前書き
作者D「一度書かねばならんあゆのお話」
かおりん「じゃ、書きなさい」
作者D「相変わらず容赦ないですね、かおりん様」
かおりん「最近扱いが悪いからよ」
作者D「あゆに比べたらいいと思いますが?それに真琴の扱いもこのHPでは酷い」
かおりん「だったら何とかしてあげなさいよ」
作者D「いつの日か(爆)」



シリーズらぶらぶはっぴねすでいず外伝
「あゆが来たりて真琴吠える」



*1*
病院・・・。
そのとある病室に・・・。
「あらあら・・すっかり元気になったようね?」
病室の中でボクが暇そうに歩き回っているといつものように笑顔の水瀬秋子さんが入ってきた。
「リハビリも順調のようで安心したわ」
「秋子さん♪」
ボクは七年前に大きな木から落ちてずっと意識不明だったらしい。
それが最近になって何故か意識を取り戻して、普通の生活を送るためにボクはリハビリを続けている。
秋子さんはボクが意識を取り戻したときに一番始めに会った人で、でもボクとは前に会ったことがあるって言っていて・・・。
えっと、ボクにはよくわからないんだけど、ボクが意識不明だった間、ずっと夢の中で見ていた秋子さんや・・・祐一君、名雪さんが本当にいて、ボクが意識を取り戻したって聞いて嬉しそうに駆けつけてくれて。
意識不明の間にいなくなったお父さんに代わって(どうしていなくなったのかは誰も教えてくれなかった。でもお金だけはおいていったらしい、と後で秋子さんに教えて貰った)ずっとお世話して貰ってて。
それに「一緒に暮らしましょう」と言われて・・・今じゃボクのお母さんみたいに思えてしまう人だ。
「この調子なら今月の終わりには退院できそうね?」
「うんっ!」
秋子さんに言われてボクは元気よく頷いた。
この病院を退院したら秋子さんの家で名雪さんや祐一君と一緒に暮らすことになっている。
始めは遠慮したんだけど・・・でもお父さんもいないし、親戚の人も全然知らない人ばっかりだし、それならよく知っている秋子さんに迷惑かけるかも知れないけど、お世話になった方がいいかも、って思って。
秋子さんの娘さんの名雪さんもそう薦めてくれたし、それに同じ居候で名雪さんの従兄弟の祐一君(ボクにとっては思い出の人。七年前に知り合った・・・大切な人。でも、名雪さんの恋人。ちょっと悔しいかな?)も強く薦めてくれたので結局秋子さんのお世話になることにした。
「名雪や祐一さんも楽しみにしているから、もう少し、頑張りましょうね」
「うんっ!!」

*2*
水瀬家の二階、である。
ここの家主、秋子さんの部屋は一階にあるのだが、名雪や俺の部屋、そして真琴の部屋はこの二階にある。
「空いているのはこの部屋だけか?」
「あう〜〜〜〜」
「私の部屋でも良いと思うけど?」
「あう〜〜〜〜」
「名雪の部屋・・・あゆが可哀想だ。朝になる度あの大音量の目覚ましにあいつを晒すのか?」
「あう〜〜〜〜」
「祐一の部屋・・・は論外だし。大体私もあんまり行ってないからね」
「あう〜〜〜〜」
俺と名雪は今真琴の部屋にいた。
相変わらずマンガが散乱しており、肉まんの入っていた袋もあちこちに落ちている。
で、この部屋の主、沢渡真琴は今名雪に耳を引っ張られていた。
真琴がよく俺の部屋に出入りしていることを名雪も知っている。
そのせいで名雪は余り俺の部屋に来れないとよく嘆いていた。
俺の部屋にいる名雪はいつも俺のそばにべったりとくっついて甘えてくる。
とてもじゃないが、真琴や秋子さんには見せたくない光景だ。
俺自身はまんざらでもないが。
「ところで・・そろそろ離してやらないか?」
俺がそう言って真琴の耳を掴んでいる名雪の手を指差した。
「とりあえず真琴の部屋にあゆちゃんも一緒と言うことで良いと思うけど」
名雪は俺の言うことを無視してそう言った。
最近名雪の真琴に対する扱いが、特に俺が絡むと、酷くなる。
まぁ、理由はわからないでもないが・・・妹みたいなものだからもう少し優しくしてやっても良いと思うのだが。
「妹だからこそこんな事するんだよ。姉のものに手を出すなってね」
「あうう〜〜〜、ゆーいちはものじゃないでしょ〜〜〜〜〜」
真琴が耳を引っ張られながら言う。
「とにかく片付けておかないとな。あゆが来たときにこれだと流石にあいつに悪いだろ」
祐一はそう言うと、部屋の中に歩き出した。
「真琴はマンガを片付ける。名雪はこいつの服とかを集めてくれ。部屋の掃除は俺がするから」
ほっておくと何時までも進みそうにない気がしたのでとりあえず俺が指示を出し、この部屋の掃除が開始された。

*3*
遂に退院の日がやってきた。
前の日に色々とあった荷物をまとめて、長い間お世話になった部屋をじっと見回してみる。
「何やってるんだ、あゆ?」
そんな声がして振り返ると、ドアのところに祐一君が立っていた。
「秋子さんが下で待っているぞ。早くしろよ」
ぶっきらぼうに言う祐一君。
「・・・そうだ、これ、言っておかないとな。あゆ、退院おめでとう」
「ありがとう、祐一君。これからよろしくね」
そう言ってぺこりと頭を下げる。
「俺も居候だから立場は同じだよ。ほれ、荷物貸せよ、持ってやるから」
祐一君がそう言ってボクの荷物の入ったカバンを手に取った。
「ありがとう、祐一君」
先に歩き出した祐一君を追ってボクも病室を出た。
と、ドアを出たところでもう一度中を振り返った。
今までお世話になったこの部屋ともお別れだと思うと・・・ちょっと寂しいような気がするけど。
だから。
「今までありがとね」
そう言ってからボクは祐一君を追いかけた。
病院のロビーでは秋子さんがボクをずっと見ていてくれた先生や看護婦さんと一緒にボクと祐一君の来るのを待っていてくれていた。
「やあ、あゆちゃん。退院おめでとう。今までよく頑張ったね」
「はい、あゆちゃん。退院おめでとう」
先生や看護婦さんが笑顔でそう言ってくれている。
ある看護婦さんがボクに花束を渡してくれた。
「ありがとうございます」
ボクも笑顔でそう言って花束を受け取った。
自然と涙がこぼれてきた。
よくある感動の場面なんだろうなぁ・・・栞ちゃん辺りだと「ドラマみたいです」とでも言うんだろうなぁ。
「こいつには花束よりもたい焼きの方が良かったと思いますよ、俺は」
そう言ったのは祐一君。
もう、感動の場面が台無しだよっ。
「じゃ、そろそろ行きましょうか?名雪達も待っていることですから」
秋子さんがそう言ってボクたちを見た。
「そうですね。ほら、行くぞ、あゆ」
祐一君にそう言われて、ボクは先生達を見て、頭を下げた。
「今までお世話になりました」
「あゆちゃん、幸せになってね」
看護婦さんにそう言われて、ボクは嬉しくなって、涙があふれて・・・秋子さんにハンカチを貸して貰うまでぽろぽろと涙を零していた。
タクシーに乗ると秋子さんがボクを見て、
「あゆちゃん、ちょっと言いにくいことなんだけど・・・」
少し困ったような顔をして言う。
「秋子さん、俺が話しましょうか?」
そう言って祐一君が振り返った。
祐一君は助手席に座っているのでそうするしかない。
「いえ、これは家主である私のお仕事ですから。あゆちゃん、あのね・・・」
「はい・・・」
何だろう、秋子さんの話って・・。
「あのね・・・あゆちゃんの部屋・・・真琴と一緒なんだけどいいかしら?」
「真琴・・・?」
初めて聞く名前にボクは首を傾げた。
「ああ、あゆは知らないか。真琴ってのは俺と同じ居候でな、一応記憶喪失だそうな」
「記憶喪失?」
祐一君の言葉に更に首を傾げる。
「そう、文字通り記憶を喪失と言う一種の病気みたいなもんだな」
「ええ、病気なの!?入院とかしなくて大丈夫なの!?」
「そんなに大げさなものじゃないのよ、あゆちゃん」
一瞬パニックに陥ったボクを秋子さんが優しくたしなめる。
「記憶を無くしているっていっても普段と同じ生活は出来るから入院とかが必要じゃないのよ」
「ふうん・・・そう言うことなら祐一君も記憶喪失みたいなもんだったんだね?」
「は?どう言うことだよ?」
ボクの言ったことに祐一君がまた振り返ってきた。
「だって七年前のボクのこととか名雪さんのこと、ずっと忘れていたでしょ?」
「う・・・そう言えばそんなこともあったな」
そう言って祐一君はばつが悪そうに前を向いた。
それを見て、ボクと秋子さんが顔を見合わせて笑う。
そのままタクシーは走り続け、ようやく水瀬家の前まで辿り着いた。

*4*
家の前で車の停まったような音がした。
それを聞いた名雪が立ち上がる。
あたしは・・・何となく一緒に立ち上がっていた。
今から来る同じ部屋に住むであろう同居人、あゆを見に行くために。
どんな奴なんだろう・・・名雪や祐一が言うように面白い奴ならいいんだけど・・・イヤな奴だったらどうしよう・・・マンガみたいにいじめたりされたらやだなぁ。
そんなことを考えながら歩いていると、どんと名雪の背中にぶつかった。
「もう、真琴、前見て歩いてよ」
名雪がこっちを見て言う。
「あう〜〜」
謝る代わりにいつもの口癖がでる。
「そう言えば真琴はあゆちゃんと初対面だったっけ?」
「う、うん・・・」
「仲良くしなきゃダメだよ」
そう言って名雪があたしのおでこを人差し指でちょんとついた。
「うん・・・でも、出来るかなぁ・・・」
不安そうな声がでる。
「真琴なら大丈夫だよ。立派に保育園でのバイトも勤まっているんでしょ?」
「それはそうだけど・・・」
今から来る相手は保育園で何時も遊んでいる子供じゃないじゃない。名雪や祐一と同じ歳の子でしょ?
自信ないなぁ・・・。
そうこうしているうちに玄関についていた。
ドアが開いて・・・秋子さんと祐一が入ってくる。それに続いて・・・余り背の高くない女の子。
「いらっしゃい、あゆちゃん」
名雪が笑顔でそう言う。
「違うだろ、名雪。あゆはこれからこの家で一緒に暮らすんだぜ?」
そう言って祐一が持っていたカバンを置いた。
「あ、そうだね。あゆちゃん、お帰り」
言い直す名雪を見て、祐一が頷いた。
「ほら、あゆちゃん」
秋子さんがあゆって子の背中を押す。
「・・・お邪魔します」
「そうじゃない」
そう言って祐一があゆって子を手で制した。
「・・・・・・・ただいま」
「よし」
満足げな祐一。
あゆって子がおどおどしながらあがってきた。
その視線があたしの視線とぶつかった。
今まで名雪の後ろに隠れて様子をうかがっていたあたしだけど視線があった途端、俄然やる気が湧いてきた。
しっかり目で相手を威嚇する。
「うぐぅ・・・」
あゆって子が不安げに祐一を見た。
「・・・こいつがタクシーの中で話した真琴だ。やや人見知りの強い傾向があるが気にしないで上手くやってくれ」
祐一がそう言ってあたしの頭を掴んだ。
「真琴、こいつが今日からお前の部屋で一緒に暮らすあゆだ。仲良くやれよ?」
「あう〜〜〜〜」
あたしはまだ威嚇の視線をあゆに送り続けている。
始めが肝心なのよ。
「うぐぅ・・祐一君、名雪さん・・・」
案の定あゆって子は名雪や祐一を不安げに見ている。
けれど、二人はそれに気付かず秋子さんをリビングに見送っていた。
「さて、それじゃ部屋に案内するよ」
そう言って名雪が歩き出した。
あたしがそれに続いて、祐一、あゆの順で二階へとやってくる。
「ここがあゆちゃんと真琴の部屋だよ」
何時もあたしが使っている部屋のドアを開けながら名雪が言う。
実はこの部屋の掃除を始めてからここにはいるのは初めてだったりする。
色々と家具を追加したりするからここ二、三日は名雪の部屋で寝起きしていたんだけど・・・あの目覚ましには参った。
あれだけうるさいのによく名雪は寝ていられる、そう感心したわよ、全く・・・。
それはともかくあたしもこの部屋に入るのは久しぶりだったりする。
祐一に押されて部屋に入ると・・・中は以前とは違って明るい色のカーテンが窓に掛かり、真新しいタンスとか机、二段ベッドがある。
「うわぁ・・・」
思わず感心して言葉を無くすあたし。
隣に立っているあゆも言葉を無くしているようだ。
「私とお母さんとで選んだんだよ」
そう言ったのはあたし達の後ろにいる名雪だった。
「えっと・・・いいのかな、そこまでして貰って?」
あゆが振り返って名雪に聞く。
ちょっととまどったような顔をして。
「いいのよ。あゆちゃんも真琴も私にとっては娘のようなものだから」
突然秋子さんの声がした。
いつの間にか二階に上がってきていて、あたし達のすぐ後ろに立っていた。
秋子さんはあたしとあゆをその腕の中に包み込んで、優しく微笑みながらこう言った。
「今日から家族よ。いいわね?」
家族・・・その言葉にあたしは何故か目から涙があふれるのを感じた。
それはあゆも一緒だったらしい。
あたし達は秋子さんの腕の中で静かに泣き続けていた。

*5*
水瀬家のリビングルーム。
俺と名雪は秋子さんが入れてくれたお茶を飲みながらテレビを眺めていた。
「あの二人、仲良くやっているかな?」
名雪が俺を見て言う。
「大丈夫だろ。精神年齢、近そうだし」
「わ、祐一、結構酷い事言ってる」
そう言って名雪が笑みを浮かべる。
「俺はむしろお前の方が心配だけどな。最近の真琴に対するお前の扱いは結構酷いと思うぞ」
俺がそう言うと名雪はちょっと頬を膨らませて俺を睨んだ。
「祐一、祐一は誰のことが一番好きなの?」
「何言ってんだよ」
俺は頬が少し赤くなるのを感じ、名雪から視線を外した。
すると、そんな俺に名雪がすり寄ってきた。
「ちゃんと聞かせて。でないと・・・不安になっちゃうよ・・・」
そう言って上目遣いに俺を見る。
少し瞳をうるうるさせて・・・ああ、もう!
俺は我慢できずに名雪を抱きしめてその唇に自分のそれを押し当てる。
そのまましばらくキスを続けていると・・・
「あらあら、お熱いわね」
そんな声がして、何となくイヤな予感がした俺達は今まで閉じていた目を開けて、そのままの状態で、声のした方を見てみる。
そこには・・何時もと同じ表情・・・やや嬉しそうな表情を浮かべた秋子さんがいた。
「この分だと私もすぐにおばあちゃんですね」
「あ、秋子さん・・・!!!」
俺と名雪は真っ赤な顔をしてすぐに離れた。
「祐一さん」
「は、はいっ!」
秋子さんが俺を真っ直ぐに見つめて口を開いた。
俺は何事かと背筋を伸ばす。
「名雪のこと、よろしくお願いしますね」
「は、はい!!!」
「お母さんっ!!」
即答する俺に真っ赤になる名雪。

*6*
その頃二階の真琴とあゆの部屋では・・・。
「あう〜〜〜、あたしが上なんだってば〜〜〜」
「やだよ〜〜、ボクが上だってば〜〜〜」
二人で二段ベッドの上と下を争っていたのであった。

今夜も水瀬家は平和である・・・・。

あう、戻るの?


後書き
作者D「と言うことで終わりました。まるで何処かの峠をドリフトバリバリで走っているような名前の作者です(もっとも実際はそんなこと出来ませんが)」
かおりん「これのどの辺があゆの話なのかしら?」
作者D「気がついたらあゆと真琴、そして祐一と名雪の話になってしまった(笑)」
かおりん「まだ単体ヒロインでは書けないのね・・・はぁぁ・・・」
作者D「こらこら。切なそうにため息をつくな。うちの・・・というかこのシリーズ「らぶらぶはっぴねすでいず」はあくまで名雪と祐一がラブラブであることが前提なのだ。だからこのシリーズの範疇にはどうしても祐一と名雪は欠かせない」
かおりん「欠かす気もないくせに」
作者D「ザクッ!!!・・・激しく痛いところをつきましたね、かおりん様」
かおりん「まぁ、いいけどね」
作者D「どういう意味ですか、それは」
かおりん「言葉通りよ」
作者D「激しく馬鹿にされているような気がするが・・・まぁ、いい。何となく書いてて気に入ったのであゆと真琴の騒動はまた書こうと固く決意」
かおりん「決意はいいけど、他のもあることを忘れないようにね」
作者D「・・・・・・・・・・・・了解です・・・・・・・・・」

うぐぅ、戻るの?

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