傷付けられ動けなくなっている。

ナイトはそのカラス怪人の頭を鷲掴みにし、何所かに去っていった。

 

N県某公園 16:26PM>

和彦を家に送り届けてから水瀬家に戻る途中、並木道を抜けて日月達は公園内を歩いていた。

どちらから言い出した訳ではなく、近くにあったので何となく寄ってみただけだ。

「よかったですね」

「ん?」

突然話し掛けられ気のない返事をする日月。

「日月さん何だか嬉しそうです」

「・・・そうかもな」

バイクを押しながら、視線だけ栞に向けて返事をする。

「なんか良いよな」

「何がですか?」

日月は視線を前に戻して話す。

「純粋な子供の笑顔って・・・なんか和まないか?何て言うか、力の元“X”が漲る様な」

「最後のは良く解らないですけど・・・私もそう思います」

(・・・・ボケたのに・・・)

人差し指を口元に持っていき思案しながら、笑顔で同意する栞に対し日月は複雑な心境だった。

だが日月は栞達と話している内に気持ちが楽なっていくのを感じていた。

以前までは体中が重く気持ちも沈んでいた。だが今は身体の中から力が湧いてくる様な感じがする。

「・・・まあ、あれだな」

一旦立ち止まり空を見上げる日月。

(彼是考えて悔やむのはもう止めよう。いくら考えても昔には戻れないし、何の解決にもならない・・・なら)

一度だけ深く息を吸って吐く。

「・・・ちょっと耳塞いでくれないか?」

「?。分かりました」

言われ通り耳を塞ぐ栞。

それを見届けると日月は深く息を吸う。

「ぁ――――――――――――――――〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」

日月は力の限り叫んだ。

突然の日月の奇怪な行動に、横では栞が何事かと驚きの表情で見ている。

「・・・・ぁー。スッキリした」

叫び終わり、落ち着いて息を吐いた後呟く。

「い、いきなりどうしたんですか?」

両手を耳から離して尋ねる。

「ちょっとな。色々溜め込んでた物を出して気合いを入れたくなった」

「何事かと思いました」

「悪いな・・・!?」

その時不意に日月の脳裏に何かの映像が一瞬だけフラッシュバックする。

同時に背中に異様な気配を感じ取る。

「もっかい悪い!!」

「へ?きゃあ!?」

日月はとっさに栞を抱き寄せしゃがみ込む。

その直後二人の頭上を何かが通り過ぎた。同時に手を離され支えを失ったバイクが倒れる。

「くそっまたか!?」

立ち上がり栞を庇う様に前に出て、何かが通り過ぎた方向を見て悪態をつく。

(しかも二体かよ!?)

そこには二体のハイディアスWが立っていた。

二体の姿はお互い胸に甲冑を見に着け、それぞれ首に赤と青色のマフラーを巻いている。

この内の青色の方が栞を襲った奴なのだが、同じ顔をしている二体を日月たちが見分けられる訳なかった。

「日月さん」

栞が不安げな表情で日月を見る。

「・・・早く逃げろ」

「日月さんは?」

「大丈夫」

栞の問い掛けに振り向き笑顔で答える。

「今は・・・やれるだけの事をやるだけだ」

そう言うとポケットから先程貰ったグミを取り出し、決意を固める様に目を閉じて握り締める。

(ありがとう・・・か)

グミをくれた少年の笑顔を思い描く。

意を決したように目を開き、袋を破いてグミを口に放り込む。

そして日月は両腕を前に突き出し、手は握り拳のまま交差させ、次に手首を反して両腕を腰の横に落とす。

すると、腰の部分に光の帯が現れ何かの形を作り、それに重なる様に腰から黒色で金の装飾が施されたベルトが浮かび上がる。

遅れてベルトには左右に赤と青色をした、親指二本分位の大きさのある宝玉が現れ光を放つ。二つの宝玉は互いを繋ぐ様に、その間だけ銀色をしている。

日月はさっと右手を肩まで上げ、同時に左手を右腕に交差させる。

「変身!!」

そう言いながら手首を反し、指を少し開いて腰に叩きつける。

すると、ベルトの中央から光の帯が全身に駆け巡り形を成していく。

その光の帯に重なる様に日月の身体が、手が、足が、顔がその姿を変える。

全身が黒い第二皮膚が覆い、その上を前面が白、背後が黒いボディーアーマーに覆われ、左右の手には水色の手甲とナックルガード、膝には同色のサポーター、ベルト部分からその両膝上までの第二皮膚に金色の線の様な模様があり、足には銀色の足甲が装着される。

頭は黒い仮面に覆われ、赤い大きな目がややつり上がっており、マウスガードで覆われた口、額は金色の短い三本角、その左右に伸びる銀色をした二本の角が現れる。

「・・・変わった!?」

自分の姿を見て呟く日月。

「デーヴァ!?」

「ヨヴィガゲッダタ!デーヴァガ!!」

ハイディアスW達は驚いた様に叫ぶ。

「・・・オレはそんな名前じゃねえ」

「日月さん?」

未だ心配そうに日月の後ろにいる栞が話しかける。

日月は顔だけ動かして栞を見て前に出る。

「オレは・・・オレはクルス・・・・仮面ライダークルスだ!!!」

そう言って少し後悔する。

(やっぱ改名しないで素直に受け入れてた方が良かったか・・・?)

改名したのは過去を乗り越える意味で行ったのだが、自分で考えた名前の由来が格好つかないのと、ノリで仮面ライダーを名乗った事に後ろめたさを感じていた。

だが、直ぐに気を取り直し右手を前に出して構える。

「バァイー、ヂヴェ!!デーヴァ!!」

そう言って、青色のマフラーをしたハイディアスWはクルスに飛び掛り、その後に赤色のハイディアスWが駆け出す。

「日月さん!!」

栞が叫ぶ。姿が変わったとは言え、日月は既に一対一の状態で奴等に完敗しているのだから不安に思うの仕方なかった。

ハイディアスWはパンチを叩き込むがクルスに叩き落され体制を崩す。

すかさずクルスは体制を崩したハイディアスWの顔面に拳を叩き込み吹き飛ばす。

「ヘアッ!!」

吹き飛んだ青色のハイディアスWの影から、赤色のハイディアスWがクルスに殴りかかる。

クルスはそれをかわすと、反撃としてパンチを放つ。

パンチを受けハイディアスWはよろめき、クルスは続けてハイディアスWにパンチを繰り出し、さらにキックを放ち蹴り飛ばす。

(いける!思い通りに力が出せる!!)

クルスに変身する前までは、一挙一同に全力を出さなければ動けない様な感覚があった。

しかし、今では全くその感覚がしない。むしろ少しずつ力が湧いて来る様な気がする。

「日月さん」

栞の言葉に振り向き、頷く。

栞は今のクルスの力強さを感じ、邪魔にならないようにその場から離れる。

(なんでだ?・・・・どんなに憎んでも・・・恨んでも・・・全く力が出せなかったのに・・・・)

日月は今まで必死に相手を憎もうとしてきた、けれど本心から相手を恨む事が出来ず、そんな自分自身に対して怒りを感じていた。

それが力の循環の邪魔になり日月の身体を蝕んでいたのだ。

けれど今は違う。

今は恨みでなく、憎しみでもなく、相手を殺す為でもない、守る為に戦うと決めた。

いくら迷っても過去には戻れない。なら今出来る事、これから出来る事を精一杯すればいい。

例え力及ばずとも、自分に出来る事を精一杯行う事に意味がある。

「グ・・・オボレ!!」

ハイディアスW達がゆっくりと立ち上がる。

そして二体同時に駆け出しクルスに向かっていく。

「・・・フッ!」

気合と共にクルスも二体に向かって走り出す。

互いの距離が二、三歩ほどに近づいた時、クルスは左側に移動する。

クルスから見て左側にいる、赤色のハイディアスWはパンチを繰り出す。

それを手で払い、背後に回りこんで背中を蹴り飛ばす。

吹き飛ばされた方と入れ替わるように、青色のハイディアスWが飛び掛る。

「ウッらあ!!」

飛び掛ってきたハイディアスWを両手で受け止め、膝蹴りをくらわす。

膝蹴りをくらって怯んだハイディアスWに、クルスは3度パンチを叩き込む。

「!!」

その時、クルスの視界に赤色のハイディアスWが突進してくるのを捉えた。

クルスは大きくジャンプし、青色のハイディアスWと赤色のハイディアスWを飛び越える。

ハイディアス達は素早く振り向き、クルスも着地すると振り向き構える。

ハイディアス達は互いに顔を合わせると、何かを確認するように頷く。

そして二体はゆっくりと離れながら、クルスに近づいていく。

クルスから見て、赤色は右へ、青色は左へ移動している。

(・・・コイツ等)

クルスは二体が自分を挟み撃ちにしようと考えているのだと判断した。

(久しぶりに・・・やってみるか!!)

そう決めると、クルスは敢えて二体が自分の両脇に来るまで待つ。

そして二体が自分の両脇に来ると、クルスは左足を半歩後ろに下げ、右手を前に、左手を腰に落とす。

その時、一瞬だけ中心が点で四方はひし形に伸びる、十文字に似た紋章が浮かび上がり消える。

するとベルトから金色の紋様を伝って光が走り、右足にオレンジ色の炎が宿る。

そして、クルスは自分から見て左側の青色のハイディアスWに駆け出す。

同様にハイディアスW等も走り出した。

「ハッ!!」

クルスは飛び上がり、横回転しながら炎の右足を突き出す。

迎撃しようと二体も同時に飛び上がるが、突き出されたオレンジの炎が青色のハイディアスWに直撃する。

「ガア!!」

力の篭もった蹴りをくらい吹き飛ばされる青色のハイディアスW。

更に、クルスは蹴り飛ばした勢いを利用して体を捻りながら、反対側に飛び上がり向かってくるハイディアスWに左足の蹴りを放つ。

「・・・・ッハア!!!!」

「ンヌ!!?」

予想していなかったクルスの攻撃を避けられず、吹き飛ぶ赤色のハイディアスW。

クルスはその両者の中心辺りに着地する。

「ヴォ・・・・オボレ・・・・・・・ッ!!!」

二体は起き上がろうとするが、炎の蹴りを受けた青色の方に炎を宿した十文字の様な紋章が浮かび上がり苦しむ。

その紋章の炎は徐々に燃え広がっていき、紋章が一際輝いた瞬間、青色のハイディアスWは爆発四散した。

「ヌウゥ!!」

残った赤色のハイディアスWは憎しみの篭もった唸り声をだす。

クルスは直ぐに赤色のハイディアスWに向き直る。

「!!」

その時、別方向から僅かに殺気を感じたクルスはその場で大きくジャンプする。

その直後、空を切る音と共に幾つかの手裏剣がクルスの足元を通り過ぎた。

(新手か!?)

内心冷や汗を掻きながら着地する。と突如地面が盛り上がりクルスを下から突き上げる。

「ぅおっ!?」

着地した場所が悪かったのか、突き上げた衝撃が凄かったのか、クルスは大きく吹っ飛ばされ、地面に背中を打ち付ける。

「日月さん!?」

クルスは声のした方に顔を向けると、直ぐそばの木の陰に栞が隠れているのが見える。

直ぐに起き上がり周囲を見渡す。

「・・・マジかよ?」

見渡してみると、日月が着地しようとしていた場所にハイディアスЭが、少し離れた木の陰にハイディアス?が立っている。

「シータ・・・ダブル・・」

ハイディアスЭは二体に声をかけると、顎を動かして指令を送る。

「・・・!!」

一瞬何の事か分からない顔をした二体だが、Эが見た方向を見ると嫌な笑みを浮かべる。

三体の視線はクルスを捉えず、直ぐ近くの木に隠れている栞に注がれていた。

「!!」

その事に気付くと、クルスは栞を庇うように前に出る。

ハイディアス達はその行為を愉快そうに、笑みを浮かべながらゆっくりと近づいてくる。

(どうするか)

数の上では圧倒的に不利だった。

今回も都合よく助けが来るなんて事はないだろう。

迂闊に動けば栞の身が危険に晒される。

どれか一体に攻撃を仕掛けに行けば、その瞬間残りの奴が栞を襲うに違いない。

(・・・どうする?どうすればいい!?)

後ろに栞が居る以上逃げるわけにはいかない。

だが、今の状況を打破する策も浮かばない。

(またか?・・・オレはまた・・・・ひと一人守れないのか!?)

今の状況に、過去の出来事が頭を過ぎる。

 

(―どうして見捨てないんですか?―)

「何だ!?」

突然クルスの脳裏に声が響く。

(―何でそうまでして、他人を助けようとするんですか?―)

「お前は?」

クルスが困惑していると、頭の中に悲しそうな表情をした赤髪のショートカットの少女の姿が映し出される。

「・・・伊澄」

自分の頭の中に映し出された少女の名前を呟く。

その少女はクルスが知っている、二年前に見たのと全く変わらない姿で立っていた。

「・・・オレを怨んでるのか?」

クルスは突然現れた友人(幻影なのだが)に、これまで抱えていた不安。もしくは此処に現れた理由を尋ねる。

最後に会った時に彼女は重傷を負った。彼女だけでなく、自分の最も親しい友人達が同じ様に傷を負った筈だ。それを見たくなかったから自分は逃げた。だからその事を責められるのかと思っていた。

しかし、彼女は質問に答えない。

(―どうして自分が傷ついてまで他人の為に戦うんですか?―)

「・・・お前が言うか?」

クルスは少し呆れ気味に呟いた。似た様な事を二年前に自分が質問し、その言葉は自分が二年間考え続けてきた事なのだから。

(―何で日月さんは戦うんですか?他人の為に戦っても何の得にもならない。誰も貴方の苦しみを分かってくれない。戦う義務だって無い。むしろ日月さんは被害者なのに・・・・どうして?―)

悲しげな表情で尋ねる姫悸。クルスはその姿、その言葉を自分の記憶の中の物と重ねていく。

記憶の中の友人達も確か似たような事を尋ねてきた事があった。だが、それにまともに答えた事は無かったかもしれない。

何時も否定的な言葉で逃げていた気がする。けど、今は逃げてはいけない。逃げてしまったら一生答えを出せなくなってしまう気がしたから、クルスは姫悸の姿を正面から見据える。

「・・・理由なんか無いさ」

搾り出すようにして答える。

「誰かの為じゃない。今も昔も・・・・オレは自分の為だけに戦っているんだ。オレ一人で多くの人を救う事なんて出来ないし、その事で文句を言われようと、誰が傷付こうと知った事じゃない。」

(―なら・・・どうして?―)

そう言って日月に一歩近づく。

「オレが助けたいと思ったからだ。誰かの為に戦う事も・・それで傷つくこともオレが自分で決めた事だ。それ以上の理由は無い」

(―それで死んでも良いんですか?―)

「オレはそんな善人じゃない。だからお前を・・・皆を救えなかった」

悔しそうに呟き、握り拳に力を込める。

「その代わりという訳じゃないけど・・・今は自分の身近に居る人を守りたい」

(―そう・・・ですか―)

クルスの言葉に姫悸は下を向いてしまい、表情が見えなくなる。

それを見てクルスは少し不安になる。しかし、後悔はしたくなかった。

「・・・オレの事を怨んでくれてても良い・・けどオレは・・・・また君に会えて・・・嬉しかった」

クルスはそう言って少し顔を逸らし、姫悸は顔を上げて微笑む。

(―私も嬉しいかったです。日月さんが優しいままで・・・・昔と変わってなくて・・・本当に―)

そう言うと姫悸の体が透明になり、少しずつ消えていく。

(―日月さん・・・・最後に二つだけ私の願いを聞いてくれませんか?―)

「・・・何だ?」

(―まず一つ目は、もう一度貴方が戦う理由を聞かせてください。)

「・・・わかった」

(―もう一つは・・・・・・―)

 

「日月さん逃げて!!」

「!!」

栞が大声で叫ぶ。

その声でクルスの意識は現実に戻される。だが気が付いたと時には、既にハイディアス達がクルス目掛け一斉に飛び掛っていた。

(オレが・・・オレが戦ってる理由は!!!)

しかし、クルスに恐怖は無かった。

死ぬ訳にはいかない。自分はまだ友人達に謝っていない。

何よりたった今交わした約束を、今度こそ守る為にもここで立ち止まる訳にはいかない。

だからクルスは誓いと共に叫ぶ。

「誰の為でもない!!オレはオレ自身を守る為に戦ってるだけだ!!!」

クルスが叫んだ途端、ベルトの赤い宝玉が目映い光を放ち、肥大化しながらベルト中心部まで移動する。

「オレはオレに関わるものを守る為に戦う!!だから誰にもオレの邪魔はさせない!!!」

「ヌォ!?」

宝玉が中心部に達すると宝玉は元の倍位の大きさになり、クルスの身体全体から炎の様なエネルギーが放出される。

そのエネルギーによりハイディアス達は弾き飛ばされる。

「日月さん?」

エネルギーの放出が収まったのを見計らい、栞は恐る恐る顔を出してクルスを見る。

そこには大きく変貌したクルスが、右手でハイディアスWの首を締め上げていた。

全身が黒い第二皮膚は変わらず、その上のボディーアーマーは分厚く暗い灰色をしており、所々血管の様に黒い筋が見える。

左腕の指先から肘までの第二皮膚は赤色に変化し、灰色をした大きなナックルガード、暗い灰色をした二重の手甲、分厚い角の様な形に変化したショルダーアーマー、左足も暗い灰色の足甲となり、左半身全体の筋肉が異様なまでに盛り上がっている。

ハイディアスWを掴んでいる右腕は赤いナックルガード、肘まである太く赤い手甲、その上には金色の腕輪が装着され、炎を模した金の装飾のショルダーアーマー、足も炎をイメージさせる金の装飾をした赤く太いレッグアーマーに変化し、筋肉は左側ほど盛り上がらず、半分位のものになり、ベルト部分からその両膝上までの金色の線模様は消えている。

頭は額の金色の短い三本角の中心が無くなり、変わりに左右の短い角が鋭く伸び赤色に変わっている。その左右に伸びる銀色の二本角も太い赤色のものに変化していた。

その姿は左半身が大地、右半身が炎の力を宿した様な姿だった。

首を掴まれたハイディアスWがもがいているが、締め上げている力が強いらしくびくともしない。

「ハアアァ・・・」

クルスは力を込めるようにゆっくりと左手に握り拳を作る。

すると肩からオレンジ色の炎が血管を通るように流れ、それが拳に到達した時、クルスはその拳を思い切りハイディアスWのボディに叩き込んだ。

なす術無く会心の一撃を受けたハイディアスWは、思い切り吹っ飛びながら空中で爆発四散した。

「ナビ!?」

驚きの声を上げてクルスを見るハイディアス達。

クルスはゆっくりとハイディアス達に視線を向ける。

¬≧⊂ヽÅ∫⊇∬£!!」

ハイディアス?は叫びながら、手の平から手裏剣を打ち出す。

クルスは左腕を盾にする様に構えてそれを弾き飛ばす。

「ヌウゥ・・・!!」

それを見たハイディアス?は、恨めしげに唸りクルスに体当たりを仕掛ける。

ハイディアス?が目の前に来た瞬間、腕を振り払うかの様にして顔面に裏拳を叩き込み、ハイディアス?を公園の外まで弾き飛ばした。

クルスはハイディアスЭに視線を向ける。相手も怒りを込めた目で自分を見ている。

「・・・行くぞ!!」

「ウェア!!」

お互いに叫び走り出す。

そして両者が右拳を突き出し激突する。

ハイディアスЭは吹き飛び倒れ、クルスは数歩よろめく。

「グッ・・・ォボレエェェェイ!!」

怒りに満ちた目でクルスを睨む。どうやらクルスの右拳には左と同じ力は無いらしい。

ハイディアスЭは直ぐに立ち上がりクルスに向かって殴りかかる。

だがその時、走り出したハイディアスЭの腕から鋭い三本の爪が生えた。

「ウオッと!?」

それを見たクルスは左腕の手甲で爪を受け止め、右手でハイディアスЭに殴りかかる。

しかし、ハイディアスЭはさっと飛び退いてかわす。

お互いに向き直った時、ハイディアスЭは愉快そうな笑みを浮かべていた。

「くそっ!あの速さ・・・それと爪が厄介だな」

パワーでは自分が圧倒的に勝っているが、スピードでは敵に分がある。

防御力も先程より上がっているが、アーマーの隙間を狙われたりしたらどうなるかは分からない。

だが、クルスは自分に他の姿が有るのか、先程の姿に戻る方法すら知らないので、この姿で何とかしなければならない。

「武器とか無いのか!?」

口に出すつもりは無かったが、思わず大声で出てしまった。

「武器・・・」

それを聞いて栞は呟き、周囲を見渡す。

すると、少し遠くに見える、噴水の近くにあるものが目に付く。

それを見た瞬間栞は駆け出した。

先程までの恐怖や不安を感じさせない程、栞は走った。

クルスとハイディアスЭはお互い牽制し合って栞に気づいていない。

この時、彼女は何も考えず無我夢中で走った。

自分も何かしたい。五年前の様に何も出来ないのは嫌だったから、自分の力で支えたかったから必死に走った。

そして目的の物がある場所にたどり着き、それを抱えてまた走る。

「日月さん!!」

戦いの場まであと少しという所で呼びかけると共に、持っていた物を投げつける。

「!?」

栞の声に反応したクルスは、飛んできた喧嘩上等と書かれた鉄バットを左手で掴み取る。

すると、鉄バットはクルスの身長ほどある長く太い金色の刀身を持ち、柄も普通の物の倍くらいの長さの大刀に姿を変える。その刀身は峰と刃の間に少し空洞がある。

「デカいなオイ・・・」

左手で持ち、変化した鉄バットを見て呆れ気味に呟く。

しかし、直ぐに気を引き締めて持ち手を左手を上に、右手を下にして大刀を構え直す。

「ヴェア!!デーヴァアアア!!!」

ハイディアスЭが叫びながらクルスに飛び掛り爪を振るう。

「おるあああ!!!」

クルスは叫びながら自分の身長ほどある大刀を、その重さを感じさせない程のスピードで振るう。

その時、刀身が赤々とした紅蓮の炎に包まれる。

「フンッ!!」

「グガッ!!?」

大刀と爪がぶつかり合い、クルスが爪ごとハイディアスЭの胴体を叩き切った。

そして続け様に大上段に構え一気に振り下ろし、ハイディアスЭの頭部を一気に切り裂いていた。

「ガ・・・・ガ・・」

少し呻いた後、切り裂かれたハイディアスЭの身体は、十文字型の傷から炎が燃え上がり爆発四散した。

それを見届けるとクルスは左手で大刀を一回転させて肩に置く仕草をする。

そしてクルスは元の日月の姿に戻る、ついでに大きく息を吐いた。

「すっっっっっげ〜疲れた」

彼の言葉を証明するかのように、額には大量の汗が出ていた。

「日月さん!!」

疲れきった日月に声がかけられる。

日月が顔を向けると笑顔を浮かべ、親指を立てて見せている栞の姿が見えた。

それを見た日月も苦笑しながら、同じ仕草を返した。

 

<水瀬家前 後日 8:34AM>

日も明るくなり、玄関の前に秋子、栞が日月の見送りに出ていた。

「行くんですか?」

「はい。色々とお世話してもらって、本当にありがとうございました。」

自分のバイクを水瀬家の前に止めながら礼を言う日月。

本来なら栞を水瀬家まで送り届けたら出発するつもりが、何故か泊まる羽目になってしまったのだ。

「今は無理ですけど・・何時か必ずこのお礼はします」

「そんなに気にしなくても良いんですよ」

「いや、そういう訳にもいかないでしょう?」

そう言って苦笑する。

「・・・・これからどうするんですか?」

栞が尋ねる。

「取り合えずは元の町に戻って・・・友達に謝りに行こうと思う。どんな事を言われるか・・・・少し不安だけどな」

表情は苦笑したままだが、本当に不安に思っているようだ。

「大丈夫ですよ」

暗くなりかけている日月に栞が声をかける。

「日月さんの友達も・・・きっと日月さんの帰りを待っているはずです」

それは迷っている日月を見て、自分達の境遇と重なったからだろう。だが、そう言って微笑む栞の言葉は重みがあった。

彼女達は長い時間を掛けて大切な人達との再会を果たした。だから、日月にも大切な人との蟠りが解けると信じられる。

それを見て日月は戦いの最中交わした約束を思い出す。

「ああ・・・・・そうだな・・・そうだった!」

そう言うとバイクに跨って、軽くエンジンを吹かす。

「本当にありがとうございました。妹さんにもよろしく言っといてください」

「まだ信じてないんですか」

「あらあら」

そう、名雪が秋子の事をお母さんと呼んでいたにもかかわらず。先日の夜まで日月は秋子の事を名雪の姉だと思っていたのだ。

そして三人から母親だと説明したのだが、日月は今も納得していなかった。

側から見たら分からないが、その時秋子は凄く機嫌が良かったらしい。

「それじゃぁ」

そう言って日月はバイクをゆっくりと走らせた。少し走らせるとスピードを上げて視界から見えなくなる。

「・・・・行っちゃいましたね」

走り去る背中を見送り、栞が呟く。その表情は少し不安気なものだった。

「・・大丈夫よ。日月さんなら」

そう言って栞に微笑む秋子。

「・・・そうですよね」

そう言って日月が走って行った方を向く。

「・・・・・・頑張ってください。日月さん」

 

(・・・そう言えば・・・・どうしてアイツは姿を見せたんだ?)

街中を走りながら日月ふと思う。

今まで戦ってきた中で、あんな事は一度も無かった。それに幻影だと分かっているが、本当に自分のすぐ近くに居る感じがした。いや、ずっと傍にいた様な気さえしてくる。しかし、この考えが自分の妄想なのか、別の何かなのか日月には分からなかった。

「まあ良い。今はあいつ等に会いに行こう。今度の約束はちゃんと守らないとなぁ!!」

彼女が現れた理由は分からない。だがあの時、姫悸は確かにこう言った。

 

(―まず一つ目は、もう一度貴方が戦う理由を聞かせてください。)

 

(―もう一つは・・・もう一つは私に会いに来てください―)

 

(―ずっと・・・ずっと待ってます・・・・相川さんも・・未来さんも・・雫も・・皆貴方の帰りを待っています・・・だから帰ってきて・・晃さん―)

 

「うっしゃぁぁあ!!行くかぁ!!!」

そう言うと気持ちを盛り上げるように、約束を果たす為に晃はスピードを上げて走っていく。

その後ろ姿を淡い光に包まれた姫悸が微笑みながら見送った。

 

Episode4[理由]Closed.

To be continued next Episode. by MaskedRider Revenge

cross story changed next Episode. Asut?story

 

 

次回予告

夜闇の中、誰にも知られず動く影。

カノンが新たな戦いに身を投じるのと同じ様に、闇に属する者達も動く。

何かの前触れを示す様にN県の遺跡の空間が歪む。

何かを探すように港町に向かう青年。

青年と同じ様に、晃もまた港町にたどり着く。

二人は互いの事を知らない、ただ約束の為に戦い、走るのみ・・・

 

次回、仮面ライダーR【リベンジ】

盟約に縛られし者達編 Episode「行動」

光在る所に闇が有る・・・

 

 

 

設定資料

 

仮面ライダークルス:ファイティングフォーム

 

白いボディに黒い背中の憎いやつ。(何じゃそりゃ!?)

一応この状態が基本形態。素直に他人を守りたいという晃の想いがこの姿を作った。

カノンとほぼ同じ力を持つが、戦い方はカノン達に比べると荒々しい。

必殺技は、右足に力を込めて空中で錐もみしながら放つレイドキック。

劇中でハイディアスW二体にくらわせたのは、晃が複数体用に開発したライダー三角蹴り。力が宿るのは右足のみ。だから赤色のハイディアスWは倒せなかった。

 

 

仮面ライダークルス:ラーヴァフォーム

 

右半身に炎、左半身に大地の力を宿した特殊形態。

ベルト左側に埋め込まれている宝玉の力が解放された時この姿になる。

この姿は、左腕が赤いカノンと同等の力を持っており自分の身の丈ほどある大刀も(左腕に限るが)軽々と扱う、防御力が大幅に上昇し紫のカノンの防御力を上回る。

右半身は左半身の半分くらいの攻撃力、胸部も同じ位の防御力を持っている。

ファイティングフォームに比べると速さと精細さに欠けるが、それを補えるほどのパワーを持つ。だが超パワーを得る代わりに、体力の消耗が激しく長期戦には向かない。

専用武器にブレイズセイバーという身の丈ほどの大刀を扱う。ブレイズセイバーは刀身と峰の間の穴に手を入れて薙刀の様に扱う事もできる。

必殺技は火炎の力を宿した左腕の豪腕から繰り出される正拳突きブレイズナックル。

同じく火炎の力を宿した大刀で敵を切り裂くバーンスプリット

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

は〜い。ようやく日月君は晃に昇格しました〜。

ついでにまともに変身できましたよ〜。

晃「長かったなオイ・・・」

栞「そういえば、どうして日月さんは名前じゃなくて苗字だったんですか?」

自分の事も分からん奴なんぞ苗字で十分だ。

晃「オレの扱い悪いな」

栞「でも、完全に変身出来る様になったんだから、良かったじゃないですか」

名雪「でも阿修羅男爵みたいだお?」

阿修羅男爵て(汗・・・ラーヴァフォームの事か

栞「いくらソルンで半身フォームアップが出てるからって、ちょっと苦しいですよね」

まだ不完全な状態だから仕方ないんだよ

ちなみにファイティングフォームの事も含めてだからね?

晃「マジか!?」

マジだよ

栞「まだ何か抱えてるんですか?」

晃「一応友人関係の問題解決してないから・・・でも十分気持ち切り替えたぞ?」

仕方ないよ

だってキミのベルトぶっ壊れてる状態だもん

晃「オイ!よりによって故障品かよ!?」

そこら辺は後々話に出すから黙んなさい。

でもまぁ、今まで変身が不完全だったのはひとえに、相手を憎まず自分に厳しいといった晃君優しさの所為なんですけどね

晃「・・・ヤロウ」

ま、そこがキミの良い所。

次回は異世界からの仮面ライダー。アスト主体の話になる予定ですよー

栞「予定ですか」

晃「オレの出番は無くなるのか?」

いや、多分ちょくちょく出すかもしれない?

ハイディアス?も次回冒頭で出す予定だし。

名雪「曖昧だお〜」

まあ予定は未定っつ〜から

姫悸「私はどうなってるんですか?」

キミは晃に恋心を抱きつつも、最後まで告白できなかった儚い薄幸の気弱少女。伊澄姫悸さんじゃないか

姫悸「こ!?こんな所でそんな事話さないでください!!」

一応晃君も事件の後で、キミに恋心抱いてた事に気付いたんだけどね〜

姫悸「え?!」

晃「おい!!」

でも、その恋は実るかはちょっと・・・・

晃+姫悸「「え?」」

晃君は後々彼女とどうなるかが大きなポイントになります(まあ予定やけど)

果たして二人は結ばれる事が出来るのか?

そこん所上手く書けるようにがんばります!!

それでは!!

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