仮面ライダーMAKINA
〜蘇る九頭竜伝説〜
プロローグ
そこは高原だった。生命の息吹を感じない荒野の様な高原だった。遮蔽物になるものはなく、遠く地平線まで見渡すことができる。
荒野は異常だった。いや、その世界が異常だった。
地平線より上、そこの空が存在していなかった。まるで切り絵のようにそこから上にあるはずの風景がなく、代わりに吸い込まれそうな深遠の闇だけがった。日が昇っていないせいではない。空以外は昼の日常の色をしていた。それがよりこの世界の異常を際立たせる。
その中に二つの人影がある。
片方は黒の長髪をうなじで束ねた20代前半の妖艶な女性で、全身を黒いスーツで決めている。もう片方は10代も終わりに近いであろう黒髪の少年だった。特徴といえばその顔が少年というより少女のそれに近いことくらいか。少年も女性のように全身を黒で固めている。違いはそれがレザーコートであるということぐらいか。
少年「なんの用だ、ナイア」
相手の顔も見ずに少年は素っ気なく女性に尋ねる。対してナイアと呼ばれた女性はそれを気にすることなく、どこか嬉しそうな態度で少年に接する。
ナイア「用なく呼べるほどカダスは気楽に行き来できる世界じゃないさ。今はボクの力も制限されてるから疲れるしね」
女はなにが楽しいのか笑いながら言う。
少年「用件だけを言えばいい。生身の人間にはこの世界そのものが毒だ」
ナイア「ん〜、こ〜んな美人のお姉さんが誘ってんのに〜。あ〜、うそうそ、すぐ用件言うからっ」
ものすごい威圧感と共に睨み付けてきた少年に苦笑いしながら言い繕う。
ナイア「まあ、用件は二つ。まず、奴らが動き出す」
ナイアの言葉に少年の表情が僅かに強張る。
少年「いつ頃からだ?」
ナイア「早ければ10日もすればなんらかのアクションがあると思うよ」
少年「場所は・・・」
ナイア「予想どうり東の島国、ヤマト。あの子が自由になった代わりに結界も消えちゃったし」
少年はどうでもよさそうに言う。
少年「どこに出ようが鏖す。あいつがいなくてもな」
ナイア「他の女には優しいんだ。ま、いいけど」
少しふてくされたような声を出す。
ナイア「で、二つ目。ヤマトにやつらが向かうなら当然対の門もそこにあるわけだけど、そこにさ、力を得た人間を感知した」
少年「・・・アザトホートの夢から発狂せず戻れたのか」
ナイア「そう、数までは判らなかったけど」
その言葉に少年は当然のように思う。
少年「現代に殆んど信者を持たず、更に親父の無茶な召喚で力が不完全なんだろ?地球の裏側のことだ。如何な邪神でも限界はあるだろ」
ナイア「そうなんだけどね〜。で、その力なんだけどキミと同じ形で発現するはずだ。」
少年「・・・全て潰せばいいだけだ」
少年の極端な発言にまた苦笑いする。
ナイア「・・・敵になるって決まったわけじゃないんだから・・・」
少年「帰れる日常を失った人間はやつらより性質が悪い。そうなる前に力を取り上げる」
ナイアは思う。どんなことを言っても結局この少年の根本は優しさなのだと。
ナイア「キミの場合、霊的に劣る男だからね。女ならキミみたいに代償を必要としないんだけどね」
そう、少年は力を得るために大きな代償を支払ったのだ。
ふと少年の体だ薄らいでゆく。
ナイア「あらら、もう起きる時間か」
少年「みたいだな。今回も無事、夢から帰れそうだ」
やや皮肉めいた笑みを少年は浮かべた。
アメリカ合衆国マサチューセッツ州アーカム市。
市の中央にあるミスカトニック大学の近くのやや大きめのアパート。その一室でソファーの上で少年は目を覚ました。
少年は時計を見る。11時を指していた。昨日から10時間近く寝たのに疲れが取れないのはカダスに呼ばれたせいかと考えながら少年はリビングにでる。
部屋を出たところで一人の少女が目に入る。
少年「あ、神奈」
神奈と呼ばれた少女は少年を見ると笑顔で少年に歩み寄る。
神奈「おお、起きたか。ことみ殿が昼食の準備をしておるぞ」
神奈は少年より頭1つ以上低く、腰まで伸びた黒髪が目に付く。その横髪を左右に紐で結び鈴が付いている。
少年「神奈、日本に飛ぶ。準備しろ」
少年の言葉に神奈の少女の表情が凍り付く。
神奈「・・・始まるのか」
少年「ああ」
ただ短く返事をし、少年はリビングへ向かう。復讐と守護ための戦いを始めることをそこにいるだろうもう一人の少女に伝えるために。
**後書きっぽいもの**
え〜、今回生まれて初めてネット掲載用のSSを書き始めました丸井 奈仁華です。なんつうか自分アナログな人間なのでパソの取り扱いに四苦八苦です。なんか手で紙に書くほうが簡単な気がします。
それはさて置きDO−DOさんのサイトを見ている方は皆そうでしょうが私もライダーが好きです。年齢の都合で殆どリアルタイムで見れませんでしたが・・・
で、今作は私がリアルタイムで見れた数少ないライダー、555をクロスします。TV版では色々な人がベルトで変身していましたが、本作MAKINAでもいろんな人が変身します。ライダー同士も戦います。
まあ、そんなこんなで楽しんでいただければ幸いです。
では、次回また会いましょう。