秋子さんに温泉旅行の話をしたのがこの間。
決断の早いことでは定評のある秋子さんだ。
少し、俺は甘く見ていたのかも知れない。
まさか・・・いきなり明日出発するとは・・・。
流石は秋子さんだ。
しかし、問題があることを俺はすっかり忘れていた。
問題・・・それは水瀬家の眠り姫、名雪のことだった・・・。


温泉へゆこう♪
第三話「いいからさっさと起きてくれ!!」


「と言うことで祐一さんがホワイトデーに、と言うことでくれた温泉旅行に明日の朝、出発することにします」
その日の夕食の時、いきなり水瀬秋子さんがそう言ったので娘の名雪、居候1号の相沢祐一、居候2号の沢渡真琴、居候V3の月宮あゆの4人は驚いたように秋子さんに注目した。
「ですから明日出発しますからみんな準備しておきなさいね」
そう言って微笑む秋子さん。
「明日って・・・明日・・・だよね?」
恐る恐ると言った感じで名雪が聞く。
頷く秋子さん。
「祐一、起こしてくれる?」
名雪が不安そうな顔をして祐一を見る。
「まぁ、何時ものことだしな」
ご飯を食べながら答える祐一。
「あ〜、ひどいよ、祐一〜」
少しむっとしたような顔をして言う名雪。
真琴とあゆはそんな二人を見ていたが、何も言わずに夕食のハンバーグに箸をのばしていた。
「お前達は大丈夫か?」
祐一がそう言って真琴とあゆを見る。
二人は箸を止めると、互いの顔を見合わせた。
「う、うん」
「だ、大丈夫だよ!!」
二人は何かに怯えるかのように慌ててそう言った。
このとき、祐一は気付かなかったのだが、名雪が物凄い目で二人をキッと睨み付けていたのだ。
「本当か?後になって俺が起こすなんてイヤだぞ?」
名雪の様子に気付かない祐一が笑みを浮かべてそう言う。
「ほ、本当に大丈夫だから!!」
「名雪さんから目覚まし借りてでも起きるから大丈夫だよ!!」
二人が何故か必死になって言うのに、祐一は首を傾げたがあえて何も言わなかった。
「ね、名雪さん」
あゆがそう言って名雪を見る。
「そうだね、二人にはとっておきの目覚まし、貸してあげるよ」
名雪が微笑んでそう言う。
しかし、その笑みに真琴は邪悪なものを感じ、思わず身体を震わせてしまっていた。

夜・・・。
祐一は旅行の準備を終え、ようやくベッドに横になっていた。
そこにとんとんとドアをノックする音が聞こえてきた。
面倒くさそうにベッドから起きあがる祐一。
「誰だよ?」
そう言ってドアを開けるとそこには自分の枕を抱えた名雪の姿があった。
名雪は真っ赤な顔をして祐一を見、また俯いてしまう。
「・・どうしたんだよ?」
真っ赤になって黙り込んでいる名雪を見て祐一が訝しげな顔をする。
「だいたいな、明日朝早いんだからさっさと寝たらどうだ?」
「あ・・・ちょっとお願いがあって・・・」
名雪は耳まで真っ赤にしてちらちらと祐一の顔を盗み見るように視線をあげてくる。
「何だ?明日の朝起こせって言うなら既に了承済みだぞ」
「・・・うん・・・それもあるんだけど・・・あの・・・」
何かもじもじしながら名雪は祐一を見たり俯いたりしている。
「・・・どうしたんだよ?」
少々イライラしながら祐一が言う。
朝、名雪を起こす、というのはかなり重労働なのだ。最近はそれほどでもないのだが、昔は起こしに行ってもなかなか起きなかったのだ。
付き合いだすようになって名雪もかなり寝起きがよくなったのだが、それでもまだまだ、である。朝早くからの祐一の重労働にそれほど変化はなかった。だからこそ祐一は早く寝たかったのだ。
名雪にもそろそろ祐一がイライラし始めているのが解ったらしい。彼の顔を見上げて、何かを決意したように小さく頷くと口を開いた。
「あのね、祐一・・・明日の朝、ちゃんと起こしてくれると思うんだけど、それでも心配なんだよ。だからね、あの・・・」
そこまで言ってまた顔を真っ赤にして俯いてしまう。
祐一はそんな名雪を見て、ため息をついた。それからドアを大きく開いてやる。
「ほら、入れよ」
そう言って祐一は名雪を部屋に招き入れ、自分のベッドにまで行くと布団を大きく開いた。
「あの・・祐一・・・」
「落ちるといけないからお前が奧な」
言いながら振り返る祐一。
その顔には仕方ないというややあきらめにも似た表情と、どことなく嬉しそうな表情が同居している。
祐一の言葉と表情に名雪は大きく頷いて、ベッドの中に入っていった。
「あ〜あ、お前に付き合った所為ですっかり身体が冷えちまった」
そんなことを言いながら祐一は名雪の隣に入ってくる。
布団を肩までかぶって名雪に背を向けると、名雪がその背にぴたっとくっついてきた。
「こうすればすぐに暖かくなるよ」
名雪がそう言ったので祐一は彼女の方を振り返った。
少し恥ずかしそうな顔をしながらも笑みを浮かべている名雪。
それを見た祐一は思わず身体を反転させて名雪を抱きしめていた。
「きゃっ!!」
可愛い悲鳴を上げる名雪。
祐一はそんな名雪をぎゅっと抱きしめながらその頭に頬擦りをしている。
「くすぐったいよ〜、祐一〜」
本当にくすぐったそうな顔をして名雪が言うのを祐一は素早く自分の唇で塞いでしまう。
しばらくそのままでいたが、やがて名雪の目がうっとりとしたように閉じられる。
それを見た祐一が名雪の身体に手をはわせていく。
「祐一、ダメだよ・・・明日朝早いんだよ?」
唇を離した名雪がそう言うが祐一の手は止まらない。
「大丈夫だよ。それにこの方がもっと早く暖かくなるから」
祐一はそう言うと、名雪の唇を再び奪った。
夜はそのまま更けていく。
ただ祐一の部屋から時々変な声が漏れ聞こえていたりしたが・・・。

朝・・・。
「朝〜朝だよ〜朝ご飯食べて私起こして一緒に学校行くよ〜」
ベッドサイドのおいてある目覚まし時計が名雪の声を醸し出す。
音声を入力出来るタイプの目覚まし時計だ。前に使用していたものは名雪にあるメッセージを込めて返したので、今使用しているのは祐一が自分で買い、わざわざ名雪に声を入れてもらったものである。前とは微妙に内容が異なっているのだが、祐一はあまり気にせず使用していた。
「う、う〜ん・・・」
祐一の手が無意識に目覚まし時計のスイッチに伸びる。
と、誰かの手が横から伸びてきて目覚まし時計のスイッチを切ってしまった。
ぱたりと止む名雪の声。
もっとも当の本人は祐一の隣で幸せそうに寝ているのだが。
祐一も音声が止まったことに安心したのかそのまま眠りに戻っていく。
そんな二人を見て、にやりと笑う秋子さん。
特に二人を起こすわけでもなく、秋子さんはそのまま部屋から出ていってしまった。

「どわあああああああ〜〜〜っ!!!」
祐一の焦ったような声が部屋中に響き渡った。
「・・・にゅ?」
その声で目を覚ましたらしい名雪が顔を上げた。
そして隣にいる祐一に気付くと、ぺこりと頭を下げる。
「おはようございましゅ・・・」
まだ半分くらい寝ているような名雪を祐一は振り返った。
「おはよう・・・とのんびりしている場合じゃないぞ、名雪!」
祐一はそう言って名雪の肩を掴んで前後に揺さぶった。
「うにゅにゅ〜、じしんだお〜」
「目を覚ませ、名雪!!それどころじゃないんだから!!」
そう言いながら更に激しく名雪を揺さぶる。
「うにゅう〜、きょうのじしんははげしいお〜」
そう言う名雪の目は今にも閉じそうであった。
「ぬおおおおっ!!起きろ、名雪っ!!起きてくれぇぇぇぇっ!!」
祐一の声は既に悲痛であった。
時刻は午前11時過ぎ。
どうやら彼ら、すっかり寝過ごしてしまったようである。
「名雪ぃ・・・起きてくれよぉ・・・」
半分泣きそうな気分で祐一が言う。
これが自分達が昨夜遅くまで頑張っていたからだと言うことは祐一も痛感していた。
自業自得・・・。
祐一がそう思った時、タイミングよく彼の上にベッドサイドに置いてあった紙が風に乗って飛んで来た。
そこには秋子さんの字でこう書かれてあった。
『昨夜はお疲れさまでした。仲が良いのもいいんですが避妊はきっちりとお願いしますね。それと声の方も何とかして貰わないと真琴やあゆちゃんに問題あると思いますので。後、今日の旅行ですが、二人とも起きないので先に行きますね。行き先はメモに書いてあるので名雪と二人で追いかけてきてください。旅費も置いておきます。それでは頑張ってくださいね。秋子』
それを見た祐一は青くなった。
昨夜のことは秋子さんにはバレバレだったようだ。
「あはは・・はは・・・名雪・・・とりあえず起きろぉぉっ!!」
祐一は何かが吹っ切れたかのように名雪の身体を再び前後に揺さぶった。
「うにゅう〜・・・・ゆういち・・あいしてるお〜」
「解ったからさっさと起きてくれ〜〜〜!!!」
悲愴な祐一の声だけが水瀬家に響いているのであった。


次に行くお?


後書き
作者D「ではっ!!(しゅたっと片手をあげてそのまま走り出す)」
かおりん「そうはさせるかぁぁぁぁっ!!!(作者Dの進行方向で待ちかまえて豪快なラリアットを喰らわせる)」
作者D「ぐぎゃぁぁぁぁっ!!(まともに後頭部から倒れる)」
かおりん「さぁ、言いたいことはあるかしら?」
作者D「とりあえず後頭部が割れるように痛いです」
かおりん「まだ足りなかったわけ?」
作者D「・・・申し訳ありません。全5話と言いながらようやく第3話目です」
かおりん「もう第2話が何時出来たか何て覚えてもいないわ・・・」
作者D「おそらく5月頃ではないかと思われます」
かおりん「何をぬけぬけと言っているのよ。今何月?」
作者D「10月末ですね」
かおりん「半年近く間が空いているじゃないの!何やっていたのよ!!」
作者D「そりゃもちろんライダーカノンを・・・」
かおりん「だからこのHPは仮面ライダーカノンがメインだと思われているのよ。どれだけあんたがKanonのSSの方がメインだと言い張っても」
作者D「既に開き直りましたが」
かおりん「開き直るな、このボケェッ!!(メリケンサックをはめた拳で豪快なアッパー)」
作者D「ぐぎゃあああああああああ・・・・・(吹っ飛んでいく)」
かおりん「ハァハァハァ・・・あの馬鹿に任せていたら何時終わるか解らないわね。とりあえず何時になったら温泉に行くって言うのよ?」
あゆあゆ「とりあえず次回は祐一君と名雪さんが温泉に向かって出発するそうだよ」
かおりん「また随分唐突にでてくるわね・・・」
あゆあゆ「だってここじゃ扱い悪いんだもん。ライダーの方じゃ名前すら出てきてないんだよ?素の文章には」
かおりん「その代わり凄い配役じゃない」
あゆあゆ「そうだけど・・・うーん、何か微妙だよ・・・」
かおりん「他のSSのネタ晴らしはこの辺にしてようやく温泉に向かって出発するのね?」
あゆあゆ「そう聞いたよ」
かおりん「誰に?」
あゆあゆ「さっき吹っ飛んでいった人に」
かおりん「・・・・とりあえず次回には温泉に向かうそうです」
あゆあゆ「だからもう少しまっててね〜」

戻るんだよっ!

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