彼女達の思惑〜美坂香里編〜

お菓子屋さんの陰謀とわかっている。
元々その日がどういう日だか一度気になって調べたこともある。
それでも・・周りがそれで浮かれているのを見ると・・・つい・・・。
そうよ!昨日名雪と別れた後買ってしまったのよ、私も!
だって買わないと・・・店員の視線が・・・。
普段なら気にしないわ。
でも・・・この日は特別だったのよ。
妹の栞と同じで私も結構甘いものが嫌いじゃない。
あの子の病気が完全に治ったら一緒に甘いもの食べ歩きでもやろうかと思っているくらいだもの。
名雪がチョコを買いに行くから付き合ってと言ってきたのは2月13日朝。
その日の放課後に彼女に付き合ってわざわざ隣町の商店街まで行って、チョコを買った名雪と別れたところまではいいんだけど、何となく甘いものが欲しくなって入ったところが悪かった。
わざわざバレンタインキャンペーンなんかやっていたのよ!
これでチョコ買わなかったらなんか悪いじゃない!
はぁぁぁぁぁ・・名雪や栞に見つからないようにしないとね・・・もっとも買ったのは袋に入ったお徳用のハート形チョコなんだけど。

昨日と同じく放課後になって先生に呼ばれた私がその先生の用事を終わらせてようやく昇降口にまでやってくると、何故か相沢君がそこにいた。
もうとっくの昔に帰ったと思っていたのに。
「よぉ。まだ居たのか?」
それはこっちの台詞よ。
「相沢君と違ってこれでも忙しいのよ」
靴箱から下履きを出しながらそう言ってあげる。
一応これでも学級委員ですからね。
「また呼び出しか?」
どうしてそうなるのよ!!
心の中だけで突っ込んでおく。
余り相手にすると際限ないからね、彼は。
「進路指導よ」
冷たくそう言い返して、下履きに履き替える。
そしてさっさと門の方へと歩き出す。
「おいおい、待ってくれよ」
そんな声が後ろから下ので振り返って私はいつものあきれたような顔をして
「別に一緒に帰るわけでもないでしょ?家、反対よ?」
そう言ったが彼はなんの反応もしないで私の横に並ぶ。
「結局北川には何も無しだったのか?」
どうしてここで北川君のことが出てくるのかわからないけど・・。
「朝にも言ったと思うけど、お菓子屋さんの陰謀に加担する気はないの。まぁ・・・栞とか名雪は違うんでしょうけど」
ことさら冷たく言う。
半分は本心だけど、もう半分は買ってしまったチョコのことを隠したいというそんな感情が働いたからだ。
「まぁ、それは個人の勝手だけどな。北川が可哀想だ」
また北川君?
一体彼が何だって言うのよ?
「なんで北川君が可哀想なの?」
わざわざ立ち止まって相沢君を見る。
「・・・・・いや、もういい」
なんかとっても悲しげな顔をする相沢君。
「まぁ・・・そのなんだ。この話は忘れてくれ」
「別にいいけど・・・」
まだ不審な私。
いかにも不審ですって顔で相沢君を見ている。
・・・そう言えば、ふと気になっていたことを思い出し、私は聞いてみた。
「ところで相沢君」
「なんだ?」
「名雪は一緒じゃないの?」
そう、あれだけバレンタインを楽しみにしていた名雪が一緒にいないのはどっちかというと不自然に私には思えた。
「先に帰った。なんか準備するって言ってたが」
「準備、ね・・・」
何を準備するのやら。
・・・そうね、ここに名雪がいないなら別にいいかも知れないわね。相沢君には栞のことでも結構世話になっているし。
「お菓子屋さんの陰謀に加担する気はないけどね」
一応そう前置きしておいてから。
カバンの中から何故か持ってきていたチョコをとりだして、手に握りしめる。
「お世話になった人に感謝の気持ちを捧げるというのは良いと思うのよ」 
そう言って右手を彼の前に差し出して、開いた。そこには小さいハート形のチョコ。
それを見た相沢君がぎょっとした顔をして私を見る。
私はどきっとして思わず彼から顔を背けてしまった。
やばい・・顔が赤くなっているかも。
そんな感情持ってないはずなのに。
「感謝の気持ち・・・ね」
そう呟いた相沢君はさっと私の手の上からチョコを取り上げ、包みを解いて口に放り込んだ。
「俺が香里の世話になったことはあると思うがその逆はあまり無かったような気がするけど?」
う・・・確かにそんな気が・・・。
「べ、別にいいじゃないっ!!栞のこととか、まだ感謝してもあれは・・」
必死に反論する私だけどだんだんしどろもどろになっていく。
そんな私を相沢君は面白そうに見つめていることに私はまだ気がついていなかった。

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