魔法少女ろじかるかおりん−誕生編−第二章


「あなたに魔法の力を授けます」
かなり棒読みな口調でだよもんが言ったのだが香里は一切気がついてなかった。
「・・・・・・・・・ええ〜〜〜〜〜!!!」
驚きの声を上げる香里。
それは喜びと驚きが混じったような感じがした。
(も、もし魔法が使えたら・・・栞の病気も治せるかも・・・・)
香里の顔がどんどん明るくなってくる。
手につかんでいるだよもんを大きく上下にぶんぶんと振り回し、香里は一気にしゃべった。
「さあ授けなさい!今授けなさい!すぐ授けなさい!」
「く、苦しいよ〜!目が回るよ〜!」
だよもんが目を回している。
しかし香里は全く気がついてない。
「ふにゅう〜〜〜」
結局だよもんは気が動転した香里に振り回されすぎて目を回し、気を失ってしまった。
「ちょっと!何気を失っているのよ!さっさと魔法の力を授けなさいよ!」
まだ香里はどうしてだよもんが気を失ったか気がついてなかった・・・。

よくよく考えてみれば雪まみれになっていたびしょ濡れであった香里はふと、寒気を憶えて、空を見上げた。
ちらりほらりと雪が降り始めている。
「・・・・さっさと帰るべきね。ここにいたら風邪引いちゃうし・・・それにしても・・・この子、どうしよう?」
水も滴るいい女・・・などと思いながら香里はだよもんを鞄に入れて家路を急いだ。
家に帰ると、まず濡れた制服を脱ぎ、私服に着替える。それからカバンを持って自分の部屋にこうとして、その途中で自分の部屋から出てきた妹とばったり出会う。
「お姉ちゃん・・・」
香里は何か話しかけようとしてきた妹を無視して自分の部屋に入っていく。
「・・・・お姉ちゃん・・・」
その後ろ姿を見送る栞。
それをわかっていながらあえて香里はそうせざるを得なかった。
(ご免ね、栞。私が魔法の力を持ったらまず一番にあなたの病気を治してあげるからね)
そう思いながらちらりと妹の顔を盗み見る。
悲しそうな、それで居て何かあきらめているような顔を妹はしている。そんな顔で姉を見ている。
香里の胸は痛んだが・・・とりあえず、ドアを閉める。
「そんな事するお姉ちゃんなんか・・・嫌いです・・・」
小さい声で栞が呟くのがドア越しに聞こえた。
ベッドに腰を下ろすと香里は手にしていた鞄を開けた。中に入っているだよもんをだしてやると、そっとベッドに横たえてやる。
「うう〜ん・・・」
しばらく放っておくと(その間、香里は宿題をやっていた)どうやらだよもんが意識を取り戻したようだ。
「ようやく起きたの?」
机に向かっていた香里が振り返るとだよもんが上半身を起こして香里の方を見た。
「ここ、何処?」
「私の家よ。あんたがいきなり気を失ったりするから連れてくるしかなかったのよ」
そう言って口をとがらせる香里。
「気を失ったって・・・・あれは・・・・あなたのせい・・・」
「何か言ったかしら?」
香里が凄い笑顔でだよもんを見る。
「あうう〜〜」
涙目になってだよもんが少し下がる。
「ところで・・・」
そう言って香里は椅子から立ち上がり、ベッドに肘をのせる。
「気を失う前に魔法がどうとか言ってたでしょ?」
にっこりと笑って言う香里。
その笑顔に何故か怖い物を感じてしまうだよもん。
「・・言ったかな、そんなこと?」
「言ったわ」
あっさり断言され、だよもんは顔を引きつらせた。
「うう・・・・何か怖いよ〜」
「ほら、さっさと教えなさいよ」
「ううう・・・・どうしてこの人なの〜?」
「教えなさい」
香里がそう言ってだよもんをがしっとつかむ。
「教えるから〜、教えるから放して〜」
だよもんが半泣きになりながら言う。
香里が手を放すとだよもんはちょこんとベッドの上に立ち、背中側に手を回して何かを取り出した。
「改めて、美坂香里さん、あなたに魔法の力を授けます」
「早く授けなさいよ」
「あのね〜、魔法の力を授けるって言っても色々とあるんだよ。ちゃんと契約とかしないと駄目なんだよ」
「ふ〜ん・・・そう言うものなの?」
「魔法の力は本当はこの世界にはない力なんだよ。それを持つって言うことは・・・」
「世界征服も出来るって事?」
「使い方によっては。だからそう言うことをしない人にちゃんと使用許諾書にサインしてもらって・・・」
「それって・・・・何か違うんじゃ?」
「と、とにかく、ちゃんと契約しないと駄目なの!それじゃ契約の儀式にはいるよ」
そう言うとだよもんは自分の羽を広げ、ベッドから少しだけ宙に浮くと、手にしていた小さい棒を前に出した。
「大いなる魔法の力よ。今ここに新たに契約を結ばんとする者あり。その名は香里。仲介するはえいえんの妖精」
まるで呪文を詠唱するかのようにだよもんがいう。その姿が少しずつ光に包まれていく。更にだよもんが持っている棒が徐々に大きくなっていく。
「魔法の杖よ!今契約を結びし者に力を与えよ!」
ひときわ光が大きくなり、棒が完全な杖となる。それは・・・柄がオレンジ色で先には何かよくわからないが何かをかたどったものらしいものがついている。
「その杖を手にして!」
「え?」
「早く!それで契約完了になるんだよっ」
「わ、わかったわ!」
だよもんに言われて香里は光の中に浮いている杖を手に取った。その瞬間、彼女の全身に何かが駆けめぐった。
「ひゃうっ!?」
変な声を上げて香里がその場にへたり込む。しかし、その手にはちゃんと杖を持っている。
「・・・これで契約完了だよ」
だよもんがそう言ってへたり込んでいる香里の前に飛んできた。
「・・・・え?」
香里がだよもんを見上げる。
「契約完了だよ。これであなたは今日から魔法少女だよ」
そう言って笑顔を見せるだよもん。
「明日からご町内の平和のために頑張ろうね」
「・・・・・・そうだわ!栞の・・」
いきなり立ち上がる香里。
「え?ええ?どうしたの?」
「妹の病気、直してあげるの!」
そう言って部屋を出ようとする香里の前にだよもんが飛んでくる。
「ちょっと待って!その前に確認しておかないと駄目なことがあるんだよ」
「確認しておきたいこと?」
一刻も早く妹も元に行きたい香里であったが、だよもんの様子も必死だったのでとりあえず、ドアノブに掛けた手を引っ込める。
「あなたがどういうタイプの魔法を使えるか、それを確認しておかないと駄目でしょ?それに・・・妹さんを助けることが出来るかどうかもまだわからないし」
何故か一瞬だよもんの顔が曇る。
「・・・わかったわ。タイプによっては・・・駄目なこともあるんでしょ?」
香里の表情も暗い。
うなずくだよもん。
「それでもいいわ。すぐにわかる?」
「ちょっと待って。すぐに終わるから」
だよもんはそう言うと、香里の頭から足の先までじっと見下ろした。それから、香里の胸の当たりに近寄ると、そっと手をついて、目を閉じる。まただよもんの全身が光に包まれる。
「あ・・・・」
その声と共にだよもんの全身から光がきえる。
「・・・・どうしたのよ」
じろっとだよもんを半眼で睨みつける香里。
「あ・・え・・・え〜と・・・今日はこの辺で・・・駄目?」
「駄目」
「・・・・え〜・・・だって・・・怖い・・・・」
「誰が怖いのかな?」
「香里さん」
「あっさり言うわね。で、私の魔法はどういうタイプなのかな?」
両手でしっかりだよもんの身体を掴み、香里がまた壮絶な笑顔を見せる。
「・・・言っていい?」
「言いなさい」
「え・・・・・と・・・・・ろじかる魔法・・・・・」
おそるおそる言うだよもん。
「ろじかる魔法・・・?何よ、それ?」
香里が顔をしかめて聞く。
「ロジカルって・・・確か論理的、とか言う意味だったわね」
「そうだよ。つまり香里さんの魔法は『論理的解説が常に必要な魔法』と言うことになるんだよ」
「論理的解説が常に必要?どう言うこと?」
「魔法を使おうと思ったら常に論理的な解説が必要となるの。例えば・・・・何か魔法を使ってみて」
「使ってみてって言われても・・・・そうねぇ・・・一般的なところで・・・光よ!なーんて・・・」
杖を振ってそう言ってみた香里だが何も起きない。
「何も起こらないわね」
香里がそう言ってだよもんを見ると、だよもんは大きくうなずいて、
「だから論理的解説が必要なの。光を生み出そうと思ったら、どうして光が発生するかそれを解説しないと魔法は発動しないの」
「な、何よ、それ!それっていつもいつも何か魔法を使うたびにその効果を解説しないと発動しないって事?」
「そうだよ」
「・・・・・じゃあ・・・今の光を生み出す魔法の場合は・・・『空気中に漂っている電子が一ヶ所に集まりそれが空気中の埃なんかと接触して発光している』とでもいえば・・・」
いきなり杖が光を生み出した。
それを見て、香里は黙り込む。
「あはっ・・・上手いね、香里さん。もう使えてるよ」
だよもんが嬉しそうに言うが、香里はぴくぴくと肩をふるわせていた。
「こ・・・こんな魔法じゃ・・・栞を助けられないじゃないの!どうしてくれるのよ!」
素早くだよもんを両手で掴み、ぶんぶんと振り回す。
「そ、それは私のせいじゃないよ〜」
またまた目を回しながらだよもんが言うが、香里は一切聞いていなかった。
何はともあれ・・・ここに魔法少女ろじかるかおりんが誕生したのであった・・・・。

つづく

後書きという名の漫才(かも知れない)

と言うことで第二章、書き上がりました。本当はもっと違った展開になる予定でしたが何故か香里の部屋での室内劇に終始しました。
かおりん「これで魔法が使えるようになった訳ね」
まぁそういうことになる。しかし色々と制約の多そうな魔法だな。
かおりん「誰がそう言う設定にしたのよ」
勿論作者だ。どーだ、参ったか。
かおりん「誰が参るもんですか。これからはいつでもこの魔法の力で痛めつけれるからね」
おお・・また本編並に怖い笑顔を見せるか。しかし作者を痛めつけれると喜ぶとは・・・怖い奴。
かおりん「とりあえず、攻撃魔法でも準備してこようかな」
すいません、もう言いませんので許してください、かおりん様。
かおりん「何か前回と似た展開になってきたわね」
気にしてはいけない。
それよりもこれからの展開だが・・・そろそろ他のヒロインを出していくことに決定。
かおりん「栞がちらっとでていたわね」
それも予定の内だ。だいたい第一章の初めの時点で栞は祐一に会いに来ていると言うことをちゃんと書いておいたはずだが?
かおりん「名雪属性のあんたがどうやって栞を助けるのかとても興味があるわね」
だからその怖い笑顔はやめてくれ。一応ハッピーマニアだから全員ちゃんと助かっているという設定があるんだ。
かおりん「設定大好き人間だからね、あんた」
そう言うことだ。
そう言う意味ではロジカル魔法もちゃんと設定されているがかなりあやふやだぞ。
かおりん「・・・(怒)炎が発生する条件は・・・」
待て!頼むから待ってくれ。それはさすがにしゃれにならんと思うぞ。
かおりん「じゃあ、さっさと続きを書けぇぇぇぇ!!!!!」
は、はいぃぃぃぃっ!


戻るわよ 一つ前に戻るの? 次に行くのね?

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