名雪「ゆ〜いち〜、ゆ〜いち〜、こっちこっち!」

祐一「そんな大声で呼ぶなよ、恥ずかしいだろ……」

とある神社の境内。

何気なく巫女のバイトを始めたらしい名雪に祐一は呼び出されてやって来たのだった。

祐一「で、何の用だよ?」

そう問う祐一に名雪は嬉しそうな笑みを浮かべてその場でくるりと一回りしてみせる。

その動きにあわせて長く伸びた名雪の髪が舞った。

その光景に思わず見とれてしまう祐一。

名雪「ね、どう?」

祐一「ど、どうって……」

思わず顔を背けてしまう祐一。

自分が思わず見とれてしまった事を知られるのはどうにもプライドが許さない。

名雪「ほら、何か言う事無い?」

そう言って名雪が祐一の顔を覗き込んだ。

照れて赤くなった顔を見られまいと更に顔を背ける祐一。

それを追いかける名雪。

逃げる祐一。

追う名雪。

しばらくその場でぐるぐる回っている二人をこの神社に参拝にきた人が遠巻きに見てくすくす笑っていた。



名雪「ね〜ね〜、おみくじ引かない?」

名雪がそう言って祐一の服の袖を引っ張り、社務所に連れて行く。

祐一「おみくじなんて正月くらいにしかやらないんだがなぁ……」

そう言いつつ、名雪のしたいように任せる祐一。

名雪「はいはい、これね」

名雪がおみくじの入った筒を祐一に手渡す。

筒を受け取った祐一は、数回筒を振り、中から出てきた棒を名雪に見せた。

名雪「えっと、35番だね……」

そう言って社務所の中に戻っていく名雪。

おみくじの紙を持って名雪が戻ってきた。

名雪「はい、これだよ」

名雪から紙を受け取り、換わりに手にまだ持っていた筒を返す祐一。

祐一「さて、どれどれ……」

紙を広げてみて、祐一は思わず硬直してしまった。

名雪「どうだった?」

にっこり笑みを浮かべて名雪が尋ねてくるが祐一は何答えられなかった。



そこに書かれていたのは大きく「女難」との文字。

まるで彼の運命を一言で言い表したかのような、そんなおみくじの結果。

祐一は勿論、そのおみくじを覗き込んだ名雪も、思わず言葉を無くしてしまっていた。

何と言うか気まずい沈黙が続く……。



祐一「ああ、そうだ」

名雪「どうしたの?」

祐一は名雪に向かって側に来るように手招きした。

名雪「何?」

祐一のすぐ側まで来た名雪に更に近寄って、祐一はその耳にそっと囁いた。

祐一「なかなか可愛いぞ、そのカッコ」

それを聞いた名雪が真っ赤になる。

名雪「ゆ、祐一!?」

そう言った祐一も顔を真っ赤にして名雪から離れる。

自分で言っておいて、かなり照れたようだ。

そんな自分の従姉妹にして最も愛しい人を見た名雪は思わず、笑みを浮かべ、そして気がついた時には彼に飛びついていた。

祐一「わわっ」

思わずバランスを崩してしまう祐一だが、どうにか踏みとどまる。

名雪「祐一、大好きだよっ!!」


後書き
矢蘇部さんから頂いたおまけ絵を利用してちょっとしたショートストーリーを考えてみました。
かおりん「作成時間僅か2時間程。過去最短ね」
過去最短は違いますよ。
およそ30分程度で作ったあれがありますから。
かおりん「ああ、あれね。あれをSSと言っていいのかは疑問だけど」
まぁ、HTML化されたのでSSと言っても良いのでしょう。
かおりん「しかし、また例によってラブラブ甘甘しているわねぇ」
まぁ、毎度の事ですがね。
所謂”なゆいち”ものが好きですから。
かおりん「あ〜、はいはい」
素っ気ないですね。
かおりん「どうせ私は……」
ああ、なんか拗ねちゃってる……。

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