ヒンヤリとした空気が辺りを包み込んでいる。
 ここは夜の学校。人の気配など少しもしない・・・訳ではない。例によって彼女がこの場にいた。
 右手には愛用の西洋刀、左手には・・・何故かモップ。足下にはちゃんと水の入ったバケツがある。
 綺麗になった廊下を見て一人満足げに頷いている。
「・・・満足」
 何をやっているんだ、お前は。

お暇な夜の過ごし方

 魔物が出なくなったというのにも関わらず彼女、川澄舞はこうやって夜の学校に時々忍び込んでいる。魔物がいないのだから持ってくる必要など無いはずなのだが、何故か愛用の西洋刀を持ってきている。何となく持ってこないと落ち着かないようだ。それにもし何かに襲われたときのことを考えるとこれはこれでいいのかも知れない。もっとも西洋刀を持ち歩いている女を襲おうという根性のあるものがいれば、の話だが。
「・・・酷い言いよう」
 ・・・睨まれてしまった。
 舞も一応女の子だからな、少しは言動に気をつけないと。
「一応って・・何?」
 ちゃきん。
 右手の剣がこっちを向いてしまった。
 えっと・・・・舞さん?
「一応って・・・何?」
 ずいっと詰め寄ってくる。
 すっごい怖い。
 ・・・・・すいません、俺が悪かったです。
「わかったらいい」
 そう言って舞が剣をおろした。
「とにかく・・・掃除を続けるのか?」
 俺がそう言うと、舞がこくんと頷いた。
 何故か舞に付き合って夜の学校にいるのだが、俺が来たときには舞はもう廊下の掃除を勝手に始めていた。どうもあまりにもちゃんと掃除がなされていなかったので自分でやろうと思ったらしい。手伝いながら話を聞いてみるとどうやらこの校舎に対する愛着やら学校に対する申し訳なさ、というものもあったようだ。
 今俺達がいる廊下は何か鏡みたいにぴかぴかになってしまっている。何もそこまでやる必要はないと思うのだが。
「よし、やるなら徹底的にやるぞ!」
 俺はそう言って足下のバケツを手に取った。
 学校中の廊下を綺麗にしないと舞の気が済まないらしいからな・・・。いつまでかかるやら。朝までに帰れるだろうか?
「大丈夫・・・二人なら早いから」
 舞がそう言って微笑んだ。
 以前なら全く見せて貰えなかった表情。今でも滅多に見せて貰えない表情だがこうやって二人きりの時はよく見せてくれるようになった。いつもは佐祐理さんが一緒にいるから恥ずかしがって見せてくれないし。
 ぽかっ。
 久しぶりに舞のチョップを喰らった。
「・・・痛いぞ」
 そう言って舞を振り返ると舞は真っ赤な顔をしてこっちを睨んでいる。
「祐一が悪い」
「そうか・・・?」
「祐一が悪い!」
 な、何かムキになってませんか、舞さん?
「祐一が・・・」
 今度はゆっくりと剣を振り上げる舞。
「あー、俺が悪かった!俺が悪かったから剣をおろせ!!」
 かなりマジで俺がそう言ってようやく舞は剣をおろした。
 舞ってかなり純情だからなぁ・・・からかうときは気をつけないと。これじゃ命がいくつあってもたりない・・・。

 学校中の廊下を掃除し終わったのは何と午前3時頃だった。始めは冷え冷えとしていたが今ではいい感じに身体も温もっている。
「満足したか、舞?」
 そう尋ねると、舞は大きく頷いた。確かにその表情も満足げだ。やった甲斐はあったかも知れない。だが・・・。
「俺、今日も学校なんだよな・・・」
 そう呟くのを聞いていたのか、舞は俺の方を向くと
「・・・ご免」
「いや、別に付き合ったのは俺の勝手だからいいんだけどな」
 俺に向かって頭を下げた舞にそう言うと俺は鼻の頭をかいて、
「今から帰ってもほとんど寝れないし・・・どうしようか?」
 苦笑を浮かべてそう言う。
 すると舞はいきなり俺の腕を取ると歩き出した。
「お、おい、どこ行くんだよ?」
「いいから」
 舞に腕を引っ張られたまま俺が連れて行かれた先は・・・教室であった。しかも俺の。
「・・ここ」
「教室だな?」
「入って」
 そう言ってドアを開ける舞。
 俺は何がなんだかわからないまま舞に引っ張られて教室に入っていった。
 窓側まで俺を引っ張ってきた舞はそこで俺の腕を放すと床にぺたんと座り込んだ。そして、自分の膝の上を指で指す。
「は・・・?」
 舞が何をしたいのか大体見当がつかないでもないが・・・まさか?
 俺が呆然としているのに業を煮やしたのか、舞は立ち上がると俺の腕を再び取り、強引に座らせて、自分の膝の上に俺の頭を寝かした。
「なぁ・・舞」
「・・・・・」
「朝までこれでいるつもりなのか?」
 こくりと頷く舞。
「まぁ・・いいか・・・」
 俺はそう言って目を閉じた。
 そして二人ともそのまま眠りについてしまった・・・。

 翌日、俺と舞は朝一番に登校してきた奴に発見された・・・と言うことは佐祐理さんには内緒だが。


後書き 

・・・・・・・・・・(コソコソ)。
かおりん「何処に行くつもりなのよ?」
・・・・・はっ!?
かおりん「バレバレなのよ、行動が」
今回の出来は非常に悪いです。だから逃げます。
かおりん「逃げてどうするつもりなのよ?」
修行を・・・いつかかおりんにも勝てるだけの強さを手に・・・。
かおりん「何言っているんだか・・・ところで今回はまたいつもと違うわね?」
はい、舞の話を書いて欲しいというある人からのお願いがありましたので。
かおりん「何でこういう話になったのかしら?」
ほのラブを目指してどこかで間違ったような気がする。まぁ・・・ほのぼのとはしているような気がするが。
かおりん「何をどうしたいのかわからないわね」
それはこっちもそうだ。舞は・・・・とにかく疲れる。いつの間にか祐一視点になってしまっているし。
かおりん「最初は作者視点のつもりだったのよね。それが」
それ以上言わないでくれ。
とりあえず舞の話はまた考えておこう。
かおりん「そろそろ私主役の話を書いても良いんじゃないのかしら?」
・・・・さて、修行の旅にでも。<(作者逃亡)
かおりん「にげるなぁっ!!!」<追跡にかかるかおりん


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