「健吾さん。俺は……俺はもう、カノンの一員なんですか?」

「いや……君はヤツらの……悪魔の手先になってはいない」

「!? どういう事ですか?」

「身体は確かに改造人間だ……だが心は、心は人間「相沢祐一」のままだ。君には脳改造をしていない」

「……俺を助ける為に?」

「それもある。だが君に……君にやって欲しい事があったからだ」

「それは一体?」

健吾は顔を上げて、しっかりと祐一を見据える。そして先程の宣告よりも、もっと残酷かもしれない事を
祐一に伝えた。

「それは……君のその力でヤツらと……カノンと戦ってほしいんだ!」




****    Kanon 〜MaskedRider Story〜    ****
****               第三話               ****




「!! 俺に!?」

「そうだ、君にはそれだけの力がある……それだけの力を与えた」

祐一は自分の身体を見る。とても信じられなかった。蜘蛛男にまったく攻撃が通じなかった事、その
蜘蛛男にあっさりと殺されかけた事を思い出す。いかに改造人間とはいえ、ヤツら怪人と対等に戦える
だけの力があるようには見えなかった。

「俺の身体に、そんな力が……見た目は普通の身体なのに……」

祐一は両手で自分の身体をあちこち触ってみるが、別段変わったところは無いようだった。

「今の君の身体でも常人の5倍程度の力がある。だが……君がその姿を変えた時に、その真の能力は
 発揮されるんだ」

「姿を変える……真の能力……?」

「そうだ。……君の身体にはスイッチがある。そのスイッチを起動させることによって全身にエネルギーが
 満ちて君の姿を変える……『変身』するんだ」

「変身……」

「それにより、今よりももっと強大な戦闘能力を得る。その一番の特徴は跳躍力……ジャンプ力だ」

そこまで喋った後健吾は立ち上がり、近くのコンピュータを操作しながら話を続ける。

「ジャンプ力ですか?」

「そうだ……私が注目したのは昆虫の力で、バッタの跳躍力だった。その力を持つ改造人間が君だ」

「どうすればその力を……変身出来るんですか?」

「ある動作を行うことによって君は変身する。その方法は、君に内蔵された電子頭脳の中にインプットされている」

そう言われて祐一は、自分の記憶を探ってみた。すると、スイッチを入れる動作−−変身ポーズ−−が頭の中に浮かび上がってきた。

「これが……」

理解する祐一だが一つ不安があった。それは……

「変身の方法は分かりました……それで俺は、俺はどんな姿になるんですか? 蜘蛛男……ヤツのように
 化け物みたいな姿になってしまうんですか?」

「……これを見るんだ」

健吾は、操作しているコンピュータのディスプレイを示す。祐一は寝かされていたベッドから降りて
素足で床を踏みしめ歩き始める。身体は以前とまったく同じ、いや以前より力強く動いてくれるような気がした。
そして健吾の後ろまで来ると、場所を譲ってもらいディスプレイを見る。

そのディスプレイにはCGで一人の異形の姿が描かれていた。だがそれは蜘蛛男のような怪物を彷彿とさせる
ものでは無く、悪に立ち向かう勇敢な戦士を思わせた。
頭部はバッタを模した作りの仮面だった。上半分は薄い緑色で赤い目。目の下に黒い縁取りがされている。
顔中央部は白銀のラインが入っていて、それは頭頂部を通って後頭部で扇状に広がっている。
眉間部分には赤色のセンサーがあり、その上に触覚を模したアンテナが付いていた。
下半分は白銀でバッタの口状の形をしていた。首には赤いマフラー。
身体は黒色で胸部から腹部にかけて緑色のプロテクターで覆われている。
背中にはバッタの羽根を思わせる緑色の模様が入っていた。腰には正面に風車の付いた赤いベルトが巻かれている。
身体の側面−−肩から腕、腕の内側から腋を通って足まで−−には白の2本のラインが走っていた。
手足にはそれぞれ白銀の手袋、ブーツを着けている。

「これが……俺の姿……」

「そうだ……君の変身後の姿だ」

画面のCGを見ながら黙り込む二人。そして健吾が口を開く。

「すまない……君をこんな姿に変えてしまって……君に力を与えた上にカノンと戦って欲しいなどと……
 私を憎んでくれていい。イヤ、それどころか今ここで君に殺されても仕方がないと思っているよ……」

「健吾さん……」

「だが……だがこれだけは聞いてくれ、祐一君」

健吾はそう言うと祐一の肩を掴み、懇願した。

「祐一君。ヤツらの……カノンの仲間にだけはならないでくれ。君がカノンに力を貸せば世界征服は確実なもの
 となってしまうんだ。だから、ヤツらの仲間になるのだけはやめてくれ、頼む!」

「……」

「それともう一つ……秋子と名雪の事だ」

「秋子さんと名雪……ですか?」

「ああ、さっきも言ったが私はどうされようとも構わない。だが二人は……秋子と名雪は許してやって欲しい。
 二人は何も知らない事だ。何の関係も、罪も無い。私がやってきた事も知らないのだから……秋子と名雪には
 幸せに暮らして欲しい……」

「俺は……」

祐一は健吾を憎むつもりは無かった。ましてや殺したり、秋子や名雪をどうかするという事は考えていなかった。

たしかに改造人間にされてしまったことはショックだった。もう普通の生活には戻れないし、家族と幸せに
暮らしていくことも出来ないだろう。だがそれでも祐一は、目の前で苦しむ叔父を責める事はしなかった。
あのままでは自分は死んでいただろう。それに裏切り者と処刑される危険を顧みずに自分に脳改造手術をしなかった。
カノンの手先にならないように、と。

「(悪いのはヤツらだ)」

祐一は、自分が正義の味方だと思った事は無いが、それでもカノンの事は許せなかった。

「健吾さん。俺は健吾さんを憎んだりしませんよ。秋子さんや名雪だって同じです。悪いのはカノンなんですから」

「……すまない、祐一君」

「これから、どうしますか? やはりここから……」

「ああ、ここから脱出……」

そこまで言いかけた時だった。祐一達のいる部屋に、ドーンという音とかすかな振動が伝わってきた。

「なんだ?」

「……どうやら、ここで話している時間は無いな……カノンが私のやったことに気づいたんだろう」

「それは……」

「君に脳改造をしていない事だよ……それに一度は首領の命令に背いた私だ。遅かれ早かれ処刑される。
 手術が終わった今、祐一君の確保と私の処刑にやってきたんだ。隔壁を閉じて更に簡単には開けられないように
 細工をしたが、それもそうもたないな……」

「そんな! じゃあ俺たちもここから逃げられない……」

「大丈夫だ」

健吾はコンピュータを操作したり、荷物のはいったバッグを用意しながら答える。

「この部屋には非常用の通路がある。そこから脱出するんだ」

「でも!」

「ああ、そこにもヤツらは居るだろう。だから陽動としてここを爆破する。その隙になんとか逃げ出すんだ」

健吾は祐一に、持っていたバッグを渡す。

「これは?」

「君が捕まった時に持っていた荷物だよ。あと私の研究データと私が知りうる限りのカノンの
 情報が入ったディスクも入れてある。これからの戦いに必要なはずだ」

祐一がバッグを受け取るのとほぼ同時に、部屋のすぐ外から爆発音が聞こえた。

「祐一君、こっちだ!」

健吾について、部屋の奥の壁にやってくる。それからすぐに、銃を持った数人の戦闘員が祐一達のいる
部屋に入ってきた。

「いたぞ!」

壁際に追い詰められる二人。健吾が後ろ手にスイッチを押すと、祐一の背後の壁が上へとスライドして
その先に通路が現れた。

「早く中へ!」

健吾に促されて祐一は通路に飛び込み、その後に健吾も続く。

ババババッ!!

「グッ……」

銃が乱射されて、部屋中の機械が破壊されていく。銃弾は通路にも飛び込んでくるが、壁が再び下がり
元通りになると銃弾を全て跳ね返した。

「開けろ、逃がすな!」

戦闘員が、健吾の操作していたスイッチを押すが反応は無く、壁は閉じられたままだった。

「くそ、回り込め! 他の連中にも伝えるんだ!」

「イーッ!」

戦闘員達が部屋を出ようとした時だった。破壊を免れていたモニターの一つに映し出されていた
タイマーのカウントが”00:00”を示した。その直後、部屋に隠されていた爆弾が爆発を起こし、
戦闘員を巻き込んだ。



ズズズ……

その音と振動は、通路を進む祐一達にも伝わってきた。

「なんだ……追手か?」

「いや……おそらく、部屋に仕掛けた……爆弾が、爆発したんだ」

祐一の疑問に健吾がつらそうな様子で答えた。

「この通路は……入り口は大丈夫なんですか? 壊れたらヤツらがすぐに……」

「……それも、心配ない、あの壁は……特別だ。そう、簡単……には、破壊……されないよ」

そこで祐一は、健吾の様子がおかしい事に気づいた。振り返って見れば健吾は額に汗を浮かべ、壁に手を
付きながら歩いており、祐一から大分離れていた。そして健吾の歩いた後には赤い筋が残されていた。

「健吾さん!」

ズルッ!

健吾は壁に付いていた手を滑らせて、その場に倒れてしまった。

「健吾さん!」

祐一は駆け寄って健吾を抱え起こす。背中に回した手を見ると、それは健吾の血で赤く染まっていた。

「これは……!」

「さっきの銃弾が……当たって、いた……んだ」

「……クッ!」

「ダメだ……ここからは、君……一人、で……逃げてくれ」

祐一は健吾を抱きかかえて運ぼうとしたが、健吾に止められた。

「そんな!」

「この……怪我では……。私のこと、は……置いて行く、んだ」

「……」

「すまない……私も、カノンと、戦う……つもり、だったが……この、有り様だ」

「健吾さん……」

健吾の顔色が悪くなっていく中で、祐一は健吾の言葉を聞く事しか出来なかった。

「祐一君に……全てを、押し付ける……事に、なって……しまった。ほ、本当に……すまない」

「そんなっ、そんな事は良いんです! 俺は……」

そしてついに、祐一は己の決意を固めた。

「俺は……カノンと戦います。この力で!」

「あ、ありがとう……」

決意を聞くと健吾は、僅かだが顔を綻ばせた。

「ここを、脱出したら……私の、家に……行くんだ……そこに、い、1台の……バイクが……あるはずだ」

「バイクですか?」

「そうだ。普段は……何の変わりも、無い……バイクだが、ある信号を……受けると、形を……変える。
 性能も……普通の人間には……到底乗りこなせない、スーパーマシンに……なるんだ。変身した……
 君になら、乗りこなせる。それを……」

「それを、俺に?」

「ああ。私が……さらわれる、直前に……造ったバイクだ。こうなる事を、予感して……造った、マシン
 ……では、無いが……きっと、祐一君の……ち、力に……なってくれる……だろう」

「……その信号というのは?」

「君が……変身する……ときに、その……信号を出す……ように、してある。だ、だから……君が、
 変身すれば、バイクも……スーパーマシン……『サイクロン』へと……変わる」

「サイクロン……」

これから自分のパートナーになるであろうマシンの名を呟く。

「さぁ……行くんだ……ここにも、ヤツら……は、やって……くる…………秋子と……名雪を……」

それを聞いた祐一はハッとなる。祐一は、健吾に肩を貸して立ち上がらせると、通路を歩き始めた。

「祐一……君?」

「健吾さんを置いて行くなんて出来ません。秋子さんと名雪が待っているんです。健吾さんが居て、
 二人は幸せに暮らせるんですよ!」

「……それは……無理、だろう……」

「えっ?」

健吾の呟きを聞いて、祐一は立ち止まってしまう。

「何故ですか!?」

「私の……手は、既に……多く……の、血で……染まって、いる。直接……手をかけた、訳では……無い、が
 ……私の、手がけた……研究が、カノンの……力と、なって……大勢の、人を……苦しめて、いるんだ……
 いくら、私が……ヤツらと、戦って……償おうとしても……こ、殺された、人は……私を、許さ……ない、
 だろう。そ、そんな私が……いまさら、二人の……ところに……も、戻れるはず……も、ない……
 たとえ……ふ、二人が……許して、くれ……ても私が……私、を……許せ……ない」

健吾は先程よりも弱弱しく答える。顔色もさらに血の気が失せて、最早助かる見込みは無かった。

「……」

「……科学者の、愚かしい……性だな。ここに、居ても……研究、には……真剣に……なって、いる時が……あった。
 私は……カノンに力を貸した……悪魔の、科学者……なんだよ」

「違いますよ」

自嘲する健吾を、祐一は否定した。

「祐一……君」

「……俺のこの身体だって健吾さんの研究の結果なんですよね?」

「あぁ……」

「だったら俺は絶対にカノンの仲間になったりしません! もしそうなったら、本当に健吾さんはカノンの仲間に
 なってしまう。俺は……この力を使ってヤツらと戦います! そうすれば……」

「…………」

タタタタ……

そこまで言った時だった。祐一の強化された聴覚は、前方からやってくる複数の足音を捕らえていた。

「ヤツらがやってきたか! ……健吾さん、少しの間辛抱してください」

そう言うと祐一は、健吾を床に座らせると飛び上がり、天井に張り付いた。
程なくして通路の先から戦闘員がやってきた。

「む、相沢祐一がいないぞ?」

「こいつは水瀬だな?……まだ息がある。こいつだけでも殺しておくか」

戦闘員が腰の短剣を抜いた時だった。祐一は天井から戦闘員の背後に降りてくると、彼らに振り向く間も与えずに
戦闘員達を打ちのめした。改造された身体から繰り出された攻撃は、戦闘員達を一撃で行動不能にしていた。

「これが俺の力か……健吾さん」

健吾はそれに答えず、項垂れて、目を閉じたままぐったりとしていた。

「健吾さん!」

その言葉を聞いて、健吾は頭を上げて薄っすらと目を開く。だがその瞳は、焦点があっていなかった。

「……ゆういち……く、ん……わた……し、は……ここ、ま……での、よう……だ……」

「駄目ですよ! しっかりしてください!」

「……きみ、に……すべ、て……おし、つけ……て……すま、な……い」

もう何度も言った謝罪を繰り返す。

「いいんです……俺はカノンと戦います。必ずヤツらを滅ぼします!」

「!!……あ、り……が、とう……た、のむ…………『仮面ライダー』!」

健吾が最後の力を振り絞るように、その名を言った。

「仮面ライダー?」

「きみ……の、へん……しん、した、なま……え、だ……マシン……に、のる……かめん、の……せんし
 …………仮面ライダー」

「仮面ライダー……俺の名前……」

祐一は、その名前を心の奥底に刻み付けた。

「もう……す、ぐ……さいご、のし……かけ…………この、きち……が、ば、く……はつ
 ……する……せい、ぎょ……コン、ピュータ……に……じ、ばく……ウィル、スを……
 は、やく……い、く……んだ……わ、た……し、を……お……い、て……」

「そんな……秋子さんや名雪が待っているんですよ!?」

「あ、あきこ……に……こ、れを……」

健吾は左手を動かそうとするが、僅かに震えるだけだった。

「ゆ……び、わ……を…………すまなかった……と……な、ゆ……きに、も……」

祐一は健吾の手から指輪を抜き取ると顔を見る。その瞳はもはや何も映していなかった。

「……ふ、たり……の……こ、と……を……」

「……秋子さんと名雪は、俺が護ります」

それを伝えると、健吾はかろうじて笑った。

「あ……りが、と……う………」

「健吾さん……」

「す、ま……い……あ、き……こ……ま、ない……な、ゆ……き……す……ない……ゆ……いち……ん」

それだけ言うと健吾の頭から力が抜けてガクリと落ち、目も閉じられる。

「健吾さん?」

祐一は健吾の身体を揺さぶるが、健吾の目は二度と開く事は無かった。

「健吾さん…………ウウッ……」

祐一は健吾の遺体を見つめる。だが、時は祐一に悲しむ暇を与えてはくれなかった。

タタタタ……

再び、前方から足音が聞こえて戦闘員が現れた。

「相沢祐一、大人しく……」

「ウオオォッ!」

バキッ!

戦闘員は最後まで喋る事が出来なかった。祐一が突如叫んだかと思うと、戦闘員を殴り飛ばしたのだ。
祐一はそのまま全力で走り出した。途中、何人かの戦闘員に出くわしたが全て打ち倒して進んだ。そして……

「ここは……」

祐一は地下の広場に来ていた。駐車場らしく辺りには車やバイクなどの乗り物や、大きなコンテナが置かれていた。
広い空間で、天井もかなりの高さがあった。祐一が広場の中央辺りまで来たときに戦闘員を伴った蜘蛛男が現れた。
戦闘員は周囲からも現れて祐一を取り囲んだ。

「でたな、蜘蛛男!」

「ギギイッ! 相沢祐一、もう逃げられんぞ。大人しく我々と来て、脳改造手術を受けろ」

戦闘員達は、短剣を構えて徐々に包囲の輪を狭めてきた。

「俺は……俺はお前達の仲間になどならない! 俺はお前達と戦う!!」

「そうか……ならば、ここで死んでもらうぞ!」

「(よし……変身だ。その力でコイツを……)」

祐一は、変身ポーズを思い出す。

足を開いて左腕を握り腰に構える。右腕は指先を揃えて左上に真っ直ぐに伸ばす。

「ライダー……」

右腕を時計回りに旋回させて右上に来た辺りで止める。

「変身ッ」

今度は逆に、右腕を腰に構えて左腕を右上に真っ直ぐ伸ばす。すると祐一の腰にベルトが現れて中央の風車が回転する。

「トォッ!」

祐一が高くジャンプするとベルト中央の風車が発光し、その光は祐一の全身を包み込んだ。光に包まれた祐一が、
置かれていたコンテナの上に着地すると光も消えた。
そこには、研究室のモニターに映っていたCGの戦士と同じ姿があった。

「それが貴様の姿か!?」

蜘蛛男が、変身した祐一の姿を指差して問う。

「そうだ……俺は、お前達カノンと戦う戦士……『仮面ライダー』だ!!」

力強く宣言した祐一だが、心の中にある不安を消せないでいた。

「(変身は出来た……だが、本当に戦えるのか? 俺の力はあの蜘蛛男に通用するのか?)」

「仮面ライダーだと? ええぃ戦闘員ども、かかれぇ!」

「イーッ!」

蜘蛛男は戦闘員に指示を出す。迷っている暇は無かった。

「(健吾さんを信じるんだ)いくぞっ! トォッ」

変身した祐一……ライダーもコンテナから飛び降りて、戦闘員に向かっていく。
向かって来る戦闘員を殴り、或いは投げ飛ばして戦っていくライダー。

ババババッ!

戦闘員がマシンガンを撃つが、その銃弾はライダーのプロテクターにはじき返されてしまう。

途中、戦闘員の持っている短剣を奪って敵と切り結んでいく。

キィン、キィン! ズバッ!

「イ゛−ッ」

戦い方自体は以前の祐一とさほど変わるところは無かったが、その攻撃力は比べ物にならなかった。

「くそー。仮面ライダー、コレを喰らえッ!」

蜘蛛男は隙をついて、口から溶解液を吐いた。だが、蜘蛛男の動きはライダーに察知されていた。
かわされた溶解液は、ライダーと戦っていた戦闘員に降りかかる。

「イ゛−ッ」

溶解液を浴びた戦闘員は苦しみながら倒れると、そのまま溶けてしまった。

「クッ……」

対峙する二人。お互いゆっくりと回りながら相手の出方を窺う。

「(あの溶解液をなんとかしないと……よし!)ハッ!」

ライダーは持っていた短剣を蜘蛛男に投げた。

グサッ!

「ギギイッ!」

短剣は、今まさに溶解液を吐こうとしていた蜘蛛男の口に突き刺さった。短剣を引き抜くが、既に背後に
回っていたライダーに殴り飛ばされた。

「(いける! 俺の攻撃が通用する……俺はコイツより強い!)」

以前の戦いでは祐一の攻撃ははじき返されてしまったが、今のパンチは確実に蜘蛛男にダメージを与えていた。
殴り飛ばされて、倒れている自分に近づいてくるライダーに向かって、蜘蛛男は起き上がりざまに手から
糸を出した。

シュルシュルシュルーー

それはライダーに絡み付いて動きを封じた。

「グッ……し、しまった!」

「ギギイッ! どうだライダー、いくらキサマでも動けまい! これからゆっくりと……」

「ウオオーッ!」

ブチブチブチイッ

蜘蛛男の言葉は、ライダーの叫びと糸が引き千切られる音にかき消された。

「な、ナニィ!?」

動揺する蜘蛛男に、束縛を解いたライダーのパンチが決まる。

バキッ! バキッ!

蜘蛛男は一発、二発とパンチを受けてよろめいた。

「今だ……トォッ!」

ライダーは高く飛び上がり……

「ライダァーーーーッ」

空中で一回転すると、強烈なキックを打ちはなった!

「キィーーーーック!!」

ドガァァッ!!

「ギギイーッ!」

キックは命中し、蜘蛛男は飛ばされる。床に激突した蜘蛛男はそのまま爆発した。

「……勝った」

ライダーは己の勝利を噛みしめるように呟いた。

ゴゴゴゴゴゴゴ……

ライダーが呟くとほぼ同時に、振動が伝わってきた。

「なんだ……これは……爆発?」

ライダーのセンサーがアジト中の爆発音を捉えていた。健吾の言葉が思い出された。

「(最後の仕掛け……これか……)!! 健吾さん!」

ライダーは、自分が通って来た通路を引き返そうとした。やはり健吾の遺体をあのままにしてはおけなかった。
だが爆発と振動は一層激しくなり、ついには崩れた壁や天井がライダーの行く手を塞いでしまう。

「クッ……」

だがそれは、健吾の意思でもあるかのようだった。

「(私に構うな祐一君。後は頼む……仮面ライダー)」

ライダー=祐一は、健吾がそう言った気がした。

「健吾さん……」

あちこちから火の手が上がっていた。このアジトが大爆発するのも時間の問題だった。ライダーは広場に
停まっていたバイクに乗ると、アジトから脱出した。


                    ★  ★  ★


○県の山中に上がった巨大な火柱が、夜空を焦がしていた。それはカノンのアジトの一つが消えた証だった。

祐一は、その様子を遠く離れた場所から見ていた。既に変身を解き、荷物の中にあった服に着替えていた。
未だ爆発を続けるアジトを見ながら、祐一は誓っていた。カノンと戦うことを……




今ここに、『仮面ライダー』相沢祐一と『カノン』との壮絶な戦いの幕が上がる……









** 後書きというか何というか **

皆様始めまして。うめたろと申します。よろしくお願いします。

今回初めてこちらのHPにSSを投稿させていただきます。

特撮ヒーローの仮面ライダーとのクロス作品(で、いいのかな?)を書いてみました。

仮面ライダーといっても現在TV放映されているやつではなく所謂「昭和ライダーシリーズ」

その中でも最初の作品「仮面ライダー」です。(とは言えネタは色々なライダーが入っていますが^^;)

祐一君が変身した姿は仮面ライダー新一号で、彼が乗るマシンは新サイクロン号です。

これはまあ、私の個人的趣向だったりします。出てくる怪人も一番最初に登場した

蜘蛛男です。(原作と色々違う点がありますがご容赦を。以降の怪人についても同様にm(_ _;)m)

敵組織のモデルもショッカーです。

昭和ライダーシリーズが好きな私ですので

今後の展開も元ネタのノリで展開させていこうかな? と考えています。

ですが、シリアス、ダーク(?)路線を考えていたりするので

キャラが傷つく、或いは死ぬのは嫌だ。という方には合わないかもしれません。ご容赦願います。

また、2次創作の話なので元ネタの本編とは異なる事もご了承ください

科学的根拠だとか、深く考えずにお読みください^^;

未熟者故、色々至らない点があるかと思いますが長い目で見てやってください。


最後に、この作品を掲載してくださった管理人様

この作品を読んでくださった皆様に感謝を述べて、終わりにしたいと思います。


ありがとうございました。

次の話でお会い……できるといいなぁ。なるべく早く書き上げます^^;

では。                        うめたろ

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