「雪の中の邂逅」


雪・・・雪が降っていた・・・。
視界を埋め尽くすように真っ白な雪が降り続けている。
7年ぶりに帰ってきた街は、やはり雪に覆われていた。

ふと、時計を見てみる。
約束した時間はもうとっくに過ぎている。
「全く、何やってるんだ、名雪の奴・・・」
呟きとともに白い息を吐き出す。
このベンチに座ってもう1時間は経っている。降り続いている雪のせいで、かなり身
体も冷えていたが、ここが約束の待ち合わせ場所なので下手に動き回って、会えない
と言うのもいただけない。
「はぁ・・・」
この日、何度目かのため息・・・それすらも悲しいほどの寒さに白くなっていく。

「あなた・・・」
俯いてじっとしていると誰かの声がしたような気がした。
「そこのベンチに座っているあなたよ・・・」
そこのベンチと言っても他にもある。きっと俺じゃないだろう。だいたいここに知り
合いは従姉妹とその母親ぐらいしかいないはずだから。
「そこに1時間以上座っているあなたの事よ・・・」
あきれたような声。
イヤ、こんな雪の降りしきる中、外のベンチに座っているのは俺しかいないので当然
その声は俺を呼んでいるのだろうということは初めからわかっていた。
俯いていた顔を上げ、声の主を見てみる。
女の子だが・・・残念ながら従姉妹ではないようだ。全く見たこともないし、会った
こともない。
「当然よ。あなたとは今初めて会ったんだから」
それはそうだ。
この街には7年ぶりに来たのだからどっちかというと初めて会う人間の方が多いだろ
う。
「そうやって雪まみれになっていると、風邪、引くわよ」
「人を待っているんだ」
「何もこんなところで待たなくてもいいじゃない」
「ここが待ち合わせ場所なんだ」
「ここが待ち合わせ場所っていっても別に雪の中で待つ必要はないと思うわよ」
「それもそうだが・・・ここ以外の場所に行って行き違いになっても困るからな」
俺はそう言うと、一度立ち上がった。そして、頭につもった雪を手で払いのける。
そして、声をかけてきた女の子を見てみる。
見たことのない制服・・・珍しいタイプのものだと思う。
「そうね。私もそうだと思うわ」
何故考えていることがわかるのだろうか?
「企業秘密よ」
何故、企業?
「それも秘密」
何故、秘密?
「女の子は秘密が多いものなのよ」
そう言うものなのだろうか?あいにく、俺は男だから全くわからないが。
何となく、彼女が笑っているような気がした。
「で、何のようだ?」
少し身体を伸ばしながら俺は彼女に尋ねた。
「ただ、風邪を引くぞ、と忠告したかっただけなのか?なら悪いのは俺じゃない。待
ち合わせの時間に来ない従姉妹が悪い。俺が風邪を引いたらあいつのせいだ」
「待ち合わせの時間はちゃんと伝えてあるの?」
「知っているはずだ。お袋が伝えてある」
「やっぱりこう言うのは自分で伝えるべきね。だからこう言うことになるのよ」
「・・・かもしれない」
今、俺はとっても後悔していた。
元々この街には来たくはなかった。親の仕事の都合で俺が一人暮らしをしなければな
らなくなって、それで、心配だからと言って俺の面倒を見てくれることになったのが
この街に住んでいるお袋の妹の(俺にとっては叔母さんの)秋子さんだった。
お袋の話だと、俺は7年前まではこの街によく来ていたらしい。それが7年前の冬を
機会にぱったり行かなくなったらしい。らしい、らしい、というのは、実は俺には7
年前の冬の記憶がぱったりと途絶えているからだ。
ただ、何故かこの街に足を向けさせない何かがあったのだろう。

「まぁ、風邪を引かないようにね」
いきなり彼女が言った。
「努力はする」
そう答えると、俺は再びベンチに腰を下ろした。
「せめて傘でも差したら?」
「あいにくと持ってない」
「買ったら?」
「お金がもったいない」
「そう言うと思ったわ」
「貸してくれるのか?」
そう言って彼女の持っている傘を見る。はっきり言って女物の傘だ。あまりここのよ
うな人通りの多いところで差していたいものではない。
「これしか持ってないのよ」
やんわりと断られたようだ。もっとも貸してくれると言われても困るのだが。
「それじゃ・・・」
「ああ・・・」
彼女が俺に背を向けて歩き出す。
その背中に揺れる、軽くウェーブしている長い髪の毛を何と無しに俺は眺めていた。
ふと、揺れる髪の毛が止まった。そして、彼女は振り返り、俺にピッと指を突きつけ
てこういった。
「悪いのは、あなたの方よ。きっとね」
「は?」
何を言われたのかわからなかった。
聞き返そうと膝を浮かしかけたとき、彼女は再び俺に背を向けて走り去っていった。
「一体何なんだ?」
俺はやはりベンチに座り直し、大きく、ため息をついた。
「早く来いよ、名雪・・・」
また俺の身体に雪が積もり始める。

To Be Continued Kanon’s Prolouge

・・・後日談

従姉妹の名雪が来たのはそれから1時間ぐらい後のことだった。
何はともあれ、俺は彼女の心配してくれた風邪を引くことなく下宿先の水瀬家に着く
ことが出来た。
この時会った彼女とまさかすぐに再会するなど誰が思っただろうか?
運命の日は1月9日・・・。


END


後書き

実はこれが初めてかいたものだったりします。
もっともとある人へのプレゼント用に書いたものです。
かおりん「要するに使い回しってこと?」
酷い言いようだな。
かおりん「でも事実じゃない」
ううう・・・(涙)
かおりん「泣いても無駄よ」
酷いなぁ・・・一応主演女優なのに。名雪を押さえて、だぞ?
(注:作者は名雪属性持ちです)
かおりん「主演女優とか言う割に名前がでてないじゃないの」
そう言う演出・・・と思って欲しいなぁ?
かおりん「私に対する扱いがなってないわね。と言うことで」
どうしていつもいつも笑顔で釘バットなんか持ち出すのかなぁ?
かおりん「そう言うキャラにしたのはあんたじゃぁっ!!!」
ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・。



戻るわよ

本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース