<水瀬家 13:50PM>

視界に広がる闇の中に映像が写される。

日月は夢を見ていた。

楽しかった日々、友人、幸せだった日常、それが一気に崩れた日。

血が飛び交い、逃げ惑う人々、拳を振るう自分。

今にも息の絶えそうな友人、交わした約束。

壁に叩き付けられた少女。

それをただ見ている自分。

 

何でだ?どうしてこんな事になった?

―オマエガヤッタ―

違う、俺じゃない...

どう・・・して?

―ドウシテタスケナカッタ?―

違う、俺は...

―オマエガコロシタ…

違う・・・

―ナゼトモヲコロシタオマエガイキノビル?

俺は、オレ・・は・・・

ナンノタメニ・・・―−−−

 

仮面ライダーR【リベンジ】

繋がりを求めるもの編 仮面ライダークルス

Episode.3[謝罪]

 

<N県市外廃工場 12:32PM>

時は少し遡る。

町外れの既に住民にも忘れ去られている廃工場で二つの影が激しい戦いを繰り広げていた。

「フッ!」

「破っ!」

ガシッという音と共にアストとファング二つの腕がぶつかり合う。

「ヌウゥッ・・・破ァ!!」

少しの間押し合いが続くが、アストがファングを押し退ける形でお互い離れる。

(こいつ、強い!)

ファングは後ろに数歩後退するも、瞬時に右手を前に出し左手を顔の横に添え両手を手刀にした構えをとる。

アストも深追いせずに一定の距離を保ち様子を伺っている。

(こいつ・・・戦いなれているな)

アストとファングはこれまでの短い戦いの中で、お互いの実力を認識していた。

「さすがに本気でいかないと不味いな」

マスクの下でファングは舌打ちをしながら呟く。

その瞬間アストがファングに向かって駆け出し、右ストレートを繰り出す。

ファングはそれを左手で打ち払い殴りかかるが、左腕で防がれる。

そこからアストは右ジャブ、左フック、右ストレートと連続攻撃を繰り出す

「フッ!オオオオ!!」

ファングはそれらを避けながら、一瞬の隙を突いてアストの腕を取り背負い投げの要領で投げ飛ばす。

しかしアストは空中で一回転して難なく着地する。

「フッ!」

アストを投げ飛ばした隙に、ファングは自分のベルトの後ろ腰に取り付けてある箱のようなものを取り外す。

ベルトから外されるとそれは中心部が伸びて竿状の武器となり、折り畳まれていた刃が転回され長双の鎌となる。

「ハアアァ・・・ハァ!!」

長双鎌をバトンのように振り回し構える。

「チッ」

ファングは舌打ちすると一度手を広げ握りなおす。

すると白い光と共に灰色をした両刃の剣がアストの手に現れる。

アストは構える事はせず、自然体の状態で相手の出方を伺っている。

「へぇ〜・・・」

それを見るとファングは感嘆のため息をつく。

そして気を引き締めると一気に走り出す。

そこから両刃剣と長双鎌の剣戟が始まった。

「ハアアアアア!!!」

気合と共にアストに向かって鎌をバトンの様に振り回す。

アストはそれを全てぎりぎりの所で避け、逆に横薙ぎに切りつける。

ファングが下から切り上げればアストは仰け反ってかわし、アストが切り付ければファングが長双鎌で受け流し切り付ける。

剣と鎌がぶつかり合う度に激しい音と火花が散り、ファングは手数で攻め、アストは隙を突くという対照的な攻防となった。

「覇ッ!!」

「ぐぅっ!」

斬激の隙をついてアストがファングの鎧を切りつけ、切られた部分が火花をあげる。

アストは手を休めることなく切りかかる。

それをファングは長双鎌を巧みに操って防ぐ。

(ここで退いたらやられる!!)

そう感じたファングは長双鎌を勢いよく何度も振り回す。

「むっ!?」

その行為にアストの動き一瞬止まる。

「おおおおおお!!!」

ファングは一瞬の隙をついて長双鎌を何度もアストの上体目掛け振るう。

アストは後退しながらそれをかわす。

「ふっ!!」

上体への連続攻撃から急にファングは身を低くして、長双鎌を勢い良くアストの足元目掛け横薙ぎに振るう。

「噴ッ!」

アストはそれを片足を上げてかわす。

それと同時に剣を上段両手持ちに構え、上げた足を地面に踏み込むと同時に剣を渾身の力を込めて一気に振り下ろす。

「!?ッォオオ!!」

その一撃をファングは無理やり体を捻って手を突き出し鎌で受け止める。

偶然にも突き出した鎌が斜めに傾いて、振り下ろされた剣を下方に受け流していた。

「なに!?」

絶妙のタイミングの攻撃を受け流され、バランスを崩すアスト。

「ハアァ!!」

その隙に上側の鎌を振り下ろしアストを叩きつけ、すかさず戻す要領で下方の鎌を振り上げる。

「ぐぅっく!」

アストは後方に転がってそれをかわす。

最初に受けたのは峰部分だったようで、アストに切り傷はない。

そして再びお互いに一定の距離をとる。

「今のは危なかったな・・・」

ファングは荒く息を吐きながら呟く。

実際、今の反撃は偶然の産物だった。

もし後一瞬反応が遅れていたら、どうなっていたかは分からない。

(スピードに大した差は無い・・・が単純に腕力の差でこっちが不利だな)

ファングは息を整え、長双鎌を前に突き出し構え直す。

「まぁ、まともに戦えばの話だけど」

そう呟くとベルトにあるバックルからカードを一枚引き抜き、取り出したカードを鎌の峰部分にある溝にスライドさせる。

『セイヴァー』

するとカードが青く燃え上がり、機械的な声と共に青い炎から大振りの刀が二つ現れる。

ファングは長双鎌を元の箱の様な状態に戻し、後ろ腰に納める。

「行くぞ!!」

炎から現れた二つの大刀を持ち、アストに向かって駆け出し切りかかる。

その大きさとは対照的に、ファングは軽々と二つの大刀を振り回す。

「フっ!」

アストは動じる事無く両刃剣で二つの大剣を捌いていく。

幾度か剣を交えた後ファングは一旦後方へジャンプして離れる。

「フッ!ハァ!!」

アストとの距離が十分離れたところで、ファングは両手に持っていた剣を両方ともアストに向かって投げつける。

アストは向かってきた二つの剣を両刃剣で弾く。

その隙にファングは腰の箱に手を伸ばしそれを長双鎌に戻す。

「これで決めさせてもらう!!」

そう叫ぶと今度はバックルからカードを三枚引き抜きスライドさせる。

『ショット、ファイヤー、ストライク』

三枚のカードが青く燃え上がり、ファングの右腕に鳥をイメージさせる手甲が装着される。

手甲が装着されるとファングは身を低くしながら右腕を後ろのほうに引き、左手は右手を包み込むようにして添える。

「ハアアアアァ・・・」

気合を込める様に息を吐く。

すると、それに呼応するかのように手甲から赤い炎が燃え上がる。

「ファィィィァァアアアアアアアアーーー!!!!!」

叫ぶと同時に拳を突き出し、手甲から炎の弾丸が吐き出される。

「ちぃ!!」

アストはそれに反応すると剣を逆手に持ち、向かってくる炎の弾丸を剣の横腹で受け止める。

炎の弾丸は剣に受け止められたことにより跳ね返り、地面にぶつかって爆発を起こした。

「ッ!!」

その爆発で思わずファングは左腕で顔を隠す。

そして爆発が収まってきたのを見計らい腕を下げる。

だが煙が収まった時にはアストの姿はどこにも見当たらなかった。

「・・・この場合・・逃げたって言えるのか?」

しばらく周りを見渡し、周囲に何の気配も感じないのを確信するとベルトのレバーを引っ張る。

REVISED

機械的な声と共にバックル部分が回転し、∀の刻印が前面に出される。

刻印が出されると体の周りが透明な鏡に覆われ、その鏡が一回転するとファングは元の人間の姿に戻った。

「アスト…か」

浩輝は今戦った相手の事を考える。

しかし、今の爆発を聞きつけていつ人が来るか分からないので、さっさとその場を立ち去ることにした。

だが、あのまま本気で戦っていたら、互いに無事ではすまなかっただろう。

(奴は、いったい・・・)

浩輝はデッキホルダーから『ESCAPE』と書かれた、ホワイトホールの様な絵の書かれたカードを引き抜き近くの建物にある鏡の前にかざす。

するとカードは青く輝きだし浩輝の体が鏡に吸い込まれてその場から居なくなる。

その場には大きな焼け跡だけが残されるだけだった。

 

<水瀬家 14:23PM>

日月はガバッという音が聞こえる程勢いを付けて体を起こす。

夢の影響か、はぁはぁと荒く息を吐く。

(・・・またか)

こういった夢は何度見てもなれない。と日月は思う。

 

大切な人たちがいた。

助けたかった・・・

助けると約束した・・・

助けてほしいと願った・・・

救ってほしいと願っていた・・・

それなのに...オレは・・・

守れなかった・・・

いや...守らなかった・・・

後に残ったのは、自分に向けられる憎しみのこもった視線。

悲しみと困惑、そしていくつもの後悔。

自分の無力。

 

だが今のような夢は最近はあまり見なかった。

(この町に来てから…か?でもなんでまた・・・・)

この町に着てから昔の事を鮮明に思い出す時が多くなったと日月は思う。

その理由はいくら考えても出て来ない。

しばらくして気持ちを落ち着けようと寝たままの姿勢で深呼吸を行う。

「・・・ここは?」

一端落ち着き、そう呟く。

すると扉が開く音が聞こえた。

「・・・気が着きました?」

声のした場所に顔を向ける。その視線の先には栞が洗面器を持って立っているのが見えた。

「あんたは・・・.

そう言って起き上がろうとする日月、だが、

「うっぐあぁ....っ!」

「だ、大丈夫ですか!?」

筋肉痛に近いような耐え難い激痛が体を襲う。

「無理しないで下さい。昨日の怪我もまだ治ってないんですから」

栞の言う通り、日月の顔は少し干乾びたままになっている。

どうやら彼女はずっと日月の看病をしていたらしい。

「こ、こは?あいつは・・・あの子は・・・・どうなった?」

栞は激痛でも起きようとする日月に対し、洗面器を床に置いて寝かせようと肩に手を添え静かに語りかける。

「大丈夫ですよ、貴方のおかげであの子も、私も怪我はありませんでしたから」

栞の言葉を聞き、そのままどさっと倒れるように寝込む日月。

「そうか・・・」

そう一言つぶやいて目を瞑り左腕で目を隠す。

日月の落ち着いた様子を見て栞は謝罪の言葉を伝えようと決心する。

「あの」

「すまなかった」

栞が話す前に日月が謝罪の言葉を伝える。

「えっな、ど、どうしてあなたが謝るんですか?」

突然の対応に困惑する栞。

どうしてこの人が謝っているのだろう。

真に謝らなくてはならないのは自分のほうなのに。

と、栞が考えていると日月は起き上がり話を続ける。

「…あんた達は見ず知らずのオレを本気で心配して、泊めてくれただけでなく手当てまでしてくれたのに、あんな馬鹿なことを言って・・・」

日月は今朝方のことを謝っていた。

それに気付いた栞は胸が苦しくなった。

「そんな、日月さんは悪くありません!私の方があなたの事・・何も考えないで・祐一さんと比べるような・・・ひどい事を・・・・」

栞は泣きそうになりながら日月に謝罪の言葉を伝える。

そんな栞を見て日月は本当に申し訳なさそうな顔をする。

「いや、あんたは正しいよ。悪いのは力を持ってるのに誰一人助けようとしないこの俺だ」

「そんな事、無いです・・日月さんだって・・・私達を守ってくれました。」

日月の言葉に首を振って否定する。

少し間をおいてから日月も首を横に振って答える。

「あんたを守ったのはオレじゃない・・・・・あの二人だ・・オレは何もしてない」

日月はそう呟き床に視線を落とす。

「オレもあんな風になれたら…な」

「あ、あれは・・・」

栞は言葉につまった。

二人の力をどう説明すれば良いのかと。

だがその様子に気付いた日月が一旦顔を上げ栞に視線を向る。

「一応言っとくが、あの変な…というか、あの力の事を言ってるんじゃないんだ」

「えっ?」

と再び視線を床に戻し話し出す。

「あの人たちやアンタみたいに…誰かの為に行動できたらなって、さ…」

そう話している日月の肩は震えている。その姿はまるで何かに耐えているように見える。

「どうして…そんな風に言うんですか?」

「どうしてって・・あんたらみたいに他人に優しく出来る人なんて…今時珍しいぞ」

「違います!そうじゃなくて・・・・どうしてそんなに自分の事を悪く言うんですか?」

栞は最初は強い口調だったがそれは徐々に悲しみを含めた弱いものになる。

だが、その瞳はまっすぐに日月を見ている。

日月はその視線に戸惑うような表情になり、栞から顔をそむける。

少しの間沈黙が続いたが、根負けしたかのように視線と肩の振るえをそのままにして日月が話し始める。

「オレは・・・本気で..命がけで誰かの為に戦うって事ができないんだ」

「どういう…意味ですか?」

栞の問いに日月は自嘲気味に話す。

「言葉通りだ。オレは・・どれだけ他人が傷ついても・・・助けを求めても・・・守ろうとしない。自分の事だけしか考えないクズ野郎だ・・・」

「それはウソです」

自嘲気味に笑い話す日月に栞がはっきりと答える。

その言葉にゆっくりと栞に顔を向ける日月。

「だって日月さんは赤の他人だった私を…酷い事を言った私を・・・・体を張って守ってくれました」

震える声で話す栞。その瞳はずっと日月を見つめていた。

「助けたのはあの二人だけどな」

「でも守ってくれたのは日月さんですよね?」

日月の言葉にすかさず栞が尋ねる。

だがそれも顔を背けて否定する日月。

「守っても・・・敵を倒せなければ意味が無い・・・」

「・・・どうしてそんなに自分を責めるんですか?」

「責める?」

栞の問いに顔を向ける。

「だって日月さん・・・さっきから自分を傷つける様な話し方です」

「本気で自分を傷つけられるヤツの方がマシだと思うけどな」

そう言って苦笑する。

栞はその言葉を聞いて悲しそうな表情になる。

「・・・あの時だってオレが死ぬ気で戦ってればな」

「あのとき?」

日月は栞が聞き返すのを聞いてしまった、という顔をする。

栞はそれ以上は何も言わず、日月が話してくれるのを待つように黙っている。

「・・・・オレは…五年位前かな・・高校に入る直前に・・この力を手に入れたんだ」

やがて視線を床に落としたまま、日月はぽつぽつと自分の過去の事を話し始めた。

「どうしてオレにこの力が身についたかは分からない。本当に突然変身できるようになったんだ」

そう言って自分の腹に手を添える。

「別に変身できるようになったこと自体は何とも思わなかった…ずっとそのままでいる訳でもないしな、それに高校で…・友達も・・出来たしな」

そして目を細め、懐かしむように、悲しそうに話しを続ける。

栞は黙って日月の話を聞く。

「んで高校入学して一週間ぐらいかな?あいつらみたいのが現われ始めたのは…自惚れだけど昔は奴らと対等、いやそれ以上に戦えてたんだが・・な・・・」

日月は話すごとに肩が振るえ、両手を強く握り締める。

「…あの時は…オレを支えてくれる友達がいた・・・・俺の力の事を知っても、関係ないと…オレを信じてくれた友達がいたんだ・・・・・だけど・・オレはそれを裏切ったんだ!!」

そう言うと日月は握り閉めていた手の平を額にもっていき頭を抱える。

「…ォレは・・オレは…・託されたのに!…守ると約束したのに!!見捨てて…この手で・・・・信じてくれた人を・・・・・オレはぁ!!」

震える声で・・・自分自身を憎む様な、今にも泣きそうな声で話す。

その時、栞が日月の身体を抱き寄せた。

「なっ!!??」

突然の事に驚きの声を上げる日月。

恥ずかしいのかその顔は真っ赤に染まっていった。

栞もなぜ自分がこんな行動を取ったのかこのときは分からなかった。

ただ、震えている日月があまりにも弱々しく、砕け散ってしまうような印象を受けた。

「・・・日月さん」

「な、なんだ?」

顔を真っ赤にし、どもりながらも聞き返す。

「無理しないで下さい」

「えっ?」

日月は意図が掴めず一瞬驚きを含めたような疑問の声を上げる。

「泣きたい時は・・・・泣いても良いんですよ」

「!?」

栞の言葉に大きく身体を震えさせる日月。

「日月さんは優しいです」

栞はそんな日月に優しく語り掛ける。

その光景はまるで子供をあやしている様に見える。

「日月さんは自分が傷つくより、他人が傷つく事が辛いんじゃないですか?だからそんなに自分を責めてるんじゃないですか?」

「そんな事・・・無い・・・・オレは・・・自分が情けない・・・・から!!」

自分に優しく語り掛ける栞の言葉が日月の心に染み渡る。

そして日月は栞の言葉によって昔の友人達の言葉を思い出していた。

『お願い。みんなを助けて!!』

『俺は良いから・・・二人を・・助けてくれ』

『約束してくれないか・・・必ず・・必ずあの子を助けると』

『日月さん・・・私達の・・・・為に・・泣かない・・・で』

日月は溢れ出そうになる思いを抑えるように目をきつく閉じる。

しかし、その行為とは裏腹に日月の瞳から涙が溢れる。

(クソ!!くそっ!何で今更!!?止まれ!!止まれ!!!)

止めようとしても一度流れ出した水の様に過去の記憶が頭の中を駆け巡る。

『ありがとう、あき兄達やっさしーね!!』

『サンキュ、けど・・・お前優しすぎるぞ?』

『優しいなお前は・・・』

『日月さんは優しいです・・・・けど・・・私とも約束してくれませんか?』

日月は今まで自分自身に枷を着けていた。

友人達を裏切った自分に泣く資格はないと。

栞達にあたったのも人の優しさに触れるたびに泣きそうになってしまうからだった。

他人の優しさに触れる度に自分自身が許せなくて、情けなくて。

記憶が呼び起こされる中、何時しか日月は泣いていた。

「クソ・・・・なさ・・け・・・ねぇ・・・・情けねぇ!!情けねぇょ・・・・!!!」

そう言いながら日月は咳を切ったように泣いた。

その涙は悔しさによるものなのか、悲しみからの涙なのか日月自身にも分からなかった。

日月はただ自分自身が情けなく思えて泣いた。

「情けなくないですよ・・・ずっと・・・・ずっと我慢してきたんですから」

そして栞は抱き寄せたまま黙って日月が泣き止むのを待った。

 

<??? 14:13PM>

いくつかの電灯が淡く光る薄暗い部屋の中に、二つの人影が写っている。

一人は白衣を着て机のパソコンに向かい、その後ろにもう一人眼鏡を掛けたスーツを着たサラリーマン風の男が立っている。

「どうですか?例の企画は?」

眼鏡を掛けた男が白衣の男に問いかける。

「微妙だな・・・あと一歩の所で不具合が生じてしまう。あと少しデータが分かれば完成するんだがな」

椅子を引いて体を眼鏡の男に向けて手短に答える。

「そうですか・・まあがんばってくださいよ・・・貴方の願いを叶える為にも、これは成功してもらわないと少々面倒な事になるんですから・・・」

口調は皮肉に感じるが眼鏡の男はどこか楽しむように話す。

白衣の男は机に置いてあるカップを手に取り中のコーヒーを飲んで再びパソコンに向かう。

その時、音を立てずに後ろから影が一つ現れる。

「どうしました、ガルガ?いや、今はハイディアスЭでしたね」

眼鏡の男は振り向き、特に気にした様子も無く尋ねる。

「ブレイン・・・デーヴァの力を持つ者が数人現れたようです」

「それで、どうしました?」

ガルガと呼ばれた影、ハイディアスЭの話を眼鏡男、ブレインは興味なさそうに答える。

「まだ覚醒には至ってない様ですが念の為に報告を・・・」

「別に必要ありませんよ・・・貴方達はそのまま作業を続けてください。そんな事、邪魔になったら排除すれば良いだけじゃないですか?」

そう言うとブレインはハイディアスЭから顔を逸らし、白衣の男の隣に移動する。

「ハッ。それでは・・・」

「ああ、ちょっと待ちなさい」

去ろうとするハイディアスЭをブレインが呼び止める。

「これを身に着けてから行ってもらえますか?」

そう言ったブレインの手には中心が透明なガラスケースに覆われた機械的なベルトがあった。

ベルトはコードなどが少し垣間見え、ガラスケースの中には狼の絵の付いたカードが仕込まれている。

「これを着ければ貴方の本来の力が出せる筈です」

そう言ってベルトを差し出す。

ハイディアスЭは黙って頷きベルトを受け取る。

そしてハイディアスЭはベルトを自分の腰に装着した。

その瞬間ベルトから稲妻が放たれ、ベルトとハイディアスЭの接着面が歪んで見える。

「グッ!?おあ、ぉ・・・ォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!!!」

放たれた稲妻が体を駆け巡り激痛に苦しみ悶え、ハイディアスЭの叫びと共にその体が形状を変えていく。

そして稲妻が収まった時その姿は大きく変わっていた。

「ほぅ・・・試作段階にしては中々の出来ですね」

ハイディアスЭの変化をみたブレインは顎に手をやり嬉しそうに話す。

ハイディアス達はそれぞれが甲冑を着たような容姿をしていたが、生物と呼べる姿をしていた。

だが今のハイディアスЭは甲冑と筋肉が融合し、頭部からつま先まで鉄と生き物が混ざったかの様で生命の息吹が感じられない。

「フシュゥ―・・・シュゥ―・・シュゥ―」

荒い息を抑え、変貌したハイディアスЭは部屋から姿を消した。

ブレインはそれを満足そうな顔をして見送る。

「・・・あの程度で大丈夫なのか?」

ふとパソコンに向かっていた白衣の男が問いかける。

「今の所は何の問題もありませんよ」

ブレインは男に向き直りあっさりと答える。

「だがデーヴァとは君達の邪魔をしていた存在なんだろう?それが数人いるとなると、あの試作では」

「黒沼さん。邪魔をする存在がそのまま障害になるとは限らないんですよ。良く吼える番犬だって噛み付かなければ怖くないでしょう?」

男、黒沼の話をブレインは不敵な笑みを浮かべて制する。

「それにもし仮に完全に復活しても何の問題も無い。そんな事より我々が注意すべきはこの世界のカノンです・・・・そうでしょう?二人とも」

ブレインは顔だけ後ろを向いて尋ねる。

すると部屋の扉が開き全身に中世の鎧を着込んだ大男と黒いスーツを着た青年が現れる。

青年は肩にウサギの耳をした丸い毛むくじゃらの、どこかのマスコットキャラの様な物体を乗せている

「気付いていたか」

「部屋に入るときはノックをするのがマナーですよ、ナイト」

「・・・善処しよう」

「それで?例の企画はどうなっているんだい」

大男、ナイトとブレインの話に割り込み青年が尋ねる。

「ああ、後一回カノンの力を記録できれば大体のデータがそろう。そうすれば」

「我々の世界とこの世界を繋ぐ扉が完成する・・・というわけですね」

黒沼の言葉の続きをブレインが話し尋ねる。

「ああ、嬉しいなぁ!・・・ついに、ついに僕の時代がやってくるんだねぇ〜!!」

黒スーツを着た青年がどこからかバラを一本取り出し自分の世界にひたる。

「取り合えずカノンには早く力に目覚めて欲しいですね。まぁ今は天神共がちょうど良い生贄になってくれるから二年前のような失敗はないでしょう」

「あれらの試作体達はデーヴァに処理されたのだったな」

「今回のは問題ない・・・もう少しこちらの世界の技術も信用して欲しいものだがね」

青年を無視してブレイン達は話を続ける。

すると青年の肩に乗っている物体が話し始めた。

「セイ様無視されてるム〜。馬鹿っぽいム〜」

「うるさい!黙れこのモジャモジャ!!」

そう言うと青年、セイは肩に乗った物体の両端をつねって引っ張る。

「ム゛ミ゛ャ〜!!フィだフィフー!!!」

モジャモジャは丸い毛玉上体から短い手と足を出して暴れるが何の意味も無かった。

「セイ君、ポールは大切な機材なんですからもう少し丁寧に扱ってくれませんか」

ブレインは呆れたようにポールを虐めているセイに注意する。

注意されたセイは面白くなさそうにポールを引っ張るのをやめて手を離す。

「フミュ!?」

空中で引っ張られていた手を離されたポールはそのまま床に落とされ顔面をぶつける。

「い、痛いム〜・・・」

ポールがぶつけた顔を抑えて呻く。

「さぁポール。早速ですが君にはまたカノンの偵察に行ってもらいます」

その様子に構わずブレインは顔だけポールを向き命令する。

「了解だム〜。じゃあ行って来ますム〜」

そう言うとポールはフワフワ浮かびながら移動して部屋から出て行った。

「それじゃあ僕も出かけるよ」

ポールが出て行った後セイもそう言って部屋を出る。

その後ナイトも黙って部屋から出て行く。

「さて、じゃあ私も出かけますが後は頼みますよ」

「分かっている」

そう言うと黒沼はパソコンに向き直りキーを叩き始める。

その様子を見た後、ブレインも部屋を出る。

部屋から出た後、長い廊下でブレインが呟く。

「早く覚醒してくださいよカノン・・・私達の神を復活させる為にもね・・・・ククク・・ハハハ・・・・ハーハッハッハハハハ!!!」

ブレインは不気味な笑い声を上げながら何処かへと去っていった。

 

<水瀬家 14:50PM>

時間がたち日月はもう泣き止んでいた。

今はもう息も整い落ち着いた感じである。

「・・・落ち着きましたか?」

不意に栞が尋ねる。

すると日月はゆっくりと栞から離れ、とても小さなため息を出し顔を背け呟く。

「・・・・胸が足りない」

「むね・・・?」

一瞬時間が止まったかと錯覚しそうなほど二人の動きが止まった。

少し時間がたち、栞はゆっくりと視線を自分の胸元にやった後顔を赤らめ叫ぶ。

「た、足りないってどういう意味ですか!!?」

「い、いや、こういう時は顔が胸に当たって気恥ずかしさから恋愛が始まるのが王道だろう!!?」

栞の勢いに押されながらも言い訳をするが火に油を注ぐだけだった。

「そ、そんなこと言う人嫌いです!!それじゃまるで私胸が全然無いみたいじゃないですか!!?」

「まるでって言うか・・・」

そう呟くと目線を明後日の方に向ける日月。

栞は顔を真っ赤にして講義する。

「酷いです!鬼畜です!!極悪人です!!!人が気にしてる事をハッキリ言わないでください!」

胸元を隠すように両腕を組んで一際大きな声で講義する栞。

「それに私まだまだ育ち盛りだから大きくなります!!」

「安心しろ!世の中には小さい方が良いという輩も大勢いる!!」

日月は栞の講義にすかさず右手親指を立てて力説する。

「もしかして・・・日月さん・・も?」

日月の言葉に栞は疑惑の視線を向ける。

「大丈夫だ、オレは貧乳には興味無いから」

その言葉に呆けた表情になる栞。

そしてそれは再び疑惑の視線に変わる。

「もしかして・・・貧乳って私の事ですか?」

栞は引きつった笑顔で尋ねる。

「・・・と言うより何でオレ達はこんな話をしてるんだ?」

日月は目線を逸らして聞き返す。

「それは日月さんが最初に・・・・もう良いです!!!」

栞は頬を膨らませプイッと顔を背ける。

「いや、ごめんな。オレが悪かった」

そう言って両手を合わせて頭を下げて誤る。

それを見ると栞は苦笑する。

「・・・もう良いですよ。日月さん」

「ごめんな、でも何であんな事を真面目に話してたんだオレ達?」

「まだ言いますか・・・」

その言葉と共に日月をきつく睨む栞。

日月は罰が悪そうに視線を泳がせる。

しばらく沈黙が続いたが、段々二人の体が小刻みに震えだしどちらからともなく笑い出した。

「くっくくく・・・ハハハハ!!あっはっはっはっは!!!本当に何を真面目に話してたんだオレ達?」

「ふっふふふ・・ははははは!!ほっ本当ですね」

そしてお互いに笑いあった。そこにはもう先程の辛い雰囲気は全く感じられなかった。

 

・・・そして数分後・・・

 

「ひ、日月さん?」

栞は引きつった顔で尋ねる。

だが栞の問い掛けにも答えず日月は笑い続けるだけだった。

「アハハハハハはハハハハは、はっはははははははははははははっははっはひっはっははは!!!!!!!!とッ止め・・・ハ・・・・ハハハッははははははあっははははっはははははハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」

嫌、違った。答えないのではなく答えられないのである。

どうやら歯止めが利かなくなって笑いが止まらなくなってしまったようだ。

「あ、秋子さあああああああん!!!助けてくださいぃぃぃぃ!日月さんがあああぁ!!」

「し!・・・・死ぬ・・・・・・・」

栞は涙目になりながら部屋を飛び出し秋子を呼びにいき、日月は笑いによる呼吸困難に落ちいった。

日月はそういえば前にもこんな事もあったと思いながら本当に久しぶりに笑い続けた。

この後彼は秋子が来るまで笑い続け、痙攣しながら本当に呼吸困難に陥っていたという。

 

Episode3[謝罪]Closed.

To be continued next Episode. by MaskedRider Revenge

cross story

 

 

次回予告

わだかまりも解けて栞たちに謝罪する日月。

秋子は日月の戦う理由を尋ねる。

日月さんが戦っている理由は何ですか?

問い掛けに答えられない日月。

そんな中、陰に潜む者達も秘かに行動を起こす。

ナイト「抵抗しなければ殺しはしない」

日月達は助けた少年を家に送り届ける事になる。

その帰りに三度ハイディアス達が日月達に襲い掛かる。

逃げられない絶体絶命の危機の中、彼は自分自身の戦いの理由を問いかける。

日月(オレが・・・オレが戦ってる理由は・・・・!!)

自分の想いに気付き、想いと力が交差する時戦士は蘇える!!

 

次回、仮面ライダーR【リベンジ】

繋がりを求めるもの編Episode4「理由」

封じた想いと共に、呼び覚ませ!その闘志!!

 

 

 

設定資料

 

ハイディアスЭ(ガルガ・ボレストゥ)

 

狼の怪人でハイディアスW、?より位が高い。

俊敏な動きとパワーを持ち、両腕の手首から生える鋭い爪による素早い攻撃を得意とする。

地中の中から人を引きずり込むという殺人方法をもつ。

強化ベルトの力により体が変化し強化体となった。

強化前は全身が鎧を着込んでいる感じだったが強化後は鎧と筋肉が融合したような姿になった。

 

ポール?(ニュー)・ポレフ

 

全身短い毛に覆われ丸い体をしておりウサギの様な耳を持つ探査用貴種。

短い手足でも早く動けて遠くから見たものの映像をパソコンなどの映像器具に送って実況中継する事も可能。

空中に浮かべるがあまり高くは浮かべない、スピードもそんなに出ない、疲労度高し。

普段はセイに遊ばれる。遊び道具兼付き人の様な役割をしている。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ハイ!カメリベ第三話終〜了〜!

日月「今回どんな終わり方だよコレ」

秋子「これはまた・・・」

栞「なんとも言えませんね・・・」

まるで御通夜に出るような暗い雰囲気で話さないでくださいよ

栞「暗くなりますよ・・・何ですか私のこの扱いは!!?」

作者の力量不足だ!!

栞「威張らないでください!!それに今時私で胸ネタ使う人いませんよ!!?」

そうかなぁ?

栞「忘れかけてた人の古傷抉る様な真似しないでください!!こんなことする人、人類の敵です!!!」

日月「て言うか主人公差し置いて何他の奴激しくバトルしてるんだよ?」

まあ過去で激しく戦った経験があるんだから良いじゃん?

日月「と言うよりオレはどんなキャラなんだ?」

栞「なんだか訳分からなくなってますよね」

取り合えずボケキャラっつーのは決定事項、後はテキトー。

日月「殴って良いか?」

良いじゃないか!!?

思いついた物語を残したかったんですよ刑事さん!!

秋子「がんばって文書能力上げてくださいね」

栞「秋子さん甘いです!!ジャンボミックスパフェデラックスより大甘です!!!こういった悪の根源は早い内に潰すべきです!!!」

秋子「大丈夫よ栞ちゃん。その時が来たら私が潰しますから♪」

えっ?

秋子「あまりやり過ぎないように気をつけましょうね?」

わかりました。

肝に命じときます。(滝汗

日月「取り合えず次回はいよいよオレが活躍出来るんだな!?」

まあね・・・予告通りに行くかは分からないけど・・・・

名雪「中途半端だお〜」

まあ、次回から何とか活躍できる様がんばります。

栞「それ以前にこれ最後まで読んでくれる人っているんでしょうか?」

秋子「きっと大丈夫ですよ。ここに来てくれる人は皆さん本当に親切な人達ですから」

第一話の時点で批判来なかったからね・・・

本当に皆さん良い人で―

秋子「それではまた次回お会いしましょう」

って強制終了ですかぃ!?

秋子「あまり長く話していても皆さんに迷惑でしょう?初回と言い、前回と言い、こ・・・」

サー!イエッサー!!

了解しましたぁー!!生意気いってスンませんでしたー!!!

 

 

AYU氏「うぐぅ・・・なんで敬礼なの?」

いや・・・気分的に殺意の波動を感じたもので・・・

AYU氏「あ、後ろ・・・!?うぐうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」

あ?のっ・・・もげえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ........ゴトッ。

 

名雪「私、にんじん食べれるよ?」

脈絡掴めないまま・・・・終わる。

本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース