仮面ライダーMAKINA

〜蘇る九頭竜伝説〜

 

第四話

 

  そこは現実ではない。少なくとも自分たちがいつも活動している世界とは違う。夢か、それに近い場所。智代はそう感じた。
  気が付いたらそこに居た。そこは何かの建物の中だった。地面から壁、天井その他一切合財が瑪瑙のような縞の入った宝石で造られている。そして目の前には門と言っても差し支えないほどの巨大な扉がある。反対側の壁には幾つもの窓があるが全て閉められており外は一切見えない。
  眼前の扉を開けてみようかと想い、扉を押したり引いたりしてみるがビクともしない。
  ふお、背後から黄金色の光が差す。振り返ると一人の黒髪のポニーテールのメイドが縞瑪瑙の窓を開け、そこから夕日の光が漏れていた。メイドは振り向くと智代に対してスカートの裾をつまんで優雅にお辞儀する。顔は逆光で見えない。
  「その扉の向こうに御用のかい?」
  メイドは尋ねる。
  「え?あ、はい」
  突然の問いについ間抜けな返答をしてしまう。
  扉の向こうにも別段用も思いつかないが、その向こうを見なくてはいけない気がした。
  メイドは窓際から離れると智代の横を通って扉に歩いていく。
  「えっと、あなたは・・・」
  目の前を通って行くメイドに問うとメイドは扉の前で再び智代に向き直る。初めて彼女の顔が見えた。
  「親しい者からはナイア、それかニャルと呼ばれている。君にもそう呼んでもらえると嬉しいかな。それとここがどこなのか気になっているだろうからついでに言っておくと、ここは夢幻世界カダス。幻夢郷にある、数多の世界に繋がる世界さ。幻夢郷は自分の‘光’がないから夕映えの都の光を楽しめる貴重な場所だよ」
  言いながらメイドは扉に手をかざす。それに反応して扉は奥に向かって開かれて行く。其処にあったのは無限に広がるかの如き荒野、そしてまるで地平線より上、広がっているべき空が切り取られているかのような空間だった。
  「こちらへ」
  メイドがその空間に入って行き、智代もそれについて行く。そして歩きながらもメイドの説明は続く。
  「カダスは城の形を採った混沌の空間。外壁と外周こそ縞瑪瑙の城だけど、実際には一つの閉じた世界。外部の因果律に曝されない空間だ。そして、かつて少ないながらも幻夢郷に在った神々が暮らした場所でもある。今は居なくなっちゃったけど」
  メイドは笑いながら言う。
  メイドについていきながら智代は周りの風景を見渡す。どこまでも殺風景な荒野と刳り抜かれたような黒い空がそこにある。
  しばらく歩いていると荒野に唐突に初めのと同様の、門の如き巨大な扉が立っていた。
  (どこでもドアの門版?)
  一瞬かなり馬鹿な事を考えてしまって智代は何となく恥ずかしい気分になった。
  「ここが君の用が在る場所だ」
  二人が門の前に立つと門が自ら開かれる。そこから再び縞瑪瑙の部屋になる。メイドが先導し二人は門を潜る。
  そこに在ったのは十数メートルは有ろう巨大なパイプオルガン、狂った音のフルートを吹く人に非ざる不定形の影、部屋の中央で向かい合う金と銀の玉座、そしてそれに挟まれて存在する十八の




































  「何だったっけ?」
  ベットの上で智代は呟いた。
  奇妙な夢を見た。言ってしまえばそれだけだが、言葉では表せない違和感がある。全てが現実で、同時に全てが虚構、という感じ。今この時のように確信に満ちた世界ではないし、自覚できる夢のような嘘と妄想に塗れた世界でもない。
  「智代、起きてる?」
  ふと、香里の声がした。ああ、そう言えば昨日から香里の家に居候していたんだっけ、と智代は思い出した。
  「智代?居ないの?」
  「いや、起きてる」
  ベットから起き上がりスリッパを履いて部屋の扉を開ける。
  「・・・居たの」
  露骨に残念そうな顔で香里は呟いた。
  「随分だな」
  「ああ、そういう意味じゃないのよ。これであなたが居なければ昨日の事が夢って事で納得できたんだけど」
  「で、酷く残念な結果になったと」
  「そう言う事よ」
  やれやれ、と香里は眠気が抜け切らない顔で朝食の用意が出来たと教えて一階に下りていった。
  智代も一階に下り、早速今日からレポート用の情報収集をする事にした。あの非日常を気にかけながら。




  昨日、智代が異形たちとの初めての邂逅を果たした峠では警察が谷から落ちた車を調査していた。
  「ええ加減堪忍やで、次から次へと」
  谷を下りながら溜息雑じりに呟いたのは神尾晴子警部補だった。女性としては比較的長身で赤みのある長髪が目に付く。容貌もつり眼がやや強気な印象を与えるが美人に入る方だろう。
  二年前までは鹿児島県警の刑事一課として働いていが今年の初めに刑事特課に異動となった。
  刑事特課は近年、日本の関東を中心に世界規模で発生している猟奇殺人とも言えない、むしろ怪奇殺人とも言える事件やそれらに関連性が疑われる事件を解決するために新しく設立された機関である。尤も事件の内容が突如人が青い炎に呑み込まれ灰のようになるというものや、UMAと思しき怪生物に因る事件など、どれもXファイルじみた物で解決に及んだものは一つもない。ただ、全く何も掴めなかったわけではない。東京に本社を置く大企業『スマート・ブレイン』社、数ヶ月前に倒産(何かの事件が有ったらしい)したのだが、期を同じくしてこれらの事件が大幅に減ったという事だ。それに気付いた特課は何か関連性があると感じ調査すると、不可解な事に歴任の社長である花形、村上峡児、木場勇治をはじめ、重役が一人残らず失踪している事が判明。更に調査を進めていたが、今度は東北を中心に不可解な失踪事件が多発し、並行してこちらの調査も行う事になったのである。
  その結果、晴子も勤務地を替える結果になったのだが、偶然にも娘の大学の近辺になったので彼女にとっては渡りに船だったが。
  尤も、これらの件は国民のパニック回避のため情報操作され、刑事特課も表向きは刑事第一課として扱われているので知って居る人間は限られている。その為、警察内部ではよく裏一課と呼ばれることがある。
  「ま、確かに最近は行方不明事件が半端ないですね」
  応えたのは晴子とペアを組んでいる滝和彦巡査部長である。平均的な身長に平均的な体格と特に特徴のない。強いてあげるなら人のよさそうな顔に、体格の割には優れた身体能力か。アメリカ育ちの日本人で元FBI捜査官でICPOにも出向した父に憧れて父の故郷である日本で警察を目指した青年である。既に有る程度調査は進んでいるらしく、和彦は適当に一人検事を捕まえ、今のところ分かっている検分内容を聞く。
  「どうやら、また例の行方不明関連やな。今月んなってもう八件目や」
  木にぶつかり、鼻のへこんだ車を眺めながら晴子は溜息をつく。
  「そうですね。車内で発見された獣の爪のような傷痕に、正体不明の粘着質な液体。更にここから少し下った所でまた・・・」
  「人間同士じゃ有り得んような争った痕跡、やな」
  今のところ捜査は成果らしい成果はない。何より一般市民に知られてはいけないような事件を担当させられる身としてはおおっぴらに聞き込みが出来ないのが非常にやり難い。
  「ま、言っとってもしゃあぁないわ。とにかくそこかしこ見てみよか」
  晴子は愚痴りながらも捜査に加わっていく。和彦は苦笑いを浮かべながらそれについて行く。
  その上の峠をロケットの爆音のような音に気付き彼らを含む警官たちが峠道まで辿り着いた時、そこに在ったのは強風に煽られて折れ散乱したような木々の小枝、残されていた腰を抜かして座り込んでパトカーを看ていた数人の警官、そしてカーレースなどでよく嗅ぐゴムの焦げたような匂いだけだった。




 

  峠道の上空を蜻蛉の翼を持った人型の異形が空を切る。それを追う黒い鉄の塊ジェットスライガー。それを駆るのは黒いボディに白い幾何学的なラインを持った姿の戦士、デルタ。空を飛ぶ影、ドレイクオルフェノク。それより遥かに速いスピードで走りながらも、地に敷かれた道を沿うのでは直線に飛ぶ目標には追いつけない。
  ドレイクオルフェノクを見つけたのは偶然だった。近頃多発している行方不明事件にオルフェノクが関わっているのではと他の仲間に先んじてこの地に向かっていた所、相手を感じ取り、今のような追撃戦となった。
  デルタはジェットスライガーを自動操縦にし、ベルトの横にあるデルタフォン(トランシーバー)とデルタムーバー(ビデオカメラ)を合体させた銃『デルタブラスター』をドレイクオルフェノクに向けトリガーを引く。放たれる白い光がドレイクオルフェノクの四つの翼の一つを貫通し、デルタの攻撃でバランスを失ったドレイクオルフェノクは峠の林に落下する。
  それを追い、デルタはジェットスライガーを降り、林に入る。雪を踏みしめ、オルフェノクの気配を探りながらゆっくり移動していく。
  「グオオオオ!!」
  デルタが通り過ぎた木陰から突如ドレイクオルフェノクが跳びかかる。デルタは咄嗟に反応しきれず、振り向くも組み付かれバランスを失って雪の上を転がっていく。少し転がってドレイクオルフェノクがデルタのマウントポジションを取りデルタを撲りつける。
  「く、この・・・!」
  デルタは拳を防ぎながらなんとかマウントから脱出しようとするが振りほどけない。そして、突如ドレイクオルフェノクの顔部の下半分が大きく開かれる。左右に開かれた顎でデルタの首に噛み付こうとする。デルタはなんとか身を捩って逃げようとするが方を咬み付かれてしまう。
  「うあああ!こいつ!」
  デルタは痛みに耐えながらデルタブラスターを取り、ドレイクオルフェノクの脇腹に突きつけ、トリガーを引く。零距離からの衝撃にドレイクオルフェノクは吹き飛ばされる。そして素早く立ち上がるとすかさずドレイクオルフェノクに向けデルタブラスターのトリガーを引く。そしてドレイクオルフェノクが立ち上がると目の前には既に眼前に展開された白いエネルギー、フォトンブラットの矢。
  「おおおお!!!」
  そしてそれに飛び込むように跳び蹴りを放つ。展開されたフォトンブラットの矢はそれに連動するようにドリルのようにドレイクオルフェノクの体を削っていく。デルタの必殺キック、ルシファーハンマーである。
  数瞬後ドレイクオルフェノクの背後の空間に通り抜けたように着地するデルタ。ドレイクオルフェノクはルシファーハンマーを受けた時のまま静止していたがやがて青い炎を上げ、灰となって崩れていった。



  戦いを終えデルタはデルタフォンを操作、人間の姿になり、フォトンブラットの白いラインは変身ベルト、デルタドライバーに納まっていく。
  「やっぱり、今回の事件にオルフェノクが・・・王が絡んでいるのか?」
  デルタのベルトの所持者、三原修二は不安げに呟いた。














  **後書き**
  最後の僅かな戦闘シーンに全体の六割の時間が掛かりました第四話です。色んな資料集めで財布が大変な事になっています。



  さて本編ですが主にこれからのストーリーの為の周囲の紹介的な話ですね。エアと555のキャラも顔を見せ始めて勢力図もどんどん面倒になっていきます。
  そしてカダスで合間見える智代と、この話ではハイドラと並ぶキーパーソン、ナイア。ニャルと呼ぶほうが世間一般には多いのかな?
  


  それはそうと主な敵である邪神。彼らは一応神様なので人間や他種族に崇拝者や教団を持っている者がいます。人間が守るべき対象とは限らんのです。そして、この神様同士も必ずしも仲が言い訳ではないので・・・
  また、MAKINA内での世界史はクトゥルー神話内の歴史に影響を受けます。1927年のアメリカのインスマスの事件などクトゥルー神話を知っているとより深く楽しめるようになる・・・予定です。知らなくても楽しめるように頑張りますが・・・
  クトゥルー神話の創造主、敬愛するHPLの創った世界で創るライダーワールドが皆さんを楽しませるに値するように頑張ります。



  で、近況。
  只でさえ資料(クトゥルーとか自衛隊とか)で金掛かるのにゲーセンでガンダムのコクピットに乗ってMSを操作するゲーム、戦場の絆でまた凄く財布がピンチに!
  春には嵌ってたカードゲーム、アクエリアンエイジが筐体ゲームに、かなりお金がやばい丸井奈仁華でした。

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